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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第2章 塔の運営を開始しよう
18/1358

(6)優秀

よろしくお願いします

 朝食後、結局いい案も思い浮かばずに、管理画面へ向かった。

 見ると昨日同じように「お知らせ」が追加されていた。


 お知らせ:塔LVが3に上がりました。

 詳細:以下の条件を満たしたため塔管理経験値を合計14得ました。

   ・召喚陣を設置しよう。取得経験値2

   ・モンスターを討伐しよう(300体)。取得経験値4

   ・モンスターを討伐しよう(600体)。取得経験値8

   塔LV2⇒3に必要な経験値16を得たので、塔LV3になりました。残りの塔管理経験値は0になります。


 塔LVが上がっていた。

 LVが上がったことも喜ばしいが、それよりも気になることがあった。

 村を作ってからモンスターを討伐していたが、どう考えても昨日の段階でモンスターの討伐数が500体を超えていたとは思えない。

 一応ミツキにも確認したが、500体くらいじゃないかと言っていた。

 では残りの100体は、誰が討伐したのか。

 誰が、といっても村に残してきた彼らしかいないわけだが。

 ミツキを伴って村に行ってみることにした。


 村に到着すると、灰色狼たちは5体しかいなかった。

「・・・え!? まさか、やられた?」

 昨日確認した時には、一晩で周辺のモンスターが大幅に増えたとは感じなかったので、狼たちだけで大丈夫だろうと思って任せたのだがそれが失敗だったのか。

「他のみんなはどうしたんだ?」

 返事があるとは思わなかったが、傍に寄ってきた狼に尋ねてみた。

 するとその狼が、ひと声遠吠えをした。


「どうやら心配いらないみたいね」

 ミツキが何かわかったのか、そう言ってある方向を指し示す。

 最初は考助には見えなかったが、すぐにそれが何かわかった。

 残り5匹の狼の群れである。

「独自に狩りをしてたのか」

 近寄ってきた群れのリーダーらしき狼のステータスを確認してみた。


 固有名:ヒイ

 種族名:灰色狼

 固有スキル:遠吠えLV3 噛みつきLV4 威嚇LV2 集団行動LV3 長距離移動LV2

 天恵スキル:統率LV2

 称号:考助の眷属


 スキルのレベルが上がっていた。

 たった一晩でLV4まで上がるとは、とんでもない上がり方だ。

 ヒイだけでなく他の遠征組の狼も軒並みスキルLVが上がっていた。さすがにヒイほどの上がり方をした個体はいなかったが。

 他にも村に残っていた狼の中に、一匹だけ統率スキルを得た個体がいた。

 村の中で警戒している組のリーダー役だったのだろう。


「これは・・・かなり予想外だなぁ」

「そうね。上手く使えば、きちんとした戦力になるわよ」

「・・・だね」

 戦力になるのであれば、今使われていない階層も有効に利用できる可能性も出てきた。

 今後、彼らを有効に活用するため、一旦管理層に戻ることにした。


 まず、第五層に<灰色狼召喚陣(10体)>を設置する。これで第五層の戦力は補充できる。

 あまり多く召喚しても第五層に残す予定の個体は統率のLVが1だったため統率しきれない可能性がある。

 統率LV2の個体ヒイは、他の4匹と共に第七層に移す予定だ。

 こちらは統率のLVが一つ上なので、第七層には<灰色狼召喚陣(10体)>を二つ設置した。

 ついでに第七層の転移門のそばに、彼らの拠点となる厩舎を一つ設置した。本来は家畜用なのだが、別に狼達用に使っても問題ないだろう。

 当然厩舎にも<建造物用低LV結界>を付けて、さらにその中に納まるように狼たちが使える水場も用意した。


 名称:小さな泉

 設置コスト:10万pt(神力)

 説明:小さい泉。飲用水としても使える。


 かなり高いが、拠点のそばに水は必要なので必要経費だろう。

 さらに第五層に一つ、第七層に二つ<スライム召喚陣>を設置する。

 ここから召喚されたスライム達は狼たちの餌になる予定だ。昨日討伐をしていた時に、美味しそうにスライムを食べていたのを見たのだ。

 これで多少でもptが稼げれば良し、召喚数が割に合わなくても餌として活用されるので問題ないだろう。


 ある程度目途がついたので、管理作業を終えるとすでに昼になっていた。

 コウヒもリュウセンから戻ってきている。

 昼食を終えた後、三人で再度村へと向かった。

「そういえば、人がここに移住してきたときは、狼たちは残すの?」

 村に向かう途中に、ミツキが聞いてきた。

「いや。・・・残さない方向で考えてるけど、どうしたほうがいいかな? 人間や亜人たちにとっては、あくまで魔物だしね」

「テイムモンスターとしては?」

「十匹とかならそれもいいけど、さすがにそれ以上だとどうだろう?」

 考助の疑問に、二人は沈黙した。

「それに、人が増え始めたら残す意味が無くなるからね」

 そもそもここに狼を置いたのは、あくまで人が来るまで荒らされないようにするためだ。

 そう考えると人が来る前に、引き上げたほうがいい。


 そんなことを話している間に村に到着した。

 ヒイを筆頭に、5匹の狼たちがいなくなっている。また狩りにでも行っているのだろう。

 朝に引きつれていたメンバーとは違うメンバーで行っている。統率スキルの恩恵か、その辺もきっちり考えているのだろう。

 ・・・ただの偶然ということも考えられるのだが。

 村に残っている5匹の狼の内、統率のスキルを持っているのはナナである。

 そのナナを近くに呼んで、先ほど設置した<灰色狼召喚陣(10体)>から10体の灰色狼を召喚した。

 眷属にするために名前を付けないといけないのだが、一々考えるのは手間がかかるので、頭を「ワン」にしてその後ろにあいうえお順に一文字付けることにした。

「ここにいる14匹で、君がしばらくこの村を守ってね。狩りに行くのは自由だから君に任せる」

 考助がそういうと、ちゃんと(?)わかったのか、ナナがウオンと返事を返してきた。

 賢いなと思ってステータスを見ると、<言語理解(眷属)LV1>なんてものがついていた。


(・・・え!? まさか、ほんとに通じてる?)


 どこまではっきり通じているのかはわからないが、ある程度は通じているのだろう。

 第五層の村のことはナナに任せても大丈夫そうだ。


 続いてナナにヒイを呼んでもらって、彼ら5匹を連れて第七層へ向かう。

 転移門を通れるのかは不安だったが、特に問題なく狼たちも通れた。

 コウヒやミツキにも試してもらったので、転移門を操作できる者なら問題なく通すことができることが確認できた。

 すぐそばに設置した厩舎に向かいここが、ヒイ達の新しい拠点になることを説明した。

 残念ながらヒイには言語理解はついていないが、それでも言いたいことはわかったのかしばらく辺りを嗅ぎまわっていた。

 その間に考助は、二つの<灰色狼召喚陣(10体)>から20体を呼び出して、名前をつける。

 全ての狼に名前を付け終わった後に、すぐそばにいたヒイに来てもらい、彼らを率いるように指示した。

 辺りに散っていたほかの4匹も集まってきて、それぞれ挨拶っぽいことをやっていた。

 続いて<スライム召喚陣>のところへ連れて行き、ここから出てきたスライムは好きにしていいことを伝えた。

 後はしばらくの間、彼らの自由にさせる。

 一応毎日様子を見に来る予定である。場合によっては、狼の数をさらに増やしてもいいと考助は考えている。

 これで狼たちへの指示は、とりあえず終わりである。


 管理層に戻ってきたコウヒとミツキは、予定していた最後の召喚を行った。

 最後の二人は、サラーサとティンと紹介されて、両方とも女性だった。

 ちなみにコウヒとミツキに召喚された六人は、いずれ劣らぬ美男美女である。

 リュウセンで行う交渉でも役に立つだろう。

 挨拶もそこそこに、コウヒが彼ら二人を連れてリュウセンに向かった。


 何となく今日はもう管理作業をする気が無くなった考助は、その後は風呂に入ったりして(もちろん二人で)のんびり過ごしたのだった。

次話投稿は翌日20時投稿予定


2014/6/3 誤字修正

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