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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第9章 塔をさらに発展させよう
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8話 強化?

 シュレイン達は、しばらくの間飛龍たちに乗って騎乗訓練を続けることになった。

 考助にしてみれば、そこまで頑張らなくてもいいと思ったのだが、なぜだか彼女たちは上手く乗れることにこだわったのだ。

 実は、考助とコーの飛行を見た彼女たちが、その速さと上手さに危機感を覚えたというのが理由なのだが、考助は残念ながら気づいていない。

 ただ単に、熱心だなぁ、と思っただけだった。

 彼女たちが特訓をする間は、ミツキがその様子を見ることになった。

 その為、一度ミツキと共に管理層に戻り、ミツキはすぐに第八十層に取って返した。

 コウヒかミツキのどちらかは、絶対に考助から離れることは無い。

 以前、管理層にいるときくらいは、そこまですることは無いのでは、と言ったこともあるのだが、二人はそれだけは絶対に譲らなかった。

 考助としても強引に止めさせる気はないので、それ以降は好きにさせているのである。

 

 管理層に戻ってきた考助は、改めて現在の塔の状態を見直した。

 そして、それぞれの層の状態を見ていて、ふと気づいた事がある。

 拠点がある低級層の神力の収入が、思った以上に伸びていた。

 拠点にいる召喚獣達が強くなってきているので、収入が増えているのは以前からである。

 だが最近は、その伸びも落ち着いていたはずだ。

 これはそれぞれの層の召喚獣たちの数が安定してきたので、倒せるモンスターの数も限りがあるせいだ。

 ちなみに、各層の召喚獣たちの数は、大体百匹になるように揃えている。

 後は、進化をすれば、当然個体が強くなるので、討伐数も伸びるのだが、それとて簡単には増えるものではない。

 そう言った理由で、討伐数自体が伸びていなかったので、当然神力の収入が増えることもなかった。

 ところが、ここ数日その神力の収入が増えていた。

 ちなみに、管理画面では各階層ごとの神力の収入値を見ることが出来る。

 わざわざ紙に書き写す必要がないので、ありがたく利用させてもらっている。

 ついでに日ごとの収入値をグラフ化する機能もあったりする。

 これを初めて見たコレットたちが、感心したような表情をしていたことがある。

 そもそも考助にとって、普通と思っていた算数すらままならないのが当たり前の世界なので、グラフそのものが珍しかったのだ。

 そして、その分かり易さに感心したのだ。

 それはともかくとして、今は神力の収入の事である。

 グラフでも改めて確認してみたが、明らかに神力の収入が増えている。

 といってもあくまでも低級層の事なので、中級層や上級層に比べれば、微々たる伸びなのだが。

 ・・・と、考えていたこともありました。

 よくよく考えて見てみると、明らかにおかしい所があった。

 低級層のはずなのに、一日の収入が最初のころに作った中級層の拠点と同じくらいになっている。

 それだけの数のモンスターを低階層で倒すとなると、相当な数を倒していないとおかしい。

 勿論、各階層の召喚獣の強さに合わせて、中級モンスターの召喚陣を設置をしていたりもするのだが、それだけでは足りない。

 明らかに中級層並みのモンスターを、常時討伐しているくらいの収入なのだ。

 これは原因を直接確認しないと駄目だということで、早速一番収入の多くなっている第八層へ向かった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 第八層へ向かった考助とコウヒを一番最初に迎えたのは、アリサだった。

「あら。コウスケ様、どうされました?」

 いつものように神社の掃除を行っていたアリサが、いつもと違う様子の考助に首を傾げていた。

「ああ、アリサ。ちょっと聞くけど、前と違ったことは無い?」

「違ったこと、ですか?」

 考助の問いに、アリサは首を傾げた。

「えーと、特に神社には変化はないですが・・・ユリ様に聞いてみましょうか?」

 神社の事であれば、実際に宿っている妖精であるユリに聞いた方が早いと思い、そう聞いてきた。

「ああ、いや、この神社の事だけじゃなくて・・・」

 考助の言葉に、ますます首を傾げるアリサ。

「主様が言いたいのは、神社に限らず、この階層で変わったことがないか、と言うことです」

 二人の様子を見て、珍しくコウヒが口を挟んできた。

「変わったこと・・・ですか。・・・・・・ああ! そう言えば!」

「なんかあるの?」

「前にワンリちゃんが話していましたが、この階層のモンスターが強くなっているとか・・・?」

 まさにそれが考助の聞きたかったことだ。

「そう、それ! どんな感じなの?」

 勢い込んで聞いてきた考助に、アリサは困ったような表情になった。

「あの・・・すいません。私は、あまり外に出ませんから、詳しくは・・・」

「ああ、そうだった。ごめん・・・」

 アリサの様子を見て、考助も反省した。

 そもそも結界の外は危ないので、結界からは出ないようにと最初に言っていた。

「それじゃあ・・・ワンリは?」

「ワンリちゃんは、今は外に出ていていません。外の様子を知りたいのでしたら、ユリ様に聞いてみてはどうでしょう?」

「ああ、そうか。そうするよ。ありがとう」

 考助はそう言って、その場を後にした。

 アリサにも仕事があるので、いつまでも拘束するわけにもいかないのだ。

 

「周囲のモンスターの様子ですか?」

「ああ、前より強くなっている?」

「確かに強くなっていますね。モンスターたちも環境に合わせて、強くなっているんでしょう」

 ユリはあっさりと、考助にとってはとんでもないことを言いだした。

「ちょっとまって・・・環境に合わせて?」

「・・・もしかして、気づいていませんでしたか? 他の階層は分かりませんが、この階層は以前よりもモンスターのレベルが上がってますよ?」

 ユリの言葉に、考助は呆然としてしまった。

「・・・どういう理屈でそんなことに?」

「申し訳ありません。それは私にもわかりません。直接神々に聞いてみてはいかがでしょうか?」

 ユリは、考助が複数の神と交神出来ることを知っている。

 もっとも、考助にしてみれば、彼女たちとは普通に接しているので、相手が神だという実感があまりわいていないのだが。

 とにかく神力の収入が増えている原因は分かったので、あとはなぜその原因が起こっているかを調べるだけである。


 結局、ユリにアドバイスをもらってはいたが、エリス達に聞くのは止めておいた。

 多分聞けば答えを教えてくれるだろうが、あまり頼りすぎるのも面白くないと思ったのだ。

 少なくともモンスターのレベルが上がったために、神力の収入が増えていると言うことがわかった。

 今はそれだけで十分である。

 あとは、なぜモンスターレベルが上がったのかと言うことだが、それに関しては、色々と試してみることにした。

 まだ空いている階層はあるので、それぞれの層で調べて行けばいいだろう。

 それよりもまずは、今ある拠点の状況がどうなっているのか、ということから調査を開始した。

 結論から言えば、召喚獣たちのいる拠点周辺は軒並みモンスターのレベルが上がっていた。

 逆に、第五層やその他の亜人たちがいる階層の周辺モンスターは、変化が起こっていないようだった。

 勿論これだけでは、直接的な原因を調べるのは難しいので、これに関わる調査は、長期戦になることを覚悟した。

 取りあえず、周辺のモンスターのレベルが上がっているとはいっても、召喚獣たちが倒せないほどの極端な上がり方をしていないことが分かっただけでも十分だ。

 あとは、新しく階層を作ってその変化を見ていくのと、今ある階層がどうなっていくのをきちんと見ていくことにしたのであった。

結局今回は、アスラたちに頼るのは止めた考助です。

アスラたちの出番は、閑話とかで日常の会話で出てもらおうかなぁ・・・などと考えています。


2014/5/24 誤字修正

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