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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第17章 塔と代弁者と愚か者たち
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(5) フローリアとの・・・・・・

 ゴーレム一号が出来たおかげで、エサやりの時間を考えなくてよくなった。

 階層が多いアマミヤの塔にとっては、これ以上のメリットはない。

 というわけで、早速空いている階層に眷属たちを召喚して行くことにした。

 召喚する階層は、元南の塔の階層だった九つの階層から選んだ。

 第十一層は、既にミニドラを召喚してあるので、取りあえず数を五十体に増やしておいた。

 第十二層・第十三層・第十四層には、それぞれレイス・スライム・小鬼人ゴブリンを召喚した。

 四属性の塔と同じものを召喚して、成長に違いがあるのか比べるのだ。

 ちなみにレイスを召喚した第十二層は、わざわざ階層をダンジョン仕様に変えてある。

 階層の環境を大きく変える機能は、元々塔の機能として備わっていたのだが、初期の頃は使用する神力が大きすぎて使えなかったのだ。

 それなりの神力を使ったのだが、必要経費と割り切って変更した。

 まあそもそも初期のころは、そんなことを検証する時間も余裕もなかったのだが。

 ミニドラ以外の眷属たちに関しては、考助が召喚をしたらメニューに登録されたので、それを使って数を増やしている。

 それぞれの階層に、五十体の眷属を召喚している。

 また設置している物もいつものセットを設置した。

 ダンジョン仕様にしている第十二層も、それなりの広さがある場所を選んで拠点を作ってある。

 ダンジョン仕様にした段階で、自然発生するモンスターも自動で第五十一層で出現するモンスターに切り替わっていたのだが、その辺に関しても今後は要検証と言ったところかもしれない。

 環境によって自然発生するモンスターが変わるのは、納得できる仕様なのだが。

 冒険者達を呼び込む予定はないので、当然ながら宝箱の設置は省いてある。

 モンスター達の中には、宝箱の中身を集める性質の者もいるかもしれないが、わざわざそのために設置するのも無駄だと思ったのだが。

 ついでに罠の設置も同じ理由で省いている。

 モンスターを討伐して眷属たちのレベルアップを図るのが狙いなのに、罠で数を減らす意味がないのだ。

 第十一層・第十三層・第十四層に関しては、そのままの環境を使用している。

 ただ、そのままの環境と言っても正確には、元は南の塔の階層なので、厳密には違っている。

 世界樹の階層と交換した時は、南の塔の低階層を交換しているので、出現しているモンスターも低レベルのモンスターだ。

 スライムに関してもそうなのだが、小鬼人ゴブリンもテンプレ通り戦闘力はさほど強いというわけではないので、丁度いい感じになっている。

 進化した個体が出てきた場合は、一気に数を百体まで増やす予定だ。

 その後に関しては、様子を見ながら数を増やすことを考えている。

 ただ、四属性の塔のように、階層全てに眷属が占めるような召喚の仕方はしないつもりだ。

 理由としては、単純に階層が広すぎて召喚する手間がかかりすぎるためである。

 

 続いて考助は、残りの階層に関しては、どうやって活用していくのかを考えた。

 眷属に関しては、あまり種類を増やしても管理しきれないので、種類をこれ以上増やすことは考えていない。

 第一層から第七十層までを冒険者たちの階層として使用する予定なので、実質考助が自由に使えるのは、約七十層弱、正確には六十七層分という事になる。

 眷属たちがいる階層は、二十層分もいないので、まだまだ余裕はあるが、ただ単純に数を増やしていくと言うだけなのも意味がない。

 というか面白くない。

 かと言って何かに活用できるかと言えば、すぐに思いつくようなことはない。

 こうして考助の思考はループに陥っていくのだが、他のメンバーはいつものことと放置をしていた。

 実質新たに設置した四層で、進化などの大きな動きがないと特別することもないのも事実なのだ。

 ちなみに、せっかく作ったゴーレム一号は、アマミヤの塔の餌設置でも役立っているが、現状他の塔、とりわけ四属性の塔の餌設置をしていて喜ばれている。

 狭い階層とは言え、一層分まるまる眷属で埋めてしまっている状態なので、餌用の召喚陣を設置するのがそれなりの負担になっていたのだ。


「・・・で? コースケは、眉間にしわを寄せて、また何を考えている?」

 くつろぎスペースのソファーで伸びていた考助に、フローリアが話しかけて来た。

「またって・・・いつも何かやらかしてるみたいに言わないでよ」

「違うのか?」

 心底驚いたように言われてしまった。

「違うよ。単に、たまたま当たったのが、みんなから見るとやらかしているというだけで・・・」

「それをやらかしているというのだと思うが?」

 まぐれ当たりだろうと、それが続けば必然という事になる。

 フローリアからジト目で見られて、考助は視線を外した。

 流石に自分でも言い訳になっていないと思い直したのだ。

「あ、うん。まあ、そうともいう?」

「そうとしか言わないと思うが?」

 しばらく考助を睨んでいたフローリアだったが、やがてくつくつと笑い出した。

「そんな顔をしないでくれ。別に責めているわけではない」

「・・・そうなの?」

「そうさ。そもそもコースケが、色々やらかしているからこそ、ここまで来ているのだろう?」

「それは、まあ、確かに」


 一番最初のアマミヤの塔の攻略に関しては、完全にコウヒとミツキの力で成し遂げたものだが、それ以降に関しては、大体は考助がやらかしているものだった。

 勿論、ワーヒドと言った召喚された者達の事も忘れてはいないが。

 そんな考助の様子を見ていたフローリアは、考助が寝そべっているソファーに腰かけて、無理やり考助を起こして腕を組んできた。

「・・・フローリア?」

「フフフ。何、たまにはいいではないか」

「いや、別に嫌ってわけではないけどね」

 フローリアから直接、こうして身体的接触を求められることも珍しい。

 やるべきことはやっているのに、何を今さらという感情もあるが、それはそれ、これはこれなのだと思い知らされた。

 しばらくの間、何を語るでもなく寄り添って座っていたが、考助がふと思い出したように問いかけた。

「そう言えば、アレクとかに会いに行かなくていいの?」

「なんだ、突然? いや、こんな時だからこそか。・・・会いたいかと問われれば、当然会いたいと答えるが、無理を押してまで会いたいわけではないな。会おうと思えば、ここで会えるしな」

 何気に管理層の会議スペースに、アレクも何度か来ているので、その時にフローリアとは顔を合わせている。

「いやまあ、そうなんだけど。こっちに来ているのは、アレクだけではないんだよね?」

「ああ、母が来ているが・・・なんだ? 今日はやけにそっちの話を進めるな?」

「いや、特に意味はないけど。寂しくないのかなと思ってね。特にこっちに来たの時のことを考えると、ね」

 アレクもフローリアも、奴隷商人に引っ張られていくような感じで考えていたのだ。

 管理層に来てからは、全くの誤解だったと理解できたのだが。

 それどころか、いまは当時は予想もしなかった関係になっている。


「あの時の事は言わないでくれ。・・・いや、今となってはあれもいい思い出か」

 フローリアはそう呟いた後、クスリと笑い、絡めている腕をさらに強く抱きしめた。

「あの時もそうだが、最初抱かれたときも打算と言うのがあったのだがな」

「・・・それは、まあ気づいていたよ」

「・・・だろうな。だが、今となっては、それも吹き飛んでしまったよ」

 フローリアの突然の告白に、考助は驚いた表情になった。

「なんだ、その顔は? 言いたいことはわかるが、流石にそれは私でも傷つくぞ?」

「いや、ごめん。そんなことを言いだすとは思ってなかったから」

「そうだろうな。私も驚いているよ」

 悪戯っぽい顔をしたフローリアは、クツクツとひとしきり笑った。

 実際フローリアは、自分がこんなことを言いだす性格だとは思っていなかった。

 間違いなく、考助によって変えられたと自覚している。

「まあ、悪い変化ではあるまい?」

「それはそうだね。というか、むしろ大歓迎」

 考助とフローリアは、二人そろって笑い始めた。

 

「あーっ! 皆がいる所では、いちゃらぶ禁止!!」

 二人の時間は、コレットのその声で終止符を打たれた。

 コレットのその声に気付いた他のメンバーも、なんだなんだと寄って来た。

 というわけで、残念ながら滅多にないフローリアとの二人だけの時間はこれで終わりをつげたのであった。

というわけで、珍しいフローリアとのいちゃらぶ(?)回でした。

・・・ほんとは今後の塔のことを書く予定だったのに、なぜかこうなりましたw

ただ、今のところできるのは、眷属を増やしていくことくらいなので、どうしても前半のような説明口調になってしまいます。

それを解消するために、会話をいれたらそちらのほうが話が長くなりましたw


補足:今後アマミヤの塔での眷属の基本種の種類は最大で十種くらいと考えています。

現在八種で残りは予備です。あまり増やしすぎても訳が分からなくなると思うからです・・・が、もっと増やしてもいいとか、意見があればぜひ感想に、お願いします。


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