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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第1章 タウゼン王国編
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(12)検査

 新たに登場した集団は、門番と押し問答を繰り返していた騎士団と同じくタウゼン王国の騎士団だった。

 考助達は、同じ騎士団という事で元々居た騎士団の味方をするのかと当初は考えていたのだが、様子を窺っているとどうにも様子がおかしい。

 黙ってお互いのやり取りを聞いていると、建物内で聞き取れる範囲ではあるが、何となく状況が理解できて来た。

 元々居た騎士団は第一騎士団に属する者達で、後から来た騎士団は第三騎士団に属する者達だ。

 その様子を見ている限りでは、王国内の派閥争いに巻き込まれたのは間違いない。


「・・・・・・何とも面倒なことになったようですね」

 第三騎士団の者達が、第一騎士団に対して令状なしに検査をしようとしていることを突いている所で、考助はため息を吐いてそう言った。

 その考助の感想を聞いたレネーは、苦笑をしてから返事を返して来た。

「まあ、ある程度予想は出来る範囲ですがね。・・・・・・それにしても、第一と第三の争いですか」

「何かあるのですか?」

「一言で言えば、第一と第三は元々仲が悪いと有名なのですよ」

 それを聞いた考助は、表情を引き攣らせた。

「いくら商人情報とはいえ、そんなことを簡単に知られていいのでしょうかね?」

 呆れが含まれた考助の顔に、レネーは苦笑を返した。

「他国から見ればよくはないのでしょうね。ただ、この国では昔から騎士団同士で競わせて腕を磨くという習慣があるんですよ」

「ああ、なるほど」

 そう言われると納得できる理由だが、それでもあからさまにここまで仲が悪いとなると国家運営に支障をきたすのではないかと心配になる。

 ただし、レネーの言い分だと長い間続いている習慣のようなので、意外と上手く行っているのだろう。

 内情は綱渡りの状態なのかもしれないが。

 

「襲撃者が解放されて、騎士団が絡んでいることは予想していましたが、まさか直接出張ってくるとは思いませんでした」

「権力でどうにかなるとでも思っているんでしょうかね?」

「流石にそれはないと思いますよ。考えられるとすれば、検査と称して例の物を入れ替えたりでしょうか」

 権力者がその力を使って商人たちの商品を自由に奪ってしまうような体制だと、商業の発達など見込めない。

 曲がりなりにも海に面した商業国家を自認しているタウゼン王国では、そのような横暴は許されていない。

 それ故に、令状がどうのという話になっているのだろうが、第一騎士団の者達も一歩も引く様子はない。

「・・・・・・なんとも、考えなしのような気がしますが、そんなことが出来ると本当に考えているんですかね?」

 首を傾げる考助に、レネーは苦笑を返す。

 王族への献上品を運んでいるのだ。

 別に相手が騎士団に限らず、そう言う対策はしっかりと取られているのだ。

「案外、この騒ぎに乗じて、商会の誰かに持ってこさせるつもりなのかもしれませんね」

「ああ。裏切りですか」

 上手く働いて騎士団との繋がりを持てれば、という誘惑に負けるような従業員が出ないとも限らないということだ。

 

 ただし、考助とレネーがのんびりと話していることからわかるように、そう言った対策はしっかりと取られている。

 王族への献上品として置かれているケースはダミーで、中身は全くの別物なのだ。

 本物は、コウヒのアイテムボックスの中というもっとも安全な場所に保管されていたりする。

 レネーがそのような対応を取ったのは、考助のことを完全に信用してのことだ。

 ついでに、献上品自体は考助達の実力であれば、簡単に手に入れることが出来ることも分かっている。

 わざわざ国家に狙われる危険を犯してまで、献上品を狙う意味がない。

 そうしたことを考えた上で、コウヒのアイテムボックスの利用を提案したのだ。

 考助も、レネーがそうしたことを考えた上で献上品を預けてきたことを理解している。

 コウヒに預けてしまえば、まず奪われることがないことも分かっているので、あっさりと引き受けたのだった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

「おっ?! そろそろ決着がつきそうですね」

 状況に変化が出て来たのが、はなれた場所にいる考助達にも理解できた。

 第一と第三騎士団が言い合いをしている間に、数名の騎士がさらに加わり一枚の紙を見せて来たのだ。

 話の流れから、それが正式な令状になるのだろう。

 今まで令状が無いことを盾に、侵入を阻んでいた第三騎士団の者達は、あからさまに悔しそうな表情になっていた。

 考助の感覚では、騎士がそんな簡単に表情を悟らせていいのかと思わなくはないが、総じてこの世界の騎士は感情を表に出すことが多かったりする。

「どうやら今回は、第一騎士団が上手だったようですね」

 考助がそう言うと、レネーは首を傾げた。

「どうですかね。単なる時間稼ぎとも見えますが? あ、ほら。自分達も同行することを言いだしてますよ」

 レネーの言葉通り、今度は第三騎士団の者達が調査の同行を申し出てひと悶着起きている。

「それにしても、今更令状を用意するのは、おかしい気がしませんか?」

 そもそも考助達が運んでいる荷物を調査することを計画していたのであれば、最初から令状を用意していてもおかしくはないだろう。

 全くの手ぶらで来ていること自体が信じられない。

「そうですね・・・・・・。いや、案外私達が予想以上に早くこの町に着いたのかもしれませんね」

「そうかもしれませんが・・・・・・。襲撃者の頻度からどれくらい町に近づいているかは把握していると思うのですが」

 考助の言葉に、レネーも首を傾げた。

「案外、上下の連絡が上手くいっていないのかもしれませんね」

「・・・・・・なんか、大丈夫ですかね。この国の騎士団」

 考助がそう言うと、レネーは再び苦笑を浮かべた。

 反論できるだけの材料が無かったのだ。

 

 ちなみに、騎士団同士の言い合いを見ている門番は、我関せずといった態度をとっていた。

 門番にしてみれば、令状があれば通すことは問題がないのだ。

 あとは、騎士団同士で勝手にやってくれという事だ。

 泥沼の争いになっているのを見て、考助がポツリと呟いた。

「・・・・・・このままいくと、夜中になっても寝れなさそうですね」

 流石にそれは勘弁してほしいと、続けた。

 それに同意するように、レネーも頷いた。

「確かにそうですね。では、そろそろ助け舟を出しましょうか」

「介入しますか?」

「まあ、このままだらだら続けられても困りますしね」

 困るのは主に、倉庫を利用している商会だが、その商会と取引をしているレネーにとっても他人事ではないのだ。

 それに、考助が言った通り、夜中まで騒がれても困ったことになる。

 

 そう言うわけで、いつまでも続きそうな二つの騎士団の不毛な争いに、レネーが介入することによって一応の決着が見られた。

 レネーの介入により、倉庫への立ち入り検査は、第一と第三騎士団の両方が立ち入ることになった。

 今回の令状で許可がされているのは、レネーが持ち込んだ荷物だけだ。

 あからさまに献上品を狙っていることがバレバレだが、もはや今更だろう。

 第三騎士団が第一騎士団を監視するというピリピリとした空気の中、考助達が運んできた荷物の検査が行われた。

 ただ、一度検査が始まってしまえば、その後はスムーズに事が進んだ。

 献上品の検査の際にひと悶着起こるかと思ったのだが、特に何か騒ぎが起こるでもなく静かだったのだ。

 考助やレネーは、内心で首を傾げつつ騎士団の検査を見守るのであった。

はい。

考助に「大丈夫か」と言われた騎士団でした。

ちなみに、騎士団は第四まであることになっています。

今の話で他の二つが出てくる予定は今のところありませんw(予定は未定)

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