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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第3章 塔へ色々な種族を受け入れよう
29/1358

(7) きっかけ

本日は2話投稿いたします。投稿1話目です。

2話目は22時投稿です。

 ミツキとナナを伴って第八層へ来た考助は、狐達のステータスのチェックから始めた。

 一応毎日暇を見つけて顔を出すようにしていたが、ステータスチェックは最近サボっていたからだ。

 あれから狐達も召喚数を増やして三十頭になっている。

 狼達と同様に、どれくらいの数が適当なのかよくわからないので、その数でとどめていた。

 まずは泉周辺にたむろっていた狐達のステータスをチェックした。

 考助がきたせいか、結構な数の狐たちが近寄ってきたが、ステータス的には特に今までと代わり映えはしなかった。

 狼達も同じだったが、持っているスキルでLV5が最高で、大体はLV4くらいだ。

 狐達も狼達と同様に、伸び悩んでいる感じだった。

 ちなみに、考助が連れてきたナナと狐たちは、初顔合わせだが、考助の眷属だと分かっているのか、特に争うわけでもなく、互いに互いの匂いを嗅ぎあったりしている。

 今度は神社の方へ行ってみる。

 そこにもいつも数匹の狐がいるからだ。

 一匹目の狐をチェックしようとして、明らかにほかの狐と違う個体がいることに気付いた。

 尻尾が二本になっているのだ。


 固有名:ワンリ

 種族名:多尾狐

 固有スキル:狐火LV5 噛みつきLV4 回避LV4 察知LV4 言語理解(眷属)LV2 神力操作LV1

 天恵スキル:変化LV1 念話LV1

 称号:考助の眷属


 種族名が多尾狐になっていた。

 明らかにこれのせいで尻尾が増えたのだろうと推測できた。

 あと他の狐達と違うのは<神力操作>と<変化><念話>のスキルだ。

 <変化>と<念話>も気になるが、もう一つの<神力操作>の方が考助の興味を引いた。


(ワンリもそうだけど、ナナも覚えてるんだよな。もしかしたら、これが変化のきっかけかな?)


 完全に推測でしかないが、現状それくらいしか思い当たるものはない。

 考助がワンリを見ていると、寄ってきたナナがワンリの方へ近づいてフンフンと匂いを嗅いでいる。負けじとワンリもナナの匂いを嗅ぎ始めた。

 その様子をボーっと見ながらワンリのスキルのことも考える。


(あとは、変化と念話か・・・。変化もそうだけど、念話って相手はだれだろう? ・・・・・・相手!?)


 ふと気づいたことがあって、思わず声を出してしまった。

「そうか、相手か・・・!!」

 その声に、じゃれあっていた二匹がびくりと反応した。

「・・・っと、ごめんごめん」

 そう言いながら二匹を撫でた。

 だが、考助の思考は既に別な方に向いていた。

「ナナ、ワンリもついておいで。ミツキ、管理層へ戻ろう」

「わかったわ。けど・・・どうかしたの?」

 考助の様子に、ミツキもさすがに疑問に思ったのだろう。だが、考助の様子に疑問が氷解した。

「もしかしたらギルドカードが出来るかもしれない」

 ワンリのおかげで、ようやく懸案事項が解決できるかもしれないのであった。


 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦


 第八層の転移門から管理層に戻った考助は、作業部屋へと駆け込んだ。

 作業部屋は、もともとワーヒド達用に作った個室の一つを、作業部屋兼研究室へと作り変えたものだ。

 駆け込んできた考助を見て、そこで作業をしていたイスナーニは驚いたように立ち上がった。

「こ、考助様・・・!? どうしました!?」

「イスナーニ、念話だよ、念話」

 突然言い放った考助に、イスナーニは目を白黒させる。

「・・・念話が、どうかしましたか?」

「念話って一人だけじゃ成り立たないじゃない。相手がいるから通信もできるわけで・・・!」

「はあ、それは当然相手がいなければ・・・・・・相手!?」

 そこまで言われて、イスナーニもハッと気づいた。

「そうか、そうですよね。・・・言われてみれば、どうしてこうも簡単なことに気付かなかったんでしょう・・・!」

「まあ、そんなもんだろうさ。早速試してみよう・・・!」

「はい・・・!」


 二人で喜び勇んで作業机に向かうのを見ているミツキの所へコウヒがやってきた。

「・・・どうかしましたか?」

「いや、なんか、この子を見ているときに突然走り出して、今はこの状況? ・・・なんか、例の道具のことみたいだけど・・・」

 いきなりの状況で、帰る道すがらに話を聞いたわけでもないミツキもいまいちよく分かっていないのだ。

「そうですか。何か、良いきっかけがあったんでしょうか?」

 コウヒがワンリを撫でながら考助を見ている。

「そうだといいけれどね」

 ステータスをカード状の物に表示できるようになれば、ギルドカードとして使用することができる。

 もちろんそんな物は、ほかのどこでも使用していないので、この世界唯一のものになり他のギルドと差別化が図れる。

 塔の村以外へもギルドの支部を置くことを考えれば、かなり有利な状態になれるのだ。

 それもあって、今まで塔の村にもギルドは作っていなかった。

 タイミング的には、村に店が出来たので、ギルドを作るにはちょうどいいのだが、せめてギルドカードが出来てからと考助が止めていた。

 だからこそ、考助もできるだけ急いでステータス確認機の完成を急いでいたのだ。

 そして、完全に作業に集中している二人を見て、コウヒとミツキもそれぞれの作業をするために管理室へと戻ることにしたのである。


 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦


「出来たー!!」

 考助のその声が、管理層に響き渡ったのは、ナナとワンリを連れてきてから二日後のことだった。

 これまでのことを考えれば、異常なほど早い完成だった。

 とはいえ、この二日間はイスナーニも考助もほとんど不眠不休で作業を続けていたのだが。

 それだけ望み通りの結果が出てきて、開発が止まらなかったというのもある。

 早速その結果を持って色々試そうとする考助に、ミツキがストップを掛けた。

「ちょっと待って。考助様この二日間、ほとんど寝てないでしょう。動作確認は、一度きちんと寝てからね」

「えー・・・」

 不満たらたらの考助に、ミツキがニッコリ笑って、

「もしわがまま言うのだったら、催眠の魔法をかけるわよ?」

「・・・わかった。わかりました。きちんと一度寝るよ」

 考助は、両手を上げて降参のポーズを取った。

 そのまま入浴した後、ナナとワンリを引き連れて寝室へ向かった。


 このギルドカード作成機の導入で、第五層の村に初のギルドが結成されることになるのであった。

ステータス確認機、ステータス転写機、etc、色々考えましたが、いい名前が思い浮かばずorz・・・・・・何かいい名前ありませんか?


2014/6/6 誤字訂正

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