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恥ずかしさで死にそう


謁見の日になった。

僕は一条、大山とともに礼服に着替え、簡単な礼儀作法を教わった。大体元の世界と同じなので二人とも特に問題はなさそうだ。もちろん、僕はすでに覚えている。問題があるとすれば、


「一条ガチガチだね。」


大山はともかく、一条は緊張しきっていた。


「もっと肩の力を抜け光輝」

「ががが頑張る!」


だめだこりゃ。教えてくれたロッタスさんも苦笑して

いる。


「いよいよですぞお三方。」


しばらく一条の緊張をほぐした後、ロッタスさんの言葉で謁見の間に案内される。


「勇者様三名、ご到着!」


ギィィ


重厚な扉がひとりでに開き、僕達は中に進んだ。赤いカーペットが玉座までまっすぐにひかれている。その両側には貴族たちが立ち並んでいた。真面目そうな顔をしているが、内心は僕達勇者のことが気になるようで、横目でチラチラと見てくる。

目を合わせては具合が悪いので僕は玉座に目を移し……え?僕は玉座の横にある四つ像がに目を止めた。その中の一つに実物より数倍イケメンな僕の像がある。あ、帰りたくなってきた。

よく見れば他の三つも僕のかつての仲間のものだ。全員美男美女にクラスチェンジしている。一応偉人ということになっているらしい。……恥ずかしいな。


玉座の前に着き、僕達は跪いた。

王は立派な髭を生やした老人で、まだまだ正気に満ちている。どこかで見たような顔だ。四つの像の中の一人の子孫なので当然なんだけど。


「勇者一条光輝以下二名、参上いたしました。」


一条の言葉に対し、王が口を開いた。王はなかなかの覇気を放っていて、一条と大山は若干息苦しそうにしている。


「大義である。余はファーナシス国王、アインツだ。」

「ははーっ」

「いきなりだが、決断は?」

「はっ、勇者二十名、魔王討伐に力を貸すことに決めました。」

「協力感謝する。今後ともよろしく頼む。」

「「ははっ」」


謁見は何事もなくあっさり終わった。


「次は会食ですじゃ。王様もおいでになりますぞ。」

「おお、会食かー。美味しいかな?」


王様も食べるんだからそりゃもうすごく美味しいんだろう。


「これまでの食事もなかなか美味しかったからな。きっと美味しいだろう。」

「二人共呑気だな。俺なんかさっきの緊張がまだ残ってるぞ。」


そんなこと言ったって美味しいものと聞いたら楽しみでしょうがない。そんなことを思っていると、いい匂いが漂ってきた。

お、ここか会場は


「「「おお…」」」


僕達は豪華な料理に思わずため息を漏らした。

僕の目にはキラキラ光って見える。天国だ!


「食べに行こう!さあ早く!」

「まあお待ちなされ、これから王から話がありますので。」

「えっそうなの?」


まあ、仕方ない。それくらいは聞こう。


「今日は無礼講である!存分に楽しむがよい!だがその前に恒例の勇者様の英雄譚でもしようではないか!」

「ははっ!」


地獄か、ここは……



「その時!勇者様は邪竜の王を見事、討ち果たしたのだ!」

「おお…!」

「その後勇者様はこの国の初代国王様とともに国をつくり、そして今のファーナシアがあるのだ!」


パチパチパチパチッ!


盛大な拍手が鳴る、会場は大盛り上がりだ、一条も大山も目を輝かせている。僕の目は死んでいる。

きっと一条達はクラスのみんなのところへ戻ってからこの話をするんだろう。考えただけで血を吐きそうになる。きっと一吾なんかニヤニヤして僕を見ながら話を聞くに違いない。


「すごいな!剛!憧れるな!」

「そうだな俺たちならきっとそんな風になれる。」

「がんばろうな!」


料理が美味しいナ。僕は無心で料理を貪った。このあとの記憶はあまりない。



会食が終わり、僕達三人は例の会議室へ来ていた。クラスメイトに謁見の様子と今後の予定を話すためだ。


「と、いうわけで本格的に修行する為、明日からダンジョン攻略に入る事になった。初の実戦になるので無理はしないように!」


食事の時、なにやら話し合いがあったらしく、僕達はダンジョンに行くことになっていた。勿論、僕に記憶はない。


「「はーい」」

「うん、ところで今日の会食で千年前の勇者のことを聞いたんだけど……」

「グハッ」


血吐きそうだ。口の中鉄味だし。もう殺してくれ。


「お、おい!大丈夫か水月!」

「何やってんの成瀬…」


白沢が呆れたように見てくる。他のクラスメイトも不審そうにしている。


「な、なんでもない。ちょっと眠いから先に寝るヨ」

「なんでちょっと棒読みなわけ?」

「みんなオヤスミー」


相当怪しいがなんとかあの場から逃げだせた。でもどうせ一吾からは明日からかわれるだろう。僕はそんなことを考えながら意識を閉じた……てない。

扉をノックする音で眠気が覚めた。


「はい?」

「成瀬、話があるんだけど。」


白沢が扉の外に立っていた。


「僕に?白沢が?」

「立ってるの疲れるんだけど、中入れてくれる?」

「えーやだなー。あっ、勝手に入らないでよ」

「どうせなんもないでしょ。」


白沢は躊躇なく踏み込んできた。まあ特になんもないけど。


「まあね。…で、話っていうのは?」

「気になったんだけどさ、千年前の勇者って成瀬のこと?」

「ブッ」


ちょっとなに言ってるかわかんない。僕は口から赤い液体を吹いてしまった。


「え、なに?どうしたの!?」

「ああ、口からトマトジュースが」


鉄の味しかしない。というかトマトジュースなんてこの世界きてから飲んでない。


「そ、そのジョークどこで聞いたの?」

「佐藤に聞いたんだけど。」


一吾くん裏切った?これは後で半殺し決定だな。


「まさか、冗談だよ。」

「そう、じゃああたしは帰る。」

「うん、おやすみ。」


白沢は手をヒラヒラさせて僕のおやすみに応えると帰っていった。我ながら怪しい。うまく誤魔化せたんだろうか。そもそもなぜ怪しむかが不明なんだけども。ともかく明日から実戦だし、実力がバレないよう気をつけなきゃな。






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