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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第4章 塔の外で色々やろう
34/1358

(2) ナンセンのギルド

召喚獣募集!

こんな召喚獣みたい!という人は、ぜひコメントください。

詳しくは活動報告で。

 考助が管理している塔は、セントラル大陸の中央に存在している。

 さらにその周囲(と言ってもかなり離れた場所)を囲むように、六つの塔が存在している。

 位置的には考助の塔を中心にして、北と南に二つ、北東と北西に二つ、南東と南西に二つの計六つがある。

 六つの塔を線で結ぶとちょうど正六角形の形になるのだが、そこまで詳しく調査はされていないのが現状だった。

 それら計七つの塔を擁するセントラル大陸は、広大な土地を持っているが、それ故に開拓が進んでいない。他の大陸の人類種にとってセントラル大陸は、完全に未開の地だ。

 セントラル大陸の形状は、ダイヤ以上円未満といった感じになっている。

 考助の塔と最初に転移門でつながったリュウセンの街は、位置的に大陸の北東にある。

 そのリュウセンとは正反対の南西の位置には、ナンセンという街が存在していた。

 シュミットが、塔の第五層と外をつなぐ転移門の設置場所の第一候補として挙げたのが、このナンセンの街だった。

 ナンセンの街は、セントラル大陸に存在する他の街と同様に海岸沿いに存在しているのだが、海とは反対の陸側には長大なナンセン山脈が存在していた。

 その山脈の存在のおかげで、ナンセンの街から内陸に存在する塔へと向かうことは、非常に難しくなっている。

 だが、そのすぐそばに存在する山々から豊富な資源を産出するため、その産出物を利用する職人たちが数多く存在している。

 ナンセンの街にいる多くの冒険者たちは、それら鉱山で資源を採掘したり、あるいは採掘チームを護衛する仕事を請け負っている。

 シュミットが二つ目の転移門設置の候補地として挙げたのが、この街に存在する職人とリュウセンでは採れない資源の存在がある。

 特に、この街の職人たちによって作られる武具は、塔で活動する冒険者たちにとっては必要なものであるため、特に重要視されていた。

 

 考助はミツキと共に、ナナとワンリを伴ってナンセンを訪れていた。

 どうやってここまで来たのかというと、塔LV4に上がった際に追加された<転移>という機能を使ったのだ。

 <転移>は、あくまで一方通行で、帰りは自力で何とかしないといけない。

 とは言え、考助たちにはミツキがいるので、帰りも特に問題ない。塔の麓までは、ミツキの転移で飛べるからだ。

 コウヒやミツキの転移は、一度行ったことのある場所でないと使えない(ル〇ラのように)ので、初めての訪問である今回は、塔の機能を利用してここまで来たのだ。

 ここまでというのは、いきなり町中に出るわけにもいかないので、ナンセンまで徒歩ですぐ行ける場所に転移したのだ。

 考助たち一行は、そこから歩いてナンセンに向かっていた。

 ちなみに、ナナとワンリにはリードがついている。

 町中で、いきなり襲われたりしないようにするための対策である。

 二匹ともリードを特に嫌がることはしなかったので、今回一緒に連れてくることができたのだ。

 シュミット曰く、魔物使い或は調教師的な者は普通に存在しているとのことなので、リードさえしていれば、特に問題はないだろうとのことだった。

 勿論、どんな場合でも絡んでくる者はいるので、そういう存在は初めから除外している。

 というわけで、リードを付けたナナとワンリを伴って、ミツキと共にナンセンまで向かったわけだが、今回は特に問題も起こらずに町へ入ることができた。

 身分証もリュウセンで作った、公的ギルドのギルドカードがあるので問題なかった。

 街へ入った考助たちは、最初に宿を(もちろん一部屋)取った後、まずはナンセンの公的ギルドへ向かった。

 今回の目的は、ここの冒険者もそうだが、職人たちの調査もある。

 公的ギルドの依頼からそれらをある程度見るつもりだった。

 出来れば、ある程度腕のある職人を塔へと招きたかった(誘導するともいう)。

 招きたいのは、主に建築関係の職人だ。

 現在の第五層では、建物の需要に対して供給が追い付いていない。

 神力ptを使えば建てられるのだが、出来ればその方法は使いたくない。

 村は出来るだけ人の手で作ったほうがいいと考えているのだ。

 

 公的ギルドを訪れた考助たちは、入口に入ってすぐの食堂兼酒場で多くの視線を受けることになる。

 どう考えてもミツキのせいであるわけだが、これはいつものことであるので考助はスルーしようとした。

 だが、すぐにその視線がいつもと違うことに気が付いた。

 その原因もすぐに、その食堂で見つけることができた。

 食堂の一角で人目を避けるように、二人組の女性が食事をしていた。

 その二人もミツキには及ばないまでも(比べるのが間違っているという意見もある)、相当な美人だったのである。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 コレットは、スープの中にある野菜をつつきながら、内心でうんざりとしていた。

 自分の容姿がヒューマンにとって魅力的であることは、これまでの旅でよくわかっていた。

 自身の種族であるエルフの中でも、自分の容姿は美形の部類だったのだ。ヒューマンにとっては言わずもがなである。

 ましてや自分の向かいに座っている、パーティーメンバーであるシルヴィアも、自分に負けず劣らずの容姿をしているのだ。

 これで人目を惹かないはずがない。

 それはよくわかっているのだが、食事くらいは落ち着いた状況で取りたかった。

「コレット、気持ちはわかりますが、早く食べないと冷めてしまいますわよ?」

 コレットの様子を見かねたのか、シルヴィアが早く食べるように促した。

「・・・わかってるんだけど、ね」

 エルフという種族は、そういった気配はヒューマンより鋭いのだ。

 食堂中の視線を集めているのが分かるので、食べづらいことこの上ない。

「それとも、ここでの食事はあきらめて他の場所に移ります?」

 シルヴィアのその提案に、一瞬頷きかけるが、結局首を振った。

 何度か自身でもそれを考えたのだ。

 だが、目の前にある食事の食材のことを考えると、それを無駄にするにはコレットの矜持が許さなかった。

 食材は全て自然の恵みなのだ。

 エルフである自分が、それらを無駄にするわけにはいかなかった。

 付き合いが短くないシルヴィアもそれが分かっているのか、それ以上は何も言ってこなかった。

 コレットが、何とか視線に耐えながら食事を続けようとしたその時に、それは起こった。

 

 入口の扉が開いて、そちらの方に視線が集中している。

 一瞬だけならよくあることだ。

 入ってくる者を一度は確認するのは、冒険者としての癖と言ってもいい。

 だが、それがずっと続くとなるとめったには起きない。

 そのめったに起きないことが起きていた。

 その原因は、はっきりしている。

 入ってきた二人連れの内の女性のせいだ。

 同性でさえ思わずため息を吐いてしまうような容姿に加えて、妖艶と言っていいほどメリハリの利いたボディの持ち主だった。

 食堂内の男性陣の視線は、間違いなくありえないほど大きな二つの山に向けられている。

 もう一人の男性の方は、パッとしない容姿のため、当たり前のようにほとんど注目されていない。

 幸か不幸か(コレットにとっては間違いなく幸であるが)周囲の視線が外れたため、コレットは残りの食事を片づけることにした。

 コレットにとっては、見知らぬ二人組よりも、今は食材の方が気になるのだ。

 代わりに既に食事を終えているシルヴィアが二人を観察しているので、後で様子を聞けばいいだろう。

 そもそもそこまで残っていなかったので、すぐに片づけることができた。

 コレットが食事を終えるのを見計らって、シルヴィアが話しかけてきた。

 注目の二人は、今はカウンターの方に行っていた。

「コレット、気づいていまして?」

「何かあった?」

「あの二人組の男性の方が、私達の方を見ていましたわ」

 コレットが男性の視線と聞いて、そっち方面の視線だと勘違いしてしまったのは、今までの経験上致し方ないだろう。

 だが、コレットの表情から察したのか、シルヴィアは首を振った。

「あの視線は、そういった類のものではなかったですわ」

「・・・・・・じゃあ、なに?」

 あの二人には一度も会ったことがないはずである。

 女性の方はもとより、男性の方も覚えがない。

「流石にそこまではわかりませんわ。コレットには?」

「私も覚えがないわね」

「そうですか」

「まあ、考えても仕方ないよ。用があるなら向こうからくるでしょ」

「・・・そうですわね」

 シルヴィアの何か引っかかっているような言い方に、コレットが首を傾げた。

「何? あの二人に何かあるの?」

「いえ、何もありませんわ。恐らく、気のせいですわ」

 コレットはシルヴィアのその言い方に、考えを変えた。

 こういう言い方をシルヴィアがしたときは、必ずと言っていいほど何かがあったのだ。いい意味でも悪い意味でも。

 それが何かは、今は分からないが、注意をしてしすぎることはないだろう。

 そして、シルヴィアのその予感は、結局当たることになるのであった。

ようやく新たなヒロインが出せました。

しばらくこの二人の話が続くと思われます(どれくらい続くかは、まだ未定)。


2014/5/11 <転移>機能について修正(LV含む)

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