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へぇ、あれが……


援軍が来た。

なんども防御魔法陣を展開しているのに魔力が切れないのは流石におかしいので助かる。

援軍はすぐに一緒に来たロッタスさんの指示で魔法部隊と近接部隊に別れた。これで火力も安定感も増す。あとは魔法を全員の最大火力で食らわせればいい。


「グオオッ!」

「耐えろ!今耐えれば勝てるぞ!耐えれなければ死ぬと思え!」


地竜は危険を感じたのか更に荒ぶる。それでもなんとか近接部隊は持ちこたえた。

魔法部隊は遅いながらも魔法陣を展開して魔法の準備をする。


「ゴアァァァァァ!」


またブレスだ。展開中の魔法陣をキャンセルして僕は腕を振る。魔法陣は微動だにせず、今度も完璧に防ぐ。うん、地竜程度なら楽勝だ。


「準備できました!」

「よし!近接部隊、引け!」

「魔法部隊、放てぇ!」


騎士団が避けたところに魔法が飛んで行く。

これなら倒し切れるはずだ。


「グガァァァァァ!」


轟音とともに地竜が倒れ、あたりは静寂に包まれた。


「よっしゃァァ!」

「やったぜ!」


クラスメイト達は地竜の討伐を確信するやいなや歓声が上げた。


「流石ですぞ、勇者様方!これで一流の戦士ですぞ!」

「おう!いい戦いっぷりだったぜ!」


ロッタスさんとゴードンさんも口々に褒めてくれた。でも疑問が残る。


「それにしてもなぜこんなところに地竜がいるんですかのう?地竜はもっと聖剣の近くにいるはずじゃのに。」

「確かになぁ…地竜は最奥の魔物だよな。」

「奥まで行けば何かわかるはずですじゃ。早速、向かいますぞ!」


今の戦闘で疲れた生徒達から悲鳴が上がった、

僕も疲れたような顔をしてみる。


「とは言っても……一旦休憩だな!」


やさしいゴードンさん。



僕たちは再び最奥を目指して進んだ。

途中から魔物も強くなってきたが問題なかった。地竜との戦いを経て勇者たちはパワーアップしていた。


「なんだここは…!」

「崖だ…」


突然氷の道が途切れ、崖が現れた。崖の先には丸い台地が見える。その上には大きな生物の頭蓋があった。


「この崖を渡った先に聖剣がありますじゃ。そこのつり橋を渡って行きますぞ。」

「え、まじ?あれ渡るの?」


確かにそう言いたくなる程心もとない吊橋が、台地と台地を繋げている。


「ほら!行ってこい!」

「ギャー!」


一吾が真っ先に突き飛ばされる。僕たちも突き飛ばされる前に吊橋の渡った。


そこはこれまでより数段禍々しい気配が増していた。気の弱い生徒はフラフラしている。


「あれか?水月の刀」

「そうだよ」


僕の聖剣は竜の頭蓋に刺さっていた。剣というか形は反りの浅い刀だ。刀の能力で、竜の頭蓋はすでに氷と化している。


「これが千年前の勇者様の聖剣ですじゃ。聖剣なのに禍々しいのは邪竜の王を斬ったからですな。ちょうど今刺さっているのが邪竜の王の頭蓋ですじゃ。」


ごめんロッタスさん…その刀元から禍々しい感じでした。


「へぇーデカイんだな、邪竜の王様は。」

「ちょーデカイんだな、邪竜の王様は。」


そうなんだよ、ちょー強かったんだよ。


「なあ!これ抜けたら選ばれし勇者!とかないのか?」

「俺も選ばれてぇー!」


お調子者井上とただの変態高橋がそれっぽいことを言う。


「それは危険ですぞ。何年か前に兵士が抜いたところ、その兵士は狂ったように人を斬り始めたのですじゃ。騎士団が抑えてなんとか剣を戻しましたがの。きっと勇者様の呪いですじゃ」

「えー、そうか…」


僕の呪いじゃない。聖剣の方です。


「俺は?固有魔法に『聖剣召喚』というのがあるんだけど」


と一条。


「それは以前ご説明した通り、新しく聖剣を呼び出すものですじゃ。きっと一条殿には一条殿の聖剣が召喚できるはずですじゃ。」

「やっぱりダメか……」


「聖剣召喚」はランダムに聖剣を呼び出すものだ。聖剣はそれぞれ固有魔法を持っていて、強力なものが多い。確か僕のは「最適解」「氷雪」「修羅」を持っていた。三つも固有魔法を持っているのは当たりと言える。



「よし!帰るぞ、お前ら!」


ゴードンさんがそう言った。


「お前らも今回のダンジョン攻略で実戦にも慣れたし、そこそこ強くなったから次の訓練だ!」

「「はい!」」



「いいのか?水月、あの聖剣回収しなくて。」

「したいんだけどね…厳しくない?」


流石にアレがなくなったら怪しいだろう。


「それもそうだな」


少し名残惜しいが、僕たちの班も吊橋へと向かった。

するとーー


「帰さねぇよ!」

「キヒヒヒヒ!逃さないぜぇ?」


突然二つの影が落ちてきて、吊橋を落とした。煙が立つ。


「何者だ、お前ら!」


ゴードンさんが崖の向こうから叫ぶ。

他のクラスメイトも不安げにこちらを見ている。


煙が晴れて見えたのは二つの影だ。一つは筋骨隆々、二つ目はひょろりとした男だ。背中に見える羽が異様だ。


「俺は12魔将の一人、剛腕のグランだ!」

「同じく、鉤爪のキリルだ。」

「魔族がなぜこんなところにいる⁉︎」


魔族?へぇ、あれがね…


「聖剣の奪取とお前ら勇者を全滅させる為だ!」


あーあ、ついに禍々しすぎて魔族に狙われたか、あの聖剣。



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