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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第2部 塔のあれこれ(その6)

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(7)影響力

 四属性の塔のLVアップの条件について、意外な所からヒントになる情報を得ることが出来た。
 それがどこからかと言うと、世界樹の妖精であるエセナからだ。
 久しぶりに世界樹の近況を聞いているときに、エセナから気になることを聞いたのである。

「兄様」
 くつろぎスペースのソファーで寝転がっていると、突然エセナが現れた。
「ん? エセナ。どうしたの、珍しいね」
 エセナが突然現れること自体が珍しいわけではない。
 彼女が自発的に考助の前に現れるのが珍しいのである。
 最初の頃はともかく、精神が成熟(?)したころから、呼ばれない限りは現れることがほとんどなくなっていた。
 もっとも、考助自身が名前を口に出さなくとも、心の中でエセナはどうしているかな、などと考えたりすると現れたりはしていたが。
 今はエセナの事は全く考えていなかったので、完全に不意打ちだった。

「何もないけれど、たまにはお話したいと思いまして・・・・・・迷惑でした?」
「まさか。そんなことないよ」
 珍しく甘えて(?)きたエセナに、考助はニッコリとほほ笑んだ。
 その顔を見て、エセナもホッとしたような表情になる。
「そんな顔にならなくてもいいから。いつでも遠慮せずに来ていいんだよ?」
 考助はそう言いつつ、エセナの頭に右手を伸ばして撫でた。
 今のエセナの見た目は完全に大人の女性といった感じになっているのだが、昔の名残で未だにそのような扱いをしている。
 エセナ本人が嫌がれば止めていたのだろうが、その本人が嬉しそうな表情になるので、今まで止めずに来ている。
 今も目を細めて嬉しそうな表情になっていた。
 考助にとっては、まるで懐いてくる猫のような感じなのだ。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 ひとしきり頭を撫でた後は、現在の世界樹の様子を聞いてみた。
「それで? 前に聞いたときは九階層分の調整はほとんど終わったって言ってたけど、それ以外に何かあった?」
 世界樹というのは、地脈の流れを整える役目がある。
 影響力というのは、その地脈に対する支配力のようなものだと考助は理解していた。
「今はもう九層分のエリアは完全に支配下に置いています。やろうと思えば、あのあたりに出てくるモンスターにも干渉が出来るようになっています」
「え!? そうなの?」
「はい。モンスターというのは、魔力や聖力に影響を受けておりますので」
 これは初めて聞く情報だった。
 エセナが世界樹として地脈に対する影響力を広げていることは以前から聞いていた。
 だが、今回はモンスターにも干渉が出来るようになったという話なのだ。
 ただし干渉するといっても、これ以上近寄ってくるなとか、この集団だけは入っていいとか、ある程度の命令が出来るような感じらしい。
 世界樹として存在している以上、自身を枯らしたりするような存在を近づけさせないための防衛機能のような物だ。
 今までもそう言った機能はあったのだが、その範囲が九階層分全てに及ぶようになったというわけだ。

 一階層分でもかなりの広さになるのに、九階層分すべてとなると相当広大な広さになる。
 話を聞いた考助は、驚いてエセナを見た。
「それは凄いな」
 だが、これにはエセナは首を傾げた。
「そうですか? そもそも私達の種は大きくなればなるほど魔物に対する影響範囲を広げることが出来ます。もっと年月が経てば、さらに影響力を広げることが出来ますよ?」
「ふえー。それはまた」
 驚く考助だが、実はさほど驚くことでもない。
 この世界の世界樹は今でも数本存在しているが、中には一本だけで大陸全てに影響力を及ぼしているような樹もあるのだ。
 今エセナが及ぼしている範囲は、それから比べれば、広すぎるという事は無いのである。

「なるほどねー」
「それに、私もまだまだ影響力を広げることが出来そうですし」
「へー」
 思わずエセナの言葉を聞き流そうとした考助だったが、その意味を考えて思いとどまった。
 改めて考えてみると、おかしな点がある。
 おかしな、というよりも、考助の今まで思っていたことから考えて、不思議な点だろうか。

 エセナの言葉に、そのおかしなところがあったことに気付いた考助が、少し考えてから聞いた。
「ん? 影響力を広げるって、どこに?」
 考助の問いかけに、エセナが首を傾げた。
「え? 北の塔は、まだまだ階層がありますよね?」
「あるけど・・・・・・。えっ!? 空間が繋がってなくても魔物に対する影響力って広げられるの?!」
「できますよ?」
 不思議そうな顔をしているエセナを見て、考助は非常に驚いた。
 今までは、階層合成で広げた分しか影響力を持つことが出来ないと考えていたのである。
 だが、よくよく考えれば、階層合成していない階層にも地脈への影響力を持たせることが出来るのだ。
 聖力や魔力を使ってモンスターに対する影響力を持つことも出来るのだろう。

 考助の様子にエセナも気付いたのか、説明を追加して来た。
「勿論、階層を合わせて空間が繋がっていた方が手間も時間もかからないですが、繋がっていない場合でも絶対に出来ないわけではないです。というよりも、時間をかけて今でも少しずつ広げて行ってますから」
 これも初耳である。
 だが、それはモンスターが物理的に移動する場合だけで、魔力や聖力的な意味では全く考えていなかった。
「という事は、魔力とか聖力もそれぞれの階層に移動したりしているの?」
「そうですね。自然に移動するのはごくわずかですが、完全に途切れているわけではないです」
 思ってもみなかった解答に、考助が唸り声を上げた。

 ちなみに、魔力や聖力の移動は基本的に元々塔に備え付けられている転移門を基本に行われる。
 例えば、二階層と四階層が転移門で繋がっている三階層では、三階層の魔力や聖力が二階層や四階層に流れ込む。
 その逆もまた同じである。
 ここで、三階層にさらに十階層への転移門を設置すると、新たに十階層とのやり取りが発生する。
 ただし、当然ながら物理的に階層合成で繋げた場合と比べて、微々たる影響なのである。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 エセナの話を聞いた考助は、早速北西の塔へと来ていた。
 今いるのは、<風の宝玉>が設置してある階層だ。
「シルフ、いる?」
「はーい。何、なに?」
 考助が呼び出すと、すぐに風の妖精であるシルフが現れた。
「もしかしなくても、この宝玉から風の力って流れてるよね?」
「勿論」
 当然と言えば当然だが、最初の頃に色々やった結果が今現在でも宝玉に現れている。
 今の<風の宝玉>は、風の力があふれ出ていると言って良いだろう。
 風の力を具体的に言うと、風属性の魔力と風属性の聖力どちらもである。
 考助達は、それを単純に風の力と呼んでいるのだ。

「その流れって、この階層だけじゃなく、他の階層にも言っているの?」
 考助の質問に、シルフはキョトンとした顔になった。
「勿論だけど?」
「・・・・・・そういう事かあ」
 当たり前でしょう、という表情になったシルフに、考助は頭を抱えた。

 今更になってウインドタイガーが現れた理由が分からなかったのだが、これが理由になっているのではないかと辺りをつけたのだ。
 風の宝玉によって風の力がこの階層からあふれ出て他の階層にもその力の影響を及ぼしている。
 世界樹がモンスターに対する影響力を持っているように、風の力がタイガーの進化に影響を与えて、ウインドタイガーが誕生したというわけだ。
 十年かかって進化したのは、宝玉の影響力が強まるのに時間がかかったということになる。
 風の力という事で考えれば、<風の宝玉>が設置してある階層が一番強いと考えられるが、風属性に進化できる種を眷属として召喚していなかったためにすぐには召喚できなかった。
 現に、今考助達がいる階層には、それらしい眷属はいない。
 北西の塔以外の塔も同様である。

 どの眷属がそれぞれの属性を持つ進化を果たすかが分からない以上、そうそう簡単に塔LVを上げられるというわけではない。
 だが、手探り状態だった今までよりもはるかにましな考察が出来ているといえるだろう。
 出来るだけ宝玉を設置している階層に近い階層で、属性持ちの進化をするように試すだけである。
 こうして四属性の塔に関しては、進めるべき道がようやく見えて来たといえるのであった。
学校の話のアンケートの結果です。
やはり一番多かったのは、①番で今の話に時々混ぜるというものでした。
今後はこの形式でちょいちょい話を挟んでいきたいと思います。

意外(?)だったのは次に多かったのが④番だったことでしょうか。
結構皆様望まれているのですねw
いつになるかわかりませんが、気が向いてアイデアが降ってわいてきたときに別作品として書くかもしれません。

アンケートのご協力ありがとうございました。

※3/23 22:55 本編の内容を一部修正。
世界樹の階層に与える影響力を、地脈に対する物とモンスターに対する物に明確に区分けしました。
地脈に与える影響力は、「第26章 5話」での話になります。
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