表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第11章 塔から神域へ行こう
133/1358

1話 セーフティエリア

 神威召喚を第五層で行ってしばらくの間は、考助は色々な雑務に追われて身動きが取れなかった。

 まずは、冒険者達用の各層へのセーフティエリアの設置。

 これは単純に、モンスター侵入防止用の結界を張った。

 ただ、勿論それだけで終わらせるつもりはない。

 セーフティエリアに宿屋用の建物を設置したのだ。

 当然、クラウン直営の宿屋になる。

 最初は何も設置せず結界だけを張って終わらせようとしたのだが、主にシュミットがいっその事小規模な宿場町にしてしまおうと提案してきた。

 それに加えて、ガゼランが賛成を表明し、そのまま押し切られてしまった。

 ただ、考助としては宿場町もどきにする代わりに、クラウン以外の介入は一切認めないことを条件にした。

 これにより、第五層以外の各層は完全にクラウン独占での経営体系にすることになった。

 そして、宿屋になる建物は、塔の機能を使って建てた。

 これには、クラウン工芸部門部門長のダレスが嘆いたが、逆にクラウン商人部門部門長であるシュミットは喜んだ。

 ダレスが嘆いたのは、工芸部門の出番がなかったことに対してであり、シュミットが喜んだのは、建物の建築を待たずに営業できるためである。

 今まで普通の自然があった場所に、いきなり建物が建ったことに一部の冒険者たちが驚いたようだが、普通に塔の不思議として片づけられた。

 既に、塔の代表である考助の神の召喚は、噂としてあっという間に広まっていたので、そういう事が出来ても不思議ではないと思われたのだ。

 それをピーチを通して、デフレイヤ一族の報告として聞いたときには、ひどい誤解だと思った・・・のだが、

「あれ~? できないんですか?」

 と、なぜかピーチに不思議そうな顔をされた。

 反射的に、出来るわけがない、と答えようとした考助だったが、思わず考えたことが口に出てしまった。

「出来るわけが・・・あ、あれ? 出来なくはない、かな?」

 考助の言葉を聞きとがめた者達は、白い目で考助を見た。

「い、いや、ちょっと待って。出来ると言っても、別の場所に既に建っている建物を召喚すれば、出来るだけで・・・」

「十分です~」

 考助の言い訳に、珍しいことにピーチが突っ込みを入れたのだが、その時誰もがナイスと思った。

「普通はそんなことはできんからの」

 そう言って頷いているのは、シュレインだった。

 周囲の反応を見た考助は、早々に白旗を上げたのだった。

「そも、神威召喚など実行してしまったのだからの」

「あり得ません~」

 シュレイン達は直接現場では召喚を見ていないが、きちんと成功したことは聞いていた。

 逆に、直接見ていないことと、考助のことを知っているため受けた衝撃は少なかった。

 ・・・管理層に来たばかりのフローリアを除いて、だが。

 フローリアにしてみれば、事前に神威召喚をすることは聞いていたが、本当に召喚が成功するとは思っていなかった。

 まさか、と思っていたのだが、成功したと聞いたときは、呆然自失と言った感じだった。

 加護を受けている身としては、神の存在は身近だったので、神にまつわる話も身近な存在だったのだ。

 当然フローリアは、そのことを後にシルヴィアに確認したのだが、コウスケさんですからの一言で終わった。

 シルヴィアも巫女としての修業を積んでいるので、ある意味フローリア以上の衝撃を受けるはずなのに、そのような態度だったので、フローリアもその言葉を受け入れることにした。

 そう言うわけで、考助の常識外れっぷりは、めでたく(?)管理層にいる者達の共通の認識となったのだった。

 

 セーフティエリアを作ったのは、第六層、第四十一層~第四十五層の計六層だ。

 宿屋に関しては、第四十一層、第四十三層、第四十五層の計三層に設置した。

 全ての層に宿を置かなかったのは、しばらくの間様子を見るためだ。

 シュミット曰く、全ての層においても儲けは出せるだろうとのことだったが、そもそもの目的は、儲けの為ではなく冒険者達の攻略条件を変えるためだ。

 考助としてみれば、もっと上の階層を目指してくれるように設置している。

 ただ、宿屋を設置したことで、長くその階層に留まる者達も出てきそうだが。

 ちなみに、宿屋の従業員は転移門ではなく、転移魔法を使って移動している。

 これは考助が開発した魔法で、塔の階層を気にせず移動することができる。

 転移門を召喚魔法を応用して作ったのだが、それを披露したときの周囲の反応は、言わずもがなである。

 少人数で使う場合は、転移魔法の方が便利なので、今後はその転移魔法を使う機会も増えていくだろう。

 宿で使う人員と物資に関しては、その転移魔法で運び込むことになっているので、運営には支障はない。

 ただし、これは人数が少なかったり物資の量が少ない場合で、店舗のような大量の物を移動させる場合は、転移門を設置している。

 それにわざわざ人前で使うつもりもないが、聡い冒険者たちの中には気づくものは出てくると思っている。

 自分たちにも使わせろと言って来る冒険者が出てきそうだが、そんな意見は無視することになっていた。

 例によって(?)、文句があるなら宿を使わなくてもいいと言えばいいだけだ。

 建物を設置してすぐに、セーフティエリアの宿屋は営業開始した。

 宿を建てることが決まった時から、シュミットが先手を打って従業員を育成していたのだ。

 今のところ順調に、営業が行われているとの報告を受けていた。

 

 セーフティエリアの設置に伴って、第五層の町での活動についてもきちんとした取り決めを決めた。

 まずは、クラウン以外の外部ギルドの活動も認めている。

 特に商業ギルドの活動に関しては、大きな制約を掛けている。

 商品搬入などに関しては、以前から行っていたが、関税代わりの通行料を取っていた。

 外部用の転移門に関しても、商人が使用できるのは一つの転移門のみだ。

 とは言え、第五層に倉庫のような物を作り、その場で取引をすれば、遠回りをした陸路や海路を使うよりもはるかに安く済む。

 塔側の思惑としてみれば、抜け道のようなやり方にも思えなくもないが、塔側から規制するつもりはなかった。

 塔にとっては、この場合は行政府になるが、地代としての収入があるのでそれでも十分だという思惑があった。

 クラウン独占にするよりは金銭的な儲けは少なくなるだろうが、これも町に人を定着させるという意味では大きな意味がある。

 倉庫もしくはそれに付随した建物を作るとなれば、当然それを管理する人手がいるのだ。

 中には事務所のような場所として使うために、定住する者も出てくるだろう。

 金銭的な儲けよりも、其方の方を重要視したのだ。

 加えて、地代としての金銭も入ってくるのだから十分と言う考えなのだ。

 そもそもクラウンとしての儲けは、当然転移門を使っての交易も大きいのだが、それと同等に冒険者たちからの持ち込み素材の販売益が多い。

 将来的には、シュミットは各宿屋に併設して買取窓口を設けると言っていた。

 当然素材の販売益の増収を目論んでいるのだ。

 上手くいくかどうかは、まだわかっていないが、シュミットとしては既に上手くいくと予想していた。

 セーフティエリアで買取が開始されれば、その分だけ冒険者たちの往復の移動距離が短縮されるため、その分多くの量が捌けるためだ。

 結果が出るまで期間が必要になるが、その辺の調整はクラウンで行っていくことになっているので、考助が直接かかわることはほぼ無いのであった。

折角章が変わったのに、冒険者活動地域について長々書いてしまいました。

以前の重複分もありますが、これが現在最新の内容です。

以前の記述と違っている部分は、今回取り決められて更新された内容になります。


2014/6/11 誤字訂正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ