第一話 はじまり
この小説には、現実に存在する地名などが登場しますが、現実のものとは全く関係してはいません。
少し離れた戦場から、人の声らしきものが聞こえる。彼の地から、離れているこの「愛媛共和国軍駐屯所」に、今日付けで配属された見習騎士の僕は、戦場を目の前にしても、夏から始まったこの「四国戦争」という事実を実感することができていなかった。
この戦争はまさに、オンラインゲームが生んだ戦争だった。数多くのオンラインゲームが配信される中、四国限定という異色の形をとった「四国戦記〜痛みの始まり〜」というものが、配信されることとなった。愛媛県民は、愛媛軍を、高知県民は高知軍を、そして徳島・香川県民は、徳島・香川連合軍として会員登録をし、四国をどの県が統一するのか?という内容のゲームであった。しかし、四国限定のオンラインゲームといっても、不正アクセスや他県の県民の参加、高知県民が愛媛県民としてプレイするなどのスパイ行為が存在しないわけではなかった。そして、それらの行為が増加するにしたがい、ゲームのリアリティーも損なわれていった。
現実に存在する場所を舞台にしていたことで、リアリティーを求めるユーザーが多かったため、次第にリアリティーが失われていくことでユーザーは減り、ゲームの運営自体が終わるのではないだろうかと囁き始められたある日、全チャ(ゲームをしているすべての人に話しかけることのできるチャット)で、悪魔の一声が放たれた。
「現実の世界で、四国戦争をしませんか?」
と。
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