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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第18章 塔と新たな力
225/1358

(6)女神の限度

本日、PVが累計1000万を超えました。ヾ( ̄∇ ̄=ノ バンザーイ♪

・・・めったに使わない顔文字を使ってみましたが・・・。

ま、まあそれはともかくとして、いつもご覧いただきありがとうございます。

ここまで伸びることができたのは、間違いなく読者の皆様のおかげです。

これからも「塔の管理をしてみよう」をよろしくお願いいたします。

それでは、本編をどうぞ。



 結局、神域への定期訪問までは、新しい力に関しては分からなかった。

 ピーチの占いでは、新しい力というよりも今ある力が伸びるという話だったが、結局のところよくわかっていない。

 黒狼を見た時の感じは、今でも残っているが、黒狼以外の召喚獣たちでは感じることは無かった。

 正確に言えば、九十一層にいる黒狼の一部で、という非常に限定した範囲で感じることが出来たのだ。

 ピーチに占いをしてもらってから何度か黒狼たちの所へと行ったのだが、その不思議な感じを受ける以外は何も変わりはなかった。

 そうこうしているうちに、神域への定期訪問の時期が来たので、考助も諦めて神域へ行った際にしっかり確認してこようと思うのであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

「それは、私にも分からないわ」

 神域に着いて最初にアスラに聞いてみたが、返ってきた答えがこれだった。

「え? あれ? そうなの?」

 いきなり梯子を外された気になった考助だったが、これは考助が悪い。

 そもそもピーチの占いでは、神域に行けば何かがあるという結果が出ただけで、アスラから答えを得られるという物ではなかった。

「いくらなんでも、私も全てを見通すわけではないわよ?」

「え? あれ? そうなの?」

 全く同じ答えを返したが、勿論これはわざとだ。

「そうなのよ。私だって、出来ることと出来ないことがあるわ。勿論知っている事と、知らないこともね。特に考助のことになると途端に分からなくなるのよ」

「えー? それって良いことなのか悪いことなのか、微妙な所だな」

「良いことなんじゃない? 一から十まで全部を教えてもらったら、つまらないじゃない?」

「まあ、そうなんだけどね。・・・あ、いや待って。それって僕だけなんだよね?」

 考助の問いに、アスラはひょいっと視線を逸らした。

「まあ、そういう事になるわね。聞かれる前に答えるけど、貴方の魂が異世界から来ているせいだからね?」

「そうなの?」

「そうなのよ。最初からこちらの世界の魂であれば、私は大体の答えを用意することが出来る。けれど、貴方だけは別なのよ」

 アスラは、考助に対して真剣な表情をしてそう言った。

 それを聞いた考助の感想は、「ふーん」という物だった。

 アスラが自分に対してだけ特別な存在と言うのが、実感としてわかなかったのだ。

 勿論、こんなことは初めての事なので、アスラにとっては非常に大きなことなのだが、残念ながら考助には伝わらなかった。

 もっともアスラとしても、そのことを考助に伝えるつもりはない。

 伝えたところで、考助の態度は変わらないと確信しているからだ。

 だったらわざわざ伝える必要もないと考えているのだ。

「まあ、それはともかくとして、ピーチの占いの事もあるからしばらくのんびりして行ったら?」

「うーん。そうしたいのはやまやまなんだけど、さっさと帰って来いって言われててね」

「あら。それは残念ね」

 そんなことを言っているアスラも忙しい身なので、考助が長期間滞在したからと言って、ずっと一緒にいれるわけではない。

「まあ、いつまでいるにせよ、出来る限りあの娘たちの対応をしてくれればいいわ」

 そもそも考助が神域に定期的に来るようになったのは、女神達と面通しをするためだ。

 当然今回の訪問でも、既に予定が組み込まれているのだ。

 到着してそうそうエリスからスケジュールを渡されたときは、覚悟をしていた考助も苦笑するしかなかった。

 まあ以前のように過密スケジュールというわけではなかったのは、唯一の救いだった。

 考助が定期訪問を約束したことで、前の時のような無茶なことにはなっていないので、余裕を持たせることができたということだった。

 

「こ~う~す~け~」

 本日唯一のイベントだった夕食会を終わらせた考助が、あてがわれた部屋で寛いでいると、突然ジャルの訪問を受けた。

 彼女の後ろには、苦笑したエリスとスピカがいた。

「じゃ、ジャル・・・!? どうしたの?」

「どうしたの、じゃないわよ!」

「わっ・・・!?」

「貴方のせいで、最近全く暇がないのよ!」

 いきり立つジャルに、考助は戸惑った表情を浮かべ、エリスの方を見た。

「気にしないでください。ただの戯言です」

「ははは。まあ、冗談かどうかはともかく、ジャルの言いがかりであることは確かだな」

 容赦ない二人の言い分に、ジャルは肩を落とし、考助はますます困惑した。

「気にするな。単に考助の一言で、ジャルの仕事が大幅に増えただけだ」

「一言? 何か言ったっけ?」

「言ったわよ! 遠慮しなくていい、って言ったわよ!」

 考助はしばらく首を傾げていたが、全く思い当たらなかった。

「ごめん、何のこと?」

「ですから気にしないでください。召喚獣たちの称号に関して、です」

「・・・ん? ・・・ああ! そう言えば、そんなことも言ったね。あれから確かに称号持ちが増えたけど、やっぱり影響あったんだ?」

「ありまくりよ! ・・・モガモガ」

 ジャルがさらに続けようとしたところで、スピカに口を塞がれた。

「はいはい。そこまでにしようか。そろそろやめておかないと、エリス姉様の雷が落ちるぞ?」

 スピカの脅しに、ジャルがピタリと止まった。

 視線だけで恐る恐るエリスの方を見たジャルが、一瞬だけブルリと震えた。

 その時エリスは笑顔を浮かべていたのだが、その笑顔はよくない物だというのは、いつもの経験でよくわかっている。

 それを見たエリスは一つため息を吐いて、考助に向かって言った。

「というわけで、あまり気にしないでください。考助様の眷属たちに自分の称号を付けようとするための書類審査が増えただけです」

「へー。書類審査なんてやってるんだ?」

「ええ。そのほとんどが落ちてますがね」

 この答えに考助は、頬をひきつらせた。

「・・・結構、称号持ち増えて来たと思うけど?」

「実際に称号が付いているのは、来ている書類の一パーセントにも満たないわよ?」

 スピカからの拘束から解放されたジャルが、ジト目で考助を見た。

「マジですか・・・!?」

「マジですよ?」

「ですから、考助様。もう一度言いますが、あまり気にしないでください。書類審査が増えたと言っても最近は、部下も使うようになって、空き時間も出来ているようなので」

「ああ、うん。そっちはいいんだけど・・・」

「いいの!?」

「そんなに称号持ち増えていいのかな?」

「スルーされた!?」

 何やらわめいているジャルを綺麗に無視をした考助は、エリスに聞いた。

「特に問題ありません。そもそも加護等に関しては、条件が満たなければダメな物なので、数が多すぎる場合はその条件が満たしていないという事になります」

「ああ、なるほど。逆を言えば、増えすぎた場合は称号持ちも増えなくなるということ?」

「そうなりますね」

 エリスの説明に頷きかけた考助だったが、先程のエリスの言葉で気になる所があった。

「ん? 条件?」

「はい。神の力をあちらの世界に及ぼすには、色々な条件が・・・」

「あ、いや。称号の事じゃなくって・・・いや、称号にもかかわるのかな?」

 首を傾げた考助に、エリスも訳が分からず首を傾げた。

「何のことでしょう?」

 考助は、三人の女神に今回の目的の一つであるピーチの占いの事を話した。

 アスラには話してあったのだが、三柱には話していなかったのだ。

「なるほど、そういう事ですか。そういう事でしたら、ジャルの専門ですが・・・」

「無理!! そもそもアスラ様が分からないのに、私にわかるわけがない!」

 きっぱりとした返事に、考助も苦笑するしかなかった。

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