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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第6章 塔の地脈の力を使ってみよう

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(16) 精霊のたまり場

 世界樹のように、精霊たちのたまり場(?)になることを期待して神社を設置した第八層だったが、思うように行っていなかった。
 何度か確認のために神社まで行っているのだが、世界樹の様に周囲に精霊が漂っているといった様子がないのである。
 そこで、どうすればいいのか、一度きちんと整理して考えてみることにした。
 世界樹と神社の時の違いを比べてみる。
 まずは、生物と無機物であることが違っている。
 だが、これは特に問題ない。
 考助は見たことは無いが、神殿を中心に聖地と呼ばれる精霊たちが集う場所が、現に存在しているためだ。
 それでは次に考えるのは、立地場所。
 これは特に問題がない。地脈の交点の上であるという条件は、満たしているのだ。
 ということは、その成り立ちである。
 神社は、塔の機能を使っていきなり地脈の交点の上に建てた。
 世界樹の時はどうだったか思い出してみる。
 最初は苗木を設置したのだが、そもそも思い返してみれば、設置できる場所とできない場所があった。
 今思えば、あれが世界樹の交点かどうかを示していたのかもしれない。
 そして、世界樹が苗木だった時は、精霊たちの光はほとんど見た覚えがない。
 光が集まっているのを見たのは、数日たって世界樹がある程度成長してからだった。
 ということは、世界樹が成長したことで、精霊たちが集まったと考えられる。
 だが、神社が成長するということはあり得ない。
 あるとすれば、人為的に増築なり改築なりをしないといけないのだが、それはこの場合は関係ないだろう。
 ということは、どういう事か。

「・・・・・・あれ? そもそもこっちで、物に意思が宿るとかいう考え方ってあるのかな?」
「あるわよ」
 考助の呟きに答えたのは、コレットだった。
「うわっ。びっくりした」
 一人でいると思っていた考助は、突然割り込んできた返事に、ビクッとしてしまった。
 今は周りに誰もいないため、考助の腕を取ったコレットが、クスクス笑いながら続けた。
「あら、ごめんなさいね」
「・・・いや、それはいいんだけど、やっぱりあるんだ」
「まあ、あまり一般的な考え方ではないかも知れないけれどね。ただ、精霊信仰って、そもそもがそう言う考え方だし、エルフはそういう風に物事を捉えるところはあるわね」
 言われてみれば、その通りかもしれない。
 万物の色々な物に精霊が宿っていると考えるのが、この世界の精霊信仰である。
「ということは、当然建物にも宿るとか考えはあるの?」
「エルフは基本的に、精霊は自然に宿ると考えるけど、そう言うことを言う人たちもいるみたいね」
 そう言われた考助は、ふと考えた。
 世界樹の時は、精霊たちが集まって、考助が世界樹に触れたからエセナが生まれたと考えていたが、実はそれは逆ではないのか。
 元々世界樹に妖精は宿っていたが、考助の何か(おそらく神力)に触れて妖精(エセナ)として誕生したのではないのか。
 とすれば、既に第八層の神社にも妖精が宿っていてもおかしくはないはずだ。
 とはいえ、現状神殿に集っている精霊たちは確認できていない。
 だが、よくよく考えてみれば、世界樹の様に神社の周囲を漂っているわけではないのかもしれない。
 妖精が宿っているとすれば、その周囲にいることも考えられるのである。
 世界樹の時のことが頭にあったため、建物の周囲に集まると思い込んでいたが、それ以外の場所に精霊たちが集まっている可能性がある。
 そこまで考えた考助は、早速神社の様子を見に行くことにしたのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 コレットとミツキを伴って、先日設置された転移門を使って神社へとやってきた。
 すぐにでも妖精が宿っていそうな場所を確認しようとした考助だったが、転移門のある部屋を出たところで止められた。
「だ・・・誰ですか・・・!?」
 先日神社の管理をお願いしたセシルである。
 セシルは見たこともない三人が、転移門のある部屋から出てきたので警戒している。
 考えてみれば、セシルとアリサを神社に呼んでからまだ一度も顔を合わせていなかった。
 考助達は、名前だけはシルヴィアから聞いていたのである。
 今相対しているのが、どちらかは分かっていないが、とりあえず考助は挨拶をすることにした。
「・・・初めまして。塔の管理者をやってる考助と言います」
 名乗っては見たが、セシルは一瞬驚いただけで、警戒は解かなかった。
 嘘である可能性もあるのだから、当然だろう。
 その様子を見て、シルヴィアも連れてくればよかったと後悔した考助だったが、今さらである。
 シルヴィアを連れて来て出直そうかと思った考助だったが、この状況を打開してくれる天使が現れた。
 トトトトという早めの音が階段から聞こえてきて、その音の発生源は真っ直ぐに考助に体当たりをかましてきたのである。
「コウスケおにいちゃーん」
 そう言って、ワンリ(幼女)が考助に抱き付いてきた。
「・・・ああ、ワンリ。相変わらず元気そうだね」
 考助はそう言って、数日ぶりに会ったワンリの頭を撫でた。
 ワンリは嬉しそうに、目を細めて撫でられるままになっている。
「うん! 今日はどうしたのー?」
「ああ、ちょっと神社の様子を見にきたよ」
「わーい」
 しばらく一緒にいることができると、ワンリは無邪気に喜んでいる。
 既にワンリは、管理層に来ようと思えばいつでも来れるのだが、なんだかんだで自分から管理層へ来ることがほとんどない。
 いつでも来ていいとは言っているのだが、どういうわけか管理層へはあまりこないのだ。
 自分が管理層に行ったら邪魔になるとでも思っているのかもしれない。
 まあ、無理に来てもらう必要はないので、好きなようにさせているのが、現状であった。

 その騒ぎを聞きつけて来たのか、アリサもその場へとやってきた。
「セシル? どうしたの・・・・・・?!」
 考助たちを見つけて、アリサは一瞬固まってしまった。
 とはいえ、ワンリが考助に引っ付いているので、セシルの時のように疑いの目は持っていない。
「・・・・・・ええと?」
 首を傾げたアリサに、考助は改めて名乗った。
「・・・初めまして。アマミヤの塔の管理者をやっている考助と言います」
「は、は・・・初めまして!」
 アリサが頭を下げたのを見て、セシルも慌てて頭を下げた。
 今さらながらに、考助が誰かに気付いたのである。
「初めまして! 先程は、申し訳ありませんでした!」
「ああ、いや、良いから。シルヴィアを連れてこなかったこっちが悪いんだし。・・・ワンリが来てくれてよかったよ」
 セシルやアリサが、考助達(というよりミツキ)に対して何かが出来るわけではないが、ワンリが来てくれたおかげで、変な騒動が起こるよりは遥かにましな状況で収まった。
 考助にしてみれば、そこまで謝られるほどのことでもなかった。
 というよりも、むしろ謝らなければならないのは自分の方だと思っている。
 考助の言葉に、セシルは安堵したような表情になっている。
 一方、名前を呼ばれたワンリは、嬉しそうに考助にまとわりついていた。
「あ、あの・・・それで、今日はどういったご用件でしょう?」
 セシルと考助のやり取りに、若干の疑問を感じながらアリサがそう考助に問いかけて来た。
「ああ、ちょっとね。この神社の様子を見に来たんだ。・・・いや待って。別に、二人の働きぶりを見に来たとかじゃないから・・・!」
 初めの考助の言葉に若干身を固くした二人だったが、後の言葉を聞いて内心で安堵のため息を吐いた。
 最初の言葉は、どう聞いても抜き打ちチェックに来たように聞こえたのである。
 塔の最高責任者である考助が、突然現れて先ほどの様なことを言われれば、そう思うのも当然である。
 ちなみに二人は、神社に来るにあたって、既にシルヴィアから考助の名前を聞いている。
「そういうわけだから、ちょっとこの神社をうろうろするけど、気にしないでね」
「「・・・はい!」」
 二人の返事に、固いなぁ、と思う考助だったが、あえて訂正する必要もないと思い直すのであった。
神社の話はまだ続きます。
というか、お互いの挨拶だけで終わってしまった・・・orz

2014/6/3 誤字修正
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