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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第5章 塔のあれこれ(その13)
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(4)料理事情

「おー、今日はハンバーグか」

 食堂のテーブルに並べられている料理を見た考助が、嬉しそうに声を上げた。

「ハンバーグ? おお、これか!」

 考助の声に首を傾げながらテーブルを見たフローリアが、納得した表情で頷いた。

 そもそも管理層の食卓には、バラエティに富んだおかずが並ぶ。

 メインが白米であることは考助に合わせての事だが、そもそも米を中心とした日本食はおかずをどの国の料理に持ってきてもなんとかなってしまう。

 そのため、おかずには女性陣の好みに合う料理が作られることが多い。

 これには、食事を用意するのがミツキと他のもう一人が加わっているから、という事情もある。

 

 ハンバーグをみたフローリアも嬉しそうな表情になっていた。

 フローリアは、以前に食べた時にも気に入って食べていた。

 ちなみに先の事情がある上に、フローリアは管理層に来てすぐにラゼクアマミヤの女王となったため、他の女性陣に比べて日本食を食べた回数が格段に少なかったりする。

 シルヴィアも管理層にいた日数で言えば似たような状態だが、ミツキから料理を教えられて自前で作ったりしているため、フローリアとはまた状況が違う。

 フローリアにはフロレス王国という故国の料理があるはずなのだが、なぜか彼女は日本食を好んでいた。

「そういえば、なんでフローリアって日本食が好きなの?」

 唐突なその考助の質問に、フローリアは目をぱちくりとさせた。

 そして、腕を組んで少しの間だけ首を傾げていたが、やがて首を左右に振った。

「なんでと言われてもよくわからんな。口にあったとしかいえない」

「へー、そうなんだ」

 考助にしてみれば、前の世界にいたときは、中華や洋食と比べればやっぱり日本食という感じだったため、フローリアのような感覚はよくわからない。

 もっとも、日本食自体もいろんな国の料理を魔改造して作られているところがある。

 強いていえば、それらのおかずは醤油や味噌の味に合わせて作られているといえなくはないが、それもまた強引すぎる意見といえるだろう。


 そもそも管理層にいる女性陣は、フローリアを除けば独特の料理文化がある場所で育っていない。

 シルヴィアは小さい時には、一か所にいたが、成人する前には故国を出ていろんな地域を旅していた。

 ヴァンパイアのシュレインは、独自の文化といえるほどの食文化はなく、むしろ各地からの料理を取り混ぜて食べるのが当たり前だった。

 エルフのコレットは、モンスターの肉を食べることがあったため完全な菜食主義ではなく、肉に至っては焼いて食べるというのが普通の調理方法だった。

 ピーチに至っては、そもそも本格的な調理スペースがある家庭などない生活を送っていたので、食事に関しては洗練されたとはいいがたい。

 こうして並べてみれば、フローリアだけがこの世界で一番の料理を幼少期に食べていたことになる。

 だが、そのフローリアが一番料理が出来ないというのも不思議なことである。

 逆に言えば、自分で料理をしなくても良い環境にいたからこそ、美味しい食事を食べられていた、とも言えなくはないのだが。

 

「私としては、他に似たような料理があるのに、それでもさらに改良されていることの方が驚きです」

 料理を運んできたシルヴィアが、考助のフローリアの会話に加わって来た。

 シルヴィアが長く旅をしてきたセントラル大陸は、各大陸の料理が複雑に入って混ざり合っている。

 そのためシルヴィアは多様な料理を知っているのだが、それでも管理層に来て知った日本食は、どの料理とも違っている。

「うーん。そう言われてもな。一つ一つの料理が、どうして作られたかなんて、一々知らないしなあ」

「それでいいのではないか? 少なくとも美味しい料理を食べられることには変わりはないのだから」

 首を傾げる考助に、フローリアが大上段から切り捨てた答えを返して来た。

「それもそうか」

 考助としても食事をする前からそんなどうでもいいことに頭を使う必要もないかと、あっさり納得するのであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

「また妙なことを気にし始めたの」

「美味しければ何でもいいと思います~」

 食卓に着いて今日の食事を食べながら、シュレインとピーチがそれぞれの感想を口にした。

「いやでも、食事ってそれぞれの国の事情だったり風土に合わせて発展していくものだからね。結構重要だと思うけれど?」

「そうかもしれぬが、恐らく考助の思い描いている食事事情と此方の世界の食事事情は違うと思うぞ?」

「え? そうなの?」

 今まで考えたこともなかったことを言われた考助は、目をぱちくりとさせてシュレインを見た。

「此方の世界にはモンスター共がおるからの。まずはそれらの肉をどうにか調理が出来ないか、ということころから食文化が始まっておる」

「まあ、そうなんだろうけれど、それは僕が前いた世界でも同じだよ?」

 モンスターはいなかったが、農耕を始める前には狩猟が主だったのは、一般常識として習っている。

 まさかそれが間違いということはないだろう。

 強さという意味ではモンスターには敵わないかもしれないが、それでも時には襲って来る野生の動物を集団で協力して狩っていたのは間違いない。

「ふむ? となると、あと考えられるとすれば、調味料と調理方法くらいかの?」

「そうでしょうね」

 調理方法に関しては、こちらの世界もほとんど変わらない。

 元の世界で国によって同じ食材を使っていても違った料理が出来るのと同じように、こちらの世界も当然違ったものが出来てくる。

 ましてや元になる素材である肉が、モンスターのものに置き換わっているので、考助が見たこともない料理が出てくるのは当然だろう。

 

 歴史や調理方法に関して違いがないとなると、あと残るは一つだけである。

「となると、後は調味料くらいだの」

「確かに調味料は、色々と知らない物が多いようですわね」

 ミツキを除けば一番料理に精通(?)しているシルヴィアが、ここにきて知った調味料を思い浮かべながら同意した。

「あとは、醗酵とか熟成させるような料理もこちらは少ないわね。ああ、これは調理方法になるのかしら?」

 シルヴィアのあとに、さらにミツキがさらに加わって来た。

「醗酵とか熟成とか、時間がかかる食べ物が少ないってこと?」

「少ないというよりも、無いといった方が良いのではないでしょうか~?」

 ピーチのその言葉に、考助は首を左右に振った。

「いや、それは言いすぎだよ。だって、お酒はちゃんとこっちにもあるんだし」

「確かにピーチの言ったことは極端すぎかもしれないが、間違っていないとも思うぞ?」

「えっ!? そうなの?」

 驚く考助に、フローリアが頷いた。

「今はともかく、昔は大氾濫で町一つがつぶれることも珍しくなかったからな。燻製とかのレベルならともかく、数年かけて置いておくようなものは発展してこなかった」

「へ~」

「そもそも貯蔵するということをしだしたのも、恐らくここ数百年程度のことじゃないかの?」

「ああ、そうだろうな」

 昔の実情を知っているシュレインと歴史として知っているフローリアのふたりが、この中ではこうしたうんちくに詳しい。

 今まで特にそうしたことを気にしていなかった考助だったが、話を聞いてみれば何となく興味がわいてきた。

 

 その考助の考えが分かったのか、それともただの偶然か、話の深みにはまりそうなことを察したコウヒが、話に割り込んできた。

「歓談中申し訳ありませんが、それ以上の話は食事を終えてからにしませんか? 折角の料理が冷めてしまいます」

 そのコウヒの言葉に、話に熱中しすぎてようやく箸が進んでいなかったことに気が付き、皆が食事を進めるのであった。

・・・・・・りょ、料理ネタを書くつもりだったんですが・・・・・・どうしてこうなった?

単にまとまりのない食事事情の話になってしまいました><

今までこうした話を書いていなかったので、まとめのつもりでこのまま残しますw

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