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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第14章 塔で妖精を呼び出そう
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4話 火の妖精

 考助は、コレットとコウヒを引き連れて第四十六層へ訪れていた。

 理由は設置してある<火の妖精石>の様子を確認するためだ。

 <火の妖精石>を設置したおかげで、鸞和達が<火魔法>と<火属性>を身に付けることは分かったが、説明文にある火の妖精の召喚というのを確認しに来たのだ。

 何度か第四十六層へ変化がないか確認に来ていたのだが、今までは特に変化が無かった。

 コレットを連れてきているのは、<妖精言語>持ちの鸞和達と会話させるためだ。

 取りあえず考助は、<火の妖精石>へは向かわずに、鸞和達の様子を先に見ることにした。

 以前来た時よりも、青和と青鸞の数が増えていた。

 鸞和達の総数は変わっていないように見えた。

 少なくとも召喚は行っていないのだが、自然増加しているかまでは把握していない。

 今のところ召喚時には、名前を付けているはずなので、名無しの眷属がいればそれは自然増加ということになるのだが、名無しの眷属は発見できなかった。

 青和と青鸞に進化している個体の数は増えているが、スキルのレベルに関しては、今までの上限を突破している物はいなかった。

 どうにもナナやワンリとは違い上手く進化が出来ていない感じがする。

 逆に言えば、ナナやワンリが異常だったとも言えるのかもしれない。

 ただ、第九十一層の狼達を考えると、高レベルの所に放り込めば上手くいくとも考えられるが、流石に現状のレベルで賭けのようなことをする気にはなれない。

 取りあえず、鸞和達の進化に関しては、今以上が望めないことを確認しただけで終わってしまった。

 一番成長しているランカに関しても、スキルの成長はほとんどしていなかった。

 そもそもこれ以上の成長をしない種なのかもしれないので、後は成り行きに任せることにしたのだった。

 

 甘えてくるランカを撫でながら、今度は本命の<火の妖精石>の設置場所へと向かった。

 こちらも前回訪れた時と違いはなかった。

 相変わらず鸞和達が周辺で戯れていたが、それ以外には何も起きていない。

「・・・・・・うーん」

 考助は、首を傾げつつ唸ってみたが、それだけで答えが出るわけもなかった。

「確かに精霊の力は感じるんだけれどね」

 考助の隣で、コレットも首を傾げていた。

 これだけの力が宿っているならもう少し何かが起きてもよさそうなのだが、以前と何か違っているところがあるようには見えない。

 ただ静かにその場にあるだけに見える。

 考助は、周りにいる鸞和達がいるので、なぜか<火の妖精石>が卵のように見えて来た。

 形に関しては、一般的な卵とは似ても似つかないのだが。

「・・・卵みたいだな」

「卵・・・!? そうよ、卵よ!!」

 考助の呟きに、なぜかコレットが反応した。

「え? 何かわかったの?」

「わかったというか・・・なんかこの妖精石って、精霊の力を閉じ込めているというよりも、これから何かが出てきそうな感じがしない?」

「そ、そう・・・かな?」

 改めて考助は<火の妖精石>から感じる精霊の力を感じ取ってみた。

 そして、確かに殻の中に閉じ込められているような感じを受ける。

「うーん・・・言われてみれば、確かに?」

「そうよね? ・・・この感じから言って、何かきっかけがあれば、殻のような物も破けると思うんだけど・・・」

 そのきっかけが何かが分からなければ、結局今までと同じことになる。

 ついでに言えば、この場合のきっかけと、説明文にある条件と言うのは、同じ意味になる。

「・・・・・・きっかけ、ねえ・・・」

 考助は呟いた後、何気なく<火の妖精石>へと手を伸ばした。

 そして、考助の手が<火の妖精石>へと触れた瞬間、パキッという硬質な音がした。

「・・・はっ!? いやいや、待って待って、そんな単純なことで?」

 驚く考助を、コレットはなぜかジト目で見ていた。

 またやらかしたよ、という視線だった。

 そんな二人を尻目に、その音に従って<火の妖精石>にひびが入っていき、最終的には割れてしまった。

 後には、二体の妖精らしき者が残された。

 何か必死に考助に話しかけようとしているが、残念ながら考助には妖精の言葉は聞き取ることが出来ない。

 エセナの様に、妖精と言う存在であれば、言葉が話せるかと思っていたのだが、違うようであった。

 コレットの方を見てみると、その意図を察したのか会話をし始めた。

 流石に<妖精言語>があれば、話をすることが出来るようで、三人(?)の間で会話らしきものが続けられていた。

 考助はそれを横でぼーっと見ているだけだった。

 

 しばらく会話らしきものが続いていたが、それも終わってようやくコレットが考助の方を見た。

「なんかやっぱりコウスケが触れたのが、条件だったみたいだよ?」

「え~? 何それ?」

「触れることというか、触れた時に力が流れ込んできたからそれがきっかけになったとか?」

「・・・力? なにそれ?」

 考助にしてみれば、ごく普通に触れただけなので、特に何か力を流したということは、ないと考えたところでふと触れた時のことを考えた。

「・・・いや待てよ?」

 最近神具作りに精を出していたおかげで、物に触れた瞬間に神力を出す癖がついていた。

 言われてみれば、<火の妖精石>に触れた時、神力を無意識のうちに出していたかもしれない。

「なんていうか・・・らしいと言えばコウスケらしいけど。それに、神力であれば何でもいいというわけでもないみたいね」

「ん? どういう事?」

「多分だけど、コウスケが現人神であることが関係していると思うわよ。話を聞いて何となくだけど」

 考助の現人神としての神気が触れたことがきっかけになって、妖精が生み出されたということだった。

「なるほどねえ・・・ってことは、現人神になっていないと駄目だったってこと?」

 普通に考えれば、とんでもない条件と言える。

「さあ? 流石にそこまでは分かってないみたいね」

「うーん・・・まあ、その辺は考えてもしょうがないか」

 現状現人神になっていて条件をクリアしている以上、今更考えてもしょうがないと思うことにした。

「それから、この火の妖精からお願いがあるっていっているわよ?」

「お願い? なにそれ?」

「なんでも、妖精石だった時に守ってくれた鸞和達にお礼がしたいって」

 確かに周囲のモンスターの狩りをおこなっていたのは、鸞和達である。

 そう言う意味では、守っていたと言えるのだろう。

 とは言え、モンスターが妖精石を襲うというのは、考助にしてみれば、今知った事実だったりする。

「そういう事なら全然かまわないけど・・・お礼って何するの?」

「さあ? 流石にそこまでは聞けなかったわ」

「・・・まあ、いいか。かまわないって答えていいよ」

 考助の答えをコレットが火の妖精二人に伝えると、その妖精は嬉しそうにそれぞれ傍にいた青和と青鸞の方へと飛び込んでいった。

 止める間もなく、あっという間の出来事だった。

 妖精のうち一体は、ランカへと向かって行きそのまま触れたと思った瞬間に、姿を消していた。

「え!? なに、今の?」

 考助がそう驚きを声にするが、既に答えられる妖精たちはいなくなっていた。

 そして、後にはランカともう一人の妖精が触れた青鸞、ランゼが残されている。

 考助は慌ててランカのステータスを確認してみた。

 

 固有名:ランカ

 種族名:鳳凰

 固有スキル:体当たりLV5 飛行LV7 くちばし攻撃LV7 回避LV6 察知LV7 妖精言語 言語理解(眷属)LV4 火魔法LV5 不滅の炎LV1

 天恵スキル:念話LV5 火属性LV2 

 称号:考助の眷属 炎の聖獣

 

 ランゼはランカとほぼ同じスキルで、種族名が<鳳凰>になっていた。

 これを見た考助が思わず、鳳凰ですかそうですか、と思ったのだがかろうじて心の中でとどめたので、だれも突っ込む者はいなかった。

ちなみに、別に現人神でなくても条件は満たせます。

ただし、神力を使えないと話になりませんが。

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