絶滅種としての意地≪改編版≫
ありがとうございます。これからも暇潰しになればと......よろしくおねがいします。
「つまり、あれですか?フリードさんもマンドラゴラで、元々この近くにいたけど、この場所に昨日辺りから魔法植物によくある発芽の兆候が確認できたから来た......とういわけですか?」
「んぁ?そうだっつってんだろうが!」
「それで、太陽が登ってくる時間に、私から、発芽前には、あり得ないほどの膨大な魔力の膨れ上がる反応があったが......突然霧散した。」
「......魔法植物は生まれながらに魔力をある程度もってはいるが、本来なら得られる魔力総量は、その土地の環境と魔力濃度によって変化するわけだ......しかし、ここ魔性の森では、『樹海迷宮』で発芽しても、そんなに魔力をえられるわけじゃねーんだ......わかってんのか?」
「っ、わ、わかりましたってば!」
「それで、魔法植物にとっては、命の元ともいえる魔核をカラッカラッにしちまって栄養不足で死んでしまう所を、兄弟は魔獣......何かのスキルを使い、手当たり次第に魔力を吸収していき、急成長をした。」
「......はぁ、はぁ......ん!」
「そのせいで、ここら辺がポッカリと不自然な空き地みたいになってるわけだ......兄弟の成長のためにガンガン魔素を吸っていったからな」
「ちょ、っ限.....か、いで......う」
「ああ、魔素ってのは魔力を粒子状にしたものだ、まぁ、魔力濃度が濃い所に自然発生するから、魔力の元とも言われてるな......はぁぁ?うっせぇな!シャウトすっぞ!?」
「っいいから、下ろしてよ!死んじゃう、死んじゃうよ!?」
さて、今の私ですが......順をおって説明しましょう。
猫じゃらしみたいにフリフリしていた、草を引き抜くことが結局できませんでした。悔しいです。
しかも、身体を土から半分出して行動したので、疲労困憊になってしまったのです。
なんで、疲労困憊になったのかと言うと、私の姿に原因があるみたいで、ヒトガタ......つまり、擬人化は常時魔力を消費するらしく、さらに動けば動くほど、ガンガン削ってしまうのです。
魔法植物の上位種の大半は、スキルとか関係なく擬人化できるみたいで、普段は元の植物の姿でいるみたいですが、時と場合によって擬人化するみたいです。また、ここ魔性の森の近くにあるコンクレント湖上都市では、擬人化した魔法植物が3人くらい、人として暮らしているらしいことをフリードさんが言ってました。フリードさんって言うのは......
「っち、うっせえ兄弟だぜ......せっかくこの俺が大事なことを教えてやってるのによ......」
人を近くの枝に宙づりにしたこの草です。
「やり方があるでしょうが!鬼畜!!」
それで、フリードさんに魔法植物の擬人化の難点と、魔法植物の基本的な弱点を『身体をもって』教えられたのです。
身体を地面から半分出して、ちょっと激しく動いただけでへばるなんて、人間だったときはあり得ませんが......
いや、まぁ.......地面を豆腐みたいにすんなり潜れる今も、ありえませんけどね。
へばった要因は先程言った通りですが、ここからがフリードさん!マジ鬼畜!どSな諸行編①メモっちゃうよ心の中に!!
始めに、魔力切れでへばった私に、きっと身体の一部だろう蔓を、地面から2本伸ばして......つまり、動けない私に襲いかかったのです。
「それで、私にひどいことする気でしょ!?エロ本みたいに!」
というテンプレに......あの草っ
「エロ......お前に?......兄弟ェみたいな、頭に花咲かせてるようなアホには興味ネェな.....もうちょっと大きくなって......でもあれか、頭に花咲いてる時点でアウトだな......まぁ、その元気出せ?シャウトしてやっ(略)」
て、言ったんですよ!?そもそもこのクサヤロウが擬人化したら、絶対世紀末の雑魚みたいな見た目に決まってます!そうであれ!!
大体なんですか?エロは......まぁ、私もこの見た目じゃ......人を選ぶんじゃないかと思いますが、花ですか!頭に花が咲いてるからアホだって!?しかも、最後の変に優しい口調......ぶっ飛ばす!これほどいてくださいっ、簀巻きにしないで!
そんな訴えも及ばずに簀巻きにされて、ズボッと持ち上げられ、近くの木の枝に吊るされたのです。
そして、どうやらフリードさんもマンドラゴラみたいな話と、「自分から地面を飛び出るとはうんたらかんたら」って話を聞きつつ、抜け出そうと身体を動かし続けたら、今まで10秒で10回復していた私のMPがまったく回復してなくて、動くだけでガンガン減っていき、MP枯渇状態になってしまったのです。
動けなくて、息も苦しくて、とりあえず謝りましたが......
「今までの諸行は謝りますから許してください。話は下ろしてもらってからでもいいですか?」
って言ったのに、
「はっ!......まずは、魔法植物の弱点だが......」
「よくわかんないけど、無性に腹立つわ、しかも、また同じ話!?」
そして、繰り返される行動。
ええ、結局マンドラゴラについて3回聞きました。動かなくてもMPが減っていく私は、本当に死を覚悟しましたよ。空怖い、宙ずりダメ絶対!!
そして、MPが0になってから30分経った頃に息が上がってきて、意識も朦朧としてきた時にようやく下ろされたのですが、やられっぱなしはシャクですので、せめて一言いってやろうか?そうしようか?
フリードさん(笑)マンドラゴラって言いますけど、あなた見た目、雑草じゃないですか......プークスクス。
こう言おう!決めました。
下ろされ、視界の端に映るMPゲージが回復していくのを見ながら、フリフリ動く雑草に向けて歩きながらーーー。
「フリードさん、マンドらんぱぁぁ!!」
いっっっっっっったいいいいい顔打った!!しかも変なこと言ってしまったわ!?すごく恥ずかしい。
「......すまん、兄弟ェ......よくわからんが悪意を感じた。」
そう言って、私の両足を後ろに引っ張っていた蔓をそっと地面に潜らせたのです。両足は受け身とれませんよ!?
顔面を強打し悶えたあと、涙目で睨み付けるが、恥ずかしさのあまり両手で顔を隠し、その隙間からチラチラ伺っていた蛍光色の髪に同色の花を頭に乗せた少女は、会話をしていた草から顔を背け、膝を抱えて座り込んだ。
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「いいか、即死誘発型は基本的に、数がすくねぇ......今じゃぁ、北大陸山岳地帯の『雪姫』か、西大陸沿岸部の『シャドウ・グール』くらしか、確認されてねーんだ。」
「『雪姫』って雪女のことですか?」
「雪女?どんなのか知らねーが......まぁ女ではあるな」
地面を盛り上げて進むのはフリフリ動く草で、隣には100cm位の身長の幼女がいた。
幼女は、黒いワンピースを着ており、地面に黄色の髪を引きずりながら歩いていた。
140cmくらいあった身長が縮み、幼女になったのには理由があった。
先程の折檻の際に、元のマンドラゴラ......つまり、隣の『雑草のフリード』の様な姿に同じ種族ならなれる筈だって言われたが、成れなかったので、自分のタイプを教えたら大変に驚かれた。どうやら、フリードさんいわく、即死誘発型のマンドラゴラは絶滅しているらしい。
また、その特徴として、人に類似した姿をとっており、植物としての姿に戻れないが、人の生活空間に潜り込むことができ、昔は、魔王軍に所属していたらしく、暗殺や、一対多での戦闘を難なくこなす、美少女ばかりの殺戮集団だそうだ。
ねぇ......その説明の際にこっち観てため息をついた理由を教えてもらえないかしら?
聞こえてるからね!?ボソッと言った「アホ幼女が即死誘発型とは......」これとか!
魔力消費を押さえて行動できるようにする植物魔法の【制限】を教えてもらって使った後の「美少女が美幼女になるのはいいが、貧乳が更に貧乳になるって本人は耐えられるのか」しかも、最後振るえ声でしたけど?笑い......堪えてたんですか?ぐすん、いいもん、気にしないもん。
そして【制限】で幼女化して、地面を歩くと、魔力が1秒で2減るところを1秒で1に減らすことができました。うん、歩くだけでこれとか気にしない。気にしない。
「今さらですけどフリードさんてどうやって喋ってるんですか?」
ピタリと動きを止めるフリードさん。
「......まぁアホだし、いや、生まれたばかりだからか?」
「アホって言いました?ハッキリそういいましたね!?」
「うっせぇな、ヤンのか?おお、シャウトすっぞ!?」
いいか?と前置きをして説明してくれました。
「植物館ネットワーク?」
「ちげぇぇぇよ植物『間』ネットワークな」
っちょ、蔓で頭バシバシ叩かないで!!花が散っちゃうぅ......
頭を手で押さえうずくまりながら防御する。
「チッ、だから、植物精霊は別として、植物同士のコミニケーションを取るためのに、魔法植物やそれ以外の植物達と念話が出来る機能なんだよ。まぁ、普通の植物は『ひっぱられたー』とか、『たべられたー』とかそんくらいの知能しかないけどな。」
「......コミュニケーションなのでは?」
「よおぉぉぉし!!偉いぞ!このフリードさんが『たかいたかい』をしてやろう。」
「やぁぁぁめぇぇぇてぇぇぇぇ」
ちょっとした空中遊泳を体験しながら、魔性の森を歩き続け、獣道から整備された道に出てきた。
ここで、フリードさんの要望を叶えるために、【制限】を解き【小さな庭園】を使用した。
「範囲は小さく、形は可愛く、想いは天に願いを花に、記憶を綴れ。」
ーーー。
フリードさんは、植物精霊の知り合いが多いらしく、領域魔法についてある程度教えてもらった。
領域魔法の所持者は、『領域持ち』か『庭園持ち』と言われるらしい。私は、『庭園持ち』が相応しいだろう。
特徴として、領域内のモノを出し入れしたり、領域にこっちの世界からモノを領域内にあるストレージに容れておいたり出来るらしい。
つまり、超絶デカイアイテムBOXにもできるらしいが、戦闘面だと、乱雑したままだったり、領域が荒れていたり、管理がされてないと、『スラポン』に勝てないらしい。
だから、その比べられている『スラポン』の強さが分からないんですけど......
でだ、私の庭園のトラウマ.....建物の一画に、鹿威しがあるじゃないですか?
これが庭園と現界を繋ぐ役割があるみたいです。つまり、転移ゲートの役割みたいですね。
あんなものが?噴水とかにすればよかった......
「庭園内で風車とか、流れている水を使って動いているものねーか?それが使える。」
「じゃあ、庭園持ちは皆、庭園内に水が流れているってことですか?」
「ああ、庭園て言っても、それ魔法だからな?それの水、兄弟の血と同じだからな?」
「庭園に行ったときに、流れているものが流れてなかったら終わりだな。」と怖いことを言ってくださいました。
「じゃあ、庭園行って鉢植え取ってきてくれ!それに俺を移してほしいぜ!兄弟ェ」
「え?庭園は寝ないと行けませんよ?」
「え?」
「......?」
地面を盛り上げながら進むフリードさんが止まったために、少し振り向き顔を向ける。
(夜にしか行けないって、つまり兄弟の庭園じゃ時間軸がズレてるってことは......じゃあ、兄弟ェは明日が来る前に、庭園内で一日過ごさないと次の日が迎えられないってことか......それじゃあ、まるで......)
「どうしたんですか?え?もしかして庭園内にいけるんですか?」
なぜか、闇の庭園に詳しくて、何かを知っているようだが.....フリードは声に出していないためアンには伝わらない。
「いや、たぶん無理だな!兄弟ェは別のいい方法がある。」
「いい方法?」
そしてーーー。
準備したのは、一輪の薄紫色の花。
花の種類は何でもいいらしいので、群生地からポツンと孤立していた種類の花を選んだ。
フリードさんは、何でもいいと言ったくせに、ため息をつくなんて!まったく!!
この花はなにか判らないが、綺麗な色なのに寂しそうだったし、花の周りから霧が吹き出ていて珍しいと思い選びました。
「ごめんね......」
そう声を掛けて花を丁寧に取る。その際に霧が頬を優しく撫でていった気がした。
『いいよ、いいよ、うれしい、れしい、おいしい?』
これは幻聴だろうか?いいや、先程のフリードさんの説明にあった通り、植物間ネットワークのお陰だろう......
「......別に謝らなくてもいいと思うぜ?兄弟」
「そうですか?気持ちの問題ですよ。」
「気持ちってなんだ?俺達、魔法植物は確かに知能も高いが......起源は変わらねぇ、こいつらと同じただの植物だぜ?」
フリードさんは何が言いたいのでしょうか?
「んぁ?なんていうのか......簡単にいうとだな、その、俺達は数が多いだろ?いちいち、何かする度にそんなことはやってらんないだろう?」
「若い内に抜ける髪の毛を気にするようなもんだな。俺が言うのも変だがよ」そう言われて、私も考えてみますが.......答えはーーー。
「まぁ、確かに気にするのもどうかとおもう自分もいますし、なにもしなくて良いわけでもないと思卯自分もいます。」
「自己満足だろ?」
「それでも、どっちの自分も私だから別にいいじゃないですか!私の気持ちが2つあっても、別意見に別れても、肯定すれことあれば、否定もある。当たり前のことです。どちらか一方の感情に割りきることは、私にはできません。だって、その感情のすべてが私で、すべての気持ちも『私一人』のものなんですよ。なんで、自己満足上等!思いやる気持ちは無限大!二つ選んでこその私です。それについては嘘はありませんよ。」
「はっ......そいつはとんだ、」
「「欲張りでしょう」だな」
最後にアンはぼそっと言った
「それだけじゃないですけどね」
採取した薄紫の花から『クスクス』という声を聞いた気がした。
どうして、領域魔法についてこんなに詳しいのか不思議です......フリードさんも領域持ちでしょうか?
最後にどうやるのかをレクチャーされました。呪文は特にないらしく、流れに乗ればいいらしいです。
ながれ?そう聞くと、「世界の記憶のなんたらかんたら」理解できないんで、
「すごいですね!!」
と言ったら、
「おし、そうだろ兄弟ェ、ちゃんときいてたようでエライエライ」
「ちょと、その蔦はなにかな?わからないわ」
「遠慮すんな兄弟!!」
「いいいいやあああああああ!」
しかし、フリードが教えたのは領域魔法とは異なるスキルの使い方だとは気づかないアンだった。
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【MP:342】→【MP: 42】
先程の詠唱に伴って、緑色のゲージが急激に減少した。やはり、イメージを形に変えるときに持ってかれる消費量は桁が違うみたいだ。
イメージは、ただの鉢植えじゃあつまらないし、私も気が乗らないので、工夫を凝らしてみます。フリードさんへの些細な嫌がらせになれ。
最後に手元に変化を促す言葉を紡ぐ。
【ーーー解放!!】
手に持っていた薄紫の一輪の花が全体の色を変えていく、色は緋色になり、目映い同色の閃光が空間を叩く。
緋色の光が収まったとき、手元には、不思議な形の鉢植えがあった。
薄紫の花は、役目を終えたのか消えていた。
アンは今回初めて現界での創造に成功させた喜びと、出てきた物に対する満足感でイッパイだった。
「また、トラウマものを呼ばなくてよかったわ。」
「......」
アンは返事をしないフリードに『満足』し、再度自分に【制限】を掛けた。
そして、取り出した鉢植えを片手に、フリードに無言で迫る。
焦ったようなフリードの声......地面を盛り上げながら後退をするが、後ろに木があり逃げられない。
「うそ、だろ?それ、鉢植えなんてうそだろ?」
フリードが言っているのは、アンが呼び出した、この世界にはないマスコットキャラを模したちょうどいい大きさの『ポップコーン容れ』だった。しかし、これを知っているのはここにはアン以外にいない。だから言う。
「当然そうですよ?」
そしてーーー。
今回、フリードとの出会いから今までで、初めてフリードに仕返しが出来たと満足そうにするアンだった。
(消費魔力がやはり、関係ないものはけた違いですね。この関係性も調べないと......)
ちなみに、フリードは大人しくカラフルな『ポップコーン容れ』に移し変えた。
要望通りにしたのだから文句はありませんよね。
「ちゃんと届いているでしょうか?」
「んぁ?」
「なんでもありませんよ」
フリードさんには言ってませんが、あの花は私の庭園に送らせて貰いました。私が使った代償は、花びら2枚ですからね。
なんたって私は、欲張りですから。
どちらかが消えてなくなるなんて結果はもうたくさんですから......
「なにニヤニヤしてんだ、兄弟ェ」
「なんでも、ありませーん」
「ああん?調子乗んなよ!あぁん?ヤンのか?シャウトすーーー」
「捨ててきますよ......川に」
「せめて、土があるところにしろや!!」
軽口を飛ばし愛ながら街を目指して進む。
編集!へんしゅーー