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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第25章 塔と神の審判

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(9)降臨(声だけ)

 突然の三大神のうちの一柱の登場に、その場の時が止まっていた。
 いつもと変わらないのは、塔の管理層メンバーだけだった。
 声だけとは言え、それでも感じる圧力にそこにいる人々が声を失っていた。
『・・・・・・さて』
 エリサミール神の声が会場に響くと、ゲイツ王国の関係者たちは一様にびくりとした。
 姿が見えなくともその声が自分たちに向けられていると察したのだ。
『散々言いたい放題言ってくれたようですね?』
 エリスのその言葉に、考助は内心でウワー、と思った。
 考助の脳内では、エリスが冷笑を浮かべている姿がはっきりと思い浮かんでいた。
『以前から散々忠告していたにもかかわらず、今回このようなことをするという事は、我々に喧嘩を売っていると思っていいのですよね?』
 その言葉で、ゲイツ王国関係者が顔を青褪めさせた。
 事実上、神々から見放されると宣言されているのも同然だからだ。

「まっ・・・・・・待ってください!!」
 威圧される中、何とか声を出せたのは、流石と言うべきかアーサー王だった。
『・・・・・・何か?』
「私どもは別に、神々に喧嘩など・・・・・・!」
『おや。では、先ほどのやり取りは何でしょうか? 我々の意見を勝手に捻じ曲げて、現人神の仕事を勝手に貴方達が押し付けているように聞こえましたが?』
「そんなことは!」
『ない、とは言いませんよね? 先ほど散々神としての仕事をしていないと脅されていたのですから』
「・・・・・・それは、我々とは・・・・・・」
『関係ないとは言わせませんよ? こうして貴方の国の使節団としてここにきているわけですから』
 エリスの言葉に、ついにアーサー王が押し黙った。
『最初の自分勝手な意見を言う者もともかくとして、聖職者を名乗っているそこの詐欺師も覚悟は出来ていますね?』
「「・・・・・・なっ!?」」
 エリスに釘を刺された二人が、そろって絶句した。
 特に詐欺師呼ばわりされたドミニク神殿長は、青を通り越して白くなっていた。
『何をそんなに驚いているのです? 私達の言葉は正確に伝えず、自分たちの都合のいいように解釈をして勝手に伝えてくれたのですから、詐欺とかわりませんよね?』

 傍でエリスの声を聞いている考助は、これは怒っているなーと他人事のように見ていた。
 そもそもエリスがここに出てきているのは、考助の為ではない。
 もともと神々は、神殿に対して色々と警告をしてきたのだが、それを無視して都合のいいことを世間に広めていたのだ。
 神々にとっては、先ほどエリスが言った通り詐欺もいいところだ。
 この場で出てきているのはエリスなのだが、他の神々もかなり怒っていることを考助は知っている。
 散々神託で警告をしてきたのに、無視されているのだから当然だろう。
 挙句に先ほどの自分に対する脅しだ。
 考助自身は特に気にしていないのだが、あの脅しは他の神々に対する挑発とも言えるのだ。
 言った本人がそれを自覚しているかどうかは別にして。
 それらを踏まえて、ゲイツ王国は最後の最後にこの場で自分で自分の首を絞めたと言えるのだ。
 正確にはゲイツ王国ではなく、ゲイツ王国が抱えている神殿が、というべきなのだがほとんど同じことだ。
 現にわざわざ国王がこの場に出てきているのだから。
 アーサーに言わせれば、国王として来ているわけではないと言いそうだが、そんな言い訳はエリサミール神に通じるはずもない。
 下手に言い訳すれば、更に怒りを買うのは目に見えているためだ。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 普通に考えればありえない程エリスと会っている考助や、ほとんど毎日のように交神しているシルヴィアを除けば、エリサミール神と話をする機会など無い。
 ほとんど無いのではなく、全く無いのだ。
 そのため、エリスがどれほど怒っているのかは理解できていなくても、怒りを向けられていることはアーサーにも理解できていた。
 どうにかしなければいけないのだが、これが立場上どうにかできるものでもなかった。
 神殿は政治と大きく関わっているとはいえ、人事にまで口出しが出来るわけもない。
 カールに関しては、塔の管理者であるため国王と言えども下手に手を出せない。
 何しろ塔での稼ぎは、国の基幹産業と言っていいのだ。
 その命運を握っている人物に、国王と言えども下手に手を出すことなど出来ない。
 どうしたものかと必死に考えるが、この場でいい考えなど浮かんでくるはずもなかった。
 その当人たちはというと、一人はほとんど表情は変わらず、もう一人は呼吸さえままならないようだった。
 呼吸がままならない方は、アーサーでもエリサミール神の神気に充てられているのだろうと推察できる。
 アーサー自身でさえ充てられているのに、きちんと神職として修行をした者にはこの神気は辛いだろう。
 勿論辛いのは後ろ暗いことがあるからで、アマミヤの塔の神職はごく普通に接している。
 そのこと自体あり得ないことなのだが、それがいかにアマミヤの塔のメンバーが神々と関わりが深いかを示していた。
 神の一柱が支配しているのだから、予想してしかるべきだったのだ。
 ここにきて、神殿の言い分をまともに聞いてきたつけが来たのだろう。
 神職ではないもう一人の方は、この期に及んで自分は関係ないとでも考えているのだろう。
 最早そんな言い分は通らないのだが。

 これ以上の言い訳など思いつかず、処分を待つ気分になっているアーサーに、エリサミール神が最後通牒を行った。
『貴方の国とあなた方には、神の審判を下すことになります。もはや逃れることは出来ないと覚悟なさい』
「そ、そんな・・・・・・!!」
 神の審判と言うのは、その名の通り神が直接力の行使を行う事だ。
 過去にはこの審判が下されることによって、国が滅んでいることもある。
『それほど神々の怒りが強いと知りなさい。何しろ人の身でありながら神のやるべきことに口を出したのだから』
 そう言ったエリスは、アーサーの反論を待たずに考助へと話を向けた。
『そう言うわけですので、処分は任せましたよ?』
「えー。やっぱり僕が決めるの?」
『他に誰がいるのですか?』
 当然でしょうという口調で言われてしまった。
「うーん。まあ、いいか。元々決めてたことだし。あれでいいよね?」
『貴方が決めたことに従いますよ』
 その言い方はずるいと思ったが、口に出して言うほど考助も愚かではない。
 どうせ考助が言い出すことなど、エリスは推測済みなのだ。
 その上でその罰が妥当だと判断したうえで、こうして言い出してきているのだから。

「まずは、ゲイツ王国に対してですが・・・・・・」
「待て! い、いや、待ってください! 何卒・・・・・・何卒慈悲を!!」
 そう言って頭を下げたアーサー王に、考助は呆れた表情になった。
 何を今さらといった感じにしか思えない。
「そう言われてもね。ここで手を抜いたりすると、僕の方が神々から責められるんだよね」
『そういう事です』
 まだ交神を終えていなかったエリスが、追い打ちをかけて来た。
『もう一度釘を刺しておきますが、ここで現人神が決めたことは神々の決定だと思いなさい。それに逆らうことは、神々に逆らう事だと』
 唯々諾々と処分を受け入れるか、もしくは神々に逆らうか。
 ゲイツ王国にとっては、もはや究極の選択しかない状態なのだ。

 この様子を塔の行政府側の人間は、息を呑んで見守っていた。
 それはそうだろう。
 何しろ伝説にあるような神々の審判が下されようとしているのだから。
 何しろそれを行うのが、普段接している考助が行うというのだ。
 改めて、考助が神の一員であることをまざまざと見せつけられていた。
 彼らにしてみれば、考助の性格も知っている分何とかなるという考えもあるが、逆に考助ではなく他の神々の怒りを買うような真似をしてしまえば、同じようなことになる可能性はある。
 ゲイツ王国よりもより神と近い位置にいると言っていい彼らにとっては、今起こっていることは他人事では済まされない出来事なのであった。
処分の内容は次話です><

そして、この話で全文字数が100万字を超えました。
小説情報は予約投稿の分を含んでおります。
間違いなくこの話で100万字ですw
100万字・・・・・・いやあ、自分で言うのも何ですが、書きましたね。
まさか、そんな文字数の作品を自分が書くことになるとは思ってもみませんでした。
間違いなく読んでいただいている皆様と、「小説家になろう」というサイトのおかげです。
読者の皆様と関係者の皆様に、最大限の感謝を。
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