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魔法想花の小さな庭園  作者: 流水一
2章ー発芽1日目ー
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幕間ー偽名ー≪改編版≫

コンクレント湖上都市の周辺は、『サーセルブ大陸』の中でも比較的に異種族間の交流が盛んに行われている。異種族間同士で些細な衝突はあれど、『○○大戦』と名がつくほどのモノは起こったことはないほど友好な関係を結べていた。

しかし、サーセルブ大陸、最大の人口と最新の魔法研究技術を持つ『フルエンク空中都市』にて、【魔王】に対抗するため、と銘打っての勇者召喚が行われた。


コンクレント湖上都市の領主は、この真意をフルエンクに問い正したが、フルエンク側からの回答は


「【魔王】に滅ぼされる前に打たねばならん。この大陸に巣くう二人の【魔王】を......」


と、言うばかりで、コンクレント領主から見れば、湖上都市に友好的な【魔王】が何かしているとは考えられない。


この異世界ユーレリーゼにおいて、【魔王】は4つある大陸に点々と存在し、居を構えていることが多い。

ここ南大陸には2人の【魔王】が、レーギウェン西大陸では、3人の【魔王】が、時ヶ織東大陸では、1人の【魔王】が確認されている。そもそも、なぜごんなに【魔王】が各地に点々とたくさんいるのか?と言うと、2つのことから推測できる。


まず一つは、魔王召喚も勇者召喚も、原理は一緒、つまりここより優れた世界から無理矢理だったり、了承を取ったりして連れて来ているからだ。魔王を召喚するのは人に迫害を受けた種族の集まりだったり、混血と罵られ住む場所を奪われた復讐のためだったり、神と言われる世界の管理者から、世界に住まう生命体の間引きのために呼ばれたり、本当に様々だ。そして、召喚される世界は、8つの世界樹が繋ぐ異世界の人間である。しかし、ただの人間ではなくユーレリーゼの神から、それ相応の力を貰っているために、『魔王』と呼ばれている存在がひとつ。


二つ目に、召喚して『魔王と言われる偶像』を作るのではなく、元々この世界に存在する種の進化により、魔王種が誕生する。

こちらを『魔皇』と呼び、古き時代から区別してきた。


これにより、『魔皇』はめったに増えないが、『魔王』の数が多くなるのは、召喚魔法の全世界への普及によるものだと、コンクレント総技術学会で話が上がるほどだ。

『魔皇』と『魔王』、どちらも相応の実力を誇り、【魔王】同士の小競り合いもあるようだが、今の段階では他の大陸での動きを聞いたことはない。

大切なことは、ここサーセルブ大陸にいる魔王が、

コンクレント湖上都市を、飲み込むほどの面積を誇る湖の底に居を構える魔皇に、

最近、苛烈と言っても良いほどにちょっかいを仕掛けていることにある。


つまり、サーセルブ大陸の【魔王】二人が、『偶然』ここ、コンクレントに集まっているために、魔王の抑止力ともいえる実力をもつ勇者を『たまたま』コンクレントに差し向けることになった他ない。


しかも、『魔皇』は、たまにコンクレント湖上都市のリーゼイン異種族合同学院に出没し、授業に参加したり、商店街を冷やかしに行ったりしていることは、住民にも頻繁に目撃され、アイドルみたいに認識されているため、友好関係を壊してまで敵対する要素がない。


「どう考えても、勇者を使って、コンクレント湖上都市を沈める腹づもりか......どうしたものか」


コンクレント領主のコンレル・コンクレントは、均衡がとれたこのサーセルブ大陸に厄介の種が舞い込んできたと頭を抱えていた。

こちらの総戦力はあちらの一割も満たないというのに、何を考えて攻めてくるのか?不思議なことばかりだ。

確かに魔皇がいるが、あちらは呼び出したばかりとはいえ、勇者がいる。何人召喚したのかはわからんのがネックだ。

もしも、魔皇が討たれることになれば、魔王がどう動くかは不明すぎる。最悪、湖上都市を沈めそうな気もしてきた。


『純人統一大陸』か......


コンレル・コンクレントは苦々しい思いをしながら、そう呟いた。


「すべての異種族を大陸から排除して、人による人のための大陸国家を作ろうなんて、馬鹿げているよ。」


コンクレント湖上都市の一番高い建物の一番天辺の部屋から、外を眺めながらため息をこぼす。

仕事は山のように溜まっており、今日も朝まで寝る暇もなさそうだ。


やるべきことはたくさんあるが、ひとつひとつ片付けるのが私のモットーだ。

そう頭の中で言い意識を切り替えた。


「よし、まずはこれからいこうか!」


そう言って目を通した資料は、



魔法植物:マンドラゴラ(上位種)

名称:ギルフォード・アークウェイ

備考:元魔皇幹部

内容:冒険者ギルドのクエストで、単独での魔性の森における魔力濃度の異変調査の際、1週間前から行方不明のため、対象調査の許可を求めます。それにより、魔性の森にA級パーティー『リストリア』を派遣することも検討してください。



そう書かれた紙に「許可」の印を押して、黙々と次の仕事に取りかかった。

その紙が処理され、冒険者ギルドに届くのは2日後だった。


そして、その紙が処理された同日に、魔性の森にて、

原因とされるマンドラゴラとフリードと名乗るマンドラゴラが接触していた。

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