表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第15章 塔と女神様
192/1358

閑話 都市計画?

本日「農業生産者たちの話し合い3」について少しだけ加筆を行いました。

ケネルセンにおける六侯と五家に関しての説明追加になります。

 ワーヒドの元に、六侯が集まっていた。

 六侯が傘下に入って以来続けられていた調査が完了したのだ。

 何の調査かと言うと、勿論第五層の土地の調査だ。

 闇雲に農地を増やして行っても、モンスターと言う脅威がある限りすぐにつぶされてしまう。

 そのため事前に調査したうえで、モンスターの襲撃から守りやすいように開発をしていく必要がある。

 六侯には、長い間蓄積してきたノウハウがある。

 そのノウハウを元に精査した結果が出たため全員が集まっているのだ。

 この場に集まっているのは、六侯やワーヒドだけではなくクラウンの主要メンバーと、行政からもアレクをはじめとしたメンバーが集まっていた。

 第五層の町の今後を決めるうえで、重要な話し合いになることは、先に告げられている。

 彼らが集まっている部屋の中央に大きなテーブルが置かれているが、そのテーブルの上には今は大きな地図が置かれていた。

 一枚だけの地図ではなく、複数枚の地図が張り合わされて大きなものになっている。

 その地図にはあちこち色々な物が記載されていた。

 中身は、その土地の詳細な情報が書かれている。


「いや、なるほど。これは素晴らしいな。よくもまあこの短期間で調べあげたものだ」

 そう感嘆の声を上げたのは、アレクだった。

 他にはシュミットも同意するように頷いている。

 一方で首を傾げているのは、ガゼランだった。

「へー。これがそんなに重要なのかね?」

 六侯の一人であるロイスが苦笑して答えた。

「ああ、冒険者上がりのガゼランさんには、大したものには見えないでしょうね」

 ガゼランが首を傾げているのには、理由がある。

「そもそもここに書かれている情報のほとんどは、冒険者たちから集めた物です」

 自然物からの採取、モンスターからの素材の回収等々。

 冒険者にとっては、それらの情報を得ることは、必須と言っていい。

 上に行けばいくほど、情報の大切さは分かっているのだ。

 だからこそガゼランは、感心したアレクとシュミットを見て首を傾げたのだ。

「冒険者達に生の情報があるのは知っていたがね。それをこうして形にして見せられるのがすごいのだよ」

 そう言ったのはアレクだった。

 そもそも地図の情報からして、国家にしてみれば軍事的に機密の情報になる。

 だからこそ正確な地図というのは、ほとんど一般に出回らない。

 逆に持っているだけで、逮捕なんていう国も珍しくはない。

 行商人たちが持っているのは、アバウトな道筋が書かれた物を使っているのだ。

「なるほどな」

 ガゼランも納得したように頷いた。

 ここでは秘匿しないのかという馬鹿な質問をする者はいなかった。

 そもそも地図情報を秘匿するのは、他国を警戒しての事だ。

 他国を警戒する意味がない塔では、むしろ地図の情報は公開したほうがメリットが大きい。

 もっとも現時点で公開することは、ここにいる誰も考えていない。

 これから先大規模な開発が進むため日々情報が変わっていくからだ。

 仮令一般に地図を発売したとしても、その次の日にはその情報は古いことになってしまう。

 それなら落ち着くまでは、公開しないほうがいいという事になっていた。

 

「それで? 周辺の状況はどうでしたか?」

 ワーヒドが六侯に問いかけた。

「いや、素晴らしいの一言ですな。はっきり言えば、農地としてこれほど理想的な場所はないでしょう」

 出てくるモンスターのレベルからみても管理のしやすさは段違いだった。

「という事は、ある程度自由に開発を進められますか」

「そうなりますな」

「だそうですが、アレクはどうですか?」

 続いて水を向けられたのはアレクだった。

 勿論行政府の長として聞かれているのだ。

 行政は都市の開発に携わっている。

「はっきり言えば、町がどうなるかは分からない、というのが正直な所だな。どう考えても人の流入に対して建物の供給が追い付いていない」

 現在の第五層の町は、定住者だけで一万人を超えていた。

 勿論冒険者のような町から町を移動している者達は別にしている。

 定住を決めた者、すなわち住まいを購入した者は行政への登録が義務付けられている。

 アパートのような集合住宅であっても同じである。

 そのため定住者の数が把握しやすくなっている。

 逆に、宿のような場所に泊まる冒険者たちの数は把握しづらい。

 勿論転移門の出入りでは管理されているので、厳密に管理しようと思えばできるのだが、そんなシステムを作るくらいなら、他に時間をかけた方がいい、というのが考助の答えだった。

 それを聞いた他の者達も同意見だったので、これに関しては、反論は出なかった。

 今後も第五層の町は大きくなっていくだろう。

 だが、それに合わせて一々農地を潰していたら安定した収穫など望めない。

「方角で開発区域を分けるというのはどうだ?」

 そう言ったのは、地図を見ていたダレスだ。

「ふむ。どういう事でしょう?」

「地図を見る限りでは、この町は北東よりになっている。先が望めない北東に農地を広げるより、逆に広げていったらどうかと思ったのだが?」

「町を北東に広げると?」

「いや。一方方向に広げると発展しにくいからそれはしないが、町はある程度の広さが確保できればいいからな。・・・百万以上住む都市を作るなら別だが」

 その言葉に全員が苦笑した。

 百万都市を作れるような規模になった時には、世界で第一の人口を誇る都市になっている時だ。

 まずは、それだけの人口を維持できるだけの食料を生産できるようにしなければならない。

 今はまだ夢のような話だった。

「しかし、農地とは言え縦長に開発していくわけにもいかないぞ?」

「都市を作るのには、ある程度の広ささえあればいい。そこを避けて農地を作るのはどうだ?」

「具体的には?」

「取りあえずの目標とする人口を決めておけば、町として開発する土地は目安が付けられるだろう? そこを避けて農地を開発する」

 ダレスの言葉に、関係者が黙り込んだ。

 それぞれ実行可能か検討しているのだろう。

 だが、しばらく待っても反対意見は出てこなかった。

「どうやら、それが一番無難な方法のようですね」

 全員の顔を見てワーヒドが結論付けた。

 

「それでは、具体的な話に移りましょうか」

 ワーヒドがそう切り出すと、今度は具体的な話に移った。

「最初の目標はどうする? 私としては十万が妥当だと思うが?」

 そう言ったのはアレクだった。

 こういう話は、それこそアレクの専門になる。

「それは、十分な食料が供給されるという事を前提に考えていますか?」

 六侯の一人がそう言って来た。

「む・・・。具体的には?」

「農地の周辺の監視が機能すれば、初期開発だけで十万どころか二十万でも養えるようになりますが?」

「そこまでいくのか・・・」

 思ってもいなかった回答に、アレクは考え込んだ。

「だが急激に増やして、生産が追いつくのか?」

 アレクの疑問に、別の六侯が答えた。

「どのみちここでの生産が生まれるまでは、ケネルセンからの補充になるでしょう」

「それは問題ないのか?」

「問題ありません」

 言い切る六侯の一人に、アレクはそれ以上は問わなかった。

「となると、後の問題は冒険者の問題だな」

 農地を開発しても維持が出来ないと意味がない。

 この世界において、農地の確保はイコール冒険者の確保と同義になる。

「そこは問題ないぜ。なにせこの辺のモンスターは、他の町で伸び悩んでいる奴らにちょうどいいレベルだ。それこそケネルセンの監視業務程度の賃金が出れば、人は集まるだろうさ」

「そういう事なら、問題なさそうだな。あとは他に色々抜けがないか調整が必要になるくらいか?」

 アレクの確認に、その場の全員が同意した。

 そもそもこの場だけで、全部を決められるとは思っていない。

 今回は方向性を決めるだけで十分だった。

 そう言う意味では、既に十分の成果が出ていると言える。

 そして、実際この日の話し合いを元に、今後の第五層の町の方向性が形作られたのであった。

途中まで書いてこの話いらないかな? と思いましたが、せっかく書いたので最後まで書き上げました。

何やらいろいろおかしなところが出そうな気がしますが上げてみました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ