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魔法想花の小さな庭園  作者: 流水一
2章ー発芽1日目ー
10/105

パーティーの規格外《改編版》

地面を揺らす、爆発の衝撃......ざわざわと魔性の森が木霊する。


「今の音......結構近いニャ。」


(はっ、周りの植物が煩いわけだな。)


「......周りの植物達って『てやんでー』『あたぼーよ』しか言ってませんよ?」


「どの草ニャ!面白いニャ。」


(ちげーよ!そいつじゃねーよ!?兄弟ェが聴いてんのは、足元のヒビナリネの声だぞ。)


そんな会話をしつつ、私も本当かどうか知りたかったので、フリードさんが聴こえるという所まで行きました。

そこで、足元にある草花が言うには、


東側から空を飛ぶ島が近づいてきて、そこから降りてきた高濃度の魔力を持った人物3人が、それぞれに森を分かれて進んでいる。


と言うものでした。

これは、私が要約して得た情報ですよ。実際の話している言葉はこうです。


『しまがーしまがー』『浮いてる浮いてる』『東の空西の空?』『ひがしししー』『ばるすー』『キタキタキタ』『ひとひっとー』『三人?サンペーイ』『こんぺーい』『うぇーい』『おおきいー』『濃い味ー』『みそ!』『ひとー』『こわいやつとたたかってるー』『角付きのまじゅー』『ひとりー』『どっかーん』ーーー。


と、まぁ、このあとも続きますが......略します。

植物の情報通りなら、三人いるみたいですが、勇者って話はありませんでした。

フリードさん曰く、普通の植物が感じ取れる力で、勇者かどうか理解できることはない。

ということで、この子達がいう人物がミャオさんのいう勇者かはわかりませんが、とりあえず、高い魔力から勇者(仮)の警戒は怠らずにしようと思いました。


「ん?......またニャ。」


「おお、綺麗です!!」


少ししてから左側で、巨大な火柱とワンサイズ小さい水柱がぶつかり、魔性の森を揺るがす振動と、破壊を撒き散らす大きな音を響かせました。

段々と近づいている気がしてきました。

ミャオさんは周りを警戒し、音があった方に感覚を集中させているのか、ネコミミがピクピク動いていました。触りたいです......

フリードさんは魔力温存のため念話にしたっぽいですけど、念話だとMPが減らないみたいと言っていましたが、実際自分で発声するより魔法の力を使ってる気がするんですけど......気にしたらダメですか?くっ、そんなこと聞いたらまた吊るされそうな気がします。なんか、良いように教育?いや、調教されかかっていますよ私!!屈しませんよ!けして!それにしても......


「あの火柱を上げたのが勇者ですか......スゴい強そうですね。」


「(......)」


私がキラキラした目で勇者っていう甘美な響きがする存在にどんな人なのか思いを馳せていたら、近くにいるミャオさんが、私の呟いた言葉に気の毒そうな視線を送りました。


「勇者は......水柱の方ニャ。」


「へ?」


唖然とする私は、またしても同じ方向での魔法のぶつかり合いを見た。今度はここから100mも離れていなさそうです。

やはり、見間違いではなかったみたいですね。

巨大な火柱が申し訳程度の水柱と氷柱を一瞬で飲み込み、数mは余力で削っていきます。

しかも、今度は氷の柱が現れたので、テンションが上がります。

氷の魔法の使い手もいるんですか!?

そして、2つの魔法をモノともしない強力な火の魔法は森を破壊していきます。

驚くとこに、火柱の癖に森に燃え移ってはいませんでした。

木はバキバキ折れる音がするのに火の手が上がらないとは......ファンタジーです。

魔法の炎は指定対象を自由に焼却できるのでしょうか?


(おい、なんかこっちに来そうだな......)


「とりあえずはじっとしておくニャ。」


ミャオさんに抱えられた、フリードさんの声を通訳して、ミャオさんとの会話を成り立たせていました。

フリードさん自分で喋ろうよ......

今私がいる小川の近くでは、周りの木々が少し開けたようになっていて周辺を警戒するのに適していました。

どこからでも対処できるように3人?で火柱が上がった方を眺めながらミャオさんの言った「勇者は水柱」発言から勇者について何か知っているのじゃないかと思いました。


「ミャオさんはここに来た勇者を目撃してるんですか?」


「実はギルたちに会う前に見つけたニャ。」


「そういえば、私と戦っている時も今火柱が上がっている東側をチラチラ見てましたね。」


「う、気になって仕方なかったのニャ。」


そういうミャオさんは、がっくりと肩を落としつつ、気になる原因と、ここまで来るまでに何があったのか教えて貰いました。

因みにフリードさんは、ファンシーな鉢植えにすっぽりと入ったまま、ミャオさんが肩から下げてくれました。長身のミャオさんが下げると、今まで下にいたフリードさんが私の目線の高さくらいの位置でミャオさんの動きに合わせて揺れていました。

さらには、念話もせずに静かにしていました。


「なるほど、つまり......その、フリードさんが行方不明になった時期とフルエンク空中都市が、魔性の森近くまで来ていた時期と重なっていて、フルエンクからの新たに召喚された勇者と戦闘を行っているんじゃないか?と思ったために、援護と救援をかねてパーティーメンバーで来たら、先に勇者に遭遇しちゃった!てへぺろ......てわけですね。」


「だから、ギルフォードニャ!あと、てへぺろってなんニャ!イラッとするからやめるニャ。」


じょ、冗談じゃないですか......そんな殺気を込めてこっちを睨まないでください。ネコミミおねーさん!!

あと、ギルフォードって呼ぶのは生理的に嫌です。なぜでしょうか?


三度目の火柱が上がった時にはその大きさが直径5mくらいあるようにみえました。また高さも15mくらいあって見上げると、オレンジ色をした炎の渦が高速回転して辺りの風も熱をもっており、まだ、私がいる所からは肌にあたたかい風を感じる距離まで近づいていました。


「あの......メンバーは何人くらいで来たんですか?」


「『リストリア』のメンバー全員だニャ......私と、レイシス、銀、コーラル、エル、アール、あと......」


リストリアっていう、パーティー名なんですね!あと、そこにフリードさんが入って、7人ですか?


そう結論づけようとしたら、指を再び上がる火柱に向けて言いました。


「私と途中まで一緒だったリラの7人で捜索してたニャ!」


(ちくしょう!やっぱりアイツか!こんな姿見つかりたくねーよ!?)


どうやら、今は相当会いたくない人物のようですね......まさか?フリードさんの弱点発見ですか!?

来ましたよコレ!それにしても、『リストリア』の人達はスゴい人ばかりですね。いまだにまともに話をしたのは、この二人しかいませんが、ミャオさんもさっきの戦いで最後の動きは本気でしかも、見る限り手加減しているっぽかったですし、相当な実力集団なのでしょうか?


戦闘を行っているリラと言われている人物とフルエンクの勇者達の声が、聞き取れるくらいの距離まで来たみたいです。どちらかと言うと叫んでいるような......


「ちょっと、聞いてないぞ!バグだろこれ、これなんてクソゲー!!【アイス・シールド】」


「うはっ、これはすごいな、僕たちを召喚したフルエンクの掲げる傲慢な主義もちょっと賛成したくなってきたかもなっと!【ウォーター・ストーム】」


「はっはっは!最近の勇者は質が落ちたわ!ええ、まったくよ!それで魔皇に挑むの?バカなの?死ぬの?」


「殲滅......照準完了、使用魔法......履歴より短縮構築、術式【フレイム・タワー】」


そんな声が聞こえてきたと同時に、巨大な火柱が10m四方の氷の盾にぶつかり、破砕音が響き、術者に迫らんとする炎を水の竜巻が押し返そうとするが、炎の軌道がそれただけのように見えた。


いまだに戦闘行っている人たちの姿は見えませんが、召喚発言を聞く限り勇者のようですね。


「さて、ここにいると何時巻き込まれるか分かったもんじゃないニャ!下がるニャ。」


(やばい、やばいって、俺がリラに連絡せず、このアホ花と一緒にいるなんて知られたくねーよ!言い訳をーーー。)


「なんですか?アホ花って!」


「こ、こら!やめるニャ!掴み掛かっても、状況は悪くなるだけニャ、ケンカは離れてからするニャ。」


掴み掛かろうとした私の黒いワンピースの襟元を掴み空中に浮かせられてしまいました。もう、なんていうのかな、ちょっと地面から離れただけでこの不安感......借りてきた猫のようにおとなしくなった私を脇に抱え、反対には肩から下げた鉢植えを垂らして、今までいた小川から深い森の中に入っていきました。


知ってますか?私の服って、私の魔力粒子で出来てるんですよ......スゴいですよね?地面潜っても汚れない優れものなんですよ。

耐久性も抜群です。

でも、お高いんでしょう?

大丈夫!

なんと私から勝手に漏れ出る粒子で構築されるのでプライスレスです。

あはは、うふふ......別に体が地面着いてないからって不安で震えてることから逃避してる訳じゃないですヨ?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「やべーな、これがアップデートの追加か、もうリアルすぎね?ゲームだろこれ。」


「いい加減に現実をみたらどうだい?本当に平行世界から来た勇者なのか疑問に思うよ。」


「はぁ、勇者とか、イタタタタだぜ!?だから、VR(ヴァーチャル・リアリティ)機能だろ。ロール(役作り)プレイ乙。」


そんなことを言いながら、こちらに飛んでくる炎弾(えんだん)の魔法を、氷の盾で相殺したり、水の分身をつくって攪乱したりしていたが、それでも防げなくなると、

氷の魔法を使っていた人物は、手に持っているラウンドシールドで防いだり、片刃の直剣で弾いたりしており、水の魔法を使った人物は、盾や剣の類いは持っていないが、代わりの身長ほどの大きさの杖を体の腰元で浮かべ、自らの周りに魔法で出来た4層の幕の中で耐えていた。


そんな様子を炎の弾丸を打ち出しつつ観察していたリラ・ギュケルは、一方的な展開なのに、二人がなぜ余裕そうか分からず、不機嫌を顕にしていた。


「たしかに、本気で戦ってはいないわ......あっちは結構本気っぽいけど、私は3割も出してないもん!」


でも、なんだろうあの余裕、それに攻撃が通じないと見るや、時間稼ぎのようなことばかり......まるで、何かを待っているようなーーー。


「!警告っ......【爆炎の(エクスプロージョン・クロス)】を緊急発動!!」


そんな、相棒の火の玉が赤色から白色に成り変わり、自分の白い服が炎の紋様を描き、紅色の発光を繰り返す。


そして、直後背後から何かが思いきりぶつかり、巨大な爆発音を鳴らす。

この爆発の衝撃で前に飛ばされるが、この爆炎の衣は自分へのダメージはけして入らない。そして、当然爆破の衝撃は自分にぶつかってきた存在にもダメージを与えることができる。


リラは後ろを何気なく振り返った。


「強襲とかいい度胸じゃない......効かなかったけど、効かなかったんですけど、焼き付くしてあげるわ!」


「痛っ、それはさすがに予想外かな。」


リラを後ろから攻撃したのはどうやら、目の前の時間稼ぎしていた新米勇者のお仲間らしい。


しかし、ほか二人が待ってましたと言わんばかりの、空気の変化にリラは警戒を最大にする。なぜなら、スキル【爆炎の衣】は、本来爆破エネルギーを攻撃者のみに向けて放たれるものであるが、リラ自身はダメージを受けなかったが、爆破エネルギーを返され衝撃が自分に向かったことから、本能で要注意と感じていたからだ。


「さっすが、やるね!ルミナス。」


「いや、本当に助かった。このままでは23分で魔力が切れていたよ。」


「感謝は別にいいかな......ここでのレベル上げ?は辞めた方がいいかな。」


「なにいってんだよ、レベルがねーと【魔王】に勝てねーじゃん?コツコツが大事なんだよ。」


「ふーん、でもさ、さっき魔獣を刈ったけどレベルどころか経験値なんて貰えたのかな?カードには出てこないけど?」


「君たちはちゃんと聞いてたのかな?遊びでやっても、魂の糧にはならないって司祭様が言ったじゃない。とりあえず、ここは......退くことがベストかな。」


言葉を交わしつつこちらを警戒していた3人の勇者は、最後に来た黒くて綺麗な長い髪をもつ少女がいることで、最初からいる2人は安心感が増しているらしい、結構饒舌だった。


この会話がされているときに、リラは動かなかった。

リラは最初の2人は、今まであった勇者で考えると新米レベルくらいに感じたが、後から来た黒髪の同性としても美人だと思う容姿の18くらいの少女は明らかに、雰囲気や感じる気配が新米とは思えない実力を持っていることを醸し出していた。

故に、黒髪の少女以外に今は興味なかった。ギルを探しに来たが、それよりも約束が大事だ。

勇者と会ったら一戦交えること。

それが、1000年前に仕えた今は亡き魔皇による幹部へのお願いでもあったし、何より、【爆炎の衣】の爆破エネルギーを返されたのが気に食わなかったりする。


「わかったよ......そもそも、僕は傲慢な理想を並べるフルエンクの上層部にはヘドが出るけど、君が言うなら従おう。行くよ、宮橋くん」


「ああ、くっそ、もうちょい分かりやすいシステムでもいいんじゃねーの!?このゲームハードすぎんだろ。」


「「転移フルエンク商業地区」」


バシュッーーー。


そんな音と共に、目付きが悪そうな剣に盾をもつ少年と、眼鏡を掛け、前髪の一部が青く染まっている黒と青のオッドアイの少年がその場からかっ消えていった。


数秒お互いに動かず沈黙してから、目の前のルミナスと呼ばれた少女が、リラの周りをクルクル旋回する白色の火の玉にも警戒を払いながら、問いかけてきた。


「えっと、もしかしてアナタが魔王......いや、魔皇だったりしますか?」


丁寧に話す彼女は、何を感じ取ったのかは解らないが、警戒しつつ相手の情報を引き出そうとしてみた。


「ざんねん!ハズレね、残念賞もでないわ。でも、私とここコンクレントにいる魔皇は同じ実力なのよ!」


さぁ、目的はやはり魔王なのか、それともコンクレントに攻め込むことか......どう答える?


少し考えたそぶりを見せた少女は、リラをチラッと見て頷いた。


「うん、司祭様や上層部の人達は異種族をこの大陸から追い出すための足掛かりとして、魔皇と魔王を討って欲しいって言われたけど、実際は外敵って魔獣のことじゃないかなって気がしてたんだ。」


「だから?なんなわけ」


「異種族を滅ぼすことは私はしないかな、たぶん、そうなる前にフルエンクを沈めるかな。」


話す少女の目に何か影が宿った気がした。


「じゃあ、なんで、ここまで来たの?私のパーティーメンバーの猫耳トラップバスターがアンタ達の会話を聞いた限りじゃ、純人を掲げるフルエンクにここで生まれた魔物を持ち帰ろうとしていたようだけど......目的の魔物はいたの?」


その言葉で、少女の肩が跳ねるのを見た。


「そうなの.....だって、こっちにいるかもしれないって、言われて......だから、魔皇は長生きだから何か知ってるかもしれないから!でも、ここで懐かしい匂いがして、でも居ないんじゃ気のせいかなって......」


そういう少女は俯き、警戒心も霧散して、ただただ、駄々を捏ねる子供のように思えてならなかった。見た目はリラより大人だが、経験した年数が段違いだ。


「そう、意外に私も長生きだけど、もし、フルエンクの上層部を説得できるなら、よくわからないけど答えて上げてもいいわ!優しいわね私!」


ガバッと顔を上げた少女の目には涙が溜まっていたのを見てしまい少したじろいでしまった。


「本当ですか?」


「え、ええ、いいわ」


それでは、と前置きして言った。


「特徴は......わかりません、あっちじゃ死んじゃったから......でも、もしかしたら」


「死んだ?転生者?それが魔物?あるのかしら......」


「その可能性は低いですけど......『アズマ』が変わってしまっているかもしれないって言ってましたし。」


「あぁん!なんなの?ハッキリ言えないの?ばかなの?」


そう攻め立ててしまったリラは、ハッとして勇者を見たが、勇者は覚悟を決めた雰囲気で最後の希望にすがるように言った。

それが、リラにとって聞き捨てならない情報が含まれていた。


「頭に6色の花の髪飾りをつけた黄色髪の少女ーーー。」


「は?アンタ何モン?」


1000年たった今こんなに心を揺るがす言葉があろうか......しかも、それが、転移してきた人物からもとらされるとは思っていなかった。


私の理想で、私の家族のような存在で、会いたくて、会いたくて、待ち続けて......


知っている存在に出会えて嬉しそうにする黒髪の勇者には悪いが、こっちはそれどころではない、『いずれまた会えるから』そんな言葉を心の何処かで頼りにして、長い時を生きてきたが、まさか別の世界に行っているとは考えていなかった。

まぁでも、あの人ならあり得るか、いずれ戻ってくるようだし......いや、まて、待ちなさいよ。

会話を思い出して......『あっちで亡くなった。』死んだの?あっちの世界で?なんで?


「ねぇ、私からも聞きたいんだけど、その子......なんで死んだの?」


「っ......私の......せいで、頭を......ふっとばッ!!」


「そう......じゃあ、アナタも吹っ飛ばして上げるわ!!魂すら粉々に!!」


「っつ!?」


どうして、どうして!ねぇ!?なんで、アナタは生きてるの?

あの人はなんで、転生してまで『人』に裏切られるの!?世界を変えてもそんなことばかりなの?

それで、こんどはこっちに転生してきたからって、一度あの人を不幸にしたアナタが近づくことを私が許すとでも?


「死んで償いなさい......いえ、アナタの償いなんて要らないかもしれないわ、だってずっと裏切ってきて『人』じゃないアナタ」


リラに指摘されたことで動きを止めた目の前の勇者に躊躇いなく攻撃する。


「痛っ.....くっ!!」


荒れ狂う感情を黒い炎に載せて赴くままに暴れまわる。周りは森であった原型を留めていない。

今まで、火が木に燃え移らなかったのが、黒い炎は木に燃え移るようだ。ただそれは焼け落ちるような音ではなく、万力か何かで、ミシミシ、バキバキと砕かれ、最終的には全方位に黒い炎と一緒に爆散した。全方位に散った炎は瞬く間に木に移り肥大化して、爆散を繰り返す。

もはや、逃げ場はありはしないはずなのに、勇者はいまだにそこにたっていた。


でも、ダメージは受けたらしいが軽傷で、即座に回復してしまった。魔法を使った魔力反応がないことから、何かしらのスキルだろう。


リラはそんないまだに生きている少女に向かって眼を向ける。

さっき言ったことg嘘かどうかはわからないが、のうのうと生きるこいつは私が......


「死ね!害悪。」


「【三大封印(フォビドゥン)】第一封印解除......封印スキル【焔眼(えんがん)】開放!......開眼。」


リラの周りを浮遊する火の玉が巨大な封印の一段階目を外し、真っ赤に燃える火の玉がまぶたを開けるように開いてきてパッチリとした眼球を顕にする。瞳は燃えるような紅い色だった。


数ある【魔眼】スキルの中での凶悪性はトップクラスである【焔眼】スキル。

見たところに火をつける明確なわかりやすさ。そしてタイムラグが全く起きない有用性。

発火させてから全部を燃やすまでに時間は掛かる難点。

どこにでもありそうな【魔眼】だと思う。

ただ、見たものの命に火をつけるとしたらどうだろうか。

草でも人でも、虫でも、命があるものに発火できる驚異的な力。

生命力が多ければ助かるわけではない。生命力は燃える燃料であり、油と一緒だ、あればあるほど燃える。

多ければ多いほど魂を焼かれる苦痛が増大してもがき苦しめることになる。

最大の禁忌は命に火がついたら消す手段は死ぬ意外に基本的にないことだ。


そんな、目で見つめられた黒髪の少女はーーー。


「凶悪なスキルかな。これが本気とは......」


申し訳なさそうな顔をしながら平然と立っていた。


「な!?」


「あと、言い訳にしかなりませんけど、私は私を捨ててでも逃げることを「だまれ!聞きたくない!」」


そう叫び、ならば、木に乗り移っている黒い炎で、そう思い、行動しようとしたら。


「星天の浄化魔法【セイクリッド・ウル・クリア】」


今まで、猛威を振るっていた黒い炎も、破壊のあとも何もかもが破壊される前に戻されていた。

時間を戻したように見えるこの現象は、最上位の浄化魔法だ。これを使えることが新しく呼ばれた筈の勇者の所業なのか?


リラが感じていた暗い感情さえも押し流されてしまったかのように、心がスッキリしていた。だが、少女に視線を送ると殺意が戻ってきた。

それを感じたのか。黒い髪の勇者は一言残し転移していた。


「今のアナタの前ではさすがの私も聞けるとは思ってないかな。いずれまた。」


リラは心を落ち着けるように深呼吸をし、目の前の人物が早く消えることを願った。


バシュッーーー。


その音を聞いて、ホッと息を吐く。


リラは、元に戻された破壊のあとに、少女の実力を結局図ることができず悔しい思いをしたがとりあえず、ギルに会いに行くことにした。


「ギルちゃんは何を見つけたのかしら?」















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