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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第8章 塔で神力の訓練をしよう
99/1358

2話 神力とは

説明回です。

 神力とは何か。

 この問に明確に答えを出せる者は、この世界にはいない。

 少ないとかほとんどいない、とかではなく、全くいないのである。

 そもそもの神力とは、文字通り神が使う力のことだ。

 ごくまれにとは言え、神の顕現があり得るこの世界では、神が顕現した際にふるう力は神力とされている。

 ここまでは良い。それは誰も否定しないだろう。

 だが先に示した神力とは、神が顕現した際にふるう力の事ではない。

 あくまでも現世に住まう者達が、この世界においてふるう力のことになる。

 そもそもこの世界では、魔力と聖力が一般的に認知されている。

 残念ながら、その二つの差は何、と聞かれて明確に答えられる者はほとんどいないだろうが。

 何故ならば、魔力で出来ることは聖力でもできるし、聖力で出来ることは魔力でも出来るからだ。

 だが明らかに、二つの力には明確な違いがあることは遥か昔から知られていた。

 それ故に、一時期はそれぞれの力を持つ者達で対立をした過去もあったりするのだが、現在はそれは収まっている。

 理由は単純で、両方の力を扱える者が、漁夫の利を得たためである。

 それぞれ一方の力しか使えない者たち同士で争っていたために、両者の勢力が弱まり、その隙をつくように両方の力を認める勢力が間に立った。

 現在は、お互いがお互いを認め合っている関係になっていた。

 その中にあって、神力と言うのは特殊な扱いになる。

 そもそもが神のふるう力で、この世界に住まう生物は扱うことが出来ないというのがごく普通の考え方だ。

 ちなみに、一般の者はこんなことを考えて生活していない。

 こんなことを研究できるのは、ごく限られた者たちである。

 それはさておき、神だけがふるえる力=神力の図式は、長い間のごく当たり前に認識されてきた。

 それに異が唱えられたのは、ほんの(?)数百年前のことだ。

 神の神託を得る者はどうなんだ、とか、古来より受け継がれている神具を扱える者がいるのは何故なんだ、とか言われてきたのだが、その答えが実は神力を扱っているからではないのか、という意見が出てきたのである。

 なぜそんな簡単な意見がそれまで出てこなかったのかと言うのは、そもそも神力については、先の図式で既に結論が出ている物として扱われてきたからである。

 もう一つ付け加えるなら、その意見を出したのが、神から加護を得ていた者だったので、その意見が広く受け入れられるきっかけになったのも大きい。

 だが、その考え方が出て来てからそれなりの時間がたったのだが、残念ながら神力を自在に扱える者が出ることはなかった。

 そもそも神力とはどういう物か、それがよくわかっていないのだからどうしようもない。

 たまたまその力を使える者がいたとしても、魔力や聖力と勘違いしていたとしても不思議ではない。

 それほどまでに、神力は魔力や聖力と近しい感じを受けるのである。

 たまたま神力を使ったものがいてもそれは魔力だ、あるいは、それは聖力だ、と言われて納得できるほどに。

 

 魔力と聖力は、明確に区別が出来るほどに違いがある。

 だからこそ、過去には争いなんてものが起こったわけだ。

 だが神力は、前述したとおりにどっちつかずの力になっているように感じる。

 それは、身近に神力を感じ取ることが出来る考助の意見だ。

 神力を扱えるようになったメンバーも同意見であった。

 そもそも考助は[常春の庭]で、神力が上位の力だと教わったわけだが、残念ながらこの世界でそれを実感したことはほとんどない。

 唯一あるとすれば、左目の力を使っているときだけだ。

「神力は、魂に備わっている力、か・・・」

 考助の呟きに、メンバー全員の視線が集まった。

 代表してシルヴィアが質問を投げかけて来た。

「コウスケさん、それはどういうことでしょう?」

「え? 魔力や聖力は身体に在る力で、神力は魂に在る力だよね?」

 考助の不思議そうな問いに、その場の全員(コウヒ&ミツキは除く)の表情が変わった。

「なんだそれは? そんな話は聞いたことが無いぞ?」

「同じく」

「同じですわ」

「ですね~」

「えっ・・・!? そうなの!?」

 皆が頷いているのを見て、逆に考助が驚いてしまった。

 このくらいの話は、当然の様に認識されていると思っていたのだ。

 ごく普通に[常春の庭]で、エリスやアスラから聞いていたので、考助も普通の事と考えていた。

 その考助の様子を見て、シルヴィアが何となく予感を得たのか、恐る恐る考助に聞いた。

「あの・・・その話はどなたから聞いたんですの?」

「誰って・・・・・・エリスから?」

 考助のその答えに、メンバーが若干ひいたような表情になっていた。

 そもそも考助とエリサミール神との関係は、普通ではないことはシルヴィアから色々聞いていたが(もちろん情報源はエリス自身)、まさかそんなことを教わるような関係とは思っていなかったのである。まあ、エリサミール神をエリス呼ばわりしている時点で、一般常識から考えれば、普通でないことはまるわかりなのだが。

 今更だが、エリサミール神はこの世界では、最高神に数えられる神の一柱である。

 その神とほとんど雑談の様に交神しているシルヴィアも、世間一般から見ればあり得ない、となるのだが、考助はそれに輪をかけて意味が分からない存在なのである。

 

 普段から頻繁にエリスとやり取りをしているシルヴィアが、いち早く立ち直りため息を吐いた。

「いつそのようなことを聞いたのかとかは、あえて詮索しませんわ。・・・ですが、あの方から聞いたのであれば、疑いようがありませんわね」

 シルヴィアの言葉に、その場の全員が頷いた。

「そうだの。まあ、そう考えれば、色々と納得できることもあるからの」

 例えば、神から啓示を得る際の交神は、その人物の魂と直接交信していると考えれば、納得できることが多いのである。

 これはあくまでも推測だが、と前置きをしたうえで、シュレインが続けた。

「そも肉体の力である魔力や聖力は、肉体の成長に合わせて自然に成長したりする。だが、魂の力である神力が扱えるかどうかは、そもそもの魂にその力がないと駄目とかかの」

「でも私達は、後天的に神力が使えるようになったわよ?」

 シュレインの仮説に、コレットが疑問を挟んだ。

 神力がもともと魂の力であるのなら、先天的な力であるのではないのか、と言うことである。

「それはほれ、元々持ってたのが、神水がきっかけに発現したとかではないのかの?」

 何となく筋が通っているように思えるが、穴だらけの様な気もする。

 結局、実証のしようがない以上、推測の域を出ない意見なのであった。

 

「そういえば、クラウンカードの通信機能ってどうなっているの? あれも神力を使ってたわよね?」

「神力もそうなんだけど、あれ地味に交神の技術が使われているから」

「・・・そうだったの!?」

 さらりと告げられた事実に、コレットが驚きを露わにした。

「なんというか・・・それを知らずに使っている者達が、気の毒に思えてくるの」

 そのことが知られれば、そんなものを気軽に付け加えるなと言われるほどの物である。

 当然、考助もイスナーニも公表する気はない。

 今はまだ、便利な機能だなと思われるだけで十分である。

 余談であるが、カードが解析されたりしないのか、と考助は以前イスナーニに尋ねたのだが、フフフフと怖い笑みを浮かべて来たので、それ以上は聞かなかった。

「そもそも、神具に当たる様な物を、ポンポンと作ってる時点でおかしいわよね」

 つい先日も考助は、以前エリスとジャルに請われた交神(神託)用の神具を作り上げていた。

 コレットの言葉に、考助以外の全員が頷くのを見た考助は、なぜか猫に追いつめられたネズミのような心境になっていた。

「ま、まあ、あれは向こうが望んでいたから大した手間もなく作れたわけで・・・・・・」

 なんとか抵抗しようとしたが、そもそも望まれること自体がおかしい、という視線に晒された考助は、抵抗するのを諦めるのであった。

今回は神力について語ってみました。

勢いのままに書いたところがあるので、以前の話と矛盾が出てませんようにと思いつつ投稿します><

次回あたりから魔力や聖力と同じように使える力なのか検証が始まります。

期待せずにお待ちください(オイ)


2014/5/24 誤字修正

2014/6/21 誤字修正

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