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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第6章 塔の地脈の力を使ってみよう
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(7) 精霊

 たまたま時間が空いたので、考助は管理層のソファーで寝転がっていた。

 半分意識を持っていかれているので、ほとんど眠る寸前といった状態である。

 そんな考助に向かって、タックルをかましてきた者がいた。

 

「おにいちゃーん、お願いがあるの~」

「・・・グホッ!?」

 人化したワンリだった。

 いくら体が小さくて体重が軽いとはいえ、不意打ちで乗りかかられると、きついものがある。

 しばらくの間、身悶えていた考助を見て、ワンリが若干涙目になって謝ってきた。

「ごめんなさい・・・・・・」

 そんなワンリをみた考助は、頭を撫でながら、

「ああ、うん。まあ・・・次から気を付けてね」

「うん・・・!」

 ニパッと笑ったワンリに、考助も笑顔になった。

「それで? お願いって何?」

「う~んとねー・・・」


 ワンリが語ったところによると、先日コレットと一緒にエルフの里を訪れたそうだ。

 その時に世界樹も見たのだが、その周りにいたたくさんの精霊(さん)たちがきれいだったので、自分たちの所にも精霊(さん)が欲しいとのことだった。

 自分がいる階層にも精霊(さん)がいることは感じられるのだが、さすがに世界樹の周辺ほどの精霊がいるわけではないそうだ。

 ついでに、ワンリもそうだが、天狐や地狐達も精霊(さん)たちを感じることが出来るので、力を付けるのに良いとのことであった。

 それを聞いた考助は、腕を組んでフムと考え始めた。

 ワンリのお願いを聞くことはやぶさかではない。

 むしろ願ってもない申し出である。

 だが、精霊を増やすと言っても、どうすればいいのか皆目見当がつかない。

 考助自身の頭で考えていても回答が出なさそうだったので、専門家に聞いてみることにした。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

「はあ、なるほどねぇ。それで私の所に、相談に来たのね」

 そう言って頷いているのは、コレットだ。

 ちなみに、現在のコレットは考助と腕を組んでいる。

 先日の一件以来、コレットは考助と接触することを好むようになった。

 流石に他のメンバーがいる管理層では、周囲の矯正で自重するようになったのだが、隙を見つけては腕を組んだりしてくる。

 以前は管理層でもお構いなくくっついていたのだが、主にシルヴィアとピーチが羨ましがって、それを控えるように言ったのだ。

 というよりも、コレットがくっつくようになって、他のメンバーも接触するようになっていたのだが、それが段々エスカレートしてきたので、話し合いの下控えるようになった。

 それでも、コレットは接触を続けていたのだが、流石にずるいということになったので、皆がいる所では控えるようにとシルヴィアとピーチが動いたのだ。

 コレットを焚き付けた責任を取った形である。

 そして、コレットも渋々ながらその進言を受け入れてた。

 最初は渋っていたのだが、シルヴィアの「あまりやりすぎると、コウヒとミツキが怒りますわ」という言葉に、頷ずくしかなかったのだ。

 さすがのコレットも、コウヒとミツキを怒らせるとどうなるかは、分かっている。

 最悪、考助のそばに近づくことすら許されなくなるのだから、当然と言えば当然だ。

 今のコレットにとっては、それだけはどうしても受け入れられない事態なのだ。

 そういうわけで、管理層で甘えられない分、こうして考助がエルフの里を訪れた時は、目いっぱい甘えてくるのだ。

 以前のコレットを知っている者からすれば、お前誰だ、状態なのだが、本人はまったく気にしていなかった。

 最初その様子を見たエルフの里の者達は、目を丸くしてその様子を見ていたのだが、現在は普通に受け入れていた。

 ちなみに、初めて二人の様子を見たシェリルは、ポツリと「・・・羨ましい」と言っていた。

 ドリーの話によると、人目を憚らず甘えた様子を見せるコレットに、エルフたちの様子が変わってきたとのことだった。

 以前はどこの熟年夫婦だ、というような様子を見せていたカップル達(既婚含む)が、コレットの様子を見たり聞いたりして、新婚のような様子を見せるようになってきたとのことだった。

 それはいい変化なのだろうか、と疑問に思った考助だったが、その呟きを聞いたドリーは、間違いなくいい変化です、と断言していた。

 少なくともドリーはこの結果を狙っていたような節があった。

 まあ考助としても、コレットにくっつかれていやだというわけではない(むしろ嬉しい)ので、されるがままにしているのであった。

 

 考助からワンリの要望を聞いて頷いていたコレットだったが、すぐに難しい表情になった。

「精霊を増やしたい・・・ねえ・・・。そんな設置物あったかしら・・・?」

 しばらく考えていたコレットだったが、すぐに首を振った。

「駄目ね。特にそこまで注意してみてなかったから思い出せないわ。管理層に戻りましょ?」

「仕事は大丈夫?」

 考助が聞いたのは、世界樹の巫女としての仕事のことである。

「大丈夫よ。ちょうど終わった所だったから。・・・それに、コウスケもこの格好の方が嬉しいでしょ?」

 コレットがそう言って見せびらかすようにしたのは、当然ながら(?)巫女服だった。

 その言葉を聞いた周囲の女性の視線が、冷たくなったような気がした考助は、笑って誤魔化した。

「そ、そんなことないよ・・・?」

「・・・そう? 普段着よりこっちの格好の方が、はげ・・・・・・もぐぐ」

 これ以上話されるのは危険だと悟った考助は、咄嗟にコレットの口をふさいだ。

 それを見たワンリは首を傾げ、ミツキは笑いを堪えている。

 周囲の女性の視線が、益々冷たくなった気がする。

「あははは・・・。お騒がせしました~」

 コレットを口をふさぎながら、考助は誤魔化すように、笑顔を見せてその場を去ったのであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 コレットのいた世界樹の麓からすぐに管理層に向かうのではなく、ドリーの樹のところでシェリルを加えて管理層へ向かった。

 元世界樹の巫女だったシェリルの方が、精霊に関しての知識が豊富だったためだ。

 さらに、もう一つの理由もあった。

 その理由は、現在考助達と一緒に、管理画面で設置物の確認をしていた。

 ドリーである。

 世界樹と同じように順調に成長しているドリーは、巫女であるシェリルがいれば短い時間であれば、別の場所でも出現できるようになっている。

 といってもシェリルが移動する範囲が、エルフの里と管理層ぐらいなので、それ以外の場所では確認できていないのだが。

 行動範囲が狭いことに関しては、特に本人たちからは不満は出ていない。

 まあ元々シェリルは、世界樹の巫女としてほとんど世界樹のそばから離れることが無かったので、不満が無いようだった。

 むしろ、管理層に来た時に、ドリーが出てきたときに非常に驚いて、同時に嬉しそうにしていた。

 これは自分が動けることよりも、ドリーが自由に動けることに喜んでいた。

 そんなわけで、ドリーも含めて精霊が多く集まってくれるような物を皆で探すことになった。

最初の予定では、クール美人になる予定だったコレット・・・・・・どうしてこうなった!?

作者も驚いています。


2014/5/11 誤字脱字修正

2014/6/14 脱字訂正

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