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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第13章 塔をさらに増やそう
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10話 大陸の覇者

 ちょっと待てと思ったが、自動で手続きが進んでしまったので、止めることが出来なかった。

 アナウンスが流れただけで、何が起こったのか分からなかったが、また目立つ原因が一つ増えたのは間違いないだろう。

 その手続き自体はすぐに終わり、南西の塔での移行作業も完全に終わった。

 早速、制御盤から状況を確認してみたが、あまりよく分からなかった。

 唯一関係ありそうなのが、南西の塔がアマミヤの塔の所属になっている事だった。

 表示上で、完全に南西の塔がアマミヤの塔の支配下に入っているように表示されていた。

 常に一定数の神力をアマミヤの塔へと送るようになっている。

 ちなみに、一定数と言うのは、稼いだ神力の何パーセントと言うのを設定できるので、マイナス換算にはならないようになっていた。

 最初のうちは、アマミヤの塔から神力を送って管理するつもりなので、ほとんど意味がないのだが南西の塔単独で神力を稼げるようになれば、話が別である。

 わざわざ神力をアマミヤの塔へと送る作業をしなくても済む。

 現在南の塔では、神力が余っていて毎日アマミヤの塔へと神力を送る作業を行っているのだが、それが不必要になる。

 それ以外に何か違いがないか確認したのだが、ここでは見つけられなかったので、アマミヤの塔へと向かうことにした。

 

「おお。コウスケ、戻ってきたか」

 アマミヤの塔の管理層へ戻ると、シュレインが出迎えてくれた。

「ん? 何かあった?」

「いや、北の塔で管理していたら南西の塔を攻略したとメッセージが来たので、ここで待っていようと思っただけだ」

 今までの六つの塔を攻略した全ての時に、攻略済み情報がアマミヤの塔へと来ていた。

 どこかの塔が攻略されたときには、メッセージが全ての塔に送られるというのは、塔の機能として決まった物であるらしい。

「あれ? ということは、北の塔は支配下には入っていない?」

「支配下? 何だそれは?」

 首を傾げたシュレインに、考助が説明し・・・ようとしたところで、乱入者がきた。

「コウスケ、南の塔がこっちの塔の支配下に入ったけど、どういう事?」

 コレットだった。

 それを皮切りに、ピーチとシルヴィア、フローリアも戻ってきた。

 コレットの言葉を聞いて再びシュレインが、首を傾げた。

 考助が説明しようかと思ったが、その前に他のメンバーが説明を始めたので、状況は南西の塔と同じであると確認できた。

 ついでに「大陸の覇者」という文言については、メッセージにも無かったようだった。あくまでも南西の塔の攻略がされたということが記載されていただけだった。

 ただし、これがアマミヤの塔の支配下にはいったせいなのか、それとも全部の塔で同じメッセージだったのかは確認することが出来ない。

 考助にしてみれば、出来れば後者であってほしいのだが、こればかりは確認しようがない。

 シュレインへ一通り説明を終えると、今度は視線が考助に集まった。

「いや、僕もよくわかってないんだ。南西の塔が同じような感じだったんで、こっちに確認しに来た」

「なるほどの。では、吾は北の塔が同じ状態か確認してくるかの。・・・すぐ戻ってくる」

 シュレインはそう言って、転移門の方へと向かう。

 他のメンバーは、アマミヤの塔の管理室へと向かい、こちらで何か変化がないか確認することにしたのであった。

 

 シュレインはすぐに戻ってきた。

 確認するべきところは、他のメンバーからの報告で分かっていたので、すぐに終わらせて戻ってきたのだ。

「北の塔は、他の塔と同じ状況だったぞ。こっちはどうかの?」

 シュレインが北の塔へ行っている間に、アマミヤの塔での確認作業も終わっていた。

「いくつかわかったことがあるから、まとめるつもりで話すよ」

 考助の言葉を皮切りに、いくつかの変更点が確認された。

 まずは、他の六つの塔からアマミヤの塔への神力の強制徴収権。

 考助が南西の塔で確認したことと同じだが、さらに加えてわかったことがある。

 神力の徴収は、それぞれの塔でその日稼げた神力から行われる。

 その割合は、アマミヤの塔で設定することが出来る。

 下は一割から上は九割まで設定が可能だった。

 次は、塔の支配権に関してだ。

 周辺の六つの塔を、考助以外の誰かが攻略できたとしても、攻略した者はその塔を管理することは出来ない。

 逆に、アマミヤの塔が攻略されれば、他の六つの塔はアマミヤの塔を攻略した者が支配できる。

 要はアマミヤの塔さえ攻略してしまえば、他の六つの塔が自動で手に入ることになるのだ。

「・・・なるほどの。現状、この塔を攻略できる者がいるとは思えんから、あまり気にする必要はないの」

 そう言ったのはシュレインだったが、他の者達も頷いていた。

 ついでに言えば、転移門の使用状況は制御盤から確認ができるので、不意打ちでこの塔を攻略することはほぼ不可能なのだ。

 あるとすれば、普通に(?)転移を使って直接この管理層へと飛んでくることが出来れば、可能かもしれない。

 ここにいる者達で、そう言った技術があると知っている者は、誰もいなかったが。

 さらにもう一つが、転移門に関してである。

 アマミヤの塔の管理層にある転移門から、他の塔に存在する転移門のすべてに転移できるようになった。

 元々アマミヤの塔に存在する転移門へは自由に移動できたので、さらに便利になったことになる。

 最後の一つが、それぞれの塔の管理層についてだった。

 それは、各塔の管理層をこのアマミヤの塔の管理層にまとめることが出来るという物だった。

「わざわざ転移門で向かわなくてもよくなるという事か?」

「多分ね。早速やってみるけどいい?」

 考助が確認すると、一同が同時に頷いた。

 試しにシュレインの北の塔の管理層を合わせてみることにした。

 やり方は単純で、管理層を移動する塔を選んで、アマミヤの塔の管理層のどこに付けるかを選ぶだけだった。

 当然ながら神力を使うことになるが、消費pt的には多くはない。

 北の塔の管理層はアマミヤの塔の制御室の隣に設置することにした。

 作業自体は音もなく終了することが出来た。

 それと同時に、アマミヤの塔の制御室に今までなかったドアが付け加えられていた。

 代表して、シュレインがそのドアを開けると、見事に北の塔の管理層がくっついていた。

 なぜ北の塔の管理層かと分かったかというと、単純に制御盤から確認したからだ。

 アマミヤの塔の制御室の隣の部屋は、北の塔の制御室になっていて、その奥にはしっかりと転移門がついていた。

「・・・これは配置をきちんと考えないと、駄目だなぁ」

 残り五つの塔の管理層があるので、適当に置くと移動が面倒なことになる。

 というわけで、実際に管理層を使うことになる者達で決めてもらうことにした。

「・・・あ、そうだ。忘れてた。フローリアも南西の塔を任せるからよろしく」

「・・・・・・は!?」

 唐突な宣言に、フローリアは呆けてしまった。

「え・・・!? いや、いいのか?」

「逆に、駄目な理由ってある?」

 考助にしてみれば、このままフローリアに何もさせないほうが問題だと思っての事だった。

 このために、わざわざ最初の二つの塔の攻略の時に一緒に攻略して、親睦を図ったのだ。

 いい加減他のメンバーにも慣れてきているようなので、塔の一つくらい任せてもいいだろうと考えていた。

「い、いや、無い・・・のか?」

 フローリアは首を捻っていたが、その彼女に対して、シルヴィアがポンと肩をたたいた。

「諦めなさい。コウスケさんがそう言ったということは、もう決定事項ですわ」

 シルヴィアの言葉に、考助を除く全員が頷いた。

「失礼な。嫌だったら別に任せるつもりはないよ」

「い・・・いや、別に嫌というわけではない」

「そうか。良かった。じゃあ南西の塔は任せるからね」

「ああ」

 何となく考助に押し切られた感はあるが、最後の方はフローリアも納得して同意した。

 そもそも管理層で何もしていないという自覚はあったので、むしろ仕事を与えられてほっとしたという側面もあったりする。

 自分は別枠という思いが消えてなかったので、自分からは言い出しづらかったのもある。

 考助から言い出してもらったおかげで、フローリアとしても丁度良かったのだ。

 別に考助としては、フローリアのそうした思いを見抜いていたわけではない。

 単純に管理する塔が増えたので、任せられる者がフローリアしかいなかっただけである。

 元々周辺の塔を攻略すると決めた時から、フローリアに任せることは決めていた。

 問題は、北西の塔を誰に任せるか、という事なのだが、これに関しては既に考えていることがある。

 取りあえず今は、五つの塔の管理者を決めたところで、今後の塔管理をすることになったのであった。

前話の「大陸の覇者」という呼び名ですが、特に物理的に大陸に何かをしたわけではありません。

あくまでも大陸にある塔をすべて支配したという意味です。

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