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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第15章 塔と女神様
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7話 子づくり?

 アスラが準備整うまで待ってね、と言い置いて去って行ったあと、考助は待ちぼうけをくらっていた・・・わけではなく、女神様達との会話を行っていた。

 会話、といっても一方的に聞かれる質問に、一つ一つ答えているだけなのだが。

 事前に打ち合わせをしていたのか、見事なまでにかぶっている質問がなかった。

 そんな時間がどこにあったのかと思ったのだが、女神様達がやること、と追及するのは止めておいた。

 勿論すべての問いかけに答えているわけではない。

 答えられない物は答えられないと、はっきりと言っている。

 それでも気にすることなく質問攻めは続いていた。

 流石に疲れて来た様子を見せ始めた考助に、質問攻めがようやく止まった。

 誰かが言い出したわけではないのだが、見事なまでの引き際であった。

 

「・・・つ・・・疲れた」

 考助は、与えられた席のテーブルに突っ伏していた。

「お疲れ様」

 そんな考助に、ずっと傍にいたジャルが近寄ってきた。

「ああ、ジャル・・・これで終わり?」

 弱音を吐いた考助に、ジャルが苦笑した。

「皆はまだまだ聞きたそうだけど?」

「・・・・・・勘弁してください」

「だ、そうよ。皆もそろそろ遠慮してね」

 ジャルがそう言うと、周りにいた女神たちが頷いていた。

「考助も考助よ。まともにしっかり対応するから、歯止めが利かなくなったのよ」

「・・・げっ・・・・・・そうだったのか・・・」

 新参者の意識がある考助としては、きっちり対応しないと駄目だと思い込んでいたのだ。

 そんなことは誰も言っていないのだが。

「まあ、そんな考助だから皆も魅かれているんでしょうけど」

 またも女神様達が、一斉に頷いていた。

「魅かれているって・・・そんなことで?」

「そんなことだからこそ、よ」

 考助にしてみれば、普通の感覚で対応していたのだが、それが良い風に受け取られたようである。

 そんなことを話しながら、周囲に注目されつつジャルと雑談していると、エリスが近寄ってきた。

「時間を取った甲斐があったようですね。・・・アスラ様の準備が出来たようですので、そろそろ来ていただけますか?」

 エリスの言葉に、なぜか周囲からため息が一斉に漏れた。

「大丈夫です。この後の食事会はきちんと設けますから」

 聞き捨てならないことを聞いて、考助は思わず聞き返そうとしたが、それより前に周囲からパチパチと拍手が沸き起こりタイミングを逃してしまった。

 

 取りあえず考助は、付いてきてくださいと言ったエリスの後について行くことにする。

 会場から離れた場所で、先ほどの事をエリスに聞いた。

「・・・・・・食事会って何?」

「アスラ様の用事が終わったら夕食会を開きます。まあ、立食パーティの形式ですが」

「・・・聞いてないんですが・・・」

 その言葉に、エリスがピタリと立ち止まった。

「・・・なんですって? ・・・・・・また、ですか」

 振り返ったエリスの顔は、怖いことになっていた。

 なまじ美人だけに、そう言う表情になると恐ろしい。

 ちなみに、それに反応したのは、一緒に付いてきていたジャルである。

「あ・・・あれ? ・・・言ってなかったっけ? まま、待って待って、エリス姉さま!」

「・・・今は時間がないので、後で覚えておきなさい」

 エリスに断言されて、ジャルは涙目になっていた。

 助けを求めるように考助の方を見て来たが、残念ながら考助にも出来ることは無かった。

 出来れば考助もこの状態のエリスには、触れたくはないのである。

 

 目的地に着いたのか、あるドアの前でエリスが立ち止まりノックをした。

「入っていいわよ」

 中からアスラの声が聞こえて来た。

 エリスがドアを開けて中に入り、その後に考助もついて行った。

「あら? ジャルどうしたの?」

 先ほどの件をまだ引きずっていたジャルの様子に気づいたアスラが、不思議そうに問いかけて来た。

「気になさらないでください。・・・いつものことです」

 そっけないエリスの言葉に、アスラはあらあらとため息を吐いた。

「・・・まあ、ほどほどに、ね。・・・それはともかく、本題に入りましょうか」

 そう言ってアスラは、考助を見た。

「え、ええと・・・何?」

 何やら今まで見たことのない表情をしているアスラに、考助は首を傾げた。

「考助が仲間を欲しがっているからそれを解決しましょう?」

「いや、解決しましょうって・・・どうやって?」

 そもそもここに来たのは、その問題があったためだ。

 それをあっさり言われてしまったのだが、そもそもどうやって解決するのかは全く聞いていなかった。

 その疑問に、アスラはニッコリと笑った答えた。


「私と子づくりしましょう・・・・・・!!」


 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦


 きっかり一分ほど意識が飛んでいたらしい。

 意識が戻ってきた考助は、恐る恐る聞いてみた。

「ええと・・・・・・今、何とおっしゃいましたか?」

「だから、考助と私で子づくりをしましょうと言ったのよ」

 意識が飛ぶ前に聞いた言葉は、やはり聞き間違えではなかったらしい。

 もう一度意識が飛びそうになった考助に、アスラが若干ふて腐れたような表情になった。

「なによう。・・・そんなに私との子供つくるの嫌?」

「嫌とかそれ以前の問題として、どうしてそうなるの?」

 何とか疑問を口にした考助。

「・・・・・・私が欲しいから?」

「なぜに、疑問形?」

「そもそも考助が、新しい仲間が欲しいって・・・・・・あ、ああ!!」

 突然納得したように頷いたアスラに、他のメンバーが首を傾げた。

「考助、勘違いしてると思うけど、別にそう言う行為をしましょうって言っているわけではないのよ?」

「・・・・・・・・・・・・へっ!?」

 勘違いに気付いた考助が、表情を赤くした。

 いや、そもそも紛らわしい言い方をしているアスラも問題なのだが。

 ちなみにアスラがわざと紛らわしい言い方をしていることに、考助は気づいていない。

「単純に言えば、私の力と考助の力を混ぜ合わせて、新しい力というか魂を作りましょうって言っているのよ」

「ええと・・・それで作った魂はどうなるわけ?」

「勿論それ相応の器を用意して、『生まれて』もらうけど?」

 アスラの言いたいことは分かった。

 その生まれた個体を、考助の新しいメンバーとするという事だろう。

「い、いや。・・・それっていいのかな?」

 自分の力はともかくとして、アスラの力が混ざるとなるとかなりの力になるだろう。

 だが、それに対してアスラはあっさりと答えた。

「いいのよ。というかむしろこちらからお願いしたいわ」

 勿論アスラにはアスラの事情があってこんなことを言いだしていることは、考助にも分かっている。

「理由は聞いてもいいのかな?」

「別に隠すことじゃないからいいわよ。今のままだと、私があの世界に関与することが出来ないから、直接関与できる存在が欲しいのよ」

 考助と力をまじりあわせて作った存在だと、それが出来るようになるということだった。

「それって大丈夫なのか?」

 いろんな意味で不安になった考助が聞いた。

「なによう。私が危ないことをするみたいじゃない。・・・問題ないから言っているのよ。駄目だったら最初から言っていないわ」

「なるほど」

「私にとっても考助にとってもメリットしかないわよ? どうする?」

 問いかけて来たアスラに、考助は考える。

 問題はない・・・ように思えるのだが、どこか落とし穴があるようにも感じる。

 それが何かわからずに、もどかしい感じがある。

「・・・・・・うーん。・・・ああ、そうか。出来た子は、僕が連れて行ってもいいの?」

 仲間として連れて行くという事は、そういう事である。

「いいのよ。というか、貴方の傍にいるコウヒとミツキだって、私からすれば娘みたいなものよ? まあ他にもいろいろ交じっているけど」

「え!? そうだったの?」

 考助にしてみれば、衝撃の新事実であった。

 まあ確かに、アスラの力が入っているとなると、あの能力にも納得がいくのだが。

「つまりは、コウヒとかミツキみたいな存在を作ると?」

「私と考助の力でね。 どんな存在が出来るのか見てみたくない?」

「・・・・・・う・・・」

 そう言われると、見てみたいという好奇心がわいてくる。

 結局その好奇心が最後の決め手となり、アスラの申し出を受け入れることにした考助であった。

コウヒとミツキの様な存在と解説していますが、厳密には違っています。

それ故にコウヒとミツキを通してアスラが何かをするという事はできません。

考助が相手になって出来た存在だからこそ、アスラも干渉が出来るようになります。

理由は、考助が「男」だからです。

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