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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第4章 西~北方面
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(10)コレットの考察

 儀式を終えた翌日。

 里に戻ってたっぷりと英気を養ってきた様子の子供たちと、半日ほどケネルセンで過ごしてから、考助たちは最終目的地である北の街を目指して進み始めた。

 少しでも進んでおけば儀式にも影響がないので、多少でも前に進むことを選んだのだ。

 幸いにして、ケネルセンの隣の村はすぐ近くにあり、簡素ではあるが宿屋もあるのでこれ幸いと利用することにした。

 大都市のすぐそばにある村で、宿など需要があるのか心配になったが、ケネルセンの大農地は端まで行けばかなりの距離がある。

 農地の端っこでの討伐依頼を受けるために、冒険者がそれなりに利用するので、女将によればきちんと儲けは出ているということだった。

 そもそもこの村は村として独立しているが、他の町や村に比べれば、ケネルセンの一部といっていいような距離にある。

 冒険者が周辺地域に遠出する際の準拠点としては、ちょうどいい位置にあるのだ。

 

 村を離れて数日は、順調に旅を進めていった。

 ケネルセンの近くということで、平地が多く森らしい森も近くにはなく、精霊の調査も進んでいない。

 コレットが何度か以前の森に確認しに行っていたが、そちらも変化はなしだった。

 そうして村を発ってから一週間ほど旅を続けていた考助たちだったが、ついに精霊たちが以前と同じような兆候を示すような森を発見することとなった。

 それは、ケネルセンを離れてからようやく森らしい森に入ってから初めての野営をすることになった場所のことである。

 

「間違いなかったわよ」

 子供たちが精霊たちの警戒色を見つけたと報告を受けて、早速コレットが確認しに行ったあとの第一声だ。

「と、いうことは、やっぱり精霊はなにかに警戒しているってことか」

 全員からの視線を受けていることに気付きつつ、考助は気付かなかったふりをしようとして、

「ここまで来ればなにが原因かは、はっきりしていると思うけれどね」

 コレットに、すぐに阻まれてしまった。

 

 それに対してさらにごまかそうとした考助は、すぐに思い直して別のことを言うことにした。

 いい加減諦めたほうがいいという視線が各方面から来ているが、考助には考助の言い分もあるのだ。

「そうかもしれないけれど、少なくとも今回の儀式は、特に精霊に警戒されるようなことはしていないよ? 喜ばれるようなことならしているけれど」

 セントラル大陸全体を考助の神域化するということは、魔力や聖力を活性化させることになる。

 それを考えれば、精霊の力の源である聖力(精霊力)が活性化するのだから、精霊にとってはいいことのはずなのだ。

 警戒されるようなことをしているつもりはない、というのが考助の考えだった。

 また、だからこそ、いまもまだ納得がいっていない面もあるのだ。

 

 その考助の言葉に、コレットが「ああ、そうか」と言いながら、手をポンと打った。

「警戒色と言われて誤解しているのかもしれないけれど、今回のは別に悪い意味で警戒しているわけじゃないと思うわよ」

「・・・・・・うん? どういうこと?」

 言われた意味がわからずに首を傾げる考助に、コレットが説明を続ける。

「警戒するといったら悪い意味で捉えがちだけれど、なにかが起こりそうという意味で前もって準備をするときにだって警戒はするでしょう?」

「・・・・・・結果として精霊にとっていいことであっても、前段階ではそれがわからずに警戒しているということ?」

「そうそう。ついでにいえば、今回は普通じゃわからない程度に警戒しているくらいだからね。そういう意味では、よくあることよ」

 コレットが普段から精霊を注視していないのは、そういう意味もあるのだ。

 精霊や森に取って良いことが起こる場合でも、精霊は警戒色を発することがある。

 コレットに限らず、エルフやハイエルフは、経験でそれがわかっているので、いちいち精霊が発している弱い警戒色は気にしないようにしているのである。

 

 コレットの説明に納得しかけた考助は、一度頷いてからハタとあることを思い出した。

「警戒色に関してはいいとして、そのあとで一度精霊が消えていたよね? ここではまだ消えていないみたいだけれど」

 以前の場所では、精霊たちが警戒色を出していたあとに、一斉に精霊たちが姿を消していた。

 もし精霊にとって悪い影響がないのだとすれば、なぜ姿を消していたのかがわからない。

「これは私の想像だけれど、多分、精霊が存在の力を増やすために準備しているのだと思うわ」

「準備? いや、その前に存在の力って?」

 意味がわからずに首を傾げる考助に、コレットはどう説明しようかと一瞬考える仕草を見せたあと、ちょうどいい存在を思い出して再び手を打った。

「ユリ様を思い出せば分かり易いと思うわよ?」

 ユリはもともと神社に宿る精霊だった。

 本来であれば長い年月をかけて存在の力を増していき姿を得るはずだったのが、アスラと考助の干渉によって時間をかけずにあの姿を得ることができていた。

 このように存在の力というのは、精霊にとっては重要な要素になるのだ。

 

 ユリのことを思い出した考助は、

「ということは、今回の精霊も同じことが起こっているというわけ?」

「勿論、得ている力は、ユリ様に比べれば、ごくごく弱いものでしょうけれどね。それでも、精霊にとっては大きな影響を得ているのだと思うわ。いま思えば、あの場所の精霊たちも、数が増えているのもあるでしょうけれど、力が増している気がしたから」

 それは、あくまでもコレットの感覚的なことなので、しっかりと計測したわけではない。

 ただ、受けている印象から間違いないとコレットは確信していた。

「今回は、その辺りのこともきちんと確認するようにするわ」

 最後にそう付け足したコレットに、考助は「なるほど」と頷いた。

 精霊の数を正確に数えることなど不可能だが、密度や量などで大体の数を計ることはできる。

 すでにいまの数を計測し終えているので、あとは以前と同じように変化するのを待つだけなのだ。

 

 考助がコレットの説明に納得を示したところで、それまで黙ってふたりの話を聞いていたフローリアが口を挟んできた。

「ところで、もう確定のように話をしているが、精霊の変化はコウスケの儀式のせいということで間違いないのだな?」

「そうね。というよりも、それ以外になにか理由があるのであれば、逆に教えてほしいわ」

 肩をすくめながらそう言ったコレットに、フローリアも難しそうな顔になって首を振った。

「それを言われると痛いな」

 フローリアにしても、なにかがあって聞いているわけではないのだ。

 確証が得られていないのに、原因を限定して話を進めて大丈夫なのかと確認しておきたかっただけだ。

 

 コレットは、フローリアの懸念も十分にわかっているので、これからの予定も含めて続けて話をすることにした。

「勿論、儀式以外の原因も考えられるけれどね。とにかくいまは、精霊たちの変化を調べることが先よ。というよりも、それしか調べるものがないといってもいいけれど。少なくとも私が見た感じでは、森自体に大きな変化は起きていないしね」

 森が原因で、精霊があれほど大きな変化を起こしているのであれば、(スピリット)エルフであるコレットには気づくことができる。

 ましてや、前回と今回では、かなり距離が離れているので、お互いに影響を与えているとは考えづらい。

 森単位でなにかが起こっているというよりも、さらに大きな範囲で影響が出ていると考えるほうが自然なのだ。

 勿論、これらはあくまでもコレットの推測でしかないのだが、考助もフローリアも精霊に関しては、コレット以上の知識を持っていないので、それ以上の反論はできなかった。

 とにかく、次の日の精霊の変化を待ちましょう、と続けたコレットに、考助とフローリアは同意の相槌を打つのであった。

なんとなく強引に話を進めている感じもするコレットですが、ほぼ間違いないと考えているコレットです。

スピリットエルフとしての勘!(あとは多少の女の勘もw)

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