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ショック

なんとかって感じです


その日の夜、僕は部屋で考え事をしていた。疑問がいくつかあったのだ。書き出して見ると


・なぜ地竜があそこにいたのか?

・なぜ魔族達は僕達がダンジョンに行く日が分かったのか?

・沼田が突然落ちたのはなぜか?

・沼田が見つからないのは?


この四つだ。まあ一つ目はおそらく奥にいる魔族を恐れてだろうけど。


二つ目はどうだろう?事前に察知できる魔法でもあるのか、それとも王国側に内通者がいたか。僕達の中に内通者がいるというのもアリかもしれない。


三つ目もおそらく僕達の中にやった奴がいる。

おそらくだが、沼田は風属性の魔法で突き飛ばされたのだろう。

となると身体強化魔法しか使えない騎士団は論外だ。

魔法師団にしてもやる理由がない。

仮に魔族との内通者がいたとしても、この先大した脅威にならないだろう沼田をわざわざ狙わない。


となると僕達の中にいると思われる。でも沼田を殺して得する奴がいるとは思えないんだけど…む?心当たりがあるような気が。あとで一吾にも聞いてみよう。


四つめは考えるだけ無駄かもしれない。僕には見当もつかない。ここまで考えると僕は一吾の部屋に向かった。



コンコン


「はーい、って水月か、何の用だ?」

「ちょっと聞きたいことがあってね」


そう言って先ほど書いた紙を見せる。


「三つ目の疑問に心当たりがない?」

「……水月、仲間を疑えってか?」

「まるで心当たりが仲間にある様な言い方じゃないか」

「ぐ……そうだよ、柿崎が怪しいってんだろ?」

「その通り、鈴木が絡んでると僕は思うけどね。」

「珍しいな、水月は他人の惚れた腫れたに興味がないと思ってたのに」

「うん、あんまりないんだけどね。昼に気づいたんだよ、三角関係っていうの?あれ」

「ま、まあな」

「どうしようか?」

「柿崎を問い詰めてみればいいんじゃねぇのか?」

「そうしてみるか」


僕達は柿崎を問い詰めることにして、今日は別れた。



次の日、僕は療養所にいた。

怪我をしていた人も、千年前より進歩している回復魔法のおかげか、ほぼ全快と言ってもいい状態だ。腕を切り落とされた柿崎と野村も大体元どおりになっている。

近くに鈴木がいないのを見計らうと僕は余計な言葉を吐かずに尋ねた。鈴木には正直聞かれたくない話だ。


「沼田を落としたのはお前か?柿崎」

「な、なんだよ急に!」


目が泳いでいる。僕は殺気を放ちながらもう一度尋ねる。


「沼田を魔法で落としたのはお前か、と聞いているんだ。」

「……」

「その沈黙は肯定かな?」

「ちげぇんだ、なんか体が勝手に」


柿崎の話によると、沼田を疎んでいたのは本当で、あの時も正直落としてやろうとも考えたそうだ。

だが実際にやるつもりはなかったと言う。考えただけで体が勝手に動いて魔法を使っていたということだそうだ。


「意思が強すぎて無意識のうちにやったんじゃないの?」

「本当にちげぇんだよ、なんか操られている感じで……」

「成る程ね、まあそういうことにしといてあげるよ。嫉妬もほどほどにね」


これ以上問い詰めてもしょうがない。あそこまで殺気を放ったんだ。嘘はつかないだろう。気になることも出てきたしね。


「し、嫉妬ってなんだよ!」


ん?鈴木のことが好きなのは大体みんな知ってると思うんだけど……気づいてないのかな?まあいっか



「一吾、なんか柿崎が気になることを言ってたんだけど。」


僕は先ほどの会話を一吾に伝えた。


「操られてる感じ?なんだそりゃ、嘘じゃねぇの?」

「嘘じゃないと思う。僕の殺気を浴びて嘘が吐けるとは思えない。そんな人を操るような魔法あったっけ?」

「さあな。で、あったとしたらお前の考え通りクラスの中に魔族との内通者がいるってことだよな」

「そう、それを使える奴がいるならね。」

「調べてみるか、図書館の本を調べれば出てくるかもな」


図書館とは王宮を中心とした王都にある国営の施設だ。僕達は王宮に部屋を貰っているので割とすぐに行ける。


「そうだね。空いてる時間を調査にあてよう。表立っては出来ないことだからね」

「決まりだな」


僕達は今後の行動を決めた。


「なんの話してたの?」

「げ、白沢!」


げ、じゃないよ一吾、怪しさ満点じゃないか。


「げ、って何?まあ話は聞こえてたけどね…」

「あ、聞こえてたんだ。っていうかなでここに白沢が?」

「悪い?一応あたしも回復魔法使えるんだけど」


つまりクラスメイトの治療をしに来ていたということだ。


「協力しようか?」

「えっいいの?白沢はあんまり興味なさそうだけど」

「成瀬に言われたくない」

「へ?まあいいや、必要だったら頼むよ」

「りょーかい」


白沢は治療に戻っていった。


「なあ、一吾」

「なんだ?」

「僕ってそんなに他人に興味なさそうに見える?」

「気にしてんのかよ……でもそうだな、昔から興味ない顔してるな」


意外とショックであった。


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