(6)初めての見学
PVが少ない方が、ブックマーク登録が多い不思議。
何故なんでしょうね?w
アイリカ王国のクラウン支部がある街は、リブビア城を含んだ城下町になっている。
街の名前は城の名前にそのまま由来してリブビアと呼ばれていた。
リブビアの街周辺は、流石に王都のおひざ元という事もあって、大型のモンスターが出てくることはほとんどない。
全く出ないというわけではないのだが、出たとしても騎士団によって討伐されてしまうのがほとんどだった。
とはいえ、それでも中級上位のモンスターは、冒険者の足で数日歩いた距離には出てくる。
ギルドに対するモンスター討伐の依頼の大部分は、王都を含めた衛星都市周辺の治安を維持するためにリブビアの街と国から出されている。
リブビアで活動している冒険者のほとんどは、こうしたモンスターを討伐することによって稼ぎを得ているのである。
リブビアの街の西側には、深い森林地帯が広がっている。
残っている動植物の生態から元はアイリカ王国の西側に広がっている巨大な大森林地帯の一部だったとも言われているのだが、今ではその大森林地帯からは完全に分断されている。
それでもかなりの大きさの森林が残っているために、そこはモンスター達が根城にするには十分すぎるほどの広さが残っていた。
アイリカ国内には、こうした大きな森林地帯がいくつか残っているのだ。
そのためそうした環境で生きているモンスター達の討伐が主な稼ぎになる。
ロマン達が最初に選んだ依頼は、王都から半日ほど歩いた先に出てくるリンクスというリス型のモンスターだった。
リンクスはアマミヤの塔でも出てくるモンスターなので、最初の討伐相手としては勝手知ったる相手なのだ。
その体長は全長で一メートルほどの大きさになるのだが、その巨体にも関わらずリスらしくかなりのスピードで噛みついてくるのが特徴のモンスターだ。
さらに厄介なのが、大抵二、三体で襲って来るのが討伐の難易度を上げていた。
個体であればさほどのランクではないのだが、必ず集団で出てくることを加味してDランクの依頼になっているモンスターだ。
ただし、Dランクと言っても本部ではDランクの下位に位置するような依頼でもある。
要するにEランクから上がった冒険者たちが、最初に集団戦の脅威を感じる依頼とも言われていた。
セントラル大陸での評価はそう言う感じなのだが、アイリカ王国を含めた東大陸内ではDランクの上位に位置する依頼でもある。
そのため素材持ち込みではなく、討伐部位証明を持ってくるだけでそれなりの金額に設定されていた。
リブビアでは、ランクの割にはモンスター達が強すぎで割に合わないとされている依頼なのであった。
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ロマン達は、リブビアから半日ほど歩いた所にあるタエンという村を拠点に活動することにした。
依頼表に記載されているリンクスの討伐数が問題だったのだ。
通常の討伐依頼であれば四、五体が普通の所に、その依頼は何と百体と書かれていたのだ。
人気のない討伐依頼だと、複数の依頼が一つにまとめられていく事がある。
だからと言って百体というのは、やりすぎだとロマンも思ったのだが、余りの人気のなさにそうなっているのだ。
逆にリンクス相手に戦い慣れているロマン達にとっては、その依頼報酬が美味しいとも言える。
流石に一度で一気に百体ものリンクスを相手にすることは出来ないので、出現地点近くのタエンの村を一時的な拠点にすることになったのである。
ちなみに、討伐部位は貸金庫のような保管場所に預けることになっている。
保管場所を探していたら運よく拠点にしている宿の主人から、空き場所を提供してもらえたのだ。
ただ、貸金庫と言っても本当の銀行の物のように警備までされているわけではない。
保管中に預けている物に関しては、完全に自己責任であることを条件に借りることが出来たのであった。
いよいよ討伐に向かうとなったその日。
全員が集合したところでロマンがアリサに最終確認をした。
「これから討伐に向かいますが、リクは討伐には加わらないという事で良いですね?」
ロマンはリクが王族だとは知らないが、どこかの貴族のお坊ちゃまだという事は察している。
最初は相応の態度を示していたのだが、リクがそれを拒否したので今では呼び捨てになっていた。
「ええ。それから、私達のことは気にしないで、自分たちのペースで進めていいわ」
「わかった」
ロマン達は、訓練校で散々アリサの実力を見せられている。
自分達がこれから入る場所で、一人の子供を護衛することなど問題ないことは分かっているのだ。
「あ、ただ、進むスピードには気を付けてほしいかな? 狩り以外で森に入るのは初めてだろうから」
アリサはそう言って、リクを見た。
リクも隠すことなく頷いた。
変に隠し立てをすると逆に迷惑を掛けるという事は、村に来る道中で既に経験しているのだ。
「そうだな。わかった。まあ、リンクスはそうそう深い森には居ないからさほど深くまで入らなくても出てくると思うが・・・・・・」
「ここはセントラル大陸の森じゃないんだから、油断は禁物よ」
ロマンの推測に、パーティメンバーの一人がそれを諌めた。
「分かっているさ。それに、数が数だからな。いずれは奥まで入らないといけなくなるだろう」
「だな。それじゃあ、ちょっくら周辺を見てくるぜ」
「頼む」
ロマンがそう言うと、パーティの斥候役は彼らを置いてさっさと森へと入って行った。
斥候役が近くに対象のモンスターがいるかどうかを確認してから討伐に向かうスタイルなのだ。
その間ロマン達も止まっているわけではない。
安全を確保しながら、しっかりとパーティで森を進んで行くのだった。
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ロマン達が森を進んで行くと、斥候役のメンバーが戻って来た。
「この先にいるぜ。五体」
「分かった。準備は良いな?」
ロマンの確認に、パーティのメンバー達が頷く。
既にロマン達にはリクの存在は、記憶の片隅に置きつつ、意識は討伐へと向いていた。
過去に何度も討伐している相手とはいえ、油断できる相手ではない。
それに、リンクス以外にも他のモンスターが出てこないとは言えないのだ。
リーダーであるロマンが一瞬だけ視線をアリサへと向けたが、そのアリサが頷くのを見てメンバー達に号令をかけた。
「じゃあ、行くぞ!」
その掛け声で、パーティメンバーは各々の役目をはたすべく動き始めるのであった。
リンクスはその巨体をものともせず、比較的大きな木の枝の上にいたりする。
流石に小枝の上に乗れるような体重ではないのだが、大きな枝の幹近くには簡単に昇って行ったりするのだ。
その辺りはリスに近い生態をしているといえるが、とてもそんな可愛らしい生物ではない。
今回ロマン達が当たったリンクスは、全部で五体いた。
そこまで数がいるとリンクスの特徴である集団戦が十分に発揮されてくる。
それをさせないためにも、まずは斥候役が弓で遠距離から牽制を掛けた。
その攻撃でロマン達の存在に気付いたリンクス達が器用に枝を飛び移ったり地面を走りながら攻撃を仕掛けて来た。
ロマン達の傍に来るまでには、斥候役の弓の攻撃で一体が仕留められていた。
初めて目の前で行われるモンスターの討伐をリクは、息を凝らしつつじっと見つめていた。
本や人の話だけではない、生で行われる戦闘の迫力に、いろんな意味で凄みを感じる。
当然、討伐されたモンスターからは、血が噴き出したりしている。
そうした生の感覚に、嫌悪感のような物は感じなかった。
だからと言って、変に高揚するというわけでもない。
目の前で行われている生死を分ける戦闘をただじっと見つめていた。
そんなリクの様子をアリサがジッと見守っていた。
リクが見守る中、初めての戦闘は十五分ほどで終了した。
幸いにして、他のモンスターが混ざってくることは無くきっちりと仕留めることが出来た。
残念ながら体長一メートルもあるモンスターの全てを持って行くことは出来ない。
周辺にある血のりや必要な部位だけを処理して、一行は次の狩場へと向かうのであった。
初めての戦闘を見たリク君ですが、意外に(?)冷静に見守っていたようです。
ちなみに、塔の眷属たちがモンスターを討伐する様子を見たことはあります。




