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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第2部 塔のあれこれ(その7)

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(5)成長のための加護

「教師の権限」の話を投稿したことにより、ラゼクアマミヤの政治体制に関しての多くの質問を頂きました。
「塔の管理をしてみよう(資料集的な物?)」に、それらの質問に対する回答をまとめた現時点でのラゼクアマミヤの政治体制について書いた物を上げました。
是非そちらをご覧いただければと思います。
本来であれば、作中でそれらの説明をすればいいのですが、どう話に組み込めばいいのか悩み中ですので、取り急ぎそのような対応とさせていただきます。

それでは、長くなりましたが、本編をどうぞ。
 神域への定期訪問の時のこと。
 既に数を数えるのも面倒になるほど、考助は神域へ来ている。
 月に一度は来ていて、十年も過ぎているのだからそれも当然だろう。
 考助にとって神域への定期訪問は、生活の一部となっていた。
 考助の訪問を待ち受ける神々も、当初の勢いは完全になくなり単に考助との触れ合う時間となっている。
 開かれているパーティなどは、最初の時とは完全に性質が変わって考助との交流の場だけではなく神々同士の交流の場となっている。
 これにはアスラも予想外の結果と喜んでいた。
 考助が来る前の神々は、独自性(?)が強く知り合い同士以外の交流はほとんどないような状態だったのだ。
 それが考助のパーティで知り合い、それまでになかった繋がりが新たに出来るまでになっていた。
 考助の存在が神々同士の交流のための良い潤滑油となったわけだ。

 女神達が交流を深めているのを眺めながら、考助はというと三大神の三姉妹に加えてクラーラ、ミディールと共に会話を楽しんでいた。
 もっとも、会話と言っても考助が話すことはほとんどない。
 考助の塔にいる間の行いは、神々にはほとんど筒抜けの状態なのだ。
 最初は生活が筒抜けであることに頭を抱えたが、そもそも彼女たちは女神なのだ。
 隠すこと自体、意味がないのである。
 そのため、今の考助は開き直っている。
 こういった理由の為に、考助から話すことはほぼないのである。

 考助が定期訪問で神域に来たときは、塔にいる間に神域で起こったことや噂話を女神達から聞くことがメインとなっている。
 といっても、もともと変化に乏しい神域の事。
 ほとんどが女神達に起こった身近な話題に終始している。
 例えば、遊んでいたジャルがエリスに見つかって怒られていたといったごく身近な話題だ。
 こうして話を聞いていると女神達の普段の行いがわかるので、考助としても非常に興味深い。
 もっとも、そのノリはごく普通の女性同士の世間話(?)と変わらないのだが。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 はっきり言えばどうでもいい話をしていたクラーラが、ふと思い出したように考助にある話を切り出して来た。
「そうそう、考助。聞きたいことがあったのよ」
「何?」
 突然真面目な顔をして話し出したクラーラに、考助も今までの話題とは違うふと察して表情を切り替えた。
 唐突に話題が変わって真面目な話に切り替わることは、女神達と話している時にはよくあることだ。
 この十年で、考助もすっかり慣れてしまっている。

「貴方の娘のココロだけれど・・・・・・」
「うん?!」
 娘のことだと言われて考助は少し身構えた。
 ココロは先日、神力の暴走で倒れたばかりである。
 何事かが起こっているかと思ったのだ。
「いえ。そんなに身構えないで。単に加護を付けていいかと聞こうと思っただけなのよ」
「加護を?」
「そうよ。加護を付ければ、ある程度神力の成長にも対応が出来るからね」
 初めて聞く話に、考助は思わず視線をエリスへと向けた。

 考助に視線を向けられたエリスは、間違いないと頷いた。
「その通りです。ココロは成長と共に神力も多くなっているようですが、その増加量が器の成長に追いついてないと先日同じような状態になります」
「私達の加護を付ければ、その器の成長に対応できるってわけね」
 エリスの説明に、ジャルが付け加えた。
「成程ね。それはいいんだが・・・・・・いいのか?」
「何を今さら」
 ジャルが多少呆れたように言うと、考助も納得したように頷いた。
 流石に力の強い十本指に数えられそうな神々の加護は現在は無くなっているが、今でも眷属たちへの加護付与は続いている。
 神々にとっても考助の眷属への加護の付与は今更の話なのである。
 もっとも、ココロは厳密には考助の眷属と言うわけではないが。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 ココロに加護を付与するとなると問題になるのが、誰の加護を付けるのかということだ。
 考助の加護は候補から最初から外れている。
 そもそも考助の子供たちは、<考助の一族>という称号が付いている。
 これは、ほぼ加護と同じような物なのだ。
 場合によっては、加護よりも強い効果を及ぼすこともある。
 それでもココロの場合は、倒れてしまうという事態になってしまった。
 そのための加護の付与という事になる。

 ココロへの加護の付与と言う話が出た途端に、周囲の喧騒が静まった。
 どうやって聞きつけたのかは分からないが、考助達の会話をしっかりと聞いていたのだ。
「それで? 誰の加護を望むの?」
「いや、それを僕に聞くのは間違っているだろう? まずは本人の了承を取らないと」
 ジャルの問いかけに、考助は苦笑をした。
 いくら親とは言え、本人を通り越して勝手に決めるつもりはない。
 ココロは現在八歳の子供だが、自分で友達を選べない程幼いわけではないのだ。
 加護を付ける神を友達と呼んでいいかどうかはまた別の問題だが、逆に子供の方がそうした感覚が強かったりもする。
 その辺りの感覚の事は、親として見ていても驚くときがあるくらいだ。
 更には、今いる全ての子供たちがそうした感覚を持っているが、ココロは特にそうした物が強いと感じることがある。
 そのことは、母親であるシルヴィアとも話をしているほどだった。

「本人の了承が取れればいいのね?」
「後は、シルヴィアの許可も必要だと思うけど、どうなんだろう? そもそもシルヴィアが拒否するとは思えないけどね」
 巫女であるシルヴィアが、神々からの加護を拒否するとは思えない。
 ただし、それは自分のことだけであって、子供にたいしては別のことを考えるかもしれないのだ。
「まあ、神力に対応するためだと言えば、断るとは思えないけどね」
「わかりました。それについては私が話を通しておきましょう」
「それはいいんだけど、神としての意思を押し付けないでね?」
「当然です」
 シルヴィアには、エリスの加護が付いている。
 そのエリスがごり押しをすれば、シルヴィアも断ることが難しくなるだろう。
 シルヴィアに加護を与えているのがエリスなので、そうした心配をする必要はないのだが、ココロの親としては念を押しておいた。

「それで、加護を付ける神についてだけど・・・・・・」
 いよいよ本題の話に入り、場の緊張が高まった。
 考助はその空気を感じつつ軽く肩をすくめた。
「それこそ僕が口を出す話ではないよ。さっき言った通り本人が選ぶべき問題だし」
「そう?」
「そうだよ。あ、だからと言って、大勢で一気に神託するとかは無しでね」
 釘を刺しておかないと起こりそうな現実に、考助は念を押しておいた。
「いくらなんでもそこまで非常識なことはしないわよ」
 言うなれば、子供相手に大勢の大人が寄ってたかって話しかけるような状態になってしまう。
 いくらなんでもそのようなことをすれば、加護付与自体を本人から拒否される恐れがある。
 そんな愚を起こすつもりは、どの女神達にもない。
「多分、最初に五柱程選んで、その中で選ばれなければさらに選ぶという形になると思います」
「そう。それならいいんじゃないかな?」
 思いつく限りでは一番無難な方法に、考助も同意するのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 結局シルヴィアの許可を取った上で、ココロには新たに加護を付けることになった。
 考助の言葉通り、成長と共に増える神力の話をすると、すぐにシルヴィアも許可を出したのだ。
 ココロに加護を付与することになったのはクラーラだった。
 神々の中で一番最初に話しかける権利を得たクラーラは、そのまますぐに加護を付与する同意をココロから得ることが出来たのである。
 話しかける権利を得るくじ引きには、しっかりと三大神も加わっていたらしい。
 後日そのことをアスラから聞いた考助は、何をやっているのかなあ、と若干呆れた顔になるのであった。
久しぶりの女神様達の登場でした。
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