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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第19章 塔で進化について考えよう
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(3)暇つぶしの道具

 結局アスラからは、具体的な答えを得ることが出来なかった。

 アスラでさえ分からないという事は、この世界でわかる者はいないのではないだろうか。

 唯一答えをもらえそうな存在がいるとすれば、世界記録ワールドレコードだったりするが、そんなに簡単に会える存在ではない。

『そもそも<進化の萌芽>ってどういう事なんだろう?』

『どういう事?』

『魂の器の拡大がされれば進化が起こるなら<進化条件>となってた方が、しっくりくると思うんだけど?』

 考助の言葉に、アスラの返事が少し遅れた。

『・・・確かにそうね。ということは、魂の器の拡大しても進化はしない?』

『それも微妙だよね。進化しないんだったら、「進化の」なんてつかないと思うし』

 二人そろって考え込むが、結局答えは出なかった。

『今までの事象ならともかく、これに関しては、考助の全く新しい権能だから答えようがないわね』

『つまりは?』

『貴方自身で、手探りで力を見極めていくしかないってこと』

 アスラのあっさりとした回答に、考助は左右に首を振った。

『前例がない以上しょうがないけど、正直どうすればいいのかさっぱりわからないな』

『意味のない力をあの方が付けたりはしないと思うから、地道に頑張るしかないわね』

 気の長くなりそうな話だった。

 とはいえ、現状アスラの言う通り答えが出ない状態なのも間違ってはいないのだ。

『それもそうか。さっさと答えを出そうという事が虫が良すぎたかな?』

『それは言い過ぎの気もするけど・・・焦っているようには見えたわね』

 考助にはそんなつもりは全くなかったので、虚を突かれたような表情になった。

『・・・そんなつもりはなかったけど?』

『ああ、貴方はそう言うと思ったわ。でもこの世界の人間からすれば、間違いなく生き急いでいるように見えるわよ?』

 アスラの助言に、なるほど確かにそうかもしれないと思う考助だった。

 そもそもこれだけの期間で(コウヒとミツキが)塔を七つも攻略した上に、現人神となっているのだ。

 どう考えても他から見れば、生き急いでいると言われてもしょうがないだろう。

『なるほどね。まあ取りあえず、焦らずゆっくり確認することにするか』

『そうね。・・・それじゃあ、私はそろそろ行くわ』

『ああ、有難う』

 ここまで付き合ってくれたアスラに、礼を言う。

『いいのよ。私も話したかったから』

 それだけを言って、アスラからの交神の接続が切れた。

 新しい権能に関しては、ほとんど進展が無かったのだが、別の意味で今までの行いを見つめなおすいい機会になったと思う考助であった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 結局、新しい権能に関しては「待ち」の状態になってしまった。

 それだけに時間を割いてもしょうがないので、ゆっくりと検証していくことにした。

 そのうち何が別の角度から分かる可能性もあるので、今急いで検証する必要は無いと思い直したのだ。

 それに、現状急いで進化をさせる必然性も感じない。

 今では、全ての塔が赤字から脱しているので、特に大きく討伐数を稼ぐ必然性もないのだ。

 アマミヤの塔に関しては、これ以上の成長もないだろうと思っているので、特に何か目標があるわけではない。

 ゲームで言えば、ステータスのカンストを目指しているような状態なので、別に急いでやる必要性もない。

 そもそも塔の管理は、神力を稼ぐことが全てなので、黒字になっている今は特に急いでやることもない状態なのだ。

 何か目新しい設置物でも増えれば別だが、特にそう言ったこともない。

 ゴーレムを作っていた時は、全ての階層に眷属でも配置しようかと思っていたのだが、余り意味がないと考えて今は控えている。

 一度増やしてしまえば、管理をしなくてはならなくなるので、今以上に増やすことは慎重にすることにしたのだ。

 他の塔で面白そうな召喚獣が増えれば別だが、今のところ考助の心の琴線に触れるような召喚獣はいなかった。

 対して、他のメンバーたちは、積極的に召喚獣を増やしている。

 種類を増やしている者もいれば、数を増やしている者もいるので、その内容は人それぞれだが。

 特にそれに関して、考助がどうこう言うつもりはない。

 むしろ、それぞれの個性で眷属たちを育ててくれればいいと思っている。

 そうしたほうが、色々見れて楽しいし、更には考助とは違った方法での進化が見れるかもしれないのだ。

 

 アスラと会話をした後で、考助はそんなことを考えながら、完全にオフモードに入っていた。

 道具作りなどやりたいことはたくさんあるのだが、先ほどのアスラとの会話で思う所があったので、意識してこういう時間を作ってもいいだろうと思って寛ぐことにしたのだ。

 とは言え、考助にとっては、既に道具作り自体が趣味の世界になってたりするので、あまり息抜きしているという感じはないのだが。

 くつろぎスペースのソファーで寝そべっていると、コレットが寄ってきた。

「どうしたの? また何か考え事?」

 コレットの言いように、考助は苦笑した。

 なるほど確かに、アスラの言い分も正しいと思ったのだ。

「確かに考え事はしてたけど、今は単に休んでるだけだよ」

 休むと言ってもゲームとかがあるわけではないので、結局ソファーで寝そべるくらいしかすることがないのだ。

「あら。じゃあちょうどいい。私も休むことにするわ」

 コレットはそう言って、寝そべっている考助のソファーに座ってきた。

 そんなコレットを見て、考助はぽつりと呟いた。

「何か、暇つぶしの道具でも作ってみようか」

 結局思考が働く方に向かっている。

「こら。今は休むんじゃないの?」

「いや、そうなんだけどね。でも今までどっちかというと塔の管理の方に思考が向いていたから、遊び道具を作るとかはまた話が別かな~と」

 白い目で自分を見てくるコレットに、考助は何となく言い訳めいたことを言ってしまった。

「どっちも一緒だと思うけど・・・まあ、今のほうがコウスケらしいと言えばらしいわね」

 コレットのいいように、そこまで自分は仕事人間になっていたかと内心で首を傾げたが、アスラの事もあるので黙っていた。

 代わりに何となく呟いた遊び道具を作ることを真剣に考え始めた。

「うーん。遊び道具か・・・何かないかな?」

「ボール遊びとか?」

 コレットの言葉に、考助はそんなものを作りたいわけではないので、首を振った。

 だが、これは考助の認識不足もある。

 そもそも子供が時間をいっぱい使って遊べることなどこの世界ではほとんどない。

 勿論大人もそうなのだが。

 当然遊びに費やす時間が少ないという事は、それに対する需要も少ないので、遊び道具などはほとんど発展していないのだ。

 そこに思い至った考助は、やはり何か遊び道具を作ろうと決心した。

 コレットを相手に詳しく話を聞いてみるが、そもそもコレットも子供のころはエルフの里にいた以上、さほど人の子供の遊びに詳しいわけではない。

 エルフの子供たちは、自然を相手に遊ぶことがほとんどなので、わざわざ道具を用意して遊ぶようなことは無かった。

 

 考助は他のメンバーにも聞いてみたが、そもそもこの塔に集まっているメンバーは、一般的とは言い難い子供時代を過ごして来たメンバーばかりだった。

 結局唯一聞きたいことが聞けたのは、王族として育ったフローリアだった。

 それは、結局遊びの時間を取れるのが、そう言った身分のある者達だけだという事を意味しているのであった。

オセロとか将棋とか碁とかチェスを作って、資金を稼ごう!

・・・というルートには、入ることは今のところ考えていませんw

別にお金には困っていませんからね。

あくまでも自分たちが遊ぶためのものを考えています。

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