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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第19章 塔で進化について考えよう
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(7)続・<地の宝玉>

 北東の塔で<地の宝玉>を設置した階層へと向かった。

 考助は初めて霊体レイスが大量に発生している階層に入ったのだが、半透明の霊体が自分に寄ってくる光景は不思議な感じがした。

 アマミヤの塔の第十二層にも霊体レイスはいるのだが、ここまで大量ではない。

 勿論一か所に全ての霊体レイスが集まっているわけではないが、それでも圧倒される感じがある。

 しかも知霊体チレイスもかなりの数がいるので猶更だった。

 ちなみに霊体レイス知霊体チレイスは、霊体の周辺にあるオーラのような物の色の違いで見分けることができる。

 霊体レイスは、特に色はなく、知霊体チレイスは、仄かに青みがかっている。

 アマミヤの塔の知霊体チレイスの数より明らかに多いので、それはそれで見応え(?)がある。

 そんな光景を見ながら、ダンジョンマップを進んでいく。

 アマミヤの塔の管理をしているときは、ダンジョンマップを進むことが無かったので、新鮮な気持ちになる。

 勿論この北東の塔を攻略するときには、一度来ているのだが、塔を攻略するときと塔を管理している時では、気分が全く違う。

 しかも管理を完全にピーチに任せているので、また違った視点で見ることが出来る。

 この階層に関しては、ほとんど考助の指示で行われた実験の結果だったりするのだが。

 

 そんなこんなで、階層を進みつつ目的の場所に着いた。

 一般的な体育館くらいの広さの空間の中央に、<地の宝玉>が置かれている。

 この空間には、霊体レイス知霊体チレイス以外の召喚獣はいない。

 考助の眷属になっているかいないかで、<地の宝玉>が張っている結界の中に入れるか入れないかが決めれているらしい。

 その代わり、安息の地とばかりに霊体レイス知霊体チレイスが集まっていた。

 その二者が、考助達が来たことに気付いて、<地の宝玉>までの道を空けたのには、全員が顔を見合わせて笑いかけた。

 まさか霊体がそこまでの知能を持っていると、思っていなかったためだ。

 ただ漂っているだけだと思っていたのだが、そうでもないらしい。

 アマミヤの塔にも召喚はしているのだが、そこまで顔を見せていなかったので、気づかなかった。

 ピーチはたびたび来ていたのだが、ここまでの反応は無かったので気づくことは無かった。

 明らかに考助がいるためなのだが、それが現人神がいるからなのか、眷属としての反応なのかは分からなかった。

 開けられた道を通って<地の宝玉>のところまで進んでいく一同。

 近づくにつれて<地の宝玉>が、緑色の光を淡く発していることが分かった。

 緑色の光を発する大きめの水晶玉という特徴以外は、特に気づくところは無かった。

 設置した時に付いていたのか、水晶玉だけで置かれているわけではなく、きちんとした台座の上に置かれていた。

 

「うーん。特に特別なことは感じないかな?」

「そうですね~。あえて言うなら、結界を張る力を発していることがわかるくらいでしょうか」

「精霊の力も特別なものは感じないわね」

 勿論全くいないというわけではないが、これだけ大掛かりな結界を張られている以上、それに魅かれてくる精霊たちは必ず一定数はいる。

 コレットの感覚からしても、この場にいる精霊はその一定数以上を特別に超えるような物ではなかった。

 即ち<地の宝玉>に関しては、精霊に働きかけるような力は、あくまで結界に限っての事ということになる。

 それ以外の力は、目の前の<地の宝玉>には特には感じない。

 もっともこの感覚は、アマミヤの塔の世界樹やヴァミリニア城を基準にしているから感じるものだ。

 一般的な感覚で考えれば、これだけの結界を自由に持ち運び出来る時点で、かなりの価値があるという事をこの時点では皆が気づいていない。

「まあ、レイスたちの有効な拠点が出来たくらいに思った方がいいかな?」

「そうですね~。ちょっとガッカリです」

 塔の規模が違うので、アマミヤの塔と比べて大した物が来ないのはしょうがないと諦める考助とピーチ。

「まあ、一応何かあるかも、くらいに思った方がいいかな?」

 最初からあきらめモードに入っている二人に、コレットが一応釘を刺した。

 といってもそう言ったコレットも、これは南の塔もあまり期待は出来ないかな、なんてことを考えていた。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 一同が諦めモードに入ったとはいえ、せっかく設置したのでもう少し残って何か変化が無いかを見守ろうという事になった。

 といっても特にすることがないので、考助は周辺を漂っていたレイスたちを見ていた。

 勿論、ステータスを見るだけではなく、新しい力も使っている。

 これだけの数の霊体レイス知霊体チレイスがいるのだから、何か違った物が無いか期待しての事だったが、残念ながら違う物は確認できなかった。

 というのも霊体レイスに関しては、全く何も確認できなかったのだ。

 これに関しては、他の召喚獣たちも同様だった。

 進化をしていない個体では、新しい力の発動自体が行われないのだ。

 これに関しては、進化した個体だけで使える能力だと考えている。

 新しい力がどういった能力かは、完全には分かっていないので、断言するのはまだ早いので気まぐれで見たりはしているのだが、残念ながらその考えが外れたことは今のところない。

 というわけで、主に知霊体チレイスを確認していたのだが、ある知霊体チレイスを確認した時にそれは起こった。

 

「ウオッ!? まじか!?」

 考助の声に、一緒に来ていたピーチとコレット、コウヒの視線が集まった。

「どうしたの?」

 たまたますぐそばにいたコレットが、考助に聞いた。

「いや。・・・<地の宝玉>に右目の力が反応した・・・」

「え・・・!?」

「ほんとですか~?」

 声を上げたのは、コレットとピーチの二人だったが、コウヒも珍しく驚きの表情になっていた。

「・・・うん。本当」

 もう一度、今度は知霊体チレイスとは重ならないように確認してみたが、やはり<地の宝玉>単独でも確認することができた。

 残念ながら表示されているのは、相変わらず<進化の萌芽>だった。

 それでも、生物以外でも確認できたというのは大きい。

 ついでに言えば、魂の器の拡大というのもしっかり表示されていた。

 となると、次の問題が出てくる。

 それに関しては、考助が疑問を口にした。

「宝玉なのに、こいつ魂あるのか?」

「うーん。そんな物は感じませんが~?」

 考助の疑問に、ピーチが首を傾げた。

 何気に巫女としての力が上がってきているピーチなので、その言葉は信用できる。

「ハッキリと断言はできませんが~。もしちゃんと知りたい場合は、やっぱりシルヴィアを連れて来たほうがいいです」

 こういう事に関しては、やはり本職の出番という事になる。

「シルヴィア連れてこようか?」

「いや待って。一旦アマミヤの塔の管理層に戻ろう」

 コレットの言葉に、考助が待ったをかけた。

「何か思いつきましたか~?」

「ああ、ちょっとね」

 首を傾げるピーチに、考助が笑いかけた。

「私も分からないわ」

「答え合わせは、管理層に着いてから、かな? 本音を言えば、二度説明するのが面倒」

「うわ、ひどっ」

「ひどいです~」

 考助の軽口に、コレットとピーチが抗議の声を上げた。

 勿論本気ではない。おふざけ程度のじゃれあいだ。

 もし自分の予想が当たっていれば、棚上げしていた右目の力も進展があるかも知れない。

 ある予感を持って考助はそんなことを考えていたのであった。

レイスとチレイスのルビ・・・多すぎでしょうか?

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