本戦まであと二日
文字少ないですが…
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重大なミスに気がつきました。
三日後→二日後
変更です。
スイゲツとしての予選通過が決定した次の日、僕は一吾と町の外れを歩いていた。
「で、予選を通過した中に閃姫っていうのがいるんだけど、ノーブルの極級冒険者なんだって」
「そりゃすごいな。でもなんでそれがあそこに行く理由になるんだ?」
僕達は今、ある鍛冶屋に向かっている。そこは店主が頑固なことで有名で、滅多に刃物を打たないらしい。
しかし、一度刃物を打てば業物が生まれると言われている。
「だって閃姫は剣を使うんだよ?斬り合ってみたいじゃないか」
本戦はトーナメント制なので当たるかどうかわからないけど
「紅雪じゃダメなのか?」
「呼んだ瞬間バレるだろ。あの冷気と妖気」
「まあ、確かに」
一吾は紅雪を思い出しているのか、遠い目をする。
「でもここじゃなくてもいいだろ」
「業物じゃないと閃姫の細剣とやりあえないと思う」
フェイスの愛剣はかなりの業物だ。予選の時、打ち合っただけで相手の剣が切れているのを見た。
「うーん」
一吾は渋っているようだが、もう遅い。僕達はその鍛冶屋、紅蓮亭に着いた。扉を開けて中に入る。誰もいない。取り敢えず僕は壁にかかっている武器を眺めていることにした。店主はその内でてくるだろう。
「お、これはいい」
目についたのは一振りの刀だ。刃文が綺麗に出ていて美しい。
「おい水月、勝手に見ていいのかよ」
「店だからいいんじゃない?」
しばらくそれを眺めていると、後ろから声が掛けられた。
「おめぇさん、中々目の付け所がいいな」
振り向くと、そのにはいかにも頑固そうな老人がいた。
「ここの店主さんですか?」
「そうだ。で、何しに来た?」
鋭い目でこちらをみながら質問してくる。
「刀を打ってもらいにきました」
「ほう」
僕の答えを聞くと、一層目を鋭くして僕を見てきた。
「何に使うんだ」
「斬る為に、です」
「フンッ、おまえさん今使ってる刀があるだろ?」
なんでわかったんだ?職人の勘は恐ろしい。
「ええ、まあ」
「見せてみろ」
え?……まあ仕方ない。この人、口硬そうだし。見せなかったら刀打ってくれなそうだし。
「紅雪」
「ぬおっなんだ?」
突然現れた紅雪に、店主は驚いた。
「どうぞ」
「お、おお」
『最適解』と『氷雪』が勝手に発動しないよう、抑え込みながら渡す。残念ながら妖気は勝手に出ている。
ー
「……おめぇさん、何人斬った?」
刀を持って暫く目を瞑った店主は、目を開けると僕にそう聞いてきた。
「目の前に立ちはだかった数だけ」
「末恐ろしいガキだ。この刀、血が染み付いてやがる」
スバリと当たる言葉に、僕は何も言えない。
「だが曲がったことはしてねぇ……のか?」
「もちろん」
それどころか人類救ったんですけど。貴族のごたごたに巻き込まれて暗殺しまくったのは秘密だ。
「……いいだろう。俺が打ってやるよ。」
「本当ですか!?」
「ああ、素材は取ってきてもらうぞ?」
「わかりました」
「なら、こいつの鱗を頼む」
そう言って店主が見せてきたのは黒い竜の絵だ。
「黒鋼竜ってんだが、いい素材になるんだ」
「ほほう」
「明日までに持ってこい」
「了解です。では」
「おう、頼んだぞ」
僕は空気になっていた一吾を連れ、紅蓮亭を出た。