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グレース・デュラメルの談話室  作者: 葛霧
コレット・エモネ
1/14

コレット・エモネの回想録 前編

転生電波系ヒロインの生い立ちの話になります。

※未成年への暴力表現があります。

王子とヒロインが特に何も考えていない馬鹿でないといや!という方やシリアス?なら断る!という方にはおすすめしかねます。

コレットは困っていた。

目の前で明らかに真っ当な生活をしていない自分の倍以上のクマのような体をした男たちに自分と同じように体を拘束されている少年が喧嘩を売っているからだ。

彼がきゃんきゃんと騒ぐたびに男たちのうちのいずれかが彼と自分を黙らせるために殴るのだ。自分まで殴られるのは堪ったものではない。だが抗議しようにも口はこれまた小汚い布で塞がれているのでそれも叶わない。

コレットは男たちのうちでは一番小さな男が椅子から立ち上がるのを見て歯を食いしばった。




****************




コレット・エモネは転生者だ。

コレットが「コレット・エモネ」という人間だと認識したのはコレットが7歳の誕生日を迎えた日であった。


それまでコレットは自分がこの世界の人間ではないとおぼろげに理解していた。とはいえ、生まれも育ちもしっかりエモネ家で記録されている以上、この家の娘であるということは間違いない。しかし、コレットはこの世界にない不思議な道具や言葉を知っていたし、それを兄や姉に話したが首をかしげて何かの物語に影響でもされたかといった様子を見て自分の常識とこの世界の常識が異なることが分かった。

だが、まだその時点でコレットは「なんで知らないのか理解できない」という具合で、自分の言うことを理解できない他者ばかりであることを「ここは夢の世界」ということで納得させてしまっていた。

コレットの兄姉や両親は現実を見るように言うのだが、コレットは全く聞き入れることをしなかった。「夢の世界」の家族が何を言ったところで所詮夢なのだから、一々聞き入れる必要などないと思ったから。両親も強く否定するとコレットが「そんなこと言うとかモラハラだしDVだ!」などとわけのわからないことを言いながら泣き喚いて話にならないので、いい加減諦めてしまったということもある。

跡継ぎはまともだし長女は常識的で嫁ぎ先でもちゃんとやっていけるだけの教養はあることから、コレットは好きにすれば良いと投げやりな対応になってしまっていた。

見た目は凛々しい顔立ちの姉とは異なり可愛らしく愛嬌のあるもので、よくわからないことを時折発する以外は比較的まともであるので気にしなかったというよりも深く接する時間もなかったということもあるのだろう。



コレットが7歳を迎えて屋敷の者でささやかなお祝いをすることになっていた。

そのための準備で屋敷から出されたコレットは勝手知ったる街だということで、使用人から勝手に離れてしまった。夢の世界なのに自分の好きなように動けないということはコレットにとってストレスでしかなかった。今までもこっそり屋敷を抜け出して街の子供たちと走り回っていたからどこに何があるのかは知っているのだ。

今日は花屋のリリーと遊ぼうと思い立ち、コレットは路地を抜けた先にある花屋のある大通りを目指して駆けだした。


いつもであれば、コレットの傍にコレット以上に街を知り抜いている兄貴分の子が危ない場所に近寄ることのないよう誘導していた。だからコレットは知らなかったのだ。丁度この路地裏はあまり素性のよろしくない男たちが集う酒場と面していることを。

そして、ギルドに貼り出された周辺に出没していると警告が出され、指名手配されている男たちは子供をターゲットにした人身売買を専門とした集団であることを。






コレットは突然後頭部に強い衝撃を受けて倒れたところを複数の男たちによって拘束された。そこからいくらもしない古く汚い家の中に連れ込まれたのだ。

荷物を放り投げるようにコレットを外鍵しかついていない部屋へ投げ入れた男はおとなしくしているように告げて、ついでとばかりにコレットのほほを殴り、しっかり鍵を閉めて出て行ってしまった。


頬を殴られた瞬間に目がチカチカと光り、気を失いそうになった瞬間、この世界は自分がいた世界ではなく、自分はこの世界で生きていることをようやく理解した。自分は「コレット・エモネ」というまだ幼いなんの力もない少女であると。


今まで夢だと思っていた世界が、これは現実だと薄汚い男に殴られた衝撃で冷静になれたのは皮肉なことだった。それまでコレットは一度たりとも暴力とは無縁の世界で生きていたのだから、突如として身を襲った痛みは今までのぬるま湯のような夢から覚める理由として十分だった。このまま自分は売られて二度と家族と会えないのだろうかと思うと、たいして愛着もなかったはずなのにどうしても泣けて仕方がなかった。


「おい、お前。だいじょうぶか?」


ぐすぐすと膝に顔を押し付けるようにして泣いているコレットの肩をぐいぐいと揺らされた。おそらく同じぐらいの年の子どもの声におずおずと顔を上げると、そこに天使がいた。

天使はふわふわの少し癖のある金髪でパッチリとした二重は宝石のような青い瞳をこれでもかと主張していた。睫毛まで自分よりもふさふさで長くて、きっとドレスを着せたら自分なんて目じゃないくらいの美少女になるんじゃないかという容姿だった。コレットもこれは人身売買をするような人間に目をつけられても仕方ない思うぐらいの天使っぷりだった。そうでないその手の趣味の人に浚われなかったことが信じられないぐらいだ。

そんなずば抜けた容姿を持つ天使だが、顔や体中擦り傷や青あざだらけで服もボロボロにされているのが、コレットは場違いとはわかりつつもひどく残念に思えた。


「ひどいやつらだな。お前みたいなちっちゃいやつまでなぐるなんて。安心しろ、ぼくがここにいるんだからきっとたすかる。お前、運がいいな!」


天使はそう言ってにっこり笑った。

なんだかとても偉そうだが、そのずば抜けた容姿とやたらと高そうな服を見る限りいいところのお坊ちゃんなのかもしれない。これだけの美少年なのだから、親も気が気でないだろう。

バシバシと自分を元気づけようとしているのか叩かれるのは若干イラッとするが、悪い子ではないのだろう。天使の方がよほどボロボロなのに自分のことを気にかけてくれるのだから。


「そういえば、お前、なんていうんだ?僕はセルジュだ」

「あの……コレット。コレット・エモネ」

「コレットだな。がんばっておぼえておく。僕のことはセルと呼んでもいいぞ」


そこまでややこしい名前ではないのだが頑張らないと覚えてもらえないのだろうか。

天使だから些細なことは覚えない性質なのかもしれない。


「うん、わかった。セルって呼ぶね」


コレットは笑って見せようとしたが殴られた頬が痛くて変な顔になってしまった。

そんなコレットの顔を見てセルジュは無邪気に笑った。

やっぱり天使は笑っている方がずっと綺麗でいいなと思った。


そう思った時、コレットの頭は鈍器で殴られたような痛みが走った。

ぐっと閉じた瞼の裏にぐるぐるとカラフルな絵が走る。普段見ている絵画とは全く違ったやたら目が大きくて平面的な絵だ。時々絵の上に四角い文字を囲んだ図が出てきて話が進んでいく。徐々にチカチカと男に殴られた時と同じような光が頭を白くしていき、痛みが頭を押し付けるようでコレットは堪らず絶叫した。

そして最後に出てきた絵が大人びた自分とセルジュが抱き合っている姿を見てコレットは意識を失った。



―――これはゲームの世界なんだ。



急に叫び倒れた自分を心配するセルジュの声と男の怒鳴る声を遠くで聞きながらコレットは冷たく硬い床に倒れた。






*******






しばらくしてコレットが目を覚ますとなんとなく息苦しさを感じて、口も手に手を伸ばそうとしたところで拘束されていることを思い出した。

口をあぐあぐと動かした感じだと猿ぐつわのように布を噛まされているようだった。

変な臭いがするから清潔とは言えないようで、前世では世界有数の清潔さを誇る国であったコレットは不快感を感じずにはいられなかった。かといって自分で取り外すこともできないのだが。


少し身じろぎすると、床を擦るような音がした。


「コレット、だいじょうぶか?」


声のする方へ何とか顔を向けると心配そうなセルジュが足首を一括りにされた状態で転がされていた。手は恐らく後ろで縛られているのだろう。

自分が急に叫んだせいでセルジュまでこんな目に合うなんてと、どうしようもなくて申し訳なくて仕方なかった。あの記憶が確かならセルジュはこの国の第二王子だ。本物の王子様だ。納得の美しさだ。ゲームでもとても美しいというような描写がしょっちゅう出てたし。

何とかもごもご口と膝を使って布の位置をずらした。空気がまずいが息がし易くなって心持ちほっとした。


「うん、だいじょうぶ。ごめんなさい、わたしが急に大きな声出したからセルまで縛られて……」

「ぼくのことは気にするな。お前がさけんだときに触れたら、とても体が熱かったし、お前、病気なんだろ?薬とかのまなくていいのか?死なないか?」

「し、死なないよ…!?」


恐らく自分の様子は尋常ではなかったのだろう。だが変な病気とか精神病とか思われるのは嫌だ。

まだ若干頭が痛むけれども、我慢できる範囲内だ。

コレットは先ほどよりマシになるように笑って見せた。やっぱり痛い。


「別に病気じゃないよ、ちょっといろいろ思い出したり怖くて思わず叫んじゃったの。ごめんなさい、もう大丈夫だから」

「そうか、ならよかった。でも、むりするなよ、女はよわいんだからぼくに守られてなきゃダメなんだ」


セルジュは自分に言い聞かせるようにコレットに言うと、鍵が締められているだろうドアを睨んだ。


「ぼくがいなくなったのに、なんであいつらすぐにぼくをみつけないんだ。ぼくがこんな目に合っているっていうのに、役立たずめ」

「セル?何か言った?」

「べつに」


ぼそぼそ呟いていたので独り言だとは思ったがコレットが一応聞くと誤魔化された。

まぁ別にいいかと、コレットは何とか体を起こしてセルジュの隣に移動した。

セルジュは別段嫌がる様子もないので、そのまま好きにすることにした。


「だいじょうぶだよ、セル。こういうときはきっと騎士様とかが助けに来るのがテンプレだから、大人しくしていればそのうちなんとかなると思うよ。確か登場時の回顧シーンで救出スチルがあったから二人とも無事なはずだもん」

「そうだな、このぼくが連れ去られたんだからひっしになって探しているはずだもんな」


よくわからない言葉は割とスルーするセルジュなので、コレットのテンプレだのスチルだのは聞き流した。とりあえずコレットが自分を気遣って元気づけようとしているのは伝わってきたので、セルジュは少し落ち込んでいたがわかりやすく元気になった。


コレットは思い出していた。先ほどいろいろ思い出したばかりで思い出すというのも何だか、とにかくセルジュルートの流れを必死になって追いかけていた。

コレットとセルジュは16歳の時に学園で再開するはず。その時にセルジュの方からコレットに声をかけるのだ。「昔、誘拐された時にいた少女か?」と。その時にわずかな時間、セルジュとコレットが幼い姿で今まさに救出されるところです!というようなスチルがあったのだ。

ここまでセルジュはボロボロではなかった気がするが、細かいところはあまり覚えていないし、二次元と三次元では色々違うこともあるだろうからこんなものなのだろう。


「うん、きっと大丈夫だよ。セルが一緒だから、私も怖くないもの」


コレットはそう言って笑った。

やっぱり殴られた頬が赤くはれ上がっていて可愛く笑えなかったけれど、セルジュが返してくれた笑顔がとても天使だったので十分だった。





*******





そのまま天使の笑顔で大人しくしてくれればよかったに。


コレットがそう思わずにはいられなかった。どこでスイッチが入ったのか、その後大人しく待っていようと言ったのにセルジュは何度も大声をだし、ここから出すように男たちに命令したのだ。そんなことを聞くはずもないのはわかりきっているはずなのに、何度殴られても蹴られてもセルジュはやめなかった。


コレットはセルジュを蹴り飛ばした男がこちらへ体を向けたので体を必死に丸めた。予想通り、何のためらいもなく男はコレットを側面から転がすように蹴った。

コレットは蹴られた勢いのままセルジュの上に転がった。


「お前ら大人しくしてろっつってんだろうが!いい加減学習しろ、何度やっても出さねぇよ」


そういいながらドアを蹴り飛ばして男は出て行った。

コレットは痛む体をなんとか動かしてセルジュの上から体をどかした。

自分よりも強く蹴られたセルジュはまだ痛みに呻いているが、自業自得だろう。


コレットはため息をついた。乙女ゲームなんだから、多少スパイス的にヒロインが辛い目に合うことはわかるが、これは何でも行き過ぎだと思う。

下手したらトラウマレベルだ。何か後遺症でも残ったらしゃれにならない。

いくら感動の再開シーンを盛り上げるためとはいえ、こんな目にあうなんて散々だ。


「セル、もうやめよ?あいつらを怒らせたって何にもならないよ」


何度目かもわからない制止の言葉を言うが、セルジュはやはりそれを拒否した。


「だめだ。ぼくがここにいるとわからせないと、気づかないかもしれないじゃないか」


やっぱり馬鹿だ。コレットもこの世界にきてそこまで世間を知っているわけではないが、王子様はそれに拍車をかけて世間知らずだ。ここまでされて泣かないという点で男らしいと思えばいいのか気高い王子様だと思えばいいのかわからないが、少なくともコレットはこれ以上殴られるのも蹴られるのもごめんだ。痛いのも辛いのも大嫌いだ。

仕方なしにコレットは奥の手を使うことにした。


「もう、やだ」

「コ、コレット?」


セルジュがコレットへ顔を向けたタイミングでぼろぼろと涙をこぼした。

痛みなら体中が痛いから苦労することもない。

止まることなく嗚咽付きで泣くコレットにセルジュは目に見えておろおろしだした。

先ほどから精神的に追い詰められつつあるから、逆切れするか自分も不安になるかのどちらかだろうとちょっとした賭けではあったが乗ってくれたようだ。

にやりとしそうになる口元は痛みでゆがんだようにして、悲痛な声でセルジュに訴えた。


「これ以上そんなことしたらセルが死んじゃうでしょ!もうやめてよぅ、わたし、セルが傷つくの、見たくないよぉ…!」

「コレット…た、たのむから泣くな」

「やだぁ!セルが大人しくしてくれないとやだぁっ!」


ぼろぼろと泣くコレットにセルジュは何とか泣き止んでくれと懇願するが、コレットとしても死活問題なのだ。また騒いで蹴られて堪るものかと、どんどん泣き声と涙を垂れ流す。


「えーと、どうすればいいんだ…?グレースはめったに泣かないしクリスタはむしろぼくを泣かすし、あれ?あいつら女じゃないのか?いや、そうじゃない、こういうときってどうすればいいんだ…!?」


セルジュがなんかごちゃごちゃ悩み始めたところで、外が騒がしくなった。

男たちの怒号と悲鳴が聞こえて、焦るような足音が複数きたと思ったら扉をぶち壊された。

半壊の扉を蹴り飛ばして入ってきたのはコレットの父親と同じぐらいの年齢の赤髪の王国騎士の鎧をつけた男だった。


「殿下!無事ですか!?」

「おろかもの!見てわからないのか?ぶじなわけあるかっ!ぼくを見つけるのにどれだけかかっているんだ!?」


さっきまでの狼狽えようが嘘のようにセルジュは赤髪の騎士に怒鳴り散らした。

いかんせん声が美少年仕様なのであんまり怖くはない。

騎士は怒鳴り散らすだけの元気があるなら大丈夫だと言いながらもほっとした様子だ。


「殿下が護衛を撒いて逃げたからこうなったんでしょうが。その場を動くなと殿下が命令したら侍従は動けませんよ、わかっていったなら自業自得です」


どうせ命令を聞かなければ首だとでも言ったんでしょうと軽口を叩きながら騎士はセルジュの手足を縛っていた縄を切った。

仮にも自国の王子に砕けた態度で大丈夫か?とコレットは呆然と二人を見ていたところで、赤髪の騎士がコレットに気づいた。


「殿下、こちらのお嬢さんは?」

「コレットだ。ぼくと同じようにあいつらに連れ去られたらしい」

「そうですか、コレット様ですね、よく耐えました」


騎士はコレットに人好きのする笑顔を向けてコレットの縄と猿ぐつわを外した。

………よく見たらイケメンだな、この騎士。どこかで見たことがあるような気がするけど、誰だったかな…。

コレットが何とか思い出せないかとうんうん唸っている中、自由になった足でセルジュは地団駄を踏んでいた。


「ローランド!なんでコレットをほめて、ぼくをほめないんだ!?」

「迷惑をかけたのは殿下だからです。絶対」

「めいわくなんかかけてない!!」

「そんなボロボロになって何言ってんですか。だいたい男が殴られるのは自業自得ですが女性が殴られるなんてあってはならないんですよ。こんな可哀そうな目にあったのに耐えた彼女は褒められるべきでしょう。こんなちっさくて可愛いご令嬢ががんばったんですから、殿下ががんばらなくてどうすんですか」


面倒くさそうにセルジュに相手にしながらローランドと呼ばれた騎士はコレットの頭を撫でた。力が加減されている、子供に接することになれた手つきだとコレットは思った。


「コレット様は、エモネ子爵家のコレット・エモネ嬢で間違いありませんか?」

「は、はい!」

「よかった。ご両親から詰所に娘がいなくなったと連絡があったんです。殿下と同じタイミングでしたからもしかしてとは思ったんですよ」


ローランドは女性騎士を呼び寄せ、コレットを任せると告げた。


「それではコレット嬢。我々は先にここを出ます。後日、コレット嬢にはこの事件についていろいろ聞くことになると思います。ですので、今日はご両親と一緒にゆっくりやすんでくださいね。ほら、殿下も」

「コレット!ちゃんとけがは治すんだぞ、それにお前、ぼくほどじゃないけど、あー…その、そう悪くないんだからな!」

「あ、ありがとうございます……?あの、殿下もお大事になさってください」


コレットが一礼するのを見て、ローランドはセルジュを担ぎ上げた。

船乗りが重い荷物を肩に担ぐような持ち方で、セルジュは腹に全体重がかかったようでカエルがつぶれたような声でうめいた。


「ローランド!もっとていちょうにぼくを運べないのか!?」

「殿下に対してこれ以上ないぐらい丁寧に運んでいますが?」

「ふざけるな!不敬罪だ!お前なんか不敬罪で首だ!!」

「無理無理。殿下にはできませんよ、俺、国王直属の騎士ですもん。あ、帰ったら陛下からたくさんお話があるみたいですから楽しみにしているといいですよ」

「はぁ!?」

「殿下から決めたデュラメル侯爵令嬢との約束すっぽかしてこんなところで可愛い子ちゃんとデートとかやりますね!安心してください、俺、ちゃんと報告書は出しますから」


愉快な会話が繰り広げられているようだが、コレットはセルジュの姿が見えなくなってようやく緊張の糸が切れたのか、その場で意識を手放した。



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