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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第2部 塔のあれこれ(その9)
460/1358

(1)子供たちの成績

 久しぶりに管理層には、全員が揃っていた。

 コウヒとミツキは当然として、シュレインをはじめとした女性メンバー、そしてシルヴィアやフローリアの子供たちだ。

 今年十五になったトワは、学園の高等部の卒業が決まっている。

 高等部を卒業するには一定の学力を修めないといけないのだが、トワは早々と卒業を決めてしまったのだ。

 勿論、夏のこの時期に卒業が決まっているのは、トワ一人だけではない。

 そんな優秀な成績を修めた者達は、ラゼクアマミヤの各組織への就職が早々と決まっているのが現状だ。

 トワ自身は、卒業後はフローリアに付いて回り、将来の国王としての業務を学ぶことになっていた。

 そうして側近たちも含めて、各地の有力者に顔を覚えてもらうことになるのである。

 

 そんなトワは、今現在ルカと共にパズルゲームで遊んでいた。

 考助作の魔法陣を学べるパズルゲームだ。

 最初から才能の片鱗を見せていたルカだったが、順調にその才能を伸ばしていた。

 今では、上級者用に作った問題も苦労しながらではあるが、何とか解いている。

 対してトワは、将来の国王として帝王学をメインに学んだのだが、魔法学も専攻していた。

 興味のままに取ったのもあるのだが、その成績は同じ学年では五本の指に入るほどの実力がある。

 魔法学自体は魔法全般を習うので、魔法陣だけを習うわけではない。

 それでも学園の高等部で魔法学を専門に学べば、上級者が使用する魔法陣も習う事になる。

 学園での優秀者であるトワもそうした魔法陣について詳しいという事になるのだ。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 トワとルカのレベルが高すぎてついて行けなくなったミアが、再び二人の様子を見に来た。

「お兄様、どうですか?」

 今はルカが問題を解いている。

 それをトワが見守っている様子だったので、ミアが話しかけたのだ。

「いや、難しいね。それだけに面白いけど」

 笑顔を見せたトワに、ミアも嬉しそうな表情になった。

 王太子として行動するようになったトワが、ここまで素直に自分の感情を見せることは珍しくなっていたのだ。

「そうですか」

「そっちはどうだい?」

 二人が解いている問題のレベルが高すぎてついて行けなくなったミアは、他の兄弟たちの様子を見ていた。

 他の兄弟たちも同じようにパズルゲームを解いている。

 ちなみに、解いている問題は中級者レベルの物なので、決してレベルが低いというわけではない。

 この辺りは、しっかりと考助の血を引いていると言えるだろう。

 二人のレベルについて行けなくなったミアだったが、決してレベルが低いというわけではない。

 むしろ学園では、兄と同じように魔法学に関しては上位の成績を修めている。

 特に魔法陣に関しては、兄以上と言われていたりする。

 

「リクもココロも、しっかりと基礎は覚えているようですわ。後は応用、と言った感じですね」

「・・・・・・何というか、ここにいると自分が成績優秀とは口が裂けても言えないな」

 そう言って苦笑するトワに、ミアも同じような表情を返した。

 特にルカを見ていると、少なくとも魔法陣に関しては全く及ばないというレベルになっている。

 ルカに関しては、既に教師陣から天才と称されていたりする。

 もっとも、それは魔法陣に関してだけで、他は普通といった成績である。

 考助の子供たちは、特に一つの物に秀でていると言った特徴が強いのだ。

「お兄様は、既に王太子として認められているではありませんか。それに比べて私は、他の皆と比べて特筆する物がありません」

 そんなことを言うミアに、トワは白目を返した。

「頼むからその台詞は、他の生徒がいる所では言わないでくれよ」

 

 トワがそんなことを言うのにはわけがある。

 確かにミアは、突出して優れている物があるわけではない。

 ただ、学園で学ぶ物に関しては、全て(・・)が優秀な成績なのだ。

 学園の教師たちに、兄弟たちの中で一番優秀な者が誰かと問えば、間違いなくミアの名前を出すだろう。

 学園に入学したての頃は、騒ぎが起こったミアだったが、護衛を付けて以降は常に優秀な成績を修めて来た。

 各学年で常にトップの座を譲らなかったのだから、その優秀さは群を抜いていると言える。

「言うわけがありません。この場所だけですよ」

 ミアが肩を竦めてそんなことを言った。

 トワと同じように、常に注目を浴びているミアも本音を出せるのはこの管理層だけという寂しい状況になっているのだ。

 それは、リクも同じだった。


 対してシルヴィアの子であるココロやルカはそれほどでもない。

 成績が優秀で注目を受けたりはしているが、それだけとも言える。

 それには理由があって、トワたちは「ラゼクアマミヤの女王であるフローリアの子」という事で注目を浴びているのである。

 決して「コウスケの子」という事で注目を浴びているわけではない。

 別に隠しているわけではないが、喧伝しているわけでもないのだ。

 変な騒ぎ方をすれば、代弁者の怒りを買いかねないので、事実を知った者達が広めていないという事もある。

 おかげでトワたちは、文字通りの「神の子」という注目のされ方はしていないというのが現状なのだった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 再びトワとルカだけで問題を解いていると、考助が近寄って来た。

 今まで大人たちで集まって話をしていたのだが、二人の様子が気になって見に来たのだ。

「どう?」

「あ、お父様」

 今はトワが問題を解いているので、ルカが考助に返事を返して来た。

 トワは必死になっている。

 上級者レベルになると、数十か所以上の穴抜けになっているので、答えも様々なのだ。

 一つのパターンだけで決まっている問題もあるが、大抵は複数通りの答えがある。

 これが曲者で、ある魔法陣と別の魔法陣が混ざってしまって、正解にならないのだ。

 そのためどこが間違っているのかを見つけるのが非常に難しいのである。

 

「ああ、なるほど」

 トワが解いている問題を見て、考助はすぐに何が間違っているのかを見つけた。

 典型的な間違いのパターンで、二つの魔法陣を混ぜて考えてしまっているのだ。

 それぞれの魔法陣としては正しいのだが、一つの魔法陣として見ると間違っているので正解にはならないというわけだ。

「父上は一目でわかるのですね」

 問題から目を話したトワが、悔しそうな表情になって考助を見た。

「それはそうだよ。これくらいは一目で分からないと、ここで動いているゴーレムなんて作れないよ」

 正確にはメイドゴーレムを作っているのはコウヒやミツキなのだが、考助も当然理論は理解している。

 考助は美的感覚が残念なので、コウヒやミツキのようにタイプの違う美形を何種類も作り出すことが出来ないというだけだ。

 

「ゴーレムたちも魔法陣で作られているのですか?」

「勿論。魔法具の基礎は全て魔法陣が元になっているからね。それは神具であっても変わらないよ」

 使っているのが魔力なのか神力なのかという違いはあるが、動作の基本となっているのは魔法陣を使う事だ。

 魔法陣は、魔道具を動かすための回路と同じなのである。

「それじゃあ、僕にも彼女達みたいなゴーレムが作れる?」

 突然目を輝かせたルカに、考助は目を瞬いた。

 ルカがゴーレムに興味を持っているというのは、全く気付いていなかったのだ。

「勿論。ただ、魔法陣を知っている事以外にも色々知らないといけないこともあるけれどね」

「じゃあ、僕、もっと勉強頑張る!」

「そうか。ゴーレムのことを知りたかったらコウヒに詳しく聞くといいよ」

 最近のコウヒは、フローリア家とシルヴィア家の間を行き来しているのだ。

 子供たちが成人するまではその生活が続くと明言しているので、ルカがゴーレムのことを知りたいのであればコウヒに詳しく聞くのが一番いいだろう。

「うん!」

 嬉しそうに、子供らしい表情で頷くルカの頭を考助は右の掌で撫でるのであった。

はい。子供たちの成績でした。

誤解があると困りますので、ここで明言しますが、考助はこの世界(地球)では特に優秀だったというわけではありません。

子供たちは、母親たちの影響を受けて育っているのでしょう。

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考「作者、ひどい><」

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