湖底魔皇城《改編版》
「それではこちらが......お客様の部屋になります。」
「ゆーくりしていってーくださいねー。」
「え?は、はい。」
目の前で、両開きの扉を開けている二人のメイドさんが指し示す先には、豪華な飾り付けがされていた部屋だった。
メイドさんは、私を部屋に案内すると、入り口の扉の前で一礼してから去っていった。
さて、今現在豪華な部屋に案内されちゃってる私ですけど、拉致されて連れてこられたのに、この待遇にビックリしっぱなしです。
城の中はちゃんと息ができるようになっているようです。
城の城壁を囲うように半円形上に、空気・水・光など、生活に必要な空間が確立されていました。何故か空気は澄んでるし、案内された時に城の中央庭園では色とりどりの花が植えられていました。なんだか地上と変わらない気がしてきました。
私を魔法で拉致したレーさんは、本名をレーゼンと言うそうで、レーゼンさんが、お嬢様またはお姫様だと言うことが分かりました。
そのレーゼンさんは、出迎えに来てくれた黒と白のメイド服を来ている人達に私を紹介してくれました。
まぁ、片手で獲物のように持ち上げられていましたけどね。ははっ。
今は下ろされて手を繋いでいました。
一番始めに出迎えてくれた、銀髪のメイドさんが連絡を取ってくれたようです。
連絡の仕方は念話みたいでこちらには聞こえませんでした。
植物間ネットワークに通じるところを感じました。
しばらくして、沢山のメイドさんに囲まれてました。内心ドキドキです。
「とりあえず今集まれるだけ集めましたが、まお「レーゼン」さ......レーゼン様何かご用が?」
「......この子紹介。」
そう言ってキョロキョロと周りを見回す私を再び万歳させて持ち上げられました。
てか、このメイドさん達、こっちに集まるときに気づいてましたよね?私に......
チラッとメイドさんを見たときに、初めて名乗った時のレーゼンさん張りの顔をしていた人が、数人はいましたけど......マンドラゴラの即死誘発型って気づかれたかと思いドキドキしてしまいました。レーゼンさんみたく勘違いしてくれれば......
そう思い自己紹介をしました。
「あ、その私は、そ、想天花のアンと言います。」
そう名乗ったら、今度はメイドさん全員が驚いた顔をしたんですけど......なぜでしょうか?
「......ね?......わたしと同じ部屋に案「ま......レーゼン様、詳しくお話が聞きたいので少しお時間を頂きたいのですけど」」
「ねーねー、本物ー?さわってもいいのー」
キリッとした銀髪のメイドさんはレーゼンさんの肩を両手で掴み捲し立てていた。そんな様子にレーゼンさんは表情を変えず坦々としてました。
そして、銀髪のメイドさんの後ろからひょっこりと黒髪の女性がこちらを覗いていました。
他にも数名のメイドさんが近くにいるように感じますが、銀髪のメイドさんが私を挟んでレーゼンさんを掴んでいるので、周りがよく見えません。
「とりあえずレーゼン様、彼女を放していただいても?」
「......わたしと同じ部屋。」
「それはありえません。」
「じゃあ嫌。」
銀髪のメイドさんが私が宙吊りにされていることに気づいたのか、レーゼンさんに言ってくれた。
レーゼンさんとメイドさんが何か不穏な空気を醸し出していますが!?
挟まれる私のことも考えてほしい。
「ねー、えーと今はー、アンさまってー言った方がいいのかなー」
銀髪メイドさんとレーゼンさんがにらみ合いから一転、私を下ろそうと手を伸ばす銀髪メイドさんと、それを私を掴んだ逆の手で叩き妨害する行為が繰り返されている中、先程からひょっこりとこちらを覗き込んでいた黒髪のメイドさんが話しかけてきた。
「っ、いい加減にその頑固な性格を治したらどうなの!?」
「......頭が固いのはそっち。」
そんな罵りあいがされていますが、私に込める力がだんだん強くなってますよ!レーゼンさん!!そろそろ手の感覚が麻痺しそうなんですが。
「そうですよ、アンです!花の精霊です。」
キリッとした顔を作り、万歳状態でカッコがつかないが、なんとか真剣身を出してみました。
「えー、それは知ってるよー。」
苦笑いをされてしまいましたが......信じてくれるみたいです。
ですが、精霊って疑わないんですか?
初対面の人を城に上げる時には、身元をしっかりしとかないと寝首をかかれますよ。
そんな辛辣なことを思っていた。
「ご主人様。」「ご主人!」「まおーさま。」「......ロリ化プ。」
他のメイドさんのつぶやきが聞こえましたが、二人明らかに変に呼んでません?
そもそも、貴女達の御主人様はレーゼンさんでしょ!私じゃありませんよ。
「えっと、できればお客様扱いでお願いしたいのですけど。」
「「「......え?」」」
そう発言したら、メイドさんたちは唖然とした顔をして固まってしまった。
唯一、動いているのは未だに頭上でやりあっている二人だけだ。
そのあと、決着がつくまでの数秒間、変な空気が流れたが、もしかして、お客として扱えって、すごく失礼なこと言ったんじゃないかな?そう考えていた。
銀髪のメイドさんと黒髪のメイドさんが部屋に案内してくれたけど......これがお客様用?ありえない豪華さなんだけど......なんか一番良い部屋に通された気がするんですけど、城の真ん中の塔の天辺付近とかさ、なんか一番偉い人用じゃないの?
前世の物語の中では、王さまとか、住む場所じゃないのかな?
でも、ここは異世界だし、あっちとちがうかもしれないよね!
そう考えることにした。
そして、私がここに来るまでに、なぜ逃げなかったのかって?
ははっバカを言っちゃ行けません。
今逃げても、泳げない私......浮かない私では地上を目指すことはできないのです。連れてこられるときに、見える城の大きさからそんなに深くないだろうと思っていましたが、それは全くの勘違い!城デカイよ!?城まで着いて見上げたらだいたい地上まで、城から300mくらいありそうですね。あと、この水底を魔法を身に付け歩いていくことも考えましたけど、それはこんな真っ暗な夜の時間で行うことではないことと、いまだに魔法について詳しく知らない私が初級魔法を習得するのに相手がいないことがあげられます。
ここに連れてきたレーゼンさんに聞いたら即座にバレそうですし、その使用人に聞いても報告されるだけです......諦めました。
つまりーーー。
「とりあえずここで厄介になりつつ、地上に行くときに連れていってもらって、その後に逃げるしかないですね。」
豪華な部屋の窓際で上を向き、真っ黒な夜空の水底で、たくさんいる発光している水性生物が描く、神秘的な光景に心奪われつつも声を漏らす。
城は各所に照明みたいなものが設置されており、外が完全に闇に包まれることはないだろう。
また、城の四方にある塔からは灯台のように、くるくると周りに向けて光を発していた。
外の不思議な光景に目を奪われていたために、その光を追いかけたとき中央庭園が映し出された。
今自分が居る部屋から丁度真下に見える中央庭園は、中央の丸い花壇とそれから花びらのように広がる6つの花壇の形をしていた。
「へぇー、花壇ごとに綺麗に色分けされてるわ。」
6色に分かれ、全体で大きな花を模した作りに、私も自分の庭園をそんな風にいじってみたいと感じていた。
この部屋を色々と物色して、見たことがないモノにウキウキしっぱなしで、あっちこっちをさわったりして、1時間くらい満喫していたら眠くなってきた。
うとうとしていると、部屋のノックがされ声が聞こえた。
「失礼します。夕食のご用意が出来ましたので食堂まで案内をさせていただいても?」
「夕食!!まともな食事!?行きます行きます!」
その誘いに眠気も霧散して扉を勢いよく開ける。
そこには、銀髪のメイドさんが扉から少し離れて立っていた。
私は突然開けたのによくぶつからなかったな、この人すごいなと思いました。
「ご、ごめんなさい......」
「いえ、いつもの事でしたので。」
そういって微笑むメイドさん。
「?」
「こちらですよ。」
メイドさんは不思議なことをいっていたけど、それよりも異世界ご飯!初です!!楽しみすぎます。
そうして、銀髪のメイドさんのあとをついていった。
因みに、どうやらここはさっきみたいに動いても、魔力が全く減らないみたいなので、後で【制限】を解除しようと思った。




