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羨ましいな

文字数のムラが結構あってすみません。


魔族二人は今、こちら側、つまり聖剣側にいる。僕、一吾、白沢、木村、沼田は戦闘態勢に入った。


「まずはお前らだ!」


僕は二人が動き出すのをはっきりと視認すると、刀印を胸の前で結んだ。

ひときわ大きい魔法陣が二つ現れ、僕の前後で火花が散る。前からは剛腕が、後ろからは鉤爪が攻撃してきたのだ。


「なかなかやるな!」

「まだまだいくぜ!キヒヒ!」


さすがに防御魔法陣だけで二人の相手は面倒だ。


「一吾!そっちのデカイの頼んでいい?ひょろいのは僕に任せて」

「任せろ!無茶すんなよ!」


一吾達に任せて大丈夫だろうか?まあ白沢とか木村もいるしなんとかなるだろう。沼田はちょっと心配だけど。さて、僕の方はどうしようか。僕の実力を知っているのは一吾だけだし、まだ隠しておきたい。

いや、待てよ


「援護お願いします!」

「おい!ナルセ!こっちから魔法を使えばいいんだな?」

「はい、お願いします!」


この手があったな。早くも次々と飛んできた魔法が鉤爪を襲う。


「キヒヒ!おせーよ!そんなんじゃあたんねぇぞ!」


素早い動きで鉤爪が避けた。むむ、厳しいか。次の策を考え出したその時、


「沼田君ッ危ない!」


切迫した鈴木の声が聞こえた。一吾達の方を見ると、沼田が狙われていた。僕は沼田の前に防御魔法陣を展開する。


なんとか間に合ったか……それにしてもよく気付いたな、鈴木は。まさか沼田のことが?

でも確か柿崎は鈴木が好きだった気が…

ッ!それでか!最近の柿崎の態度にも頷けるな。

へぇー鈴木が、沼田をねぇ……

と、おばさん並みの下世話な推量をしてみる。


「よそ見なんて余裕だな!」

「申し訳ないが他人の色恋のことを考える程度には余裕なんだ」


僕は高速で背後に回った鉤爪をと目を合わせると殺気を放った。


「な!?なんだお前!その殺気は!」


鉤爪が咄嗟に飛び退る。

なんだ、残念。ちょうど煙で向こうから見えないから、今のうちに殺そうと思ったのに……


だが僕の余裕は寸の間に崩れさる。


「あっ」


突然沼田がよろめき、崖の下へ落ちたのだ。剛腕が何かした様子もない。


「沼田君ッ!なんでッ!」


鈴木の悲鳴が聞こえた。

僕たちの目線は沼田が落ちた崖下へ釘付けになった。暗くてよく見えない。


「それで動揺するとは、まだ青いな。」


剛腕が地面を殴った。氷に亀裂が走り、聖剣のある台地が崩れる。その上に乗っていた僕達は沼田の後を追うようにして崖を落ちた。


「キヒヒヒヒ!そっちは任せたぜ!」


そう言って鉤爪は翼を広げ、一条達の方へ飛んで行った。



僕達は氷の台地に乗ったまま着地した。聖剣も竜の骨に刺さったまま落ちたようだ。だが先に落ちた沼田は見当たらない。探したくても目の前には剛腕がいる。



「お前らは俺とここで殺し合いだ」


剛腕が白沢に殴り掛かる。白沢は反応できていない。

僕は魔法陣を展開し、それを防ぐ。


「……成瀬、ありがとう」

「僕が引き付ける!攻撃魔法はお願い!」

「わかった。紗江、佐藤、早く!」


紗江というのは木村のことだ。大体白沢にくっついていて、マジウケるんですけど〜、とか言いそうな顔をしている。まあ、いわゆるギャルというやつだ。


「ダンジョンに来ていきなりピンチとかマジウケるんですけど〜」


ほら……悠長に人物紹介している暇はなかった。


「なめるなよ?そんな魔法、屁でもないっ!」


剛腕が魔力を漲らせると、白沢達の魔法が吹き飛ばされる。


「シャイン・レイン!」


それを追う剛腕に、一吾が固有魔法を使った。


「なかなかだな!でも甘いっ!」


剛腕が反撃してくるが、それは僕が完全に防いでいだ。白沢も固有魔法を使った。

氷の破片を浮かばせて、剛腕に向けて飛ばす。


「念力」

「効かん、効かんぞ!」


その後も僕達は攻撃し続けるが、効いている様子はない。


「隙だらけだ!」


剛腕の攻撃が白沢に向く。このままでは直撃してしまう。

しょうがないな。

僕は指を銃の形にすると、剛腕に向けた。


シュッ


風を切る音がして剛腕の手が弾かれた。


「ぐっ、なんだ貴様!」


僕は手を緩めずに撃ち続ける。これが魔銃だ。魔法陣を介さずに素早く発動出来る便利な魔法で、僕が開発した。魔力を螺旋状に循環させて発射するだけなんだけど、今は存在しないらしい。


「え?成瀬、何してんの…」

「後で話す。白沢も手伝ってよ」


あまり使いたくなかった…でもあのままでは白沢が死んでたかも知れない。攻撃魔法の構築中で、防御魔法陣が間に合わなかった。

不安を断ち切るように魔銃の威力を上げる。

剛腕の手首から先が弾け飛んだ。


「くっ貴様ァァァァ!」


剛腕は一層魔力を漲らせるとそのまま僕に向かって来た。

剛腕の拳骨を素手で受け止める。カウンターで透打を使う。透打とはインパクトの瞬間、相手の内部に衝撃を与えるよう、魔力を炸裂させる技術だ。掌底打ちと特に相性が良い。


「グハッ」


剛腕が血を吐く。


「くっまだまだだ!俺にはコレがある!」


そう言って剛腕が取り出したのは液体の入った瓶だ。

見るからに毒々しい色をしている。


「フンッ」


剛腕が力むと、手が新しく生えた。透打のダメージも回復しているようだ。

瓶は持ったままだ。って瓶関係ないのかよ、その回復。


「これしきの傷、俺の再生能力があれば治る!そしてこれは魔王様から頂いた秘薬だ。」


素の再生力でそれか…

少し驚いていると、秘薬とやらを飲んでしまった。


「うおおお!力が湧いてくる!」


あれ?秘薬、効いてる?外見は何も変わってないんだけど…

殴って来たので防御魔法陣を展開する。


「な⁉︎ぐふっ」


魔法陣が砕かれ、僕は吹っ飛ばされた。

何が起きた?


「きゃっ」

「グアァ!」

「ぐっ…」


一吾達も僕のところへ飛ばされて来る。ひとまず壁にぶつかる前にキャッチした。


「サンキュッ!」

「大丈夫?」

「お前こそ、大丈夫か?」

「あれくらいなら余裕」

「相変わらずハイスペックだな」


ともかく、あの薬はなんなんだ?


「魔法が効かなければなんということはない!この秘薬は俺への魔法を無効化する!」


なんだと?羨ましいな、その薬。

あいつを殺して奪ってしまおう。と追い剥ぎ的なことを考えた。



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