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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第6章 塔の地脈の力を使ってみよう
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(2) 各階層の現状

説明回です。


本日2話投稿の1話目です。

 クラウンの冒険者部門がガゼランに決定したことで、クラウンの冒険者の動きが組織立って動くようになった。

 当然、クラウンは依頼という形で冒険者たちの動きを、ある程度コントロールできるわけだが、現在は冒険者たちが商業部門に持ち込む素材からの利益の方が大きい。

 というより、基本的に冒険者への依頼は、商業部門や工芸部門から依頼が発生するのだからある意味当然かも知れない。

 冒険者たちが好き勝手に持ち込む素材以外に、塔の中で取れる素材で不足しているものがあれば、依頼をするという形になっていた。

 そのため、現在のクラウンの冒険者への依頼は、各階層の地図の作成がメインになる。

 どの部分にどんなモンスターが出るとか、あるいはこんな薬草が採れるとかである。

 地図を作る目的には、もちろん冒険者たちが活動しやすくするためという目的もあるのだが、別の目的もある。

 それは、分布図を作成することで、足りない素材を割り出すのだ。

 その素材が塔の設置物にあれば、塔の機能を利用して設置する。

 設置物に目的の物がなければ、外部から持ち込んで出来れば定着させたい。

 理想を言えば、塔内だけで自給自足が出来れば一番なのだが、まあそれはあくまで理想だ。

 何より、資源はともかく、技術などは閉じこもってしまっては、どうしたって偏ってしまう可能性がある。

 そのために考助は、転移門を閉じることは、今のところ考えていないのだ。

 

 とまあ、そんなことまで考えていた考助だが、そろそろクラウンに関しての口出しは止めるつもりでいた。

 そもそもの目的である塔の運用の方に力を入れるべきだと、いまさらながらに我に返ったのだ。

 とは言え、塔に冒険者たちを入れることや、定住者を作ることで、本来の目的である神力を効率的に稼ぐというのは上手くいっていた。

 予想以上に、と付け加えるべきかもしれない。

 各階層のモンスターを討伐する冒険者が大量に来たことで、冒険者に討伐されたモンスターからの神力が、かなり入ってきている。

 問題はそのモンスターたちが、出現ポップしなくなった場合だが、こればかりは考助にもよくわからない。

 そもそもモンスターが、どのくらいの割合で自然発生しているのかは、分かっていないのだ。

 自然発生する数よりも、冒険者たちが討伐する数の方が多ければ、各階層のモンスターは減っていくことになる。

 だが、それについては、特に問題視していない。

 何故なら、そうなったときは、塔内で活動する冒険者たちも減っていくからだ。

 出来れば、中級モンスターを討伐する冒険者たちが増えてきて、召喚陣で召喚したモンスターを討伐できるようになるのが理想的だ。

 ただ、そこまで行くには、中級層の階層までに何個かの拠点を作らないと、安定した討伐はされないだろう。

 そうそう都合よくいくかどうかは、完全に未知数なので、考助も今のところそこまでは考えていない。

 何はともあれ、第五層に関しては、考助自体は今後はなるべく出しゃばらずに、おとなしく様子を見ていくつもりであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 その他の亜人たちの村に関しては、順調に定着しつつあった。

 まずはエルフの里。

 こちらは、もはや成木と言っていいほどに成長した世界樹を中心に、集落を形成している。

 定住するための住宅も増えて行っているので、移住も順調に行われていっていた。

 現在のエルフの里は、外部との接触はエルフたちが元いた集落との接続のみになっている。

 元いた集落も外部との接触が無いので、ほぼ閉じられた世界になっている。

 元々集落単位のみでの生活だったためか、特に問題は出ていないので、当分はこのままで行くことになっている。

 考助としても、世界樹から得られる神力がかなりの値になっているので、特に外部との接続を強制するつもりもない。

 むしろ世界樹が、どこまで成長できるのかが不思議なくらいである。

 一度、コレットに聞いてみたのだが、わからないという短い返事が返ってきた。

 というのも、世界樹といえどもその成長はあくまでも周辺の環境によって変わってくるそうなので、塔の階層という閉じられた場所では、これ以上成長しないかもしれないということだった。

 そもそも世界樹の成長の限界というのが、エルフやハイエルフでも把握していないそうである。

 そんなわけで、世界樹の成長は見守るしかないというのが、現状であった。

 

 続いてヴァミリニア城とイグリッド族の村である。

 ここは城と城下町という感じになってきたので、セットでヴァミリニア城下町と呼ぶことにした。

 まずはヴァミリニア城、というか城にあるヴァミリニア宝玉から得られる神力は、シュレインのおかげで増えていた。

 考助としてもまさか、シュレインとナニするのが、条件とは思っていなかったので、聞かされた時は耳を疑った。

 とは言え、得られている神力は、現実に増えていたので、ヴァミリニア一族に伝わっていた伝承というのは、間違いではなかったのだろうと、納得するしかなかった。

 ある部分では、役得ともいえるので、考助はそのまま受け入れることにした。

 それはともかく、ヴァミリニア城下町に関しては、第五層の村との転移門を設置してある。

 シュレインの予定通りに、ヴァミリニア一族の数人が塔の外に出て、一族の者達を探す旅に出て行っている。

 そのかいあってか、先日数人のヴァミリニアの者達が塔へとやってきたようだった。

 第五層側の転移門には、常に二、三人の吸血一族が見張りを行っている状態だ。

 最初の内は、通すように無茶を言って来る冒険者もいたようだが、現在はそういった冒険者も減ってきているようである。もちろん、全くいないわけではないのだが。

 あまりにしつこいようだと、塔外追放の処分もあり得るので、それを知った冒険者も増えてきたのだろう。

 ヴァミリニア城下町には、イグリッド族が定住しているのだが、こちらも地下住まいから地上に建てた住居にすむ者達が増えてきている。

 ちなみに、イグリッド族の塔への移住は完全に終わったようなので、元々外へとつないでいた転移門は、現在は撤去されている。

 これはヴァミリニア城下町に残ったイグリッド族も納得している。

 というより、イグリッド族から提案があったので、それをのんだ。

 過去の歴史から、極力地下世界への場所を知られたくないそうなので、移住者が全員移った段階で撤去された。

 そんなイグリッド族だが、クラウンカードの装飾をはじめとした彼らの手先の器用さを利用した特産物が徐々にだが出来始めている。

 それを元手にクラウンの商業部門を通して取引したうえで、自分たちの生活に必要な物を仕入れている。

 正確には間に、ヴァミリニア一族が入っているのだが、これは出来るだけイグリッド族がいることを悟られないようにするためである。

 たとえ悟られたとしても、その時はヴァミリニア一族が間に立っているので、その辺は利害関係が一致しているのだ。

 あくまでも表に出て商品のやり取りをするのは、ヴァミリニア一族ということである。

 昔行っていた方法をそのまま取り入れているようなので、特に問題は出ていないようだった。

 

 次はサキュバス一族の里。

 こちらは最後に移動して来ただけあって、流石に一番遅れていた。

 当然と言えば当然なのだが、塔の中に住居を作るよりも先に、元の里の痕跡を隠すことを優先したのも、遅れている理由の一つだ。

 住居が当たっていない者達は、テント暮らしになっているのだが、いずれは住居が当たるのが分かっている上に、今までのように突然の襲撃にも怯えることがないので逆に安心しているとのことだった。

 その辺はサキュバス一族に任せていたので、考助からどうこう言うつもりもない。

 元の里から大陸中に散って行った仲間たちも、ほとんどが戻ってきたようなので、そろそろ元の里と繋がっている転移門を撤去してもいいかもしれないとピーチから報告された。

 代わりに、第五層と繋がった転移門は既に設置してある。

 ヴァミリニア一族と同様に、第五層側の転移門はサキュバス一族の者が管理をしている。

 そもそもデフレイヤ一族は、情報収集を生業としてもらうために塔に来てもらった所もあるので、この転移門が無いと仕事にならない。

 これは完全に考助の主観なのだが、サキュバス一族の考助に対する忠誠は、かなり高い気がしている。

 それがもともと裏の仕事を請け負っていた者達だからなのか、それとも塔に居場所をくれたため、と思っているからなのかはわかっていない。

 あえて聞く必要もないだろうと考助は考えている。

 

 塔の各階層へと受け入れた亜人たちの現状は、こんな感じになっていた。

 今後は彼らが、どうやって塔の発展に関わっていくのか、管理しているコレット、シュレイン、ピーチ達とも話し合っていかないといけないだろう。

 とはいっても、現状まだ生活自体が落ち着いてはいないので、まずは落ち着くのを待ってからの方がいいのかもしれないと、考助は考えているのであった。

各階層の現状説明でした。

この辺で一度まとめ(?)ておかないと訳が分からなくなりそう(主に作者が)だったので、書きました。

しかし書いてみると、どうしても人間や亜人たちは、拠点の作成といった問題があるので、時間がかかります。

その間に、召喚獣たちが活躍しそうな感じです><


2014/5/24 誤字脱字修正

2014/6/14 誤字脱字訂正

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