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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第14章 塔で妖精を呼び出そう
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8話 熱烈歓迎

 いまだ設置していない<水の妖精石>は、残念ながら神力が貯まっていないので設置ができない。

 数日待てば、南の塔や北の塔からの貢ぎ神力があるために設置できるようになる。

 それまでは、第八十一層に設置した<地の妖精石>の様子を見ることにした。

 妖精石に関することは、どうしても<妖精言語>のスキルが必要になるためコレットの同行が必須になっている。

 シュレインも多少は<妖精言語>を使えるのだが、やはりエルフであるコレットには劣る。

 朝食時に、コレットに同行をお願いした時に、

「むむ・・・。やはりしっかりと習得するべきか」

 とシュレインが呟いてきた気がするが、気のせいだと思うことにした考助であった。

 

「・・・それで、どうしてこういう状況になっているわけ?」

 第八十一層に着いてからコレットがそう言って来た。

 当然話しかけている対象は、考助だ。

「・・・うぷ・・・いや、ぷ・・・僕が聞きたい」

 その考助は、狼達に熱烈歓迎を受けていた。

 考助達が第八十一層に来た時は、残念ながらナナがいなかった。

 ナナも忙しそうに狼達のいる階層を移動しているのだ。

 逆に言えば、ナナがいなくても突発的な事態に対処できるほどに、第八十一層の狼達が成長したと言える。

 現在考助にじゃれている五頭の狼達は、いずれも<白狼頭>の狼達である。

 ナナがいない間は、その内の一頭であるエイルが群れを率いているようだった。

 そのエイルはいつの間にか、<言語理解(眷属)>を身に付けていた。

 ただ、他にも二頭ほど<言語理解(眷属)>を身に付けている個体がいたので、それだけがリーダーになれるわけではないようだが。

 単純に強い者がリーダーになっているようだった。

 とにかくそのエイルは、今思いっきり考助に甘えているわけだが、ナナがいない分いつも以上にはっちゃけている。

 考助にしても思う存分モフモフができるので、何の不満もないのだが。

 ちなみに、その間コレットとミツキは、考助ほどでないにしろ狼達と戯れている。

 考助の眷属である召喚獣たちは、別に考助だけに甘えるわけではない。

 考助が連れてきている仲間たちもきちんと覚えているようで、しっかりと甘えたりするのだ。

 もっともメンバーたちに言わせれば、あくまでも考助のおこぼれにあずかっているということになるのだが。

 狼達が落ち着くまで十分モフモフを堪能した後は、目的の<地の妖精石>の様子を見てみた。

 外見に関しては、<風>や<火>を設置した時とほとんど変わっていない。

 相変わらず精霊の力が溢れているのだが、それ以上の変化は起こらないようだった。

 試しに<地の妖精石>に触れて神力を送ろうとしてみたが、何かに阻まれているようで送ることが出来なかった。

 そのため設置してすぐに神力を送って、妖精を誕生させるというのは無理だった。

 <風>や<火>の妖精石に関しては、いつの間にか出来るようになったので、ある程度の時間が必要になるのかと結論付けた。

 といってもそれが正解であると決まったわけではないので、最初のうちは頻繁に来るつもりでいる。

 他の塔の攻略も終わっているので、長時間アマミヤの塔を離れる用事も今のところは無いので、問題ないだろう。

 

「それで? 私が来た意味はなかったのかな?」

 コレットが考助にそう聞いてきた。

「ああ、うん。しばらくこんな感じが続くと思う。なんか当分妖精は生まれなさそうな感じがするし」

「私じゃなくて、エセナに頼んだらどう?」

 コレットも現在は南の塔の管理を任されているので、いつ突発的なことが起こるかわからない。

 それならいっそのことエセナに頼ったらどうかと思ったのだ。

「エセナに? ・・・いいのかな?」

 考助にしてみれば、エセナは世界樹そのものなので、調整なので忙しいのではないのかと遠慮があったりする。

「大丈夫だと思うけど・・・むしろ本人にきちんと確認してみたら?」

 エセナも最初の幼女のころから比べれば、かなり成長している。

 特に妖精と精霊に関しては、コレット以上の専門家になっている。

「うーん・・・そうしてみるか。・・・エセナ?」

 考助がそっと呼びかけると、すっと目の前にエセナが出て来た。

「兄様、お呼びですか?」

 エセナが首を傾げて問いかけて来たので、先ほど話をそのまま伝えた。

 それを聞いたエセナは、嬉しそうな表情を浮かべた。

「そういう事ならいつでもお呼びください」

 一通り聞いた後、そう即答して来た。

「いいの? 世界樹は大丈夫?」

「はい。前にも話しましたが、環境も落ち着いていて、以前ほど細かく調整する必要がないのでさほど忙しくはないのです」

「そう。それじゃあ<妖精石>が変化したら呼ぶことにするよ」

 エセナの話を聞いた考助が、そう言うとエセナはコクリと頷いた。

「話はまとまったみたいね」

 コレットも幾分安心したような表情を浮かべた。

 別に考助に呼ばれて、妖精石をチェックすることに不満があるわけではない。

 というかむしろ近くで行動できる分、いつでも呼んでほしかったりするのだが、流石に頻繁に呼ばれると塔の管理が疎かになりかねない。

 別にそれで開発が遅れても考助は何も言わないだろうが、それは嫌なのだ。

 というわけで、コレットにしてもエセナが対応してくれると非常に有難かったりする。

「ああ。コレットも有難う」

「いいのよ。そもそもエセナが駄目だったら私が対応するしかないんだしね。むしろエセナが対応したほうが妖精に関しては、色々分かりそうな気がするわ」

「それもそうだな」

 流石に世界樹だけあって、妖精や精霊に関する知識はエセナが群を抜いていた。

 元々最初のころに渡した知識や力の中にそういった物が含まれていたのだろうが、幼かった頃はそれをきちんと言葉にできていなかった。

 成長した現在は、そんなこともなくきちんと伝えられるようになっている。

 いささか丁寧すぎるきらいは感じるが、それが個性だと思えば無理に強制する気は考助には無いのである。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 第八十一層の<地の妖精石>を確認した後は、コレットは管理層へ戻った。

 そのまま南の塔へ向かうと言っていたので、南の塔の管理を行うのだろう。

 考助はミツキと一緒に、第八十一層以外の狼達のいる層を巡回することにした。

 狼達がいる第七層、第九層、第四十七層では、最近は狼召喚用の召喚陣は設置していない。

 理由はこれ以上狼を増やして階層の生態が大丈夫なのかが不安になったのと、あとは召喚しなくても自然交配で増えてきていたからだ。

 討伐用に召喚陣は、狼達のレベルに合わせて無理のない量が召喚されるようになっている。

 第八十一層以外の三層に設置している討伐用の召喚陣は中級モンスターのものなので、結構な神力が稼げている。

 まさしく塵も積もれば山となる、状態だった。

 流石に上級層の第八十一層には及ばないのだが。

 三つのうち二つの層を回って問題ないことを確認した考助は、最後に第七層に訪れた。

 そこでは今まで会う事のなかったナナが、子狼たちと遊んでいた。

 遊んでいたと言っても、子狼たちがナナに突進しようとするのを、軽くあしらっている程度だったのだが。

 そのナナは考助が来たことに気付いて、すぐに突進してきていた。

 十分に考助と戯れた後に、子狼達の相手をし始めたのだ。

 その様子を見た考助は、気に入った相手に突進するのは、狼の習性なんだろうかと思わずどうでもいいことを考えてしまうのであった。

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