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魔法想花の小さな庭園  作者: 流水一
1章ー0日目ー
1/105

プロローグ≪改編版≫

現在改編作業中です。改編後がすべて載せきれたら元にあった原文を削除します。矛盾点が多く、要らないところを削っています。

お手数お掛けしますが内容は全く換わりませんので気にしないでお待ちください。

やぁ!はじめまして......と言っておこうかな?


・・・・・・


うーん、ぼんやりしてるのかい? それはしかたないね......


・・・・・・


ボクは長い時間、あれこれと傍観してきたけど、6000年を越えると飽きてきてしまってね、いや~困った困った。


・・・・・・


取引をしようか......実はね......


・・・・・・


え、ダメかい......こまったなぁ~。


・・・・・・


ふむ、でもそれは今のキミではなくなるってことだよ?いくらキミでも......


・・・・・・


うぅ~ん、じゃ、賭けてみるかな......ちゃんと分けることはできないからね。完全に同一化してるしさすがの僕も......


・・・・・・


上手くいったかな?結果しだいかな。


・・・・・・


逝くのかい?起きるまで待てばいいのに。


・・・・・・


はいはい、では、良き輪廻へ。


・・・・・・


キミが『また』起きたとしても、似たような話をするだろうけど、今度はどうなるんだろうね。





何もない真っ白な空間。空間と呼ぶには壮大で、遥か彼方まで広がる景色。けれども、どこまでいったとしても、


そこに映されるのはーーー『白一色』


それ以外に何もない。


ただ、あるのは、そんな世界に不自然のように存在する一人の少年。年の頃は12歳くらいで、変声期を迎えていない子供特有の高い声。

その声は、少し楽しそうでいて......語り掛ける相手に言い聞かせるような優しさが感じ取れる気がする。

語りかけられた相手は、当然その空間にいる。


その相手が、少年の前に、浮遊する黄緑色の点滅を繰り返す、火の玉に見えるなにかだとしても。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「あつい......アイスたべたい」


山の中を歩く自分はひとつ考えを巡らす。なぜ、人が来そうもない山の中を歩いているのだろうと、


「......帰るか」


「いやいやいや!なにいってるのかな?あと200mもないよ!!」


後ろに方向転換して歩き出そうとしたら、前を歩いていた人物に背負っているリュックを引っ張られてしまった。

HA・NA・SE!!

体力を暑さと山道でガリガリ削っていく現状に抵抗する気も失せるというものだ。大人しく向き直るが......一言言わせてくれ!


「山道の200mって自分にとっては少しじゃないんですけど......大体、道って言うけどあれだよ?」


文句を言いながら目線の先にあるのは、片側が岩肌で、道幅は1mあるかどうか、反対側は当然......


「どこが道?これ道?いえ崖です!正解!!」


暑さと目の前の光景に現実逃避をしながら叫ぶと、「正解~せいかい~いかい~かい~」と山びこが聴こえてくる。そんな自分の横にはいるのは、こちらをジト目で睨む幼馴染みの星光(ほしひかり) 六花(りっか)だ。

お互いの服装は遜色ないが、綺麗な長い黒髪を珍しくポニーテールにしている彼女は、学校中のアイドルでもあり、雑誌のモデルをやるほどの美人だ。さらに運動神経が抜群で、色々な運動部から勧誘なんかよくされているのを見かける。そんな彼女がなぜこんなところに一緒にいるのかと言うと......


「あんたが『星光家』が所有している管理領地にある巨大霊樹が見たいって言ったんじゃないのかな?」


うっ、確かにその通りだ。

さらに言うと、本来なら本家の人間以外は決して立ち入ることを許さない領地に、現当主からの計らいで、特別に『次期当主の護衛』という名目を貰い、入り込んでいるのです。護衛......か。


「ねぇ......思ったんだけどさ、護衛?ってなんだろうね」


「まぁ......私が言うのもなんだけど、うちの本職に見つかったら殺されそうなことをやらかしているのは否定しないかな......」


仕方がないじゃないか、こんなデンジャーなところだったとは思わなかったさ。この暑さだって正直どうってことない!

でも、ここはおかしい、この国にこんな法から逸脱していそうな場所なんかあるはずがない......

まああるんだけど......信じたくない。

六花がこんな話をふらなければ行かなかったね!くっそぅ、自分のロマンを求める心と見たことがない植物を見てみたい気持ちが止めれなかったんだ!!


両手をわなわなさせていると、背中の真ん中辺りまであるポニーテールを揺らし、肩を竦めていた六花が呆れながらに言った。


「いや、星光家の次期当主として霊樹までの道を覚えるため、って話をした途端に食い付いてくる方もどうかと思うかな」


「ぐっ、でも誰も入れない領地に入れてなおかつ、世界に両手で数えられるくらいしかない霊樹がここにあるんだよ!見て、みたい、じゃない、か!」




そんな話をしながら、崖の縁ギリギリを慎重に進む二人。


しかし、六花の足取りは軽く、1m未満の不規則に蛇行している所をスムーズに進んでいく。時折振り返り、こちらの様子を伺いつつ、先代当主達が遺した、崖に打ち付けられ固定されている杭とロープの調子を片手で確かめ、残る片手で、後ろで震えながら拙い足取りの連れの腰にガッチリ巻かれたロープの先端を握っていた。


六花は思う。なんか私が護衛をしてあげてるみたいになってるかな......




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


しばらくしてから、崖を渡りきった。その時の疲労感はひとたまりもないうえに、自分の身は自分で!!とか言っていたのが情けなくなる程、六花にフォローをしてもらってたことで精神的にポッキリいきそうになっていた。


「たっせいかん......そんなんない」


膝を抱えながらぶつぶつ言っていた。

そんな様子の自分に、今回、初めての道で、自分の命綱着けずに、こっちの命綱をにぎってくれていた、化けも......美少女の六花が呆れつつも生暖かい目を向けていた。


「しかたないかな、ここは星光家所有の管轄地であるし、人の出入りが極端に少ないから一般の人用には道が綺麗に整備されていないかな、また、霊樹の影響を受けた動植物が多いから、不測の事態を臨機応変に動ける能力が必要かな。」


「つまり......六花がハイスペック超人であって、自分は凡人だということでアンサー?」


「半分まで着いてこれただけでも非凡だと思うんだけど......」


「動物避けという名の初見殺しは間違いなく殺りにきてる気がするんだけど」


心音が落ち着くまで座り込み、隣で腰に手を当てる姿すら様になっている六花にここまでの道程の愚痴をこぼす。


「い、今のところ歴代で死人は出てないかな」


ちょっと思うところがあるのか苦笑いを返してきた。


まぁそれよりも...... 護衛要らなくね?むしろ護衛されてね?

今更ながら思うんだけどさ、


「六花、なんで現当主の五月(さつき)さんは、本家の人しか入ってはいけない最重要領地に入っていいとか言ったのかな?」


緩やかな坂が続くその先には、もう霊樹が見え隠れしていた。それを眺めながら立ち上がり移動する準備をする。

トラップ......いや、動物避けがなくなれば、のんびり周りの植生を観察することができる。せめて珍しい物はお持ち帰りしたい!!。


「っ、あ、あれだよ、私も半人前で、危険だから付き添いにってだけで......別に、それ以外は」


びくっとしたあと焦ったように話ながら反対側を向く六花を見て思う、


明らかに嘘をついていることは明白!!


いや、考えてみよう、半人前......これは分かる、まだ高校3年だからと言うよりは、五月さんを見るとまだまだって感じがするもんな、雰囲気とかなんかわからんけどわからんなりに違った。

いや、姉妹とか言われても疑われないくらい若いし、五月さんと六花そっくりだし、違うのは五月さんがショートなのに対して六花はロングていうくらいの髪の長さと、六花の胸元に視線を送るチラッとだよ!チラッと!六花はモデルをするほどだし、巨乳でも、貧乳でもない、バランスの取れた大きさで、確か、五月さんは......いや止めておこう、冷汗が止まんない。五月さんは天使!そうそれでいいはず!うんうん、

頷いていたら、ジト目でこちらを睨む六花が不機嫌そうに言う。


「もう2分くらいで着くんだけど何を考えていたのかな?母様のことかな」


「まさかのエスパー!!」


ふん、と鼻を鳴らし早足で行ってしまった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


迫るトラップをなんとかかわした今、思う。

最後は散々だったけど、こうして目的の巨大霊樹とそこに這えている珍しい植物を見られたんだから良しとしよう!


巨大霊樹はその名の通り、全体が大変大きく10m離れた所にいても木の天辺が見られないほどでキノコの傘に見えるほどボリュームもある。

ゲームなんかだと世界樹とか言われてそうではある。実際、世界に10本以内しかないから世界樹と言っても問題はないらしい。呼び方はここにあるのが、極東の世界樹、他は、西洋の世界樹なんてあるらしい。この霊樹には面白い現象がよく起こっておりその監視と管理を、『星光家』が代々行っているんだそうだ。

今回来たのは、星光家の次期当主である六花が霊樹までの道のりを覚えるのと同時に、霊樹の様子を見に来たに他ならない。


「でかすぎじゃないですか?この樹......」


「私もさっき初めて見たけど......すごいかな」


二人してポカンとしてしまうほどである。

お互い初めて霊樹を見たがこの樹の異常と言われてもすぐには分かるわけがないと思い、まずは上を見ながら幹に近づくことにした。

見上げると自分の身長を悠々と越える位置に枝が生い茂っており、日の光を遮り薄暗くさせていた。


「じゃあ、こっちから私は廻るかな」


と言い残し、巨大な幹を右側に周っていった。

それならばと左側を回ろうと進もうとしたとき、右側からなにかが倒れる音がしたそう、丁度人一人が地面に倒れ、下に貯まった枯れ葉にのし掛かるような......


「っ!くそっ、六花だいじょう......ぶか......」


急いで回り込み見た光景はあまりにも突然すぎて動けなかった。

倒れ伏して動かない六花。

六花の脇から流れたと思われる血が六花のしたの枯れ葉を黒く染める。

倒れる六花から5mくらいに立つ20代前半の黒い髪をオールバックにしている男。

男と六花の間に無造作に転がる大きな拳銃。


なんだ!なにが起こって、いやそれよりも六花を助けないと!!

パニクっているのか男の事と自らの危機は頭から抜けていた。六花に走って近づき抱き起こして状態を診る。


「六花!だいじょうぶ?いや、わかってる!弾っ、抜けてる......止血!!止血しないと!!」


六花の来ている上着は街中を歩くようなものではなく、自分と同じ機能性重視のアウトドアようの服で自分が着ていたことから簡単に脱がして止血することができた。その間、男は呆然としており動いていなかったが、六花が痛みのショックから意識を取り戻した。


「う、ん......ものすごく......いたい、かな」


止血は終わったがまだどうなるかわかったもんじゃない!


「ばか、じっとしてて!止血したけど救援呼べないの?」


とりあえず病院に連れていってちゃんとした処置をした方が最適だ。苦しそうにする六花はなんとか言葉を紡いだ。

しかし、六花の言葉に重ねるように別の低い男の声が聞こえた。


「安心したまえ、ここに来るように星光家の専用のヘリが近くにすぐ来る」


その言葉にホッとして六花の顔を見た。


「ああ、安心するといい、『六花』は助かるよ。君の処置が早かったからね」


「......」


なんでそんな顔をしているんだろう?冷汗が止まらない......


「だ、っつう!う、にげ、!て」


「いや、侵入者用のトラップのどれかに掛かるだろうと思ったんだけど君は六花に解除させてるしね」


六花が苦しそうにもがいて伝えてくれても、しょうがないんだよ、もう動くこともできない。

やばいやばいやばい!


「僕も焦ったよ。こうなれば直接下そうと行動するくらいにはね」


後頭部に当たる物凄く固い金属の塊。


「六花が僕をものすごい殺意の籠った眼で視るんだよ、いやー君は羨ましい限りだね」


後ろから聴こえる言葉に含まれる嫉妬と憎悪の感情。


「六花そんなに暴れると血が止まんなくなるよ。君がしっかり押さえててくれないと......ね」


こんな修羅場潜ったことないよ......


「大丈夫さ、痛いようにはならないように一発で決めよう」


死にたくない!


「僕は兄として何度も六花には忠告はしたんだよ」


でも、暴れる六花を抱き締めながらこの距離をうまく回避する運動神経なんかないし、


「でも、お母様まで君を認めているとなんて、僕としてビックリだ」


今、腕の中にいる六花を突き飛ばしてでも絶対に射たれそうだし、この人六花並みに運動神経いいんだよな......


「だから、この日を待ったんだ、この話を振ったのは僕だしね。この事が公になることはないだろう、どんなに妹がお母様に訴えてもそれは無理だ、目撃者がいないここでは......」


「自分のお家柄の関係上仕方ない出来事だから......てことですか?」


後ろにある拳銃に力が入っていることを感じる。


「ああ、君の家と僕の家は古くから関係があり敵対してきた。暗殺なんかも割とね、となると僕が、『君が『次期当主候補』を亡き者にしようとしたため仕方なかった』と言った方が信用されるだろう?」


「......悔しいけど、その通りです。そして自分の血族はもういませんので復讐の心配もない。でも、六花に恨まれますよ?」

(その通りだけど、自分が死んだあと、だいだい大好きな六花に嫌われちゃうかもしれないですよ?)


最後に少しでもやり返してやろう、そういう意味を込めて言った。


「......ふっ、まあ、それは君がいなくなってからでも何とかなりそうだけどね。」


くっそう、この自信はなんなんでしょうか全く、「君より僕の方が六花にとっては大切だろうからね」とか言いきっちゃって、このシスコン!ヤンデレ!呪われろ!ハゲロ!

しかし、状況が変わるわけもないか......


ポロポロと涙を流す六花、ゆっくりゆっくり手を伸ばす

その手が触れる前に......

六花に向かって泣き笑いのような顔を向ける。

(ごめんよ......六花、悲しむだろうけど、俺は六花にはーーーーー)


「必ず約束しよう!!星闇家現当主ー星闇(ほしやみ)ーーーーー」


最後の言葉すら聞こえず意識が昏倒した。

ちゃんと最後は笑えていただろうか?いやそんなことよりも、

六花はどうなったのだろうか?

あの変態はどうなったのか?

禿げたか!?

しかし、世界に数本しかない霊樹とその周りの植生が観察できたんだ......

もうすこし、霊樹を観察したかったな。もっと時間があれば......くっそ......


はぁーーもっと生きたかったなー



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



真っ白な空間。


見渡す限り、白一色......


はっ......ここは何処なんでしょうか?

いや......今何時?


パニックを起こし、体を動かそうとするが、動かないことに気がついた。

今度は体が動かないことに驚き、声を出したが、耳には自分が発した声が届かない。


「......」


さて、このどうしようもない悪夢はいつ覚めるのだろうか......そもそも、自分が住んでいた所には、こんな殺風景極まりない場所なんか無かった筈だ。どこもかしこも、白、白、白!!影すらも白で、識別不能だ。


気を取りなおし、改めてこの悪夢と向き合うとしようか!

ん?現実じゃないのかって?冗談キツよね!

だってーーー


「体がない......と言いたいのかな?」


そう!その通りですね。さっきからコッチをニコニコしながら見ているこの『将来はイケメン期待大!』な少年が答えてくれました。


「いやぁ......将来とか、もういつだよって感じだけどね」


少年は目の前で、綺麗な黒い髪を掻き苦笑いをしていた。

く、そんな姿も様になるなんて、これが、イケメン.....いや、ショタ.....もとい、イケショタ!!

いや、ハッスルしている場合ではない、そう、体がないんです!


じゃあ、今どうやって考えてたり、周りを見たりしてるんですかーどうなんですかー

知らないよ!?むしろ教えてよ!この目線の高さとか、後ろを振り向ける状況とか!

何なん?ホントになんなんですかー......起きろ、今こそ意思の力を!そう、一流の達人が入れる無我の境地に......いざ!


「うわぁ......キミ、なんかものすごく発光してるけど、何しようとしてるの?」


人の周りをくるくる回っていたショタ年......おっと、少年が顔に手を当て、その手の隙間からこちらをチラチラ覗き込んでいた。

なんか、こう......恥ずかしいな!そういう態度とられると、え?何ホントに?何、おかしなところないよね!?


また少年が周りをくるくると......


いや、気づいたんだけど、自分浮いてないかな!?

それにさっきから、あの子は動いてないよね......


はっ!まさか!?

ふっ......どうやら、今更ながら根本的なことに、いや......世界の心理に気づいてしまったようだ。


人は空を飛べーーーー


「飛べないよ?キミはひとりで盛り上がってないで現状を受け入れるべきだと思うけど......」


先ほどまで『何か』に座っていた綺麗な黒髪の少年がコッチを向いて立ち上がった。『何か』ってのは『何か』だ、だって白一色の影もない世界じゃそれも白で、保護色過ぎて美少年が平然と空気椅子しているようにしか見えない。シュールだ。


『落ち着いたかい?』


そう、変声期前の高い声で優しく問いかけられ、なぜだか知らないけど、話を聞くくらいまでは精神的に回復したと思う。

両腕を上に上げで伸びをする少年を微笑ましいと思いながら、頭の片隅では、空気椅子説有力!?とバカな考えに浸る。





いまだに、夢だと思いたいけど、どうやらそうもいかないらしい。


「とりあえず、自己紹介から始めようか......」


そう切り出し、『何か』に座った少年が、こちらに座るように薦めてきた。

よし、まずはどうやって座るんだ?そこから教えて......思考中......なうろーでぃんぐ......



動いてるんだけど!!

さっきは、体が動かない......どうやら、死んでいるようだ......

な状況だったのに、落ち着け、落ち着くんだ......

よし、落ち着いていたら余計に気がついたぞ!

体がないのに発光ってなんだ?

今、少年には、こっちはどう映ってるんだろうか......


視線を向けると少年は目を瞑り、コップに容れた液体の香りを楽しんでいるように見える。

当然そう見えるだけで、周りが真っ白すぎてパントマイムしてるようにしか見えないが......


「ふむ......」


こっちの視線?に気づいた少年は、落ち着くまで待っていたらしい。

声が出ないのにどうやって伝えようかと、数秒迷ったが、さっきも読心術みたいにすんなり受け答えが出来ていたので、声にはでないけど普通に話すようにイメージしてみた。

どうやら成功したらしい。ほう、こうやってここでは伝わるのか、覚えておこうかな。


「どのようにキミが映っているのか......かい?」


確認をとるように繰り返す少年は、ニッコリしながら左手で、指を鳴らした。


パチンーーー


乾いた音が鳴って、すぐにポフンという、ファンタジックな可愛いらしい音と共に、少年の隣に鏡が出現した。

そう、『鏡』である。

この真っ白い世界において鏡なんて出しても、映すものは白色しかなければ、そこに鏡があるのかどうかわからなくなってしまうのに、ハッキリと見える。なぜなら、この世界で少年を除き、唯一、白以外の色が鏡の縁にあったからである。縁の色は金色できらびやかな飾りもされていた。きっと高いのだろう。


しかし、そんな少年が魔法のように鏡を出すことを驚いていられなかった。

だって、その鏡に映っていたのは、

さっぱりとした髪型、12歳くらいの少年、白一色の世界に栄える綺麗な黒髪、ニッコリと微笑む天使......

の隣にーーー


風も吹いていないのに揺らめいている黄緑色の火の玉


しか映っていないからである。


しかも、動こうとする意思に合わせ、鏡の中のキモい色の......か、化学反応の燃焼光に近い素敵な色の火の玉の動きがリンクしている。

なるほど、どうやらワタシは火の玉......自己解釈すると、


人魂......カッコ悪いので、バーニング・ソウルと呼んでくれ!


......すいません。うそです、自分で言って恥ずかしいねこれ、

やめてぇー呼ばないでー


「認識できたかい?バーニング・ソウルさん」


おし、口に手を当てて、プププって音が聞こえそうな感じがするぞ!少年!!

笑うなら大声で爆笑してくれればいいのにな


「そうかい、最近はてんで面白いこともなくてね、ここ6000年ずっとここにいたから笑い方も忘れてしまったのかもしれないな」


覚えている笑い方が人を小馬鹿にした笑い方とは、サイテーだぞ!!

「ごめんごめん!」そう言って、両手を前に出して振る少年は、楽しそうに笑っていた。


ふむ......6000年......同じ空間......もしや?


「あ、気づいたかい?そうさ、ボクはキミ達の世界の神様をやっているんだよ!」


エッヘン!

そう聴こえそうな.......てか、口で言った!!少年の神様は黄緑色の人魂の反応を伺う。

そう、ここは「神様だって!?」とかいって驚くだろうと考えていた少年の神様は期待を

裏切られた。


人魂から感じ取れた言葉は以下の通り。


「6000年......も、ボッチ......くっ」


期待した反応が貰えずショックなのと、他人に言われてボッチを自覚した2重のショックでその場に膝と両手をついていた。



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