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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第13章 塔をさらに増やそう
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2話 階層交換

 エセナとドリーの話では、今後もこの傾向は続くということだった。

 少なくともいままでのように子供が極端に出来にくい環境ではないそうだ。

 最終的には、夫婦間の問題なので、その辺はどうしようもないのだが、二組のカップルに子供が出来たことが既に広まっているおかげで、閉塞感のような物は払しょくされているそうである。

 子供を諦めていた夫婦の間でも、次は自分たちが、と思う者達も増えているという事なので、しばらくの間はこの熱は冷めないだろう。

 と、リレースが熱弁をふるっていた。

 それどころか、もしこの状況が続くのであれば、世界中から子供を欲しがっているエルフ達が集まるかも知れない、と言ったのがコレットだった。

 そもそもコレットは、第七十三層のエルフの里とは別の里の出身なのだが、子供の生まれにくさは、共通した問題だった。

 流石に塔へと移住してきたエルフの里程ではないにしろ、他の亜人やヒューマンたちに比べて、子供が出来にくいというのは事実だった。

 そうした問題を一気に解決できるわけではないが、エルフ達にとっては、明るい話題であることは間違いない。

 逆に今回の事で問題が出来たとすれば、塔のエルフたち以外に、この話を広めるかどうかと言うことだった。

 この話は、最終的には取りあえず今すぐに話を外に出すのは止めて、完全に安定してからにしようということになった。

 念の為外部に出た際には、この話はしないようにと通達を出すことになった。

 とはいえ、そもそも第七十三層のエルフ達は、今のところ外部との接触がないので今回の話が外に出るのは、まずないだろう。

 そうしたことを、リレース達と話を決めた後で、考助は管理層へと戻ってきたのだった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 管理層へと戻ってきた考助は、コレットに階層交換が出来ることを話した。

 ついでに、北東や南東の塔と階層の交換が出来なかった推測も話しておいた。

「・・・それって、ホントにそうなの?」

「さあ、どうだろ? 合っているかどうかは、どこかの塔のレベルが上がって<支配権解放>されないと確認しようがないよ」

「そう言えば、そうか」

「まあ、取りあえず南の塔とは階層の交換ができるから、さっそくやってみたいんだ」

「なるほどね。・・・って、待って。わざわざその話を私にするってことは?」

 コレットがふと気づいたように、考助の方を見た。

「うん。エルフの層と階層交換しようと思ってる。当然、管理者はコレットで」

「そういうことか~」

 コレットはそう言って、納得したようにうなずいた。

「さすがに、めでたい話もあるから、いきなりはやらないで、別の層でいったん試してみるけど」

「そうね。それがいいわ。・・・ああ、そうだ。だったらいっその事、その層に何人かエルフを向かわせるわ」

 すぐにも飛び出しそうなコレットに、考助は待ったをかけた。

「ちょいまち。流石にいきなり人体実験はまずいから、最初は交換だけするよ。その後で、試してみればいい」

 階層にはモンスターたちがいるので、そのモンスターたちに変化がないかどうかをみればいいのだ。

 とは言え、外から見ているだけではわかりずらいので、どうしてもちゃんとした確認は必要になるのだが。

「私が交換する階層に行きましょうか?」

 話を聞いていたコウヒが、そう申し出て来た。

 確かにコウヒがいれば、大抵のことは何とかなるだろう。

「うーん。それも考えたけど、まずは何も手を付けてない階層で実験かな」

「わかりました」

 そもそも考助の役に立てるならと思って言ったので、考助が必要ないと思っているのなら、それ以上のことは言うつもりがないコウヒだった。

「その後のエルフ達がいる階層での交換の時には、行ってもらったほうがいいかな?」

「それでいいのなら、こっちは助かるけど?」

 考助の補足に、コレットも同意を示した。

 二人の視線を受けたコウヒは、再び頷く。

「かしこまりました」

 コウヒが頷いたことで、今後の方針が決まった。

 取りあえずは、何も手を加えていない階層同士で、交換を行うことになった。

 いきなり階層交換を行っても、交換を行う前後で変化があるかどうか分からないので、とりあえず交換対象の階層を見に行くことになった。

 

 二度の実験でそれぞれ同じ位置に戻ることになるので、実験をする階層は適当に選んだ。

 流石にアマミヤの塔と南の塔それぞれ一階層分とは言え、階層自体が広いので全てを調査するわけにもいかず、適当に切り上げて最初の階層交換をすることにした。

 階層交換自体は、すんなりと終った。

 その後すぐに、それぞれの階層を見に行ったのだが、特に大きな変化は起こってないように見えた。

 少なくとも大きな地形の変化や環境の変化は起こっていない。

 ちなみに、転移門の扱いがどうなっているかも確認したのだが、階層交換をするときに交換先のどの階層とつなげるかの選択肢がでてきた。

 多少めんどくさいのだが、最初からきちんと設定しないと変な場所に飛んでしまうことになるので、階層交換時に設定出来るのはありがたい。

 なによりこの実験が終わった後は、九層分の階層と交換しなくてはならないので、きちんと転移門の管理もしないといけない。

 めんどくさいなどとは言っていられない。

 あとは、階層の名前は交換した際に、元の階層の名前に変化するようだった。

 例えば、南の塔の第二層とアマミヤの塔の第五層を交換すると、交換後は、元アマミヤの塔の階層が南の塔では第二層になり、元南の塔の第二層はアマミヤの塔では第五層ということになる。

 そうした諸々を確認したうえで、今度はエルフ達がいる状態での階層交換をすることになった。

 予定通りコウヒも同じ階層にいてもらうことにした。

 コレットとハイエルフの皆さん方も、一緒に行ってもらうことになる。

 目安の予定時間を決めてから、実際にその時間に階層交換を行った。

 考助は、管理層で交換の作業をするだけなので、特に何か変わったことが起きたということは無かった。

 交換後、すぐにコウヒやコレット、エルフの皆がいるはずの南の塔へと向かう。

 考助が皆がいる場所に到着すると、ちょうどモンスターの狩りを行っているところだった。

 これは階層交換でモンスターが発生するとかではなく、単純に襲って来たモンスターがいたので排除していたのである。

 

「何か変わったことはあった?」

「ううん。見ての通り。全く変化なし。階層合成のときとまったく同じよ。全然気づかなかった」

 コレットの言葉に、コウヒと周りにいた者達が頷いた。

「じゃあ、本格的に世界樹のある層と交換しても問題ないかな?」

「そうね」

 そう結論付けた後で、一同は管理層を通ってそのまま第七十三層へと戻って行った。

 ついでにコレットとコウヒも一緒に第七十三層へと行ってもらう。

 全ての準備が整って、アマミヤの塔の第七十三層とその周辺の八層と、南の塔の九層分をまとめて交換する。

 階層結合している九層は、階層交換する対象として選択すると全ての階層分が選択された。

 その後に南の塔の階層を選択するのだが、南の塔の階層を一つ一つ選択する方が手間がかかった。

 南の塔の階層は、第一層から第九層までを選択することにした。

 階層を一つ一つ選んで、転移門の設定を行い、いよいよ階層の交換を行う。

 転移門の設定が多少面倒なことになったが、それ以外は特に問題なく管理画面上は交換を行うことが出来た。

 そのままミツキを伴って、南の塔へと向かい第一層へと向かう。

 エルフの里がある第七十三層と南の塔の第一層を交換対象としたからだ。

 南の塔の第一層には、きっちりと世界樹とエルフの里が存在していた。

 特に問題なく階層交換ができて、考助もほっとした。

 コウヒとコレットをつれて、南の塔の管理層へと向かい、こちらではどういう事になっているかを確認した。

 元第七十三層と周辺八層は、きちんと階層結合したまま、第一層から第九層まで割り当てられていた。

 転移門も同じようにきちんと設定されている。

 第一層を当てているので、外への入り口もあったのだが、これに関してはコレットに任せることにした。

 一通り確認した後、コレットを残して考助たちはアマミヤの塔へと戻った。

 コレットは残って、どういった管理が出来るかを確認するとのことだった。

 アマミヤの塔へと戻ってきた考助は、きちんと交換した階層が元の状態に戻っていることを確認してこの日の作業を終えたのだった。

南の塔の階層がアマミヤの塔の階層に組み込まれる際は、自動でアマミヤの塔の階層と同じ大きさに変わっています。

当然その分の神力は取られています。

逆にエルフの里とその周辺の階層は、南の塔にいっても小さくはなっていません。

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