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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第12章 塔を増やそう
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4話 メンバーの条件?

第十二章の章タイトルを変更しました。

「塔を増やそう」になります

 北東の塔の攻略を終えて帰ってきた翌朝。

 アマミヤの塔の管理メニューを確認すると、セントラル大陸の北東の塔が攻略されたというお知らせが届いていた。

 この手のお知らせが届くのは初めてだったのだが、恐らくアマミヤの塔を攻略した時にも同じような物が他の塔に届いていたのだろう。

 あくまでも業務連絡的なお知らせで、返信機能などは付いていなかった。

 ついでに、他の大陸の塔の支配者たちから通信(メール)が届いていたが、定型文をコピペして返事をすることにした。

 結局のところ、全てが同じ内容で、塔レベルの上げ方を聞いてきていたからだ。

 遠回しに、自分で調べてください、とだけ書いて返事をしておいた。

 それはともかくとして、今後の予定をどうするかを決めることにした。

 最初の予定では、攻略した塔とアマミヤの塔で階層の入れ替えをして、どうなるかを試そうかと思っていたのだが、その目論見は外れてしまった。

 チラ見した程度だったが、北東の塔のメニューでは、アマミヤの塔には居ないモンスターが召喚獣として登録されていた。

 それを試してみるのもいいと思ったのだが、それよりもやはり<支配権解放>による階層の交換を試してみたかった。

 と言うわけで、階層の交換ができる塔を求めて、更に別の塔を攻略することに決めたのである。

 

「昨日の今日であれなんだけど、また別の塔を攻略することにしたから」

 いきなりそう言いだした考助の言葉に、コレットが呆れたように溜息を吐いた。

「いっそのこと、この大陸の塔を全部攻略することにしたら?」

「流石にそれは・・・いや、ありと言えばありかな?」

 考助のその呟きに、なぜかコレットへと非難の視線が集まった。

「余計なことを言うから、本気にしてしまったではないか」

「う・・・ごめん」

 反省したようにコレットが、俯いた。

 そもそも残りの塔を攻略することを決めて、実際に北東の塔を攻略したわけだが、流石の考助もこの時点までは、全部の塔を攻略するつもりは無かった。

 一気に残り六つの塔を手に入れても管理しきれるとは思わなかったからだ。

 ついでに言えば、攻略するにも時間がかかるということもあった。

 だが、北東の塔を攻略したことで、その事情が少しだけ変わった。

 北東の塔の規模が、考助が考えていたよりも小さかったのだ。

 他の塔も同じような規模ならば、管理できなくはないと考えたので、全部の塔を攻略することを視野に入れて考え始めたのだ。

 とはいえ、流石の考助もメンバーの反応は気になった。

「全部攻略することに何か問題でもあった?」

「問題と言うか・・・対外的にどう思われるか考えたのか?」

 そう言いだしたのは、元王女であるフローリアだった。

「・・・・・・あ」

 一つの塔を支配している今でもかなりの影響力を与えている。

 それに加えて、今回の北東の塔の攻略である。

 さらに大陸全ての塔を攻略するとなると、その影響力がどうなるのか、それこそ考えなくても分かる事だ。

「うーん・・・・・・」

 腕を組んで考える考助に、意外なところから援護(?)が飛んできた。

「それこそ今更じゃないですかね~」

 ピーチのその言葉に、考助以外の全員がハタと動きを止めて、すぐに一斉に頷いた。

「言われてみればそうだな」

「いっそのこと、全部攻略したほうがいいかもしれませんわ」

「中途半端よりいっそすがすがしいかの」

「そっちの方がコウスケらしい気がするし」

 何故かピーチの一言で、全員が残りの塔の攻略に賛成しだした。

 考助にしてみれば、全攻略の方で考えていたために、全員から認められるのは嬉しいのだが、どうにも釈然としない気がした。

「・・・何か、またやらかした気がする」

「気がする、じゃなくてやらかしたのよ。まあ、コウスケは気にせずに、そのまま突っ走ったほうがいいわ」

「むう」

 こうした考助の行動が、まさしく現人神へと至らせたわけだが、考助自身にはその自覚が未だない。

「・・・・・・まあ、いいか。じゃあこの大陸の塔は全部攻略することを目標とするとして、流石に一気に全部は無理だから管理の合間を見て、順番に攻略してくよ」

 全員が頷いて、賛成の意を示した。

「それから、今回攻略した塔は、基本的にシュレインに任せるから。好きにしていいよ」

「吾がか?」

「今はもう第七十六層も落ち着いてきているから大丈夫だよね?」

「まあ、時間的余裕はあるから大丈夫だが、それでいいのか?」

「うん。他の塔もそれぞれのメンバーに任せるつもりだし」

「そういう事なら引き受けようかの」

 コウヒとミツキを除けば、ここにいるメンバーの中でシュレインが、一番長く考助の管理を見てきている。

 考助にしてみれば、一番最初に任せるのに適任なのだ。

 因みにコウヒとミツキを省いて考えているのは、二人が塔の管理に時間を取られるのを嫌っているからだ。

 一番最初の時には、人手不足だったので引き受けたが、現状は二人の手を借りる必要が無いのだった。

 

「他の人たちもそういう事だから、よろしくね。あ、あとフローリアも管理メンバーに登録しておいたから」

「む? そうなのか?」

「まあ、なんか今更って気もするけどね」

「・・・そうか。と言うことは、わたしもコースケに抱かれないと駄目なのか?」

「いやいや、ちょっと待って。どうしてそうなるの?」

 フローリアの言葉に、考助が慌てた。

 確かにフローリア以外のメンバーとは、既にそう言う関係になっている。

 だからと言って、別にフローリアにまでそんなことを求めるつもりは無かった。

「おや? 違うのか? てっきりメンバーに入るには、そういう事をしないと駄目だと思っていたのだが」

「待って待って。そんなことは、全然ないから。気のせいだから、それ」

 なんてことを言うんだと思った考助だったが、確かに現状を見てみると、そう言われても仕方のない状態になっている。

 フローリアを今までメンバーに加えていなかったことも、彼女にそうした誤解を与えることになっていた。

 もちろん、最初の時の影響もあるにはあったのだが。

「そうなのか? まあ、メンバーに入れてもらったとしても、下手に第五層にはいけない以上、あまり意味がないがな」

「そうなんだけどね。自由に転移門を使えるのと使えないのでは、だいぶ違うからね」

「それもそうか」

 何かあった時に、転移門を使えばという制約があるが、自由に管理層へと逃げ込めるというのは、大きな意味がある。

 とは言えそれではあまりにもフローリアに、メリットがある。

 フローリアにしてみれば、管理層に匿ってもらえているだけでも、十分なのだ。

「とは言え、それだとあまりにもわたしが恩を受けすぎている気がして、返せる気がしないのだが?」

 一方的に恩恵を受けるだけなのは、出来るだけ避けたいフローリアである。

「だったら、それこそ塔の管理メンバーとして、きちんと恩を返していけばいいのですわ」

 シルヴィアがそう言って助け舟を出した。

「ふむ。なるほどな。確かにその方がいいのだろう」

 今のフローリアが出来ることと言えば、スピカの加護を受けている身として、神託などの助言があるのだが、考助にはそちら方面の助言は全く役に立たない。

 何しろ、考助本人(本神?)に交神と言う手段があるのだから。ついでに交神相手も複数の相手がいる。

 そう言う意味で、同じような立場のシルヴィアの助言は、フローリアにとっては渡りに船だった。

「・・・そんなに固く考えなくてもいいんだけどね」

 二人のやり取りに、考助は苦笑していた。

 

 結局その日のうちにシュレインは、北東の塔へと向かい管理を始めることにしたようだった。

 考助は、北東の塔を攻略したメンバーを連れて、今度は南東の塔を攻略することにした。

 他のメンバーは、アマミヤの塔でお留守番だ。

 もっとも、ピーチはシュレインの様子を見てくると言って、北東の塔へと向かったようだが。

 そう言うわけで、次は南東の塔の攻略をすることになったのであった。

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