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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第1章 塔に向かおう
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(4)左目の力

よろしくお願いします

 [常春の庭]でのことを二人に説明が終わった後、まだ膝枕から解放されていなかった考助は、暇だったので左目の力を試してみることにした。

 今度は同じ失敗をしないように、慎重に神力を左目に流す。

 とはいっても考助の感覚では、ほとんど神力の力を使わずに発動した感じを受けた。

 さらに、それ以上の力を込めようとしても先ほどのようなことにはならなかった。


(なるほど。これがリミッターか)


 そして、その状態の左目で、ちょうど視界にいた(膝枕されているので視界にいるのは当然)ミツキを見ると以下のような文言が視界に現れた。


 固有名:箕月ミツキ

 種族名:月夜族

 固有スキル:複数所持(未開放)

 天恵スキル:複数所持(未開放)

 称号:考助の眷属


(なにこれ? ・・・ってか、「考助の眷属」って何!?)

 突っ込みどころがあるが、一つだけだと比較のしようもないので、コウヒの方も見てみる。


 固有名:光陽コウヒ

 種族名:陽光族

 固有スキル:複数所持(未開放)

 天恵スキル:複数所持(未開放)

 称号:考助の眷属


(・・・眷属・・・コウヒにもついているし・・・。うーん、とりあえず自分も見れるのかやってみよう)

 というわけで、自分の体が視界に入るようにして見てみる。


 固有名:考助コウスケ

 種族名:人族?

 固有スキル:なし

 天恵スキル:神の左目

 称号:女神の??(未開放) エリス(天女)の??(未開放)


(・・・・・・なんで種族名に?マークついてるの!? そして、??って何? ・・・エリスさん、天女なんだ・・・)

 女神というのが誰なのかは思い当たりがありすぎる。

 とりあえず三人分確認してみたが、突っ込みどころが増えただけである。

 考えてもわからないものはわからないので、素直にミツキに聞いてみることにした。

 コウヒは忙しそうに出発の準備をしている(といっても荷物はほとんどないので火の始末などの片づけである)。

「なんか、二人に⦅考助の眷属⦆とか出てるんだけど、何かわかる?」

「・・・突然なに? ・・・ああ、例の左目の力ね。うーん・・・・・・。恐らくだけど、私達に名前を付けてくれたじゃない? それのせいだと思うわ」

「・・・名前つけただけで?」

「そう。名前つけるのって結構大事なことだからね」

「へー」

 親から普通に名前をつけてもらった身としては、ごく普通の感覚なのだが、ここでは違うということだ。

「じゃあ称号って何?」

「・・・・・・それは私にもわからないわ。そもそもそんなものが見えてるのは、考助様だけだと思うし」

「うーん・・・。てことは、今は保留するしかないか」

「・・・そうね。それがいいと思うわ」

 考助しか使える者がいないということは、一つ一つ自分自身で確認していかなければならないということだろう。

(まあ、今はしょうがないか。色々試してみるしかないな)

 そう結論付けることにした。


 とりあえず、称号に関しては置いておくとして、次は(未開放)となっている部分についてである。

 これに関しては、あたりを付けている。

 リミッターである。

 リミッターの上限が解放されれば、この(未開放)となっている部分も見えるようになると思われる。

 アスラが、リミッターの上限を解放するには数をこなせ、と言っていた。

 というわけで、色々なものを見ようと思うが、残念ながら(?)この態勢のままだと大したものは見れない。

 せいぜい地面に生えている草くらいである。


(・・・ん? まてよ? もしかしたらもしかする、かな?)


 手を伸ばして触れることができた草を適当にプチッと抜いて、目の前に持ってくる。

(!? ・・・ビンゴ!)

 すぐに文言が現れた。


 固有名:なし

 種族名:プレン草

 説明:ただの雑草。


 ・・・これだけが表示された。

 実に単純である。

 前の三つの場合と違って「説明」なんてのもある。

(うーん。駄目だな、これは。今の段階じゃ何もわからん。やっぱり数をたくさん見て、判断していくしかないか)

 実例が少ないから何とも言えない。

 そもそもその辺の草でも見ることができたということは、どんなものでも表示される可能性がある。

 どこからどこまでが有効なのかは、結局のところ数をこなして判断するしかない。

 アスラからの忠告もある。

 人を見るときは気を付けないといけないが(特に女性は)、気づかれない程度にどんどん左目を使っていくことにした。

 どんどんデータを集めて判断するしかない。


(・・・まあ、それはともかく・・・)


「あの・・・僕は、いつまでこうしていればいいのかな?」

 いい加減気になっていたので、膝枕をしてくれているミツキを見上げながら聞いてみた。

「え? ・・・いつまでも?」

「ちょっと、待って!?」

 とんでもないことを言い出したミツキに、考助が慌てる。

 呆れたようにコウヒが口をはさんだ。

「・・・何を下らないことを言っているんですか。いつまでもここで野宿というわけにもいかないでしょう。もうお体の方も大丈夫そうですし、そろそろ出発しましょう」

「えー。そんなー。そうか、じゃあしょうがない、今から交互に膝枕していくってどう?」

「・・・っ!? えっ・・・!? ・・・それは・・・とても魅かれるというか・・・いえ、そうではなくて・・・!?」

 簡単に釣られそうになるコウヒに、考助は上半身を起こしながらため息を吐いた。

「いやいや。そういう問題じゃないから。もう体の心配ないんだったら、さっさと行こうよ」

「はあ。・・・残念です」

「むー。しょうがないか」

 双方から恨めしそうな視線を向けられる。

 美人二人にそういう顔をされると非常にくるものがある。

「うぐっ。いや。そんな目をしてもダメ。早くちゃんとしたベッドとかで寝たいし。替えの着替えだってほしいよね?」

 替えの服など持っていない。ここにいる限りは、着たきり雀の状態なのだ。

(・・・洗濯は着たままで、できるとはいえ。・・・魔法マジ便利)

 もっとも考助は魔法が使えないので、コウヒかミツキに頼んでやってもらっているのだが。

 好き好んで魔物に襲われるような場所にいつまでも居たくない上に、早く人間らしい生活をしたい。

 といってもここから一番近い町でも、コーたちを使っても5日以上はかかるそうだが。

 普通は飛龍を足代わりにしてる者などいないので、町の近くの見つからない所まで飛龍で飛んであとは徒歩で向かうことになっていた。

「いえ。私は主様がいれば、どこでもいいですが?」

「あ、ずるい。私もだよ」


(あ、だめだ。二人に任せたらいつまでも町にいけない気がする)


 割と本気で危機感を覚えた考助は、さっさと自分から動くことに決めた。

「あー、はいはい。わかったから、もうさっさと行く準備しよう」

「それはもう私の方でやっておきました。あとはもう移動するだけです」

「あ、そう。ありがとう。じゃあさっさと移動しよう!」

 もうこれ以上余計な時間を作りたくないとばかりに、さっさと宣言してしまう。


 出会って二日目にして、コウヒとミツキの二人は、基本的には自分が動かないと積極的に自ら動かないと悟った考助であった。

2話連続投稿です。

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