神域≪改編版≫
目の前で、ネットで有名なあのOとRとZなポーズをとる神様。
そしてすぐになにもなかったように振る舞った。
「んっ、では......改めまして、キミの住んでいた世界の神様です。よろしくね。」
そう言う神様の向ける笑顔は、とてつもなく眩しいと感じる。こう、後ろから光が射してる感じがする......まさに、天使の笑顔、いや......神か!
言葉が発声できないが伝わるみたいだ。
どうやって伝わったのかは、なんとなく分かった。
ーーー読心術。
正確には、何をして会話や心を読んでいるのか分からないが、神様ってそういうものと無理矢理納得するしかない。
しかし、読心術が出来るならば、自己紹介の必要性を感じないのでは?
そう考えるのも無理はない。
「うん、そうだね。でもボクのは、キミが言う読心術とは違うかもしれないよ。たぶんだけど、キミが言う読心術って対象、または複数の記憶、感情、考えを即座に読み取ることだと思う。」
まぁ、読心術っていったら、相手が何を考えているとか、些細なことでも読める力で、駆け引きなんかで超使えるし、これさえあれば、内政無敵!ってイメージだけど......違うのか?
「うん、まったくだよね、相手にしたくない力だよ。でも、ボクの神術は、『疑問解答』でね。いうなれば、心を読むより、その人が疑問に感じたことを、具体的に何を感じたのか。しか、読めないんだよね。つまり、さっきまでキミが感じた疑問以外のことは感じ取れないんだ。」
ふーん、つまり、疑問に感じなかったことは伝わらない......いや、読めないのか。
なるほど、つまり......
神の微笑みを暖かい目で見て、なおかつ、ロリショタ最高だぜ!
と、思ってもいいと?いいと!?
こんだけ近くにいても見分けがしづらい真っ白なコップを持った神様の動きがピクリと止まり、こちらを向く神様のクリリとした目が自分と合った。
驚いている姿もキュートな、ん?で、えええええ
『告げる、指定領域内の接近を許さず!』
焦ったように見える少年のような神様が発声した声が聞こえたときには、神様との距離が先ほどまでと違い、1mくらいしかなかったのが10mくらい離れていた。たぶんそれくらいだと思う。床も白いから判断できないけど。
キュートな神様が遠くにいってしまった。
自分がコマ落ちのように飛ばされただけですが、慣性の力も働かないとは.....
近づこうとして、それ以上前にいけないことから、神様が力......神術を使ったことは明白極まりない!
本当に神様だったとは......
神様を名乗る痛い美少年の線がこれで0%に.......
く、その線でも逝けたのに!
黒い髪にクリリとした目。身長は小さいが、12歳としてみれば普通くらいだろう。
遠くからでも、体を抱くようにブルブルッとしたのが見えた。小動物っぽい、はぁはぁ......おおっと、悪ふざけは自重しよう。
悪ふざけが過ぎたごめんね!メンゴメンゴ。
ため息をつく姿が遠くからでも確認できる。だれだ!あんなかわいい神様に悪ふざけするのは!ワタシです......てへっ
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この神様がいる世界では、八ヶ所にある世界樹が界と界を繋ぐゲートになっているらしい。
そのゲートを越えて隣の世界に遊びに行けるんだとか。
でも、人間や、動物、以外......大雑把にいうと、神様や、それに準ずる神核を持った存在だけが行き来できる。
となると、神々専用の『○○ドア』というわけかな。
で、そんなゲートを越えた先には、別の世界の神が管理する世界があるらしい。
ひとつの世界を管理する神様になるってことは、その世界の様々な神々の代表者のようなものか。
そこで、人様の人生の半数を覗いていたこの神様が死んでしまったワタシを、この世界の魂の管理者である閻魔大魔......間違えた、『閻魔神』様にいって、成仏間近だった魂を自分の空間に引きずり込んで、取引をしようと持ちかけた所......解き放たれた解放感で、無駄にフィーバーしていたワタシが落ち着くのを待っていた。
と説明された。
別にそんなにフィーバーなんかはしてないんだからね!
「まぁ、成仏間近だったキミを起こすのに、神力使っちゃったし、ハイになるのはわかっていたけど、襲われそうになるとは......神として戦慄を禁じ得ないよ」
そう言う神様の目の前にふよふよと浮いているのが、そう、ワタシだ!
ハイになって調子のってました。すいません、でも謝るのは形だけだ!!
そうそう、神様はなんで自己紹介なんてしたのかと言うと、ワタシのためだったらしい。神様......なんて優しいんだろう。
実は、今こうして会話を聞いているのは、覚醒した自意識の2代目?らしい。
意味が分からない?ああ、ワタシも分からなかった。
神様によると、最初のワタシ......おい、クローンみたいで嫌だな!!
分割前のワタシを『ファースト』。
今のワタシを『セカンド』だとすると、セカンドと違ってファーストは、すんなり、取引のところまでいったらしいが取引で、「神様の恩恵を一心に受けるのはこの身に余るし、六花を護れた思いのまま逝かせてくれ」と言ったらしい。
ケッ!ワタシのクセに言うじゃねーか!かっこいじゃねーか!!
くっそ、何が違うんだろうか?まぁ、六花を護れたことは私もいいと思うけど、結局は生きるのを諦めただけ......とも捉えることが出来る。セカンドであるワタシはどちらかと言うと、重荷を背負わしてしまった感が半端ないんだけど、六花がどうなったのかを、生きるのを先に諦めてしまったワタシが聞くのは、なんか自己満足でしかないんじゃないか?と考えてしまう。故に、怖くて聞けないないし、聞いたとしても、何もできない自分が、六花の力になってやれるとも思えない。
悔しいけどね。
神様が持ちかけた取引......ファーストが断った内容はこうだ。
星光家が、管理していた霊樹『名称:アズマ』名称なんて初めて知った。
この世界樹に繋がる、全く異なる文明が栄える異世界に行って欲しい。また、ある程度助力をするかわりに、人生を謳歌するまで覗かせて欲しいらしい。隣の神様の世界では、自分の知り尽くした世界と違って、まだ見ぬ摩訶不思議にwktkさ!だって。
自分でいけばいいのに、と言ったら、
「確かにその通りだけど、自分の領域以外では、万全に神力が振るえないし、振るったら、その世界の礎を壊しかねないから、お互い神同士で、不文律があるんだ。昔はそれほどでもなかったんだけど、ある神様が管理する世界を、別世界からきた戦い大好き神様と、その神様と折り合いがつかない神様が、ぶつかって大戦争さ!お互いに神力を限界まで使った大勝負が勃発。例え、力が制限されていても、神と神のぶつかり合いは世界をガラリと変えてしまうのは想像つくでしょ?」
うん、まあ、神々はただの喧嘩のつもりなんだろうけど、そこに住んでる者にとってはひとたまりもないなぁ......
心の中で、苦笑いをしながら、結局その世界がどうなったのか聞いて唖然となった。
もう一回言ってほしい。
今声が出たら震えていただろう。なんと言う理不尽か......
「ん?だから、管理していた神様が終わらしたんだよ。世界を『終わらせた』」
つまり、そこに生きていたものすべてをなげうった。
そういえる発言。それを何でもないことのようにいう様子。
目の前の綺麗な黒髪を持つ少年のような神様に恐怖を抱いた瞬間だった。
少年は、怯えるワタシにバツが悪そうな顔を向けた。
「いや、そこに生きていた生命は、管理していた神様が事情を説明して、別世界に転生して貰ったんだよ。1200年くらい前かな、ボクの世界にも、知性生命400と無知性300,000の魂を引き取ったんだよ。しかも、ある程度『記憶継承』の加護を掛けてあるから、文明が急速に進んじゃったりしたしね。まあ、その世界より、ボクの世界の方が優秀で、文明崩壊にはならなかったけどね。はっはっは」
つまり、ヒャハーしている二人は止めれないから、その世界にいた数少ない?生き残りに転生をさせ、さらには記憶の持ち込みつきで、新たな人生のサポートとか神......見えないだけで以外に仕事してた。そっか、問答無用で消滅させた訳じゃないのか.......
「まぁ、その原因の二人はこの事で自重しだしたから、長い目で見るとよかったと思う......そういうことにしよう?」
今の話を聞くと、確かに神様本人が行くのは問題アリですね。
で、内容は先に述べた通りってことは、
もう成仏手前......いや、魂の一部が成仏している状態かな、こんな状態のワタシが、
霊樹『アズマ』の先にある異世界への転生チケット&神チート付きで、
デメリットは観察されるだけ......デメリット?それ神様が普通にやっていることじゃないのか?
む、そうなると2回目の人生が面白そうだぞ......
じゃあ、なんで、ファーストが断ったんだ?
魂の意識分割をされたとはいえ、最初に都合のよい方へ意識が誘導されているとか?
「誘導しているのかと言われると、そうだね、キミには是非行って欲しいから誘導していないとは言わないけど、意識への干渉はしてないことを誓うよ。信じるかは任せるけど、信じて欲しいかな......」
最初の頃とはうってかわって、表情が冴えない神様。
ワタシは信じれる!ちょろいと言われてもいい。こんな美少年が悲しい表情なんて......
だけど、なぜ、分割前のワタシは渋った?
その事について深い思考に沈みそうになると、切り離されたはずの声を聞いた気がした。
『ボクは初めて話したけどこの神様のこと、この世界のこと、ボクを産んでくれた家族のこと、10年前に助けてくれた妖精のことも、星光家の五月さんも、六花も、みんな大好きだ。それ故に、どちらかを切り捨てることを良しとはしない。ならば......』
異世界輪廻に転生するということは、今までの世界を切り捨てるということ......だったら
『「ならば、両方選んでも、欲張っても問題ないだろう。」』
意識が重なった気がする。
なんだろうか、足りていない何かが、すっぽり入るように......
暖かいな......
人魂だけど、何かの重なりを感じるきがする。......ぬくもり?
『ボクが忌まわしい記憶と憎悪、この世界の倫理を持っていこう。君の助けーーーなら君ーーられーーーと思うから......』
暖かく感じていたものが、段々と薄れ逝く意識が、残響となって響く。
そうか、ワタシの妨げになるものを持っていってくれるのか......ワタシのために、ワタシが、
ちょっとナルシストの気持ちがわかってしまいそうだ。
『あとは君に僕の残ったすべてをあげるよ。成仏しかけたこの身では記憶力も曖昧だけどね。ははっ』
「っておい!」
最後にひどくスゴいことを言って、去っていった意識に突っ込みを入れてしまった。
「曖昧な記憶でも私だそ......信用できるよね。」
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「決まったかい?」
そう言う、少年はやはり、真っ白な椅子に座って、真っ白なテーブルにおかれた真っ白なコップに、真っ白なスプーンを入れかき混ぜていた。
真っ白が『ゲシュタルト崩壊』しそうになるな......
コップの中身まで真っ白なんじゃないのか?
神様がコップを傾けたために中身が確認できなかった。
この神様は、なんでここまで自分に執着するのかは、分からないけど。
ナルシストでもいいじゃない!自分を信じよう、自分が信じていたために。
この選択にくいはない。
これからもそれを思わない。
その意思を受けとったのか、本当に嬉しそうにする神様。
思いっきり立ち上がり、ガタンと椅子が倒れる音がする。
く、白くて見えない。
「本当!?そうか、よかった~」
またキミを分割する羽目になるかと思ったよーーー。
こわっ!やっぱり、神様こわっ!
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分割発言から数分後。
今更ながら自己紹介をする。
「星闇......あれ?名前がわからない、記憶はそのままだったはずで......」
人魂ゆえに声にはでないが、話すイメージをする。
しかし、名前が思い浮かばない。不思議に思い記憶を探るが、持ち得る記憶には、虫食いのようで、思い出すことができない。
さらには、記憶の中にいる自分が鏡の前に立っているものがあったが、隣にいる六花の流れる黒髪、可愛らしくも凛々しい顔。学園のアイドルというのも頷ける容姿ーーーが写るその隣に、自分の姿が写っていなかった。どの場面でも姿は写らず、シルエットもない。本当に存在したのか危ぶまれる。不安が募る。
男だよな?ワタシとかいったけど、じゃあ、女か?
トイレその記憶があれば......トイレの景色で、
思い出せ、思い出すんだ!
トイレの記憶を思い出すという、他から見ると変態以外の何者でもない。
そんな行為をして、数秒......
最近のトイレはどっちも個室なのか......
判別ができなかった。体が記憶に映らなければ、どうしようもない。
そこで気づく、そうだストーカーの神に聞こうと。
「ものすごく不名誉なことを言われた気がするけど、これ以上長引くのもなんだから、簡潔に行くよ?」
椅子に座り直す神様は真剣に切り出した。
どんとこい!
「キミはいや、ファーストは男だったというのが正しいかな。キミはどちらでもないし、どちらでもある。第2人格だよ。」
肉体はないけどね......
「文字通りの二人目だよ......故に、キミは揺れ動いている。ファーストがなれなかった女性としての自分か、ファーストと同じになるか。」
きみはどうしたい?
また、この問いかけか......いい加減に飽き飽きしてきたね。
ファーストが答えたようにワタシも心から答えよう。
「ワタシは......私は欲張りだから」
私らしくいこうと思う。下の名前は忘れたけれど、覚えていた名字を半分にして生まれ変わろう。
『星闇』
どうしてか、これしか記憶にはなかった。
たぶん、最後に聞いた声に含まれていたからだと思う。
『星』の名前はファーストに、私は『闇』と名乗ることにする。
「私の名前は......」
黄緑色の人魂が一際強く発光し、白色しかない背景すべてを、閃光が塗りつぶす。
その様子を目を細めることなく、祝福するように見届ける12歳くらいの少年。
閃光が収まったその先にはーーー
「闇......名字は......ないわ」
闇そう名乗ったのは、もうすでに、人魂ではなく、140cm後半の女性としては小柄な身長に、金色ではなく黄色の髪、長さは、膝まである。テコテコした蛍光色の髪色は真っ黒いワンピースと合間って、発光しているように見受けられる。黒いワンピースに包まれる肢体は細く、胸の膨らみは申し訳程度しかない。パッチリ開いた眼からはひしひしと強い意思が感じられる。また、瞳の色は、この空間でずっとお世話になった人魂の色、黄緑色だ。見た目の可憐さもあって、美幼女と美少女の間、間違っても美女とは言われはしないことはわかる。また、この長い蛍光色の髪色に透き通るような綺麗な黄緑色の目は、神である少年ですら、見とれるほどである。
しかし、ぽかんとするほどに、この現象に心当たりがないわけでもなかった。
本人に聞こえないように少年は呟いた。
(そうか、やっぱりキミはあの子『想天花のシュレイ』と......)
「ん、自分の姿には驚かないのかい?変身したみたいだけど?」
「なんか、特に違和感がなかったのよ。始めて見た気がしないわ」
出しっぱだった鏡に映る自分の姿をまじまじと眺めながら言い、目に掛かる前髪を嫌そうに払いながら続けた。
「取引に応じましょう」
朗らかに笑い、心地よく響く声に自然とリラックスできてしまいそうだ。
では、最初はこう切り出させてもらおうかな?
「剣と魔法の世界を夢見たことがあるかい?」
黄緑色の目を輝かせて首をブンブンと音がなりそうなほど縦に振って、揺れる黄色の髪が尻尾のようだった。
真っ白いお馴染みの空間で、『アズマ』が繋げる先にある世界の管理者である『ユーレ』と『リーゼ』にこちらの世界の神様が連絡を取っていました。
管理者って、一つの世界に一人じゃないようだ。
「悪いんだけど、ボクの世界から一名そっちで転生させて欲しいんだけど、いいかい?え?珍しいって?まぁ思うところがあってね......」
「神の使徒とかじゃないよ、違う違う、詳しくは聞かないで欲しいんだけど......あぁ、はいはい、じゃあ、こうしよう!君達の世界から勇者召喚とか、魔王召喚のために、勝手につれていかれる件については、水に流してもいいよ。え?ずるいって......」
神様は、椅子から立ち上がり、目の前に浮遊している綺麗な青色の玉に向かって話しかけていた。どうやら、あれが通信装置らしい。テレビ電話みたいだ。
その場を行ったり来たりしながら話を続ける神様の正面に、必ず青い玉が浮いているところを見ると、あながち間違っていないのではないのかな。
さて、電話しながら歩く美少年を眺めるのも、中々良いものですが、体を手に入れたことで余裕が出来たのか、少しこの空間を散歩してみようと行動しました。
ある程度歩き、周りに本当に何もないことに、少からぬショックを受けたため、400m先にいる神様に向かって歩き出しました。
体を動かすのには、全くの違和感を感じないし、昔との歩幅の違いからの転倒も3回くらいしたら馴れて、今では走り出しても問題無さそうですね。
戻ってみると、どうやら話し合いは終わったみたいです。
こちらに向かって微笑む美少年の笑顔が少し陰っているような気がしますが......
そう思った私に、少年は申し訳なさそうに答えてくれました。
まさかの転生拒絶か!?申し訳なさそうな少年の顔から最悪の結果が頭をよぎったが......どうやら違うみたいですね。
「ごめん、転生自体はいいみたいだけど、向こうの管理者の一人の『ユーレ』から、キミを一目見たい、こっちに転送してくれ!って言うんだよ。断ろうとしたら、転生させない、とかいうもんだから困ったもんさ。あの子には......」
そういう神様の表情は戸惑いこそすれど、しかたないな、と言いそうな優しい声色でした。
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そんなこんなで、今だに神界にいる私です。
転生先の世界の神様に挨拶に行くことについては、特に問題があるようには思えませんが......緊張してきました。こっちの神界には、私の体感時間でそんなに長く居たつもりはありませんが、離れると思うと、少し寂しく感じてしまいます。
最後に転生の契約通り、神様が私に力を授けてくれました。私が向かう異世界ユーレリーゼには、魔法が存在するようなので、こっちの世界に存在しなかった魔法を頂きました。やったね!
神様いわくーーー。
「うん、その魔法は【小さな庭園】って言うんだ......想像と創造を司るボクの神としての権能の縮小版、みたいなものさ。でも、それについては自分でおいおい理解してみる以外に方法はないけど、基本だけ教えるよ。」
神級のチートを貰ってしまったようです。しかし、もっと簡単なものはなかったんでしょうか......空が飛べるとか、基本属性が全部使えるとか、
そんな感じのものを予測していたこちらとしては、驚いて声もでませんよ。そして、得意気に説明を続ける神様のたのしそうな笑顔を見て、「別のにしてください」とか、言えるわけ......ないじゃ、ないですか......
そうですよ!ようは......使い方、使う人の心です!!
決意を新たに説明を聞きます。
「それでね、イメージしたものを形に変えるのがボクの持ちうる最高の権能なんだけど、キミに付与した魔法は、最初からフルスペックというわけじゃないんだ、またボクとの違いもある、それはね......」
というか、初めて私は神様が司るものを聞いたんですけど......イメージを形って、あれですか、英雄達がビターな感じで戦うアニメに在ったように、『イメージしろ!』とかいっちゃう、イケボの彼が使うようなことが出来るというわけですか!私も!?
.......そう、思っていた時期が私にもありました。
神様は私がやろうとしたことは、一通りできるみたいですけど、私の魔法は限定的で、魔法内にある庭園を育てることで、そこにある植物を使用して、新たな植物を産み出したり、異世界で見つけた珍しい植物を、種から育てたり、庭園を綺麗に着飾ったりできる。ガーデニング能力......私がイメージした魔法となにか違うのは気のせいでしょうか?
また、花の精霊や樹の精霊と契約を交わすと、庭園内に精霊の契約の証である花や樹が植わっているなら、精霊が持つ力を得ることが出来るらしい。
しかも、植物の精霊っていうのは、一種に一人しかいないみたいです。一応精霊と契約せずとも、庭園内での育成や、新種作成はできるが、一度庭園内に植えたら、その精霊とのマジックライン?というものが繋がり、きっとすぐに精霊自らがやって来るだろう。
って言われても、やって来たらどうしたらいいんでしょうか、え?おいおいわかってくるって?まぁ、頼りすぎてもどうかと思いますし......
で、肝心の精霊については、知識でしか知らないから現地で聞いてほしい。
と言われてしまいました。ああ、最初は優しく説明してくれる精霊と会えることを願います。切に......
庭園の世話はいつするのか聞いたら、眠りに落ちたあとに、庭園内に飛ばされるみたいで、その眠っている間に庭園内の手入れをするんだとか......
私の睡眠時間は......
気になることは多々ありますが、全部聞いてイージーモードもなんですので、後々調べていきましょう。
あとはーーー。
「もしも、人外になっても、なるべく生き延びてね......」
討伐されるの!?
なにそれコワイ......
いまの話を聞いて、不安そうにプルプル肩を抱き震えながら転送されるのを待っていると、こちらの右手を開かせて何かを握らせながら言いました。
「最後に餞別として、この種と苗木を渡しておくよ。」
離された右手の上にはもう、何も乗ってはいませんでした。
たぶん、魔法内に転送されたのでしょう。
最後......ですか......この少年のような神様にはもう会えないと思うと、少し悲しくなってきた。
ここまで親切にして貰ったのは、私にとっては初めてだ。例え、神様と交わした契約だったとしても......
最後でも、私が言うべきことは一つしかないのだろう。心に浮かんできた言葉を声に出して言う。
「いってきます。」
「いってらっしゃい。」
言葉が交差し、同時に発声したために、お互いの声がごっちゃになったが、神様の呆ける顔を見れただけでも、よしとしようか。
そして、目の前の視界が暗転し、ちょっとした浮遊感のあと、青い空が広がる青い海の上に立っていた。
「ここは?『ユーレ』さんの神界かな。」
そう言って周りを見回していると、ちょうど後ろの位置から、ガラスの破砕音が鳴り響いた。
後ろにいましたか......
クルッと蛍光色の髪を尻尾のように振り、遠心力で黒いワンピースが浮かないように注意しつつ、後ろを振り返りました。
「あ、どうも、私は......」
「っ!シュレッ......あの、ショタ神!!いい、アンタはちゃんと送ってあげるでも、絶対に人間はダメ、それだけはダメ、アンタはーーー。」
ショートカットで、髪色も、目も、マリンブルーの鮮やかな色彩。
しかし、足元に散らばった青いガラス、元はコップだろう。
踏みつけてパキパキと破砕音がなるのも気にしない振るまい。
地団駄を踏み、こちらの両肩を掴み、目線を合わす位置までしゃがむユーレの身長は、長身で、スレンダーと言うわけではなく、しっかりと、出るところはちゃんと出てしまるところはしっかりしまっている彼女はまさしく、女神と形容できると思った。顔と顔が30cmくらいの近さに驚きつつも、疑問に思った。なぜなら、その美しい顔から、何かを押さえて、苦しそうで、悔しそうな彼女の顔があったからだ。
どうして、そんなに辛そうな顔をしているのか聞こうとしましたが、肩に込められる強い力にビクッとなって、声が出せません。
ショートカットの髪から覗くマリンブルーの青い目がこちらを射ぬく。
「アンタのーーー核は、なにがんでも穢れーーー。」
言ってる言葉すらわけがわからず聞き取れません。
ただ解ったのは、転生先は人ではないようです。
Oh......
少し残念ですが......それもまたいい経験でしょうね。
わ、ワクワクします。
そして、即座に視界が暗転した。
ユーレさんは何を焦っていたのか気になりますが、神に易々と会えるわけじゃないので切り替えることにします。
いざ、行かん!私の内包する魔法を楽園にするためにーーー。
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真っ白い空間に鳴り響く破砕音。
音は下からのようで、割れた亀裂が床に入っており、そこから青い水が溢れてきた。
白い椅子に座ったままの少年は、目線を向けることなく、入ってきたであろう人物に声を掛ける。
どうやら少年には、こうなることがわかっていたような雰囲気を醸し出していた。
「やぁ、ユーレ......ずいぶんなご挨拶だね。」
「はっ白々しいのよ!アンタ......で、来た理由はわかってるんでしょ?」
そういったのは、マリンブルーの髪と目を持つ美女だ。しかし、表情はイライラした様子が見てとれる。
ユーレが真っ白い空間を少年の方に向かって歩くと、それに合わせて真っ白だった空間に侵食するように青色が広がった。
「人の神界を我が物顔で歩くのは感心しないよ。」
侵食している青色を嫌そうに見てそう呟く。
「う、悪かったわよ......でも、話なさいよね。」
そう言われ、ユーレはたじろぎつつも、目的は忘れてはいなかった。
そう、先程自分が転生させた人物についてだ。ユーレは彼女を知っている。
でも、ユーレが知っている彼女は、1200年前に居なくなったはずだ。
はじめは、引きこもりの彼が、誰か一人に関わるなんて考えられなかったから、どんな魂なのか気になっただけなのに
まさか、あの子だったとは信じられなかったし、詳しく話を聞く前に、強制的に転生させてしまったことに、少なからず罪悪感を覚える。
そんな葛藤を知ってか知らずか、少年は割れた床を跡形もなく消し去り、優しく語りかけるように言った。
「とりあえず、座ったらどうだい?この話は長くなるよ。」
そう促されて、ユーレは少年の正面の真っ白いテーブルに、向かい合うように座った。
座った椅子は、数秒で色を変え、ユーレと同じマリンブルーではなく、みず色になり、テーブルの上には、どこからか取り出したのか、目の前にコップがおかれていた。
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異世界ユーレリーゼ.......
剣と魔法の世界。
転生してもらったんですが、困ったことに周りが見えません。
さて、もしや、目がない生物なのでは?と思いますが、体まで動かないとなると、不安になってきますね。
でも、なぜでしょうか......なぜか動けないことを、不快に感じることはありません。
どちらかと言うと、落ち着きます。
ポカポカして、気持ちいい限りです。
こんなときは眠りましょうか?眠っても私には、庭園の剪定とか、土台作りとか、やることは一杯なのです。
今はまだ、この場所にいさせてもらいましょう。
そんなことを考える彼女の現在地は、4つの大陸からなるユーレリーゼにおいて、南にある『サーセルブ大陸』の大都市の一つ、『コンクレント湖上都市』......のすぐそばの『魔性の森』の地面に潜っていた。
いや、どちらかと言われると植えられていた。
といえる。