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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第14章 塔で妖精を呼び出そう
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5話 風の妖精

 <火の妖精石>から妖精が誕生して、その妖精が何かをしたために、青鸞と青和が鳳凰になった。

 ・・・考助にしてみれば、ただ単に<火の妖精石>に触れただけで、鳳凰が誕生したので、なんじゃそらという感想を持ったのだが。

 ちなみに、一緒にいたコレットが「鳳凰なんて伝説の生き物なのに・・・」と呟いていたのが、考助の胸に響いた。

 ランカとランゼの鳳凰ペアは、幸いにも以前の性質を残しているようで、しっかりと考助に懐いていた。

 というか、以前よりも懐き度が上がっていた。

 体長は以前より大きくなっているのだが、顔をすりすりと擦り付けて来て、前よりもスキンシップが多くなっている。

 考助としても懐かれる分には嬉しいので、特に止めることは無かったのだが、それを見ているコレットの視線は若干生暖かい気がしたが、無視することにした。

 いつまでも現実逃避をしていてもしょうがないので、妖精石シリーズの検討をすることにした。

 第四十六層の<火の妖精石>は、妖精が二体生まれた時点で砕け散ってしまった。

 一応念の為、砕けた石の欠片は回収してある。

 砕けた物でも精霊の力は残っているので、道具の作成に使えるのではないのか、とコレットが言ったのだ。

 欠片全てを回収することはできない、というより回収するつもりはないので、ある程度の大きさの物だけ拾うことにした。

 残った小さな欠片がどういう事になるかは、今後のお楽しみということにした。

 というより既に鳳凰ペアがしきりに地面をつついているのだが、どうもその欠片を回収しているように見えた。

 飲み込んでいるかどうかまでは確認できていないが、好きにさせることにした。

 考助たちは、ある程度の大きさ以上の物だけを回収して、管理層へと戻ったのであった。

 

 回収した妖精石の欠片は、研究部屋に持って行きすぐにイスナーニに渡した。

 彼女に渡しておけば、研究に励んでくれるのを期待している。

 勿論、考助自身も研究材料に使うつもりだが。

 取りあえず、考助は研究を後回しにして制御盤がある部屋へ向かった。

 第四十六層で表示されていた<火の妖精石>がどういう扱いになったのか確認するためだ。

 結論から言えば、第四十六層に表示されていた<火の妖精石>は消えていた。

 代わりに新しい<火の妖精石>が設置できるようになっていた。

 もう一つ第四十六層に設置すれば、また鳳凰を作ることが出来るのかと期待したくなったが、妖精石シリーズはコストが高めなので、召喚陣のように手軽に設置することが出来ない。

 <風の妖精石>は既に第八十層に設置しているが、他の<水の妖精石>と<地の妖精石>はまだ設置すらしていない。

 先にその二つを設置してから、もう一度第四十六層へと設置することにした。

 残念ながら<水の妖精石>と<地の妖精石>を同時に設置できるだけの神力は貯まっていないので、第八十一層へ<地の妖精石>を設置することにした。

 狼達の拠点の中に<地の妖精石>を設置する。

 第八十一層の狼達の拠点もある程度の大きさになっているので、置ける場所があったので特に何も考えずに置くことにした。

 取りあえず<地の妖精石>に関しては、これだけで止めておく。

 次は、第八十層に設置している<風の妖精石>を確認しに行くことにした。

 

 考助達が第八十層へ着いたとたんに、コーたちの熱烈な歓迎を受けた。

 流石に飛龍たちは巨体なので、他の召喚獣たちのように体当たりをくらわしたり、くちばしをさすりつけたりはしてこなかったが、考助が転移門を通ってきたすぐ後に、飛龍たちがその場に全員集合していた。

 飛龍たちも数を増やして、現在は十五体になっていたので、それだけの数の飛龍が一堂に集まると、なかなかの迫力があった。

 こうした飛龍たちを見ていると、召喚獣の知能が高いとその分だけ忠誠の値も高くなっている気がする考助だった。

 実際に、ナナやワンリたちも進化するごとに知能は高くなっていた。

 一番顕著なのはワンリなのだが、それは言葉を話せるからそう感じるだけであるのかもしれない。

 飛龍たちに囲まれながら、<風の妖精石>を設置している場所へと向かった。

 <火の妖精石>と同じように、精霊の力は感じるが、特に大きな変化は感じない。

 ただ、<火の妖精石>と同じように既に条件を満たしている可能性もある。

 今度は、きちんと意識したうえで、神力を使うことにした。

 最初は神力を流さないように、慎重に<風の妖精石>へと触れた。

 当然と言うべきか<風の妖精石>は、何の変化もおこさなかった。

 続けて、自身の神力を意識して<風の妖精石>へと流し込むように送ってみた。

 すると<火の妖精石>と同じようにピシッという音が、<風の妖精石>から聞こえて来て、すぐに砕け散ってしまった。

 後には妖精が一体出現していた。

「・・・コレット、お願い」

「はいはい」

 今回もきちんとコレットを連れてきていたので、通訳を任せた。

 その間考助は、先ほどの神力を送った時のことを考えた。

 <風の妖精石>に神力を送った時は、吸われているというより神力を流し込んでいるという感覚が強かった。

 空いている空間に、力を流し込んでその隙間を埋めている感じがした。

 その隙間が埋まった瞬間に、<風の妖精石>が砕けた気がしたのだ。

 あくまでの考助の感覚的なものなので、実際とは違っているかもしれない。

 何しろまだきちんと意識して実行したのは、初めての事だったのでまだ実績が足りない。

 

 そんなことを考えていると、コレットと風の妖精の話は終わったようで、コレットは考助の方を見て言った。

「一応、話は聞き終わったわよ。といっても火の時と、ほとんど話の内容は変わらないけど」

「え? そうなの?」

「そうなのよ。他に聞けた話としては、飛龍たちの影響を受けているってことかな?」

「それってどういう事?」

 <風の妖精石>が飛龍に影響を受けているというのが、意味が分からずに考助は首を傾げた。

 だが、話をしているコレット自身も分からない、と言った表情になっている。

「どうも、風の妖精自身も分かってないみたいね。本人が分かってないから私が聞こうと思っても、全然話が通じないわ」

 そもそもヒューマンや亜人たちのように、言葉を発して会話をしているわけではない。

 特殊な会話形式の上に、本人たちも分からずに会話しているのだから、余計意味が分からないことになっているのだ。

「うーん。そうか、じゃあそれはしょうがないや」

 考助はきっぱりと話を聞くのを諦めた。

「いいの?」

「いいも何も、分かってないものを聞き出したところで、正確な答えなんて出てこないよ。それだったら最初から聞かないほうがいい」

 考助は、妖精石に関しては、再設置が可能なので、回数をこなして調べた方がいいと考えることにしたのだ。

「そんなもの?」

「・・・と、思うけど・・・?」

 考助も絶対の自信があるわけではない。

 とたんにジト目になるコレット。

「分からないんだったら分からないなりに試行錯誤して調べていくしかないけど、最初から間違った答えを聞いたら正しい結果は出せないからね」

 コレットの視線に、考助は慌てて言いなおした。

 ともかく、妖精石に関しては、未だによくわからないことが多いので、色々と試行錯誤するしかないと思っている。

 そもそも設置してすぐに、神力を送り込んだらどうなるかさえ分かっていない状態なのだから、今後も色々と調べる必要があると思っているのであった。

しばらく妖精石話が続きます。

妖精石にかこつけて、今までの召喚獣を全部出す予定ですw

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