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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第5部 第1章 塔同士の戦い
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(18)戦後処理

 細々としたことを話し合い交渉の終わりになった頃に、突然フローリアが思い出したように付け加えた。

「そうそう。アマミヤの塔が奪取した階層はお返しいたします」

「ああ、そうか。・・・・・・な、なに!?」

 フローリアの口からさらりと述べられた内容に、ペドロ国王は頷きかけてから慌てて聞き返した。

 言葉を取り繕う事を忘れていることからも、かなり慌てていることがわかる。

 それもそうだろう。

 誰が折角奪った土地をそっくりそのまま返すと思うだろうか。

 フローリアも内心ではそんなことを考えていたが、そんなことはおくびにも出さずにさらに言った。

「アマミヤの塔としては、新しく塔を貰えるだけで十分だ。それ以上を貰っても禍根を残すだろう?」

 建前ではフローリアが言った通りの事になるのだが、裏では別の事を言っている。

 要するに、新しい塔を管理することになるので、制圧戦で奪った階層は必要がないといっているのである。

 ペドロもすぐにその意図を察したのか、納得したように頷いた。

「なるほど。そういうことか」

 平静を装って頷いているペドロだったが、内心では安堵のため息を吐いていた。

 こちらから仕掛けた制圧戦で、負けることも見越していはいたが、それでも階層を奪われている状態というのは好ましくない。

 とられた階層が返ってくるのは、正直なところサリタの塔としては非常にありがたい。

 全く管理がされていない塔との交換と考えれば、かなりいい条件といえる。

「そういう事なら、喜んで受け取ろう」

 ペドロがそう返事を返したところで、両者の話し合いは無事に終了することとなった。

 奪った階層の受け渡しは、塔のシステム上で行う事になっているので、第七戦が終わって手打ちが完了したところで受け渡すことになった。

 これでアマミヤの塔としては、階層にいたモンスターや眷属たちの被害を除けば、塔を丸々一つ譲り受けたことになる。

 どちらがより得をしたのかといえば、有利な政治的取引があったことを含めれば、間違いなくアマミヤの塔側だろう。

 あとは、アマミヤの塔のメンバーで、サント・エミンゴ王国内にある塔を攻略すれば、今回の騒動の全てが終結することになった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 交渉を終えてフローリアが戻って来た翌日には第七戦が始まった。

 とはいえ、第七戦はお互いに何もしないという事が決められている。

 ここで少しでも相手側の階層に戦力を送れば、交渉した内容はご破算ということになる。

 幸いにして、サリタの塔側は戦力を送ってくることが無かったため、第七戦はその日の終了時間まで何も起こらずに終わった。

 「手打ち」の申請はサリタの塔がしてくることになっているので、それを待ってから考助は「許可」をした。

 それと同時に、画面上に今回の制圧戦はアマミヤの塔がサリタの塔を二階層分奪った状態なので、アマミヤの塔の勝利という文言が出てきた。

 これで完全に今回の制圧戦に関しては終わりとなる。

 あとは、相手から奪った二つの階層を、サリタの塔へと譲渡する手続きを取った。

 今回の制圧戦が始まってから、ようやくこうした階層の譲渡も出来るということがわかった。

 考助としては、今回の制圧戦での一番の収穫は、こうした塔のシステムを今一度確認することが出来たことではないだろうかとさえ考えてる。

 

 塔のシステム上の手続きは以上になるが、考助たちがすることはまだ残っている。

 約束してあるサント・エミンゴ王国内にある塔を一つ攻略しなければならないのだ。

「そういうわけだから、今回の攻略にはミアもついてきてもらうから」

「え? 私もですか?」

 予想外のことを言われたとばかりに、ミアは両目を大きく見開いた。

「そうだよ? じゃないと塔の管理長になる手続きが取れないじゃないか」

 考助がそう言うと、更にミアの目が大きく開かれた。

 ミアとしてはまさか自分が塔をそのまま管理することになるとは考えていなかったのである。

 しかも考助は、セントラル大陸にある聖魔の塔や四属性の塔のように、アマミヤの塔の傘下ではなく、完全に独立した塔として管理することを考えている。

「わ、私が完全に独立した塔を管理するのですか?」

 驚きを通り越して慌てふためき始めたミアを見て、フローリアが一つ息をついてからミアの肩をポンとたたいた。

「ミア。今回の制圧戦の事を考えれば、アマミヤの塔の傘下に入っていない塔を持つことの意義は分かるだろう?」

 制圧戦という戦闘行為を行う必要があるが、その制圧戦でモンスターの進化を急激に促すことが出来るという事が分かった。

 勿論、それには犠牲も出るのだが、その進化の早さは無視できない影響がある。

 現状アマミヤの塔以外の塔が、中々LVアップが進んでいないことを考えれば、魅力的な手段とも言える。

 

 更に、制圧戦を行う事でもう一つ大きなメリットがある。

「新しい塔をミアに管理させるのは、単にモンスターの進化の事だけを考えているわけじゃないよ?」

 考助がそう言うと、他の全員の視線が集まった。

「あれ? みんなも気づいていない? サント・エミンゴ王国からもらった塔と制圧戦をし続ける(・・・・)ことで受ける大きなメリットがあるよね?」

 考助があえてそう強調していうことで、まず初めにコウヒとミツキが理解したような顔になった。

「なるほどねえ」

「流石、主様です」

 二人がそう声に出すと同時に、シュレインやフローリアも理解したような顔になった。

「あっ! そうか」

 それに引き続いてミアも分かったように、声を上げた。

 残っているシルヴィアやピーチはまだ首を傾げたままだった。

「ミア、シルヴィアとピーチに説明してあげて」

「はい。要するに、わざと制圧戦を終わらせないことで、他の塔からの宣戦布告を防ぐことができます」

「「あっ!?」」

 ミアの説明を聞いて、シルヴィアとピーチの二人もようやく気が付いたような顔になった。

 

 今回の事でもわかった通り、相手の宣戦布告からは逃れることができない。

 では宣戦布告自体を防ぐのにはどうすればいいのかというと、まさしくミアが説明した通りの状態にしておけばいい。

 今回の件で考助が塔を要求したのは、それが一番の目的だった。

 幸いにも制圧戦のルールについて確認したところ、期間の制限というのは設けられていなかった。

 あくまでも制圧戦が終わるのは、「手打ち」によるものか、完全に塔の階層の制圧が終わるかまでになる。

 世界中に散らばっている塔は、階層の広さから数までバラバラに存在しているためにそういう仕様になっているのだろうが、それをあえて利用することにした。

 途中で仕様変更なんて自体が起きなければ、半永久的にミアが支配する塔とアマミヤの塔の間で制圧戦をし続けることができる。

 ついでにいえば、アマミヤの塔のように他の塔を傘下に収めている場合は、アマミヤの塔が他の塔から戦闘を仕掛けられている場合には、他の塔は宣戦布告を受けることはない。

 ただし、一番下の層の門を開けている場合は、攻略戦がいつでも出来る状態なのでその限りではない。

 とにかく、制圧戦を利用して相手からの宣戦布告を防ぐというのは、今回の制圧戦の最中に思いついていたことだった。

 出来るなら完全に自由に出来る塔を手に入れることが出来れば可能になると制圧戦中に考えていた考助だったが、交渉で上手く手に入れることが出来たのは、考助にしてみれば十分すぎるほどの成果だった。

 あとは無事にサント・エミンゴ王国内にある塔を攻略すればいい。

 最初に宣戦布告を受けて始まった今回の制圧戦だったが、考助としては色々と反省すべき点もある意義のある戦いだったと考えているのであった。

塔を一つ貰う事にした理由でした。

これで、一々宣戦布告されることにおびえる必要はなくなります。

例え、他の塔に圧倒的に勝てる戦力があっても、一々対応していては煩わしいですからね。

ちなみに、本文中には出ていませんが、一国で複数の塔を所持していたり、協定を結んで同じようなことをしている塔は他にも存在します。


制圧戦としては以上ですが、あとはもらった塔の攻略について少しと、肝心のコレットの話に触れてこの章は終わります。

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