始まり
つまらない。本当につまらない。生きている感覚もない。こんな仕事、ガキでもできるだろうと。ただただ、今、この世界で目の前で起こっていることを記憶し、持ち帰り報告するだけ。起きている事象に対しての介入は許されない。自分がいま所属している部署は、『時空監視担当』。その名の通り、見守るだけである。異常がなければ異常なしの報告、異常があれば危険度も併せて報告するだけの簡単なお仕事。
わかっている。仕方がないんだ。それが、『天使見習い』の仕事だ。『天使見習い』達は、みんな正規天使になるために必ず、『時空監視担当』に所属する。時空転移の基礎やら、異世界の様々なことを学ぶという名目で配属される。ここで、適性を見定められ、次の部署が決まる。
「あ~、早く『調和担当』に入りたいなぁ。」
「無理無理、お前は普段から真面目に仕事もしていないし、第一、その背格好じゃ戦闘も得意じゃないだろう?『調和担当』なんて絶対入れないさ。」
『調和担当』とは、字面のイメージとは異なり、生粋の戦闘部隊である。天使のイメージダウンにならないように名前だけでも、清楚に、なんて理由があるらしいが、どこへそんなアピールが必要なのかと。大体、俺たち天使の存在に気付いている奴らなんかいるのかと。
俺の見た目を笑ったそいつは、俺の一つだか二つ後輩だった気がする。他人に対して興味がないので、覚えてもいない。確かに、『見た目だけは』戦闘向きではないだろうな。背が高くてひょろっひょろ。皮と骨だけに見えなくもなく、猫背で無精ひげをはやした、最早天使のイメージからも程遠い。不健康そうにも見える。自分でもよくわかっているさ。これでも、腕っぷしには自信あるんだけどなぁ。むしろ、腕っぷしにしか自信がないんだよなぁ。天使たちは、時空転移だけでなく、魔法も使える。何故か俺は、魔法が大の苦手。攻撃魔法を使えばなぜか味方に飛んでき、回復魔法を使えば異常状態になり、補助魔法を使えば弱体化する有様なので、現在封印中だ。
そんなこともあるので、未だに『見習い』を卒業できないでいる。というか、練習するのも面倒である。それが原因で、卒業できていない理由なんだが、特訓しても効果がないし、そもそも、その特訓があっているのかもわからんのでやめた。じゃあ、上司や同僚に相談しろって?仲悪いし、折り合いも合わんから無理だなぁ。大体、天使になりたかったわけでもないんだよなぁ。というか、生まれた時から天使だったから、生きる道を決められてしまっていて、その道をただ惰性で生きてきただけ。まあ、周りからは何でお前みたいなのが天使なんだ、って言われる始末。生まれた時から言われているから、何とも思わんし、俺もそう思う。こんな生き方するくらいなら、どっかの世界で面白おかしく酒飲んで暮らしたかったなぁ。
俺のひとことがきっかけで、周りにいた後輩たち(多分)がやれ自分は上司に褒められたことがあるだの、やれ配属先が決まっただの自慢話が始まったので、その輪から抜け出し散歩をすることにした。あんな奴らと同類だと思われるのも嫌だしね。…誰にってわけでもないけどさ。
今、俺たちが視察に訪れている世界は、そろそろ崩壊するだろうと言われているところ。戦争しすぎて、土地も荒廃しきっていて、ぺんぺん草も生えなくなってるんじゃないかな?科学の素晴らしき発展と、その技術を取り合うための戦争を繰り返した結果、崩壊目前というわけだ。バカなのかな?自分たちがないものを求めるばかりに、自分たちの居場所を失うのか。でかすぎる対価を払ってまで、得るべきものなのだろうかね?まあ、当人たちは気づいていないんだろうね。こんなご時世になっても、今、俺の目の前の施設では未だに戦争のための研究を行っているようだ。不法侵入で見つからなかって?心配無用。さっきも言ったとおり、天使のことが見える奴なんていないんだよ。つまり、不法侵入し放題だ。その点は、すごく楽しいと思う。
ただ、ここの建物内には入りたいとは思わないなぁ。何故かって?
ここは、『人体実験施設』だから。ここの世界の人類は、どうやら同じ人間ですら兵器に見えるらしい。とんでもない奴らだ。なので、ここの中は、グロいこと請け合いでR-18G規制で済むかわからないので、入りたくない。そんなグロいところに自らすすんで突っ込んでいく必要もないと思うので、「今日も変わらず元気にグロい人体実験してました」と報告書を作成して終わりにしておこう。わざわざ、崩壊目前の世界に『調和担当』を呼んでほんの少しの延命をしたり、『消去担当』を呼んで滅びかけの世界にわざわざ止めを刺す必要もないだろう。自然消滅してどうぞ。
周りを歩いていたら、なんだかよくわからない叫び声が聞こえてきた。気味悪いから、さぼって帰るか。こんなところに長居は無用だ。転移地点に戻ろうと方向転換したら、つま先に何かが当たった。そこに視線を向けると、申し訳程度の草むらがあり、なんだか錆びた赤色が散らばっていた。その草むらにふわっふわの小さな黒い毛玉が横たわっていた。どうも、この毛玉につま先が当たったようだ。
「おーい、生きてるかぁ?」
思わず、普通に話しかけた。通じるはずないのに。ピクリとも動かないそれに触れると、まだ暖かく、呼吸もしているようだった。おそらく、眠っているだけなのかもしれない。だが、触れたそれはとても痩せ細っているようだった。この子を放っておくのもかわいそうだし、独り身で帰ったときにお出迎えと化してもらえたらええやん?とか自分でもよくわからない言い訳を自分にしながら、連れて帰ることにした。
何か、もっと色々と気にしろよって思うけど、それ位その時の俺は、集中していなかったし、やる気がなかった。
こいつを拾ったおかげで、のちに俺にとってのハッピーライフが始まるんだけどね。
―サヴィース
俺たちが住む世界の名前。ここは、いろんな世界への干渉を行う世界、つまり亜空間。『時空監視庁』を中心に、街が広がっているだけ。城壁のようなものーウォールがあり、そこから天はドーム状に覆われていて、外がどうなっているのかは全くわからない。もちろん、ウォールに門はなく外には出られない。所定の位置にそれぞれ時空の扉が存在して天使たちは、違う世界に行き来をしている。昼夜の変化はあるものの、天候の変化はない。ここには、天使しかおらずみんな昼間は基本的に仕事で違う世界へ出ていく。農作業があるわけでもない。ぶっちゃけ、睡眠さえ取れれば食事はいらない。基本的に死ぬことはないしね。ただ、『消滅』することはあるから、天使の『生産』は行われている。ただ、その仕組みは、上層部しか知らない極秘事項らしい。知らなくて困ることではないので、知ろうとも思っていないけれど。
そんな仕事の疲れをいやすためだけに戻ってくるサヴィースの中心から離れた一角にあるアパートが俺の家。7畳一間に申し訳程度のバスルームで独り身には、余りあるほどの部屋だ。殆どが、寝に戻ってるものだから木製のテーブルとせんべい布団。これらは、どっかの世界が崩壊する前に新品で残っていたものをすくねさせていただいたものだ。もちろん、上司からは怒られました。
帰ってくる途中で、店に寄りこの毛玉を養うための最低限必要なものをもらい受けてきた。そう、この世界には通貨も存在しない。『記録』の為にいろんな世界から『拾ってきた』ものが必要なくなった場合、『店』で必要としている者たちに支給している。ようは、捨てるくらいなら使いまわせ。ってことで、『店』ごとに取り扱っているものは、他の世界のように異なっていて必要に応じて、訪ねる『店』が変わる。今日寄り道した『店』は、他の世界でいうペットショップ的なところ。餌からペット用ベッドなど、人類がペットとして買っている生き物の世話をするための道具を取り扱っているところだ。
黒い毛玉は、部屋に着いても起きる気配を見せなかった。とりあえず、汚れが目立つので洗うことを優先した。洗っている間も、起きることはなくむしろ、気持ちよさそうに寝ていやがる。ペットショップの店主にこいつは何という動物か?と尋ねたところ、猫というのだそうだ。今まで、見かけてきたことはあったものの興味がなかったので、調べてすらいなかった。しかし、面倒を見るともなれば話は変わってくるわけで。
洗い終わっても起きない。死んでるわけではないのはわかるが、さすがに不安になる。本当に、なんなんだこいつ。ふと、窓の外を見ると日が暮れ始めていた。もうそんなに時間がたっていたのか。この後起きれば、きっと腹が減っているだろうから絡んでくることは予測できたし、俺も休みたい。猫の毛が乾ききったところで、子猫用のミルクの用意を始めた。ペットショップ店主曰く、この子はメスでまだ子猫なのだそうだ。痩せてもいるから様子を見ながら餌をやれ、と言われたが面倒を見たことがない俺に、様子を見ながらとか無茶振りだと思う。ただ、いきなり固形物はつらいだろうと判断し、ミルクをやることに決めた。
「にゃ~」
背中の方から、小さいながらもしっかりとした鳴き声が聞こえた。振り返ると、さっきまで何をしても起きなかった子猫がしっかりと自分の足で立っていた。右目がゴールド、左目はスカイブルーのオッドアイ。宝石のようにキラキラしている。
「やっと起きたのか、お前。」
「にゃ~ん」
これが、猫なで声というやつか。黒い毛玉は、甘えた声を出しながらすり寄ってきた。
「腹減ってるだろ?ゆっくり飲めよ。」
用意できたミルクを差し出すと、そいつはあからさまに「はぁ?」って顔をした。猫って表情豊かなんだな。嫌だったか、ミルク。嫌そうにしながらも、ミルクを飲み始めた。その様子を、俺はじっと見続けた。その視線が気になったのか、ミルクを飲むのをやめ睨んできた。しょうがないじゃないか、初めて見たんだもの。
「ごめん、俺のことは気になさらず…って痛い!ひっかくな!ごめんて!!」
「にゃ~~」
手の甲を思いっきりひっかかれた。血が出たし。毛玉を見ると、俺をひっかいた爪をしきりに舐めていた。心なしか、ミルクを飲んでいた時よりも美味しそうに舐めている。ちょっと、てかドン引きした。そんな俺を見て、そいつは心底楽しそうににゃあと鳴きやがった。
翌朝、息苦しさで目を覚ました。俺の上で黒い毛玉が寝ていやがる。目が合うと、やっと起きたかと言わんばかりのにゃあ。
あの薄気味悪い光景を目にした俺は、き、気のせい気のせいと自分に言い聞かせながら、寝床に着いた。もしかしたら、朝起きたら猫もいなくなっていて更には、昨日起きたことはなくなっていて、むしろ昨日はなくて全部夢だったとかそんなことにならないかなーと期待して寝た。…無駄だったけどな。
毛玉はいるし、仕事で持たされている通信端末には上司からの着信通知が溜まりまくっていた。そりゃそうだ、猫拾った挙句、仕事ほっぽいて帰ったし。
「おはよう、あの、苦しいんで降りていただけると非常に助かります。」
「にゃー」
いや、自分で降ろせって話なんだけど、何だか、こいつが怖く感じるのでお願いしてみた。毛玉は、仕方なさそうに俺の上から降りた。とりあえず、朝だ。朝飯を用意してやることにした。
「ミルクは嫌そうだったから、今度は猫缶にしてみるか。…お前、何でひっかこうとしてるのかな?痛いから、マジでやめて。冗談抜きで。」
「にゃ…」
なんで、残念そうなんだよ。猫缶を出してやると、まあ、まだましか、みたいな顔して食べ始めた。その様子を見ていると、絶対引っかかれるので仕事に行く準備をする。とはいっても、着替えるだけだが。身だしなみ大事。
着替えを終え、端末をポケットにしまい毛玉のところに戻るとちょうど食べ終えたようで、前足で顔をくしくし拭いていた。
「これから、仕事に行ってくる。行きたくないけど。休みたいけど。っていうか、どっかちがう世界に行って帰ってきたくないけど。留守番頼めるか?」
「にゃ~」
「……」
俺が悪かった。猫に言葉が通じるわけないんだ。いずれにしろ、連れて行くわけにはいかないので置いていくしかない。
「いい子にしてろよ…」
「にゃ~ん」
返事をしたようだったが、俺には嫌な予感しかしなかった。
気が重い。俺の事なんてほっぽいてくれればいいのに。見習いを卒業させてもらえるわけでもないし(この部分は半分自業自得ではあるけども)、規律規律うるさいし、説教するだけでてめー普段何してんだよって思うし、少しは現場出ろよっても思う上司に、朝っぱらから顔を突き合せなきゃならんと思うといやになる。
俺の上司は、大天使になったばかりで規律順守ばかりのやかましいやつ。とはいっても、天使は基本的に規律順守なやつばかり。俺が異端すぎるんだと思う。俺にぶつくさ注意するくらいなら、自分でやるか使いやすいやつ使ってりゃいいのにと思い、実際に言っちゃったこともある。何なら、「俺のことは『消滅』させてください。」って。そしたら、上層部の指示でそれはできない、と言われた。理由を聞いても上層部の指示としか答えないから、それ以上は問い詰めなかったが、腑に落ちん。俺は、そんな特殊な存在なわけがない。いや、違う意味で特殊かもしれんけども。
上司の部屋の前に着いた。入りたくないが、後々面倒になるので仕方なく、3度ノックする。中から、俺よりも若いが固い声で入れと聞こえてきたので、ドアノブを回した。
「オハヨーゴザイマース。」
「…なんだその挨拶は。やる気あるのか?」
「まあ、ないですよね。あったら、昨日みたいなことにならないと思います。」
我ながら性格悪いなぁ。上司の眉間のしわがさらに増えた気がする。そういえば、毛玉に構いすぎて報告書を出すのも忘れていた。
「君と同行していたメンバーから、報告は受けている。途中で職務放棄し、帰宅したそうだな。」
「壊れかけの世界なんてほっといていいんじゃないでしょうか?どうせ滅ぶだけですもん。」
「滅び方によっては、他の世界に影響が出る可能性もある。そのためにも、自然消滅させるか我々が手を下して消滅させるべきかを判断せねばならない。それは君もよく理解しているはずだ。」
何が我々だよ。手を下すのは、『消去担当』であってうちの部署じゃない。まあ、上司は『天使が』って意味で言ったんだろうが胸糞悪い。俺まで巻き込むなし。
もちろん、自然消滅の際に生まれるエネルギーによってほかの世界に影響が出ることがあるのは、アホな俺でも知っているさ。そのエネルギーがでかくなりそうな場合は、『消去担当』が動き、最小限の影響でとどめる。その判断材料を集めるのが、俺たちの部署の仕事ではある。ではあるが、正直、てめーでやれとしか俺には思えない。ただただ、生まれた時から他人に作られた道を歩き『消滅』させられるだけの人生に何の意味がある?なんで俺は天使に生まれたのか。ほかの天使たちは、そんなことは考えたことはないらしい。むしろ、その中で他人より成果を上げることが大事なそうだ。まあ、それもわかる。わかるけど、そうじゃないんだ。なんで、他の世界を管理しなきゃならない?てめーの都合に合わせて、世界を消す?都合のいい世界を作る?本当にこの世界―サヴィースは必要なのか?そもそも、こんなの誰が作ったんだよって話で。管理されるだけの世界に何の意味がある?
そんなことを考えながら、上司の長くて俺にとってくだらない話を聞き流し、上司の部屋を後にした。言い渡されたのは、報告書と始末書の提出。しかも、今日中。書類作成は、俺が一番嫌いな仕事だ。文章作るのがまず得意ではない。長い廊下を歩きながら、でかいため息とともに独り言ちらざるおえなかった。
「やってらんねぇなぁ…」
「なら、ぶっ壊せばいいじゃない」
「それができたら、こんなに…って、え?誰?」
廊下に一人だと思っていたから、独り言に返事が来るとは思っていなかった。けど、周りを見渡せど、誰もいない。いや、いないはずだった。
俺の進行方向に伸びる影が、俺の意思とは関係なく蠢いた。そこには、部屋に置いてきたはずの毛玉がいた。
「ぶっ壊したいなら、手を貸すよ?」
気味が悪いほどに楽しそうに嗤う。そいつの口がきれいな弧を描いている。気味悪いのは、それだけじゃない。ペットショップ店主からは、猫はにゃあと鳴く。喋らない。と、聞いていた。けど、目の前にいる猫という名の毛玉は、喋ったのだ。
「随分、間抜けな顔。あぁ、私が喋ったのがそんなに意外?」
「…あ、あぁ。喋らないと聞いていたから。」
「猫は喋るよ。」
「まじか!!」
「嘘よ。本当に猫のこと知らないのね。」
「……」
本当になんなんだよこいつ。いや、なんで俺も、こんな奴の言ったことを信じようとしたし。
いや、そんなことは今は置いておこう。さっき、こいつは何て言った?ぶっ壊す?
「ぶっ壊すってどういうことだよ。」
「そのままよ、こんな世界、気に入らないなら壊しましょう?あぁ、でも、すぐには無理よ?この世界は強すぎるから。手始めに、私のいた世界を壊しましょうか?」
つらつらととんでもないこと喋ってる。ていうか、こいつがとんでもないわ。
「空間転移は、上司の許可がいるぞ。まず、だいたい猫に何ができるんだよ。」
「私が喋っている時点で、只の猫じゃないってことは理解してもらえると思っていたのだけど?猫の姿が気に入らないの?なら、この姿ならどう?」
そういうと、毛玉が蠢き大きくなった。それがだんだん人の形をとっていった。
「これならもう、文句ないでしょう?」
「どう見てもアウト」
俺の目の前の毛玉は、幼女に進化していた。瞳は、猫の時のままのオッドアイ。耳には、赤いピアスをつけ、黒のロングヘアを赤いリボンでツインテールにして、白のフリルやリボンがふんだんについた黒のワンピースドレス。腰の部分は、大きなリボンが巻かれ後ろで大きなリボン結びをしている。これのどこで、納得しろと。いや、確かに猫の姿から人間の姿になるって時点で、やっぱりとんでもないんだけど。
「どう見てもアウトって、どういうことよ?!」
「俺は、ロリコンじゃない!」
「そこかよ…」
意外と、口が悪くていらっしゃる。そして、猫のころからやっていた安定のゴミでも見るかのような軽蔑の眼差し。
しかし、本当に見た目はかわいらしい。口を開かなければ、いいところのお嬢様のようだ。少し気になるのは、肌がかなり白いことだろうか。こんな子が俺の隣にいたら、俺は誘拐犯にしか見えないだろう。
「私の力を見せれば納得できるかしら?なら、ここはまずいわよね。どこか、ぶっ放しても問題ないような世界に連れて行ってくれない?」
「何言ってんだこいつ。…だから、許可がないと」
「いつまで、自分で納得のいっていない規則に従うの?規律順守が嫌いなのでしょう?だったら、破りなさいよ。それができないなら、うだうだ文句言うんじゃないわよ。」
見た目10歳くらいの幼女にそれを言われるのは、かなりつらいです。でも、そうなんだよな。文句しか言わず、消してくれと他人に何とかしてもらおうとしていたクズは俺だ。どうにもならないなら、自分から動くしかないじゃないか。けど、
「何?怖いの?いい大人にもなって?」
「すいません、怖くないです。」
むしろ、お前が怖いわ。あと、語りを遮るっているメタいことをしないでほしい。
「あーもー、わかったよ!どうなっても知らないからな?!」
俺が怒鳴るように言うと、そいつは猫の時と同じように心底楽しそうに嗤った。