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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第20章 塔の機能を使ってみよう

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7話 各方面への衝撃

 アマミヤの塔が今回使った結界と攻撃兵器の存在は、島に滞在していた船乗りたちによって、すぐに噂として伝わった。
 コラム王国もその噂を規制することはしなかった。
 かといってわざと広めるようなことはしなかったが、それでもその話はすぐに他大陸にまで伝わることになった。
 結界はともかくとして、攻撃兵器に関しては、どの国も無視できない噂だった。
 すぐにコラム王国と塔へと探りが入ることになる。
 ただし、塔に関しては転移門という存在があるため、自由に入れるというわけでもなく、非常に諜報に関してはやりずらい場所になっている。
 とは言え、アマミヤの塔に限らず似たような場所が他に無いわけでもない。
 そう言った場所を参考に、諜報は入っている。
 何も正式な諜報員でなくとも、行商人から情報を仕入れたり逆に話を集めてもらったり、やり方は様々ある。
 当然その辺はアレクも分かっているが、そもそも諜報活動を完全に止めることなど出来ないのだ。
 ある程度の抑制は必要だが、完全に抑え込む必要はないと考えている。
 これに関しては、クラウンや行政府を作った時に、既に予測はされていたので特に問題にはしていないのだ。
 とにかくそういった者達から塔の情報も集まりつつある。
 ただし、それはあくまでも第五層を中心とした冒険者たちが活動している階層だけの事で、他の事に関しては一切の情報が入っていない。
 故に今回の攻撃兵器に関しても、寝耳に水の話だった。
 とは言えその反応は様々だった。
 その中でも一番多い反応は、コラム王国が負けたことに対して、それを隠すために虚偽の噂を流しているのではないか、という反応だった。
 いくらなんでも大型船を一撃で沈めるような兵器など信じられないのである。
 しかもすぐ傍に魔法使い達がいたわけでもない。
 魔法使い達が集まれば、かろうじて似たような現象を起こすことは不可能ではないことが、その判断をさせていた。
 これに対してコラム王国は、否定も肯定もしなかった。
 勿論近しい国には、乞われれば真実の情報を与えたりしているが。
 他の国家が、セントラル大陸に突っ込んでいき実際に被害が出た方が噂に真実味が出ると、あえて放置しているのだ。
 もしそんなことが起こらなければ、改めて攻めに行けばいいと考えている。
 外側の思惑はそんな感じなのだが、当事者であるセントラル大陸の者達は、そう呑気に構えているわけにはいかないのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 西の街の行政府がある建物の一角。
 会議室の一室に、高官たちが集まっていた。
 領主であるリーリル・バシウムの姿もあった。
 その表情は、一様に重たいものになっている。
「やはり、塔に対応を任せたのは間違いだった・・・」
「では、コラム王国にされるがままになったほうが良かったと?」
「・・・・・・」
 彼らが話しているのは、今後の対応についてだ。
 アマミヤの塔がコラム王国の艦隊を追っ払ったのはまだいい。
 問題はその方法だった。
 結界だけならまだやりようがあった。
 むしろ交易的に有利に持って行くことが出来るので、もろ手を上げて喜べるはずだった。
 だが、問題は攻撃兵器だ。
 一応情報としては、大陸から一定の範囲内でしか使えないという話は入ってきている。
 だが、その情報は彼らにとっては何の意味もなさなかった。
 何しろ、彼らが支配している西の街は、大陸に存在しているのだ。
 アマミヤの塔側は、話の攻撃兵器が大陸内でも使えるかどうかの発表はしていない。
 だがその攻撃が大陸内に向けることが出来ると考えるのは、為政者としては当然のことだろう。
 そして、それがいまのこの状況を現していた。
 いつでも(・・・・)攻撃をすることが出来る、と言うのは喉元に剣を突き付けられているに等しい。
 しかもそれに対抗する術を、西の街側は何も持ち合わせていないのだ。
 現状塔に直接的な攻撃を加えることも出来ず、船を沈めた攻撃が来てもある程度しか防ぐことが出来ない。
 そもそも結界と攻撃に対抗する術が何もない以上、武力で対抗することは愚かとしか言いようがない。
 勿論ここに集まっている者達もそれは十分に承知しているのであった。

「皆が言いたいことは分かるけど、少し早まりすぎではない?」
 領主のリーリルがそう言うと、集まった者達は顔を見合わせた。
 いつもの通りであれば、上の座を狙って蹴落とそうと足の引っ張り合いをしている者達が、アマミヤの塔という存在によって一つにまとまることが出来ているのは、今回の件の数少ないいいことの一つだと考えている。
「どういうことだ?」
「そもそもアマミヤの塔は、今回の件に関してこちらには何も言ってきていないのよ?」
 アマミヤの塔が大きすぎる力を有しているのは確かだ。
 だが、それに関してはアマミヤの塔の行政府は何も言ってきていない。
 その気になれば、クラウンの支部を通して塔としての意を伝えることなどいつでもできるのに。
 逆にそれが不安をあおっているともいえるのだが、わざわざこちらから藪をつつく必要もないとリーリルは考えてる。
 少なくとも今回に関しては、こちらが守ってとお願いしたわけではなく、アマミヤの塔の都合で行われたのは間違いがない。
 というか、そもそもアマミヤの塔の行動を無視するように、向こうから言って来たのだ。
 それを利用すれば、向こうの要求を突っぱねることもできるだろう。
 そんな考えをリーリルが披露すると、何人かの顔が明るくなった。
 そんな様子を見たリーリルは若干頭痛がする思いだった。
 勿論そんなことは表情におくびにも出さなかったが。
 今回の件は別にしても、今後もアマミヤの塔と交渉が続くのは確実なのに、そんなに簡単に感情が表情に出るようだと、その結果も芳しくないだろうと思ったのだ。

「今後、例の力を背景に交渉してくるのは間違いないでしょうけれどね」
 緩んだ気を引き締めるために、そう釘をさしておくことにした。
 勿論全員がそんな者達ではないのが救い、というか、何人かはわざわざリーリルがそんなことを言わなくても分かっている様子だった。
 出来ることなら全員がこの程度の事は予想してほしいのだが、残念ながらそう上手くはいかないらしい。
 親やその上の世代からの繋がりで今の地位にいる者達もいるので、そもそも交渉らしい交渉をしたことがない者も少なくないのだ。
 それはそれで重要なので彼らを切り捨てるような愚かな真似をするつもりはないが、せめて邪魔をしないでほしいと願うしかない。
「それで? 今後はどうされるつもりですか?」
 比較的冷静に分析できているらしい一人が、そう聞いてきた。
「どうもしないわよ。今までと同じ対応でいいわ。下手にこちらから突くと、足下を見てくるのは間違いないし」
「よろしいのですか?」
「よろしいのよ。ただ、都市の規模に胡坐を掻くと、しっぺ返しが来るでしょうけど」
 一応、釘をさしておくことは忘れない。
 リーリルはそんなことはないのだが、所詮小さい町の組織の要求だという態度を見せていた者もいるのだ。
 だが、そんな態度は今後は通用しないのだ。
 それほどのインパクトを、今回の件は与えていた。
 間違いなく西の街だけではなく、他の三都市も同じような対応になるだろう。
 もしくは完全に敵対勢力になるか、だろう。
 もっとも、攻撃兵器の威力を知った上で敵対することを選ぶ都市があるとは、リーリルは全く考えてはいなかった。
 噂は既に大陸中に広まっていた。
 そしてその噂は、肯定的に受け止められている。
 間違いなく今までのクラウンと行政府の対応が上手くいっている証拠だった。
 今更ながらに、厄介な存在が出来たものだと内心でため息を吐くリーリルであった。
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