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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第12部 第1章 引っ越し
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(1)新しい屋敷

こ、困りました。

章が百章までしか作れないことをここで知りました。

暫定的に、前書きでお知らせします。


第2章 塔のあれこれ(その25)

 考助たちが新拠点で農業に励んでいるその頃。

 コレット&ピーチは、アマミヤの塔の第五層にある街で、子供たちと住むための屋敷にいた。

 子供たちは、この屋敷から学園に通うことになる。

 屋敷がある場所は、第五層の街の中でも高級住宅街で、街のどこよりも治安が良い。

 学園からも近くて通学にも便利なので、この場所がいいと前もって決めていたのだ。

 

 子供たちと一緒に屋敷に入ったコレットとピーチは、満足そうな顔で部屋を見回した。

「さすがワーヒドたちね。・・・・・・屋敷の管理にワーヒドたちを使うのは、少し勿体ない気がするけれど」

「そうですよね~」

 コレットの言葉に、ピーチが同意するように頷いた。

 そう言ったふたりの視線の先には、ワーヒドたち召還組六人が揃っている。

 統括を引き継いでから時間ができた彼らは、コレットたちが住むことになる屋敷の管理を申し出たのである。

 この屋敷は、ミクが学園を卒業するまでしか使わない予定なので、きっちりと管理して後で他人に引き渡すことになる。

 

 コレットとピーチの言葉に、ワーヒドが笑顔になりながら首を左右に振った。

「そんなことはありません。それよりも、考助様の子供たちに関われることの方が嬉しいです」

「そうですよ! ですから、安心して任せてください」

 ワーヒドに続いて、サラーサが任せなさいと言うように、ポンと自分の胸を叩いた。

 彼らにしてみれば、今までずっとクラウンに関わってきただけに、直接考助に関わる仕事ができるのが嬉しいのだ。

 ましてや、それが考助の子供たちともなれば、喜びもひとしおである。

 ティンなどは、早速とばかりに三人の子供たちと何やら戯れていた。

 ちなみに、イスナーニだけは、よく管理層で会っていたので、一歩引いたところで苦笑気味に見ている。

 ただし、彼女たちの気持ちが分かるだけに、止めようとはしていなかった。

 

 

 子供たちをサラーサとティンに任せて、コレットとピーチはワーヒドと今後のことについて話をしていた。

「実は、もうすでに考助様の子供たちが住まれるということで、近所でも噂になっているようです」

「あら。そうなの?」

 ワーヒドの言葉に、コレットが面倒くさそうに、顔をしかめた。

 実はこの家を買う際に、子供たちが現人神の実の血がつながった子であることを隠さずにいた。

 それは、下手に隠してあとから問題になるよりも、最初から公表してしまったほうが良いと判断してのことだ。


 これは、ココロやルカのときの経験を元にして、そうすることにした。

 代わりに、子供たちにはしっかりと裏から護衛をつけることになる。

 これがワーヒドたちの主な役目になるのである。

 屋敷の管理は、あくまでも表向きの役目なのだ。

 

 ため息でもつきそうなコレットに、ワーヒドが質問をした。

「一応確認ですが、面会希望はどうなされますか?」

 そのワーヒドの質問に、コレットとピーチは一度顔を見合わせた。

「コウスケ目当ては、当然却下よね」

「そうですね~。あとは、子供をダシにするような人も無理ですね~」

 そう言いながら次々に、面会却下の人間を挙げていった二人だったが、ふと途中でコレットが真顔になった。

「・・・・・・なんか、この調子だと基本的に全部の面会を断ってもいい気がしない?」

「確かに、言われてみれば、そうですね~?」

 コレットの言葉に、ピーチも頷いた。

 

 そもそもコレットたちの立場を考えれば、下手に他人との繋がりを持つのは止めた方がいい。

 別に考助は、コレットたちに人付き合いを止めるように言っているわけではない。

 だが、彼女たちにとっては、どうあがいても考助の嫁という立場が付いて回るために、それを完全に排除した付き合いをする方が難しい。

 それならば、向こうから近寄って来る者たちは最初から排除して、必要ならば自分たちから近寄ったほうが良いのである。

 

 結局、コレットとピーチは、揃ってそう結論付けた。

「――というわけで、私たちが許可しない限りは、誰も通さなくていいわ」

「畏まりました」

 ワーヒドは、コレットとピーチが最初からそうするとわかっていたのか、特に表情を変えることなく頷いた。

 もっともワーヒドの場合、ふたりがどんな結論を出そうとも、表情を変えることはなかっただろうが。

 

 そんなワーヒドに、今度はコレットが疑問を口にした。

「そういえば、ワーヒドたちは元統括としてある程度顔が知られていると思うけれど、大丈夫なの?」

「大丈夫です。むしろ、そちらの方が、下手な人物を近づけさせないことになるかと思います」

 クラウンの元統括という立場は、おかしな人間を近寄らせないようにするには、かなりの抑止力になる。

 勿論、そんなことはまったく気にしない輩もいるだろうが、その場合はそれこそ実力行使に出ればいいだけだ。

 さらに、考助の子供たちではなく、直接ワーヒドたちと関わりを持ちたいと近付いてきても、いまはほとんどクラウンとの関係を断っているので、まったく意味がない。

 いまの統括リクとのつなぎを求めてきても断ればいいだけなので、大した問題にはならないのだ。

 

 ワーヒドたちのことは、自分たちに任せておけばいいと理解したコレットは、最後に一番肝心なことを確認することにした。

「それで、例の場所はきちんと見つけた?」

「はい。勿論です。どこも似たり寄ったりですから、さほど苦労はしなかったです」

「そう。それじゃあ、早速行ってみようかしら?」

 コレットが首を傾げながらピーチを見ると、彼女もコクリと頷いた。

 これからしようとしていることは、子供たちがいないときのほうが都合がいいのである。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 コレットとピーチは、ワーヒドに案内されて、屋敷のとある部屋に入った。

 その部屋は、ちょっとした屋敷にはつきものの飾り棚が置かれている宝物庫のような場所だった。

「へえ。ここにあるの?」

「ええ。そうなります」

 コレットの言葉にワーヒドが頷いた。

 

 なぜかピーチがきょろきょろとあたりを見回したりうろついたりしている。

 そして、数分そんなことをやっていたピーチは、少しだけ首を傾げながらとある棚の奥に手を伸ばした。

「ここでしょうか~?」

 ピーチがそう言った次の瞬間、その飾り棚が僅かに音を立ててずれ始める。

 そして、人一人が通れそうな隙間が、その場所にできていた。

「おお~。さすがピーチ」

 物の見事に隠し扉を見つけたピーチに、コレットが拍手を送った。

 

 

 ピーチが探していたのは、ある程度の大きさの屋敷には必ずと言っていいほどついている、隠し部屋への扉だ。

 コレットとピーチは、その隠し部屋に、ある物を置こうとしているのだ。

 そのある物というのは、考助から渡された新拠点へと通じるための転移陣である。

 コレットとピーチは、その転移陣を使って新拠点へといつでもいけるようになるのだ。

 ただし、子供たちは行くことができないので、わざわざ隠し部屋に転移陣を置こうというわけだ。

 たとえ見つかっても子供たちには転移陣は使うことが出来ないが、ばれれば行きたがるのは間違いないので、敢えて隠しておこうということでもある。

 

 無事に隠し部屋に転移陣を置くことができたコレットとピーチは、すぐにその転移陣を使って新拠点へと移動することができた。

 その際に、考助たちが農作業を励んでいる所にお邪魔することになるのだが、それはまた別の話である。

今度はコレットとピーチにとっての新しい屋敷です。

当然ながら最後に作った転移陣は、考助たちも使うことができます。

ただし、子供たちに見つかると面倒なので、あまり使うことはないと思います。

ついでに、管理層やそれぞれの里と行き来するために、転移門も別の部屋に置いています。

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