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Dブロック


僕は片手を上げて声援に応え、闘技場を後にした。


「おめでとうございます。トーナメントの発表と開会式が三日後にありますのでお越しください」

「はい、ありがとうございます。」


闘技場を出たところで運営に案内の紙をもらい、僕はDブロックの試合を見に観客席へ戻った。


「ただいま、エヴァン。僕も勝ったよ」

「ああ、おめでとうスイゲツ」


僕もエヴァンの隣に腰を下ろす。


「スイゲツか?中々の腕前だな」


突然隣から声がかかり、そちらを見る。


「閃姫!?」


そこにはAブロックの勝者、フェイスがいた。


「閃姫なんてよそよそしいな。フェイスでいいぞ?年も同じくらいだろう。」


エヴァン君?知ってた?隣にいたの。 駄目だ、びっくり!みたいな顔してる。


「え、ああ、フェイス、よろしく。僕はスイゲツ」

「うむ、よろしく」

「ぼ、僕はエヴァン!よろしく!」


なんかテンパってる。


「フェイスはなんでここに?」

「いや、大したことじゃない。試合を見ながら二人と話してみたかったからさ」

「な、なにかな?」

「……」


エヴァン、クールなイケメンだったのに……」


『Dブロックの試合を開始します。では……はじめッ!』


Dブロックの試合が始まった。


「エヴァン、誰が勝つと思う?」

「うーん、僕は……彼かな?」


エヴァンは大鎌を振り回している男を指差した。


「確かに」

「あれはノーブルの冒険者だな。死神トリステンだ」

「ふーん、特級?」

「そうだ」

「スイゲツ、君はどう思う?」

「あの人かな」


僕はトリステンと離れた場所で大槌を振り回している男を指差す。


「何度かファーナシスで見かけたな。特級のサーヴァだっけ?」

「フェイスは?」

「うむ、私が選んだ者が一番勝ちそうだな」


フェイスが指差したのは闘技場の端で立っているだけに見える男だ。


「あ、もう勝負あったね」


僕もそれを見てその男の勝利を確信した。あれに気づけなかったとは……気配を消すのがうまいな。


「確かに、流石フェイス!」


エヴァンがフェイスを称賛した。

周りで聞いていた観ていた観客は、なんで?とばかりにこちらを見てくる。なぜ僕らには彼の勝利がわかるのか?それは魔力だ。僕が見た所、あの男は先程から膨大な魔力を蓄えている。そろそろ大規模魔法を放つはずだ。他の選手には防げないだろう。


そう思っていた瞬間、男が魔法を放った。


凄まじい爆発が起き、結界が歪む。


「うわ、すごい」


煙が晴れ、闘技場に残っていたのは魔法を放った男ただ一人だった。魔法の威力は調整したようで、死者は出ていない。その辺も含めて見事な勝利だ。


「「「うおおおおおおおおお!」」」


歓声が沸き起こる。


『Dブロック、勝利、イグナ選手!』


ここで僕は初めてあの選手の名前を知った。


「聞いたことないな。エヴァン、知ってる?」

「いや、知らない。ファーナシスの人じゃないのかな」

「私も知らないな」

「とするとテンスタかな」

「そうだね」


テンスタというのはファーナシスから見てノーブルと反対側に位置する国だ。商業が盛んだと聞いている。



「ということで、僕は本戦に進んだ」

「おー、おめでとう」

「当たり前な気がする」


僕は家に帰り、みんなに報告をした。


「トーナメントでスイゲツと水月があたったらどうすんだ?」

「そこはほら、一吾君、スイゲツ対成瀬になったらスイゲツの方を君に頼む」


水月が適当に負ければいいだろう。


「仮面被っときゃバレねぇってか?」

「まあね、お礼は闘技場本戦までの訓練でどう?」

「お!いいな」


実は本戦まで少し間があるのだ。会場の準備などがあるそうだ。


そんなわけで明日から一吾と訓練することになった。


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