表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第2章 塔の運営を開始しよう
14/1358

(2)収支管理

本日20時に1話を投稿しています。読み飛ばしにご注意ください。


説明回2。

 管理層の管理を一旦終えた考助は、次に塔階層の管理を始めた。

 塔階層に関しては、デフォルトの状態でも一日当たり神力100ptの収入がある。

 これは低階層のモンスター達が互いに勢力争いをするため討伐ptが入ってきているためだ。

 中・高階層のモンスターほど一体あたりの討伐で入ってくるptは多いのだが、高ランクのモンスターは知恵が高く完全に棲み分けを行うためほとんど争うことがない。

 そのため中・高階層では討伐ptが定期的に入ってくることは、ほとんどないのだ。

 ちなみにデフォルト状態だと、低階層は第一層~第四十層、中階層は第四十一層~第七十層、高階層は第七十一層~第百層となっている。これはあくまで考助がつけた基準だ。

 各階層にモンスターを発生させる方法は、二種類ある。

 一つは、階層に配置している自然環境によって自然発生する場合。

 もう一つは、管理メニューから召喚陣を階層に配置して発生させる場合である。

 召喚陣を配置する場合は、当然ながら三種のptを利用して配置することになる。

 例えばだが、スライム召喚陣だとこうなる。


 名称:スライム召喚陣

 ランク:モンスターランクF

 設置コスト:100pt(神力)もしくは、聖力+魔力の合計5万pt

 説明:スライムをランダムで最大1000体まで召喚する。1000体討伐できると得られるptは、神力約110pt


 召喚陣を使うには、問題が二つある。

 神力を使うより、聖力と魔力を使って設置したほうがコスト的には安上がりだ。

 ここで問題一である。聖力と魔力はどうやって回収するか。

 答え。一日一回勝手に回収される。

 そもそも聖力と魔力は、各階層に配置している自然から、それこそ自然に発生している。他にも魔法を使ったり聖力を使ったりすれば、人や魔物に限らず発生するが、自然から発生する量に比べれば微々たる量である。

 考助の管理している塔は100層もあるので、聖力と魔力が各層から毎日毎日勝手に補充される。ただし、補充は一日一回、それぞれ100万ptまでという聖力・魔力クリスタルの最大容量の制限がある。

 さらに問題二。召喚されるスライムの数が、ランダムになっていることである。

 神力100ptを使って設置して、その後出てきたスライム全てを討伐しても神力が100pt得られない場合があるということだ。

 これは完全に運になっているので、考助が調整できるものではない。

 という二つの理由で、召喚陣を設置するだけ設置して、コウヒとミツキを使って討伐無双するというわけにもいかない。

 さらに現在設置できる召喚陣は低レベルのモンスターのみになっているので、討伐で得られるptも小さい。完全に労力とコストに見合っていないのだ。


「・・・と、言うわけなんだけど・・・」

 管理画面を眺めながら考助が、つらつらと自分の考えをまとめていくのを、コウヒとミツキは感心したように頷きながら聞いていた。

「・・・なるほど、さすがです」

「はあー。すごいねえ」

「そうかな・・・? ・・・こんなの慣れだと思うけど?」

 考助の発想は、間違いなくゲーム脳から来ている。

「慣れ、ですか・・・」

「収支をきちんと考えないとすぐに破綻するだろうしねぇ。まあ聖力と魔力は勝手に貯まっていくから自滅はないだろうけど」

「それで? ・・・どうするの?」

「召喚陣を設置する」

 即答した考助に、コウヒは疑問の表情を浮かべ、ミツキは疑わしい表情をした。

「・・・どういうこと?」

「今設置できる召喚陣は、確かに割に合ってない可能性が高いけど、今後出てくるものは分からないということ。恐らく塔LVが上がれば設置物の種類が増えると思う。

 後は、塔LVの上げ方が分かってないこと。これは完全に予想だけど、召喚陣の設置数なんてのが条件にあるかもしれない。結局やってみないと分からない、ということなんだけどね」

「では、私達でモンスターを討伐していくということですか?」

「いや。違う。さっきも言ったように、二人にやってもらうのは無駄が多すぎる。最初のうちはそれでいいかもしれないけどね」

「じゃあ、どうするの?」

「別に塔に入るのは、自分たちだけじゃなくていい、でしょ?」

 その考助の言葉に、二人はハッとする。

 だが、すぐに疑問の表情を浮かべた。

「ですが、どうやって冒険者たちをここまで呼び込むんですか?」

 そもそもセントラルの塔が、いまだに攻略されていなかったのは、たどり着くのが難しいとされているためだ。

「さっき確認したときに、いいものを見つけたんだよね」

「いいもの? 何々?」

 興味津々の二人に、考助は管理画面にあるものを表示した。


 名称:転移門(外部)

 設置コスト:1万pt(神力)

 説明:塔外部の任意の一地点と塔の任意の階層を繋ぐための転移門。

    往復、一方通行設定可。


 冒険者たちが来ることのできないセントラルの塔に、まさにうってつけの施設といえる。

「へー。なるほどね。これを使って冒険者を呼び込んで、その人たちに討伐させるというわけね」

「それも目的の一つだけど、それだけじゃない」

 これを見つけたとき考助は、ある考えを思いついたのだ。

「というと? どういうことでしょう?」

「まず、転移門は通行料をとる。これは、塔の中にさえ来れば儲けることができると思わせれば、間違いなく通行料を払ってでも冒険者たちは使うと思う。

 でもそれだけじゃあ意味がない。あくまでも塔にとっての一時的なお客さん、ということになってしまうから」

 考助は、いったん話を区切って一息ついて、さらに続けた。

「だから、塔の中で恒常的に活動する人たちを作るために、塔の中に都市を作る。・・・もちろん最初は、家何軒とかいうレベルだけどね。この塔の一階層ごとの広さだったら十分だと思う・・・んだけど、どう思う?」

 一気に話した考助に、二人はしばらく考え込むように沈黙した。

 やがて自分たちの中でも整理がついたのか、浮かんだ疑問を考助にぶつける。

 考助の計画をつぶすためではない。計画を進める前にできる限り穴を埋めるためだ。


「人が住み着くには、住居が必要ですがどうされますか?」

「それも調べたら設置物の中にあったよ。一般的な大きさの一軒家で2万pt。最初は十軒ほど建てればいいと思う」

「その後は?」

「職人たちに来てもらって建ててもらうようにした方がいいだろうな。ptの節約のためにも」

「塔の中の住居に住み着く人はいるでしょうか?」

「最初はなかなか難しいだろうな。ただ、こちらに拠点があったほうが便利だと思わせれば、こっちのものだと思う」

「・・・塔全体のモンスターの配置も調整しないといけないですね」

「稼げると思わせないといけないからね」

 次々と疑問を投げかけては、それを実行できるように潰していく。

 話していくうちに考助も疑問が出てきて、それを二人に提案する。


 三人でいろいろ話し合っていくうちに時間はどんどん過ぎていき、ようやく形になったところで、最後にミツキが提案した。

「これは提案なんだけれど、しばらくクリスタルに貯まっている魔力を私に分けてもらえない?」

「ん? どういうこと?」

 考助の疑問に、コウヒが端的に答えた。

「召喚ですね」

「そ。今話したことを実行しようとしたら、どう考えても人手が足りないわ。かといって外部の人間を使うのは、後々はともかく最初はやめた方がいい」

「塔の管理で忙しくなる考助様が前面に出るのではなく、外部とのやり取りは召喚で呼んだ者達に任せた方が宜しいかと思います。ちなみに私は聖力を分けてもらいたいです」

 考助はその提案に頷いた。人手を召喚するという発想はなかった。

「わかった。どうせしばらくは、塔の調整が忙しいからその間に召喚してもらって、外部と調整してもらった方がいいかな?」

「そうね。そうしましょう」

「かしこまりました」

 二人が頷いたところで、今後の方針が完全に固まった。

 まだ行き当たりばったりなところはあると思うが、後は実際に実行してみないと何が起こるか分からないのだからしょうがない。


 こうして塔の管理が本格的にスタートした。

 ちなみに・・・きちんとした塔の名称をいまだに決めていないと三人が気づくのは、まだまだ先のことだった。

次話は明日20時更新予定。


ちなみに、階層が低い塔では聖力と魔力もきちんと管理しないといけません。

考助が管理する塔の場合は、100層もあるから毎日貯まるというより、高LVの環境の層がたくさんあるから毎日貯まっています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ