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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第2章 新たな大地と種族
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(9)(考助にとっては)やばいタッグ?

「コウヒ、ミツキ、ストップ!!」

 考助は、浮遊島にある城の前で、島に突っ込んできたふたりにそう声をかけた。

 その指示が聞こえていたのかいないのか、コウヒとミツキは、天翼族には一切構わず考助のところに直行してきた。

「主様、御無事ですか?」

「考助様、大丈夫?」

「ああ、大丈夫だから少し落ち着くように」

 心配そうな顔でペタペタと体中を触れてくるふたりに、考助は多少呆れたようにそう答えた。

 コウヒとミツキが自分を甘やかす(?)のは感じていた考助だが、なぜかそれに拍車がかかっているような気がしている。

 ちなみに、この間天翼族は遠巻きに見ているだけで、特に何かをしてこようとはしなかった。

 前もって考助がそうするように伝えておいたのだ。

 

 こうなってしまっては、考助が何を言おうとしばらくは止まらない。

 仕方ないので、考助はしばらくされるがままになっていた。

 といっても、コウヒもミツキもペタペタと考助の体中を触った段階で満足したのか、落ち着きを取り戻してわずかにだけ離れた。

「ご無事なようですね」

「そうね。変な改造はされていないようね」

「・・・・・・あのね。ふたりは一体なにを心配していたのかな?」

 浮遊島に乗ってこの世界に来る前は、アスラの神域にいたのだ。

 なにかされるとすれば、それは女神たちにであって、その女神たちが考助をどうにかするとは思えない。

 というよりも、いままで何度も考助ひとりで神域に行っているので、今更といえば今更だ。

 

 考助の言葉を聞いたコウヒとミツキは、一度お互いに顔を見合わせてから周囲を見た。

「いくら神々の信頼が厚いといっても、ひとりでいるのは許可できません」

「そうね。考助様は危機感が無さすぎるわ」

 ここで考助は、女神たちは信用できるのに、天翼族は信用できないのか、とは聞かない。

 言っても無駄だということもあるが、それ以上に、それとこれとは別問題だということがわかっているからだ。

「言いたいことはわかるけれどね。一度塔に寄るわけにもいかなかったんだから、仕方ないよね?」

「「・・・・・・ハア」」

 考助の答えに、ふたりはもう一度顔を見合わせてから、盛大にため息をつくのであった。

 

 

 そこで、考助たちの話が一区切りついたと判断したのか、天翼族のエイルが話しかけて来た。

「力ある方々。おふたりの心配はよくわかりますが、そこまでにしていただけますでしょうか? それ以上の咎は、私たちが受けます」

 そう言ってきたエイルを、コウヒとミツキはしばらく観察するようにして見ていた。

 やがて、ミツキが口を開く。

「そうね。とりあえず、詳しく話をしましょうか」

 ミツキが見ていた間に何を考えていたのか考助にはまったく分からなかったが、ミツキから視線を向けられたコウヒが頷いていた。

 そして、スッと考助の傍に近寄ってきて、いつものように護衛ポジションについた。

 

 そんなことをしている間に、ミツキとエイルは少し離れた場所で、なにやら話し始めた。

「・・・・・・なにを話しているのかな?」

 気になった考助がそう聞いたが、コウヒは首を傾げるだけだった。

 これは答えを期待しても無駄だと判断した考助は、視線をミツキとエイルの方へと向けた。

 残念ながら考助のところまでふたりの話声は聞こえてこなかったが、遮るものがないので身振りや顔の様子は何となくわかる。

 それを見ていると、最初のうちはなにやらまじめな顔で話し合っていたようだが、途中から何故か、意気投合したように笑顔になり途中からはミツキからエイルの手を取って上下に振り始めた。

 何故か、それを見ていた考助の背中に冷や汗が流れ始めた。

「あ、あれ? なんだろう? 単にふたりが話し合っていただけなのに、なにやらおかしなタッグが組まれた気がする・・・・・・」

 気のせい、気のせい、と口の中で何度か呟いてみたが、どうにもその嫌な予感が消えることはなかった。

 

 話の内容が非常に気になるが、むりやりあそこに割って入る度胸もない。

 結局考助は、話し合いを終えたふたりが近寄ってくるまで、ドキドキしながらただ見守っているだけだった。

「で、結局どうなったのかな?」

 近付いてきたミツキとエイルに、考助がそう聞いた。

「なにも問題ないわよ?」

「ええ。実に有意義な話し合いでした」

 ミツキもエイルも笑顔でそう答えて来たのだが、なぜか考助は安心できなかった。

「そ、それって、詳しく聞くことは・・・・・・?」

 恐る恐る考助がそう聞くと、ミツキがいたずらっぽい笑顔を浮かべた。

「勿論、問題ないわよ? ただ、考助様がいかに素晴らしい主かを説明しただけだから」

「はい! とても貴重なお話を聞かせていただけました!」

 問題だらけだった! ミツキとエイルの答えを聞いた考助は、瞬間的にそう思ったのだが、残念ながらこの考えを共有してくれるものは、誰一人としていなかったのである。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 天翼族は、新しい世界に移ってきていろいろとすることがあるので、考助たちはすぐにアマミヤの塔の管理層へと戻ってきた。

「あ~、疲れた。しばらくぶりだからゆっくり休ん――」

「――めるとでも思っているのか?」

「・・・・・・無理、ですよね」

 くつろぎスペースのソファの上で寝転がろうとした考助だったが、すぐにフローリアにつかまってしまった。

 考助たちが戻ってきたときはどこかに行っていていなかったのだが、誰かが知らせたようである。

 

 いったい誰がと思ったが、わざわざ考えるまでもなかった。

「・・・・・・コウヒ?」

「申し訳ありません。戻ったらすぐに連絡するよう言われていたものですから」

 こういうのは主従関係的にどうなんだろうと考助は考えたが、そもそも普段から緩い主従関係しか求めていない考助が言っても説得力がない。

 どちらかといえば、身から出た錆というべきだろう。

 そもそも口止めするように言っていなかったので、コウヒを責めるのは筋違いだ。

 

 一度だけため息をついた考助は、フローリアを見た。

「それで? なにを望んでいるの?」

「なにをというか、まずは一から十まで説明してもらえるか?」

「それはもちろんいいけれど、はっきり言って、僕が説明できることは少ないよ?」

 そう前置きをした考助は、フローリアに神域に行ってからのことを話した。

 といっても、フローリアに言った通り、考助が説明できることは少ない。

 神域に行って浮遊島を作ったことと、天翼族を新しい種族としてアースガルドに迎え入れることを説明されたくらいだ。

 あとは、浮遊島がアースガルドに現れたときのことくらいだが、それはフローリアもよく知っているようだったので、説明は省いた。

 

 フローリアからは天翼族について詳しい説明を求められたが、考助から説明できることは少なかった。

 せいぜいが外見的特徴と、特別な性質を持っていることくらいだろう。

 もっとも、そのどちらも話を聞いたフローリアは、頭を抱えていた。

「・・・・・・そうか。要するに、コウヒとミツキの縮小版と思えばいいのだな?」

「ああ! なるほど、確かに上手い例えかもね」

 フローリアの言葉に、考助はすっきりしたような顔でそう答えたが、当の本人は渋い顔になった。


 そのあとで「頭が痛い」とか「後のことを考えれば」などと呟いていたが、やがてフローリアは考助にひとつの提案をした。

 それを聞いた考助は、悩む様子を見せたが、さらにフローリアが付け加えると仕方なしという感じで、その提案に同意をするのであった。

コウヒ&ミツキ+天翼族。

果たして、どうなることやらw

果たして、考助の胃は持つのか!

果たして、平穏無事な生活を送れるのか!(無理)



考「えっ!? ちょっと、(無理)って何っ!?」

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